健康情報のメモ

瞑想、マインドフルネス、ヨガ

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
  1. 瞑想の概要
  2. 瞑想の効果
  3. マインドフルネスの概要
  4. マインドフルネスの効果
  5. ネットニュースによる関連情報

瞑想の概要

●瞑想とは? シャニーダ・ナタラージャによる基準
 
①明確に定義されていて伝授が可能な特定の技法による。
②筋肉が徐々に弛緩していく。
③論理的処理が低下する。
④自分自身で誘導する。
 
●ヨーガ・ニドラ
 
・瞑想者はリラックスして夢を見て、中立的な観察者となる。
・瞑想者は自分の行動を意識的にコントロールできなくなり、心は行動を起こそうとしなくなる。
 
●禅
・"考えないことについて考える"という目的を持つが、心の注意は働かさせるよう指導する。
・決まった座り方をさせ、目は開いている。
・禅の瞑想実践では、心を感覚世界から遮断して夢想的な状態に入ることは勧められない。
 
※参考資料『デイヴィッド・J.リンデン(2012)快感回路 河出書房新社』

 

●デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)
 
・脳には、複数の領域で構成されているDMNと呼ばれているネットワークがある。
・DMNは、過去の様々な感情や記憶などをつなぎ合わせるときに、重要な役割を果たしていると考えられている。
・特定の活動に集中しているときは活動が低下し、逆に何も考えていない"アイドリング状態"のときに活動レベルが高くなる。
・DMNが活性化すると、様々な過去の経験や記憶が組み合わさりやすい状態が脳内で作られる。
→アイデアや発想がひらめきやすくなる。
 
●集中瞑想と観察瞑想
 
・集中瞑想は、自分の呼吸や目の前にある対象物など、ひとつの対象に注意を集中して瞑想する。
 集中瞑想では、意識はひとつの対象に集中しているのでDMNの活動は低いまま。
・瞑想中の思考や感情、体の変化等を、いちいち立ち止まって吟味しないで、観察しながら受け流す瞑想を、観察瞑想という。
 観察瞑想をすると、脳はアイドリング状態に近づくので、DMNが活性化すると報告されている。
 観察瞑想は脳をアイドリング状態にするだけでなく、自我や感情の暴走を抑え、社会性や思いやりを司る脳の部位を活性化すると報告されている。
 
※参考資料『石川善樹(2016)疲れない脳をつくる生活習慣 プレジデント社』

 

●超越瞑想
 
・瞑想は心が平穏に覚醒しているもう一つの意識状態を作り出す。
瞑想中は筋肉が弛緩し、赤血球の代謝が減速し、呼吸数と心拍数が減少して脳への血流が増加する。
・毎日の瞑想には、不安を鎮め精神機能を改善する長期的な効果があるようで、長い間にはその人の生物学的年齢を若返らせる。
・ケネス・エプリ博士の文献研究によると、超越瞑想は研究者が検討した他のどのリラクセーション方法と比べても不安を半分以上軽減した。
・キース・ワレイス博士の研究によると、5年以上の瞑想習慣がある人々の生物学的年齢は、瞑想習慣のなかった対照群より平均12歳若かった。
 
○ハリ・シャルマ博士らがオハイオ州立大学とマハリシ国際大学とで行った研究
・食事で摂取する脂肪の量を同じにして瞑想習慣のある人々の集団とそうでない人々の集団を比較。
・瞑想習慣のある人は、60~69歳では血液中に含まれる脂質過酸化物(体内フリーラジカルの指標)の割合が14.5%、70~79歳では16.5%少なかった。
 
※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』

瞑想の効果

※共感、オキシトシンと瞑想の関連については以下の記事参照。
親切、信頼、感謝、愛着、親密の”瞑想とオキシトシン”
 
※瞑想と幸福感の関連については以下の記事参照。
幸福感の”瞑想と幸福感”
 
●脳の快感回路
 
○瞑想時の脳スキャン結果
・クンダリーニの瞑想時には脳の多くの領域で活動が高まっていた。背外側前頭前皮質(判断と計画の中枢)、前帯状皮質(情動中枢)、海馬、線条体、おそらく側坐核など。
・禅の瞑想では、背外側前頭前野と前帯状皮質の活動の低下が報告されている。同じ禅の瞑想でも経験の違いによって脳の活動に影響するという。
 
○デンマーク、ジョン・F・ケネディ研究所のハンス・ルーの研究
・ヨーガ・ニドラ瞑想の熟練者を対象。
・目を閉じて話を聴いてもらっている状態と対照すると、瞑想者の側座核ではドーパミン放出が有意に増加していた。
 
※参考資料『デイヴィッド・J.リンデン(2012)快感回路 河出書房新社』

 

・一日5分程度の瞑想がストレスを軽減し、免疫力を高める一方で、さらには集中力や創造性を向上させてくれることが分かってきた。
・瞑想をしている人は、そうでない人に比べて、脳の前頭前野や海馬で神経細胞の密度が増加していることが明らかになった。
→思考や決断力、記憶力と関わる脳の構造そのものが変わることが分かった。
・扁桃体を縮小させるという研究も報告されている。扁桃体は、怒りや恐怖に深く関係している部位。
 
※参考資料『石川善樹(2016)疲れない脳をつくる生活習慣 プレジデント社』

 

○リチャード・デヴィッドソンの研究
・無作為に抽出した被験者に短期間で瞑想を教え、fMRIで測定すると、脳の活性化と、不安やうつの減少を示すパターンが読み取れた。
・瞑想者群と対照群の両方にインフルエンザワクチンを接種したところ、瞑想群は、瞑想の初心者であるにも関わらず、良好な免疫反応が出た。また、疥癬を治療していた瞑想群の被験者には症状の改善が見られ、脳と体につながりがあることを証明した。
 
○テロメラーゼの増加
・2010年にある研究者グループは、瞑想療法の参加者にテロメラーゼの著しい増加が見られたという結果を発表した。
 
※参考資料『ジョン・J.レイティ(2014)GO WILD野生の体を取り戻せ! NHK出版』

 

○テロメラーゼ
・真核生物の染色体末端(テロメア)の特異的反復配列を伸長させる酵素。
 
○瞑想とテロメラーゼ
・2010年、カリフォルニア大学デービス校と同大学サンフランシスコ校との合同研究で、瞑想するとテロメラーゼという重要な酵素が増える事が明らかになった。
・テロメラーゼの濃度は、運動や健康的な食事によっても高められるらしい。
・テロメラーゼ濃度の高まりは、その人の幸福感やストレスに対処する能力を生む自己制御回路の一環として、驚くほど十分に働く。
 
※参考資料『ディーパック・チョプラ(2014)スーパーブレイン 保育社』

マインドフルネスの概要

●マインドフルネスとは
 
・日本語で"気づき"のこと。
・今の現実に注意が向いた状態。
・"今の瞬間"の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚し、それに対する思考や感情にとらわれないでいる心の持ち方。
・瞑想という言葉から、どうしても呼吸や意識への"集中"をイメージしてしまうが、それは正しくない。
 マインドフルネスが目指すのは、集中ではなく、今の瞬間に"気づき"が向かう状態。そのためには、現実をあるがままに知覚することが大切。
 
●マインドフルネスストレス低減法(MBSR)
 
・瞑想の医学的な効果を研究する中から生まれたもの。
・瞑想にまつわる宗教性を排除し、ストレスを減らすための心理療法。
 
・まず始めに、体の力を抜き、背筋を伸ばして座る
→体と呼吸に意識を向け、その様子を感じるようにする。呼吸をただ感じる。
→おなかが膨らんで、平らになって、胸がゆっくり上がったり、下がったり、鼻を通る空気の冷たさや温かさを感じたりする。
 
※参考資料『NHKスペシャル取材班(2016)キラーストレス NHK出版』

マインドフルネスの効果

・マインドフルネスを行うことによって、マインドワンダリングの悪循環を止めることができる。
・過去の出来事にとらわれたり、ありもしない未来の不安にさいなまれることによってストレスが増幅することがなくなり、ストレスホルモンの分泌が抑えられる可能性がある。
 
○イングランドの民間団体"リビングマインドフリー"の調査
・マインドフルネスストレス低減法(MBSR)をもとにした5週間のプログラムに取り組んだ150人を対象にした調査。
・コースを受講する前と後で幸福度を示す数値を調べて見ると、コースを終えた受講生はその数値が、著しく上昇していた。
・同じ受講生の追跡調査を4年間継続して行ったところ、幸福度などを示す数値がそのまま維持されていた。
・自分に自信を持てるようになったり、睡眠パターンがよくなるなど、様々な効果が見られた。
 
○ハーバード大学のサラ・ラザーの研究
・MBSRを8週間行った16人の脳を調べた。
・海馬の灰白質が5%増加していた。
・扁桃体の一部が、約5%減少することが分かってきた。
→ストレスへの過敏な反応が抑えられることを意味する。
→脳の中で図書館の司書のような役割を果たしている海馬は、認知や思考を司る前頭前野という注文の多い雇い主から、絶えず記録の提出を求められたり、新情報の保存を命じられたりしながら懸命に働いている。そのため、前頭前野が働き続けると、海馬は慢性的な疲弊状態に陥る。そのことが海馬の萎縮に関係していると考えられている。
 マインドフルネスを行うと、前頭前野は、自分の呼吸や周囲の気配に注意を向けるため、その間だけは海馬に命令しなくなる。そのおかげで海馬は少し休憩でき、疲労が癒され、その結果、萎縮した部分の回復につながるという。また前頭前野の要求に答える必要がないときに、海馬は図書館に散乱した記憶を取捨選択したり、整理する作業を行えるようになる。
 
○カーネギーメロン大学のデイビッド・クレスウェルの研究
・マインドフルネスを三日間行うグループと、行わなかったグループの脳を比較。
・脳の前頭葉のdlPFC(背外側前頭前野)という部分に大きな違いがあった。ここは思考や認知に関わる重要な部分で、大脳の司令塔とも呼ばれる。
・マインドフルネスを行った人を見て見ると、dlPFCの働きが大きく向上していた。
・マインドフルネスを行った人は、dlPFCと、脳内の複数の部位を結んだ連合体"デフォルトモードネットワーク"とが同期して、活発に働いている様子が見られた。
 デフォルトモードネットワークは、脳のほかの部分が積極的な活動を"行わない"ときに活発に働く性質を持っていて、この状態を放っておくと、過去や未来に意識が向くマインドワンダリングが起きやすいことが分かっている。
 それが意識の中枢であるdlPFCと同期しているということは、デフォルトモードネットワークや、マインドワンダリングの状態が、dlPFCにきちんとコントロールされている証拠だと考えられる。
・一方、行わなかった人には、dlPFCとデフォルトモードネットワークの同期は見られなかった。デフォルトモードネットワークが暴走しても放置されている状態だ。
・クレスウェル氏は、dlPFCの活動が大きく向上することで、デフォルトモードネットワークがうまくコントロールされ、その過剰な活動が抑えられ、結果、マインドワンダリングが抑制され、ストレスが減少する、と解説している。
 
○ウィスコンシン大学のリチャード・デビッドソンの研究
・マインドフルネスを行うと、RIPK2の働きが低下することが分かった。
→RIPK2は慢性的な炎症に関わる働きがあるとされているので、マインドフルネスが体の不調を抑える役割を果たしている可能性があることを意味する。
・マインドフルネスを行った人は、RIPK2の働きの低下によってコルチゾールの値が早く正常に回復することも確認された。
 
※参考資料『NHKスペシャル取材班(2016)キラーストレス NHK出版』

 

○リチャード・デーヴィッドソンによる調査
・48人の被験者に対し、半数にマインドフルネス法による介入を行って調査した。
・被験者は、マインドフルネスストレス低減法の介入を8週間にわたって受けた。
・その結果、マインドフルネス法の瞑想を実践した被験者には、脳の活動にも免疫機能にもプラスの変化が認められた。
 
・さらに一歩進んだ研究によって、マインドフルネス瞑想法の習得で気分が向上するのは、不安等の感情を統御する部分に変化が起きたせいであるらしいと分かった。
→瞑想を行った被験者の脳スキャンの結果からは、感情のコントロールを助けるいくつかの重要な領域が高密度になっている(ニューロンが増加している)ことが分かった。また、このプログラムを受けるうちストレスが大幅に減少したと報告した人々は、扁桃体の密度が低くなっていることも分かった。(恐怖の中枢(扁桃体)が物理的に小さくなり、抑制中枢が大きくなっていた)
 
※参考資料『エレーヌ・フォックス(2014)脳科学は人格を変えられるか? 文藝春秋』

 

●マインドフルネス
 
・瞑想によって自己の内面を静かに観察し、"いまここ"に集中することを"マインドフルネス"と呼び、生活や仕事の質の改善に役立てる動きが世界中で広がっている。
・MBSRを開発したジョン・カバットジンは、"いまここ"での経験に、評価や判断を加えることなく、能動的に注意を向けること、と定義している。
 
●マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)
 
・慢性的な痛みやストレスを和らげることを目的したもので、参加者は8週間に渡って、毎日最低45分の瞑想をしながらいくつかのセッションに参加し、瞑想についての理解を深めていく。
・"注意"と"気づき"を抽出し、宗教色を排したプログラムを組み立てた。
・それまでのトレーニングは"考え方"を変えることに注力してきた。
→しかし人間の考え方は、そんなに変わるものではない。
→そこで"考え方"ではなく"注意"をどこに向けるかをトレーニングすることによって苦痛を和らげる方法としてつくられた。
・瞑想によって、痛みと上手につき合うことが出来れば、苦痛や苦悩を軽減することができる。
 
※参考資料『石川善樹(2016)疲れない脳をつくる生活習慣 プレジデント社』

ネットニュースによる関連情報

●ヨガ式呼吸法とうつ病の関連
 
・うつ傾向と不安症候で投薬治療を受けている25人の患者を対象とし、ランダム化された対照試験のパイロット的実践として行われた。
・2ヶ月後の時点で、ヨガ群はハミルトンうつレーティングスケール(HDRS)の計測値で平均数ポイントの低下が見られた一方、コントロール群では変化が見られなかった。

 

●マインドフルネスと血糖値との関連
 
・ニューイングランド家族研究の参加者から399名のボランティアを対象に検討を行った。
・年齢、性別、民族、人種、糖尿病の家族歴、小児期の社会経済的状態などの交絡因子を調整後、研究チームはマインドフル注意覚醒スケール(MAAS)が最高の6だった人々が、4未満の人と比べて、血糖値が100mg/dl以下という健康的なレベルである可能性が35%高かったことを発見した。

 

●超越瞑想、生活習慣の改善でテロメラーゼが活性化?
 
・ハワード大学医療センターで集められた高血圧症患者の男女48人が参加した。半数の人は、超越瞑想と基本的な健康教育コースを受けるグループに割り当てられた。残りの半数の人は、減量、減塩、定期的な運動、適度な飲酒といった重要な生活習慣の変更に重点的に取り組むグループに割り当てられた。
・16週間後、両グループ共に、テロメラーゼ遺伝子発現および血圧低下に有意な影響があったことが示された。

 

●マインドフルネスとストレス、健康との関連
 
○マインドフルネスが健康に好影響を与えるモデル、メカニズム
・人がストレスにさらされたとき、脳の前頭前野の機能が低下する。一方で扁桃体、視床下部、帯状回前部の機能は増加する。前者は前頭前野は意識的な思考と計画を司る部位であり、後者は身体のストレス反応を素速く活性化する働きを持っている。
→マインドフルネスがストレス下におけるこの様な脳の働きを逆転させることが示唆されてきた。つまり、前頭前野の活動が増加し、ストレスに対する生物学的な応答が低下したり調節されたりすることが可能になる。
→ヒトのストレス経験を低下させることによって、マインドフルネスが身体的ストレスを調整し、究極的にはストレス関連疾患の重症度や罹患リスクを低下させる役に立っている可能性がある。

 

●マインドフルネスとテロメア長との関連
 
・全部で88名の乳がん生存者が少なくとも3ヶ月間にわたって参加者となった。マインドフルネスに基づく介入を行った参加者群では、8週間にわたって90分のマインドフルネス瞑想と簡単なハタヨガを含む指導が行われ、現在の時点での中立的なストレス感覚を認知することを目的として指導された。参加者らは同時に自宅で1日45分間のヨガと瞑想の実践を行うことを要請された。他方、支援的表現療法群と呼ばれる群では、12週間にわたって週に一回90分間のトーキングセッションがおこなわれ、今感じている不安や感情についてオープンに話あうように促された。
・その結果、対照群ではテロメア長が短縮したのに対して、瞑想を含む介入を行った群においては短縮がみられなかった事が分かった。

 

●ハタヨガで高齢者の日常的な認知機能が改善?
 
・8週間のトレーニング期間を設定し、55~79歳の成人108人を対象に、うち61人をハタヨガクラスに割り当てて検討した。残りのうち同数の参加者をコントロール群として、同期間同じ時間のセッションをストレッチングと簡単な引き締め運動を行うように割り当てた。
・その結果、8週後では、介入以前に比べてヨガ群では情報呼び戻しテスト、精神的柔軟性やタスクスイッチングテストにおいてよりスピードが高くまた正確性も高くなっていた。対照群では、介入後の認知機能改善は有意には見られなかった。両群の結果の違いは性別や年齢、社会的状態やその他の人口動態的ファクターとは独立して表れていた。
・ヨガ群の参加者は、記憶力の中でもワーキングメモリ(情報の持続的な操作や更新などに関わってくる短期記憶の一種)能力が有意に改善していた。さらにヨガ群では手元の作業を、気を散らされること無しに正確かつ迅速に遂行することができていた。これらの精神性機能は我々の日常的な認知機能に関連している。

 

●有酸素運動と瞑想の組合せでうつ症状が軽減?
 
・ラトガーズの男女学生でうつ傾向に悩まされている者22人と、精神衛生状態が健全である者30人を対象に8週間のプログラムを実施した。被験者は最初30分間の集中した瞑想を行い、ついで30分の有酸素運動を行った。
・その結果、これらの被験者はうつ症状がより少なくなったことを報告し、また以前は見られていたような、否定的状況について心配しながら過ごすというような時間も少なくすることが出来た。

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