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太り気味のほうが長生き?コレステロールが低いと死亡率高い?

“太り気味のほうが長生き”や”コレステロール値が低いと死亡率が高い”といった今まで言われていた事と逆の結果を示す研究報告もあるようです。実際のところはどうなのでしょうか?

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
  1. 太り気味のほうが長生き?
  2. コレステロールが低すぎると死亡率が高くなる?
  3. 多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス
  4. ネットニュースによる関連情報

太り気味のほうが長生き?

・60代までは痩せていたほうがいいが、70代になったら小太りでも大丈夫、という解釈?
 肥満やコレステロールの影響は、高齢になるに従い低くなっていき、70代以上になると高めの方が死亡リスクが減り、病気にかかりにくくなる。
 高齢になると食が細くなり、栄養の吸収力も低下するため、低栄養になりやすい。
 
※参考資料『坪田 一男(2011)人は誰でも「元気な100歳」になれる 小学館』

コレステロールが低すぎると死亡率が高くなる?

●コレステロールが高いと長生き?
 
・年齢を重ねてからの総コレステロール値の高さが、長寿命化に関連している。
 
※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す  三笠書房』

 

●コレステロール値が低い人達には、別の健康上の問題を抱えている人が含まれていた?
 
観察研究で、コレステロールが高くなるほど死亡率が高くなり、下がってゆくと死亡率も低下したが、コレステロールがあるレベルよりも低くなると、逆に死亡率が上がり始めた。
 コレステロールが低すぎる人というのは、以下のような人達であると思われる。
 
・コレステロールは主に肝臓で作られるので、肝硬変など肝臓の具合がかなり悪い人はコレステロールが作れず、コレステロールは低くなる。
・コレステロールは食事からも入ってきて、肉や魚などの動物性食品に多く含まれているが、体調が悪く、食が細くなって痩せこけていくような場合は、食事からコレステロールが摂取できず、血中のコレステロールも減っていく。
 
上記のような人達はもともと死亡率が高い人達で、コレステロールが下がったという原因で死亡率が上がったわけではない、と考えられる。
 
※参考資料『林 洋(2010)嘘をつくコレステロール  日本経済新聞出版社』

 

●低いコレステロールについて
 
・アメリカの多くの研究者が長期に渡る追跡調査。がんなど深刻な病気で亡くなった人を除外した上で再評価。
→Uの字(コレステロールが高い人だけでなく低い人も死亡率が高い)ではなく、右肩上がりのグラフになった。
 
○2005年、イタリアの調査
・熟年者3000人を12年間に渡って追跡調査。
・LDLが低ければ低いほど心筋梗塞の死亡率が下がる。
 
●HDL
 
・高ければ高いほど長生きできることが分かっている。
・HDLが高い人の中には、極めて特殊な体質で動脈硬化が置きやすいケースもあるが、それを区別する方法はまだない。
 
●LDLが高い
 
・LDLが高いだけでは、心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクはそれほど高くならない。LDLとともに中性脂肪が高いと動脈硬化が見られ、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいことが分かっている。
 
●中性脂肪
 
・乳製品には動物性脂肪が多く含まれているので、過剰に取ると中性脂肪を上げる要因となる。
・中性脂肪の検査値が高くても、ほかに異常がなければ、将来病気を発症するリスクが高くないことが分かっている。
 
※参考資料『岡田正彦(2015)医者が絶対にすすめない「健康法」 PHP研究所』

多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス

※多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
●肥満度(BMI)とがん全体の発生率との関係について
 
・調査開始時の身長と体重から肥満度(BMI)を算出し、それを7グループに分けて、その後のがん全体の発生率を比較した。
 
○がんの発生率の結果
・男性では、BMIが21-29では、がん全体の発生率はほとんど同じだったが、BMIが21未満のやせているグループと30以上の非常に太っているグループで発生率が高くなるU字型の傾向がみられた。
 特に、非常にやせているグループでのがん全体の発生率の増加は顕著で、BMIが19未満の最もやせているグループの発生率は、BMIが23-24.9のグループと比較して、約30%高くなっていた。
 よく、がんになった結果やせたのではないか、といわれるが、研究が始まって数年間以内にがんにかかった人を除いても同じ結果だったので、もともと非常にやせているということで、将来がんになりやすいのではないかと考えられる。
・女性では、太っていてもやせていても、その後のがん全体の発生率には特に違いがみられなかった。
 
○がんの死亡率の結果
・やせているグループと太っているグループでがんの死亡率が増加するU字型の傾向で、罹患率との関係よりもやせによる死亡率の増加がより顕著だった。
 
○推察
・日頃から非常にやせている人はそれほどやせていない人と比べてがんになりやすいと同時に、がんになった後の回復力も弱いのではないかと推察される。

ネットニュースによる関連情報

●喫煙と過去の疾患を考慮すると小太りの人より普通体重の人の方が死亡リスクが低かった
 
・ノルウェイの研究で、トータルで3030万人の参加者と374万件の死亡データを含んだ230件の前向き研究のメタ分析を行った結果、全く喫煙をしなかった者だけを対象にすると、最も死亡リスクの低いBMIは23-24であることが明らかになった。
・重大な疾患に罹ったことがない、全く喫煙をしなかった者だけを対象にすると、最も死亡リスクの低いBMIは22-23であった。
・さらに、研究のうちで20-25年にわたって追跡調査をしていたものだけに絞って解析すると(これで隠れた疾患の影響がさらに弱まる)、最も死亡リスクの低いBMIは20-22であった。

 

●やはり普通体重の方が小太りより長生き?
 
・32か国の1970-2015年にかけての239件の大規模疫学研究の1千万人以上のデータを解析した。
 今までの研究では、因果の逆転として、低体重が原因というよりもむしろ疾患があることで体重減少が起こっていること、喫煙をすることで体重が減少していることが考慮されていなかったため、今回の研究では、これらのバイアスを除いてBMIと死亡との関連を研究するために、喫煙のない者で、慢性疾患の罹患がない者を解析対象とした。
・その結果、BMI22.5-25が死亡リスクが最も低く、25-27.5で7%の、27.5-30で20%の、30-35で45%の、35-40で94%の、そして40-60以上の超高度肥満者では3倍近くの死亡リスクの上昇をみとめた。

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