健康情報のメモ

がんに関係する遺伝子

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
  1. 細胞を増殖させる遺伝子
  2. 細胞の増殖を抑える遺伝子
  3. 細胞を自殺させる遺伝子
  4. 細胞の分裂回数計をゼロにする遺伝子
  5. 血管をつくりだす遺伝子
  6. がんの転移を助ける、抑える遺伝子
  7. 代謝やエネルギー産生を調節する遺伝子
  8. 免疫による監視をくぐりぬける遺伝子
  9. ゲノムの維持に関わる遺伝子

細胞を増殖させる遺伝子

・正常な細胞では、細胞が増殖すべきときに必要な量のホルモンが供給され、細胞表面の受容体がホルモンを感知したときだけ細胞内に変化が生じ、細胞分裂を引き起こすための遺伝子が働き始める。
 
・この遺伝子の異常で、細胞どうしの間や細胞内に増殖指令のシグナルが勝手に伝達されてしまう。
 
※参考資料『矢沢サイエンスオフィス(2012)がんのすべてがわかる本 学研パブリッシング』

細胞の増殖を抑える遺伝子

・ある種の細胞は、隣の細胞やそれを包む物質の間にすきまがあれば増殖し、すきまがなくなれば増殖を停止する。
 この組織内のすきまを感知する物質の遺伝子に異常が起こると、細胞の増殖がとまらなくなる可能性がある。
 
・細胞に増殖停止を指令するホルモンのようなタンパク質があり、このタンパク質を受け取った細胞は、細胞増殖に必要な遺伝子のスイッチを切り、かつ細胞の増殖を止める遺伝子のスイッチが入る。
 
・増殖をとめる物質をつくる遺伝子をがん抑制遺伝子と呼ぶ。
 
※参考資料『矢沢サイエンスオフィス(2012)がんのすべてがわかる本 学研パブリッシング』

細胞を自殺させる遺伝子

・ある種のがん抑制遺伝子p53は、DNAが傷ついたときなどにはたらき始め、まずは細胞分裂にブレーキをかけると同時に、傷の修復機構のスイッチを入れる。修復不可能な場合は、アポトーシスによって細胞を死に導く。
 このような遺伝子が変異し、細胞死が起こりにくくなると、がん化が促される。
 
・がん遺伝子のあるものは、細胞が自殺する過程を抑える。
 
※参考資料『矢沢サイエンスオフィス(2012)がんのすべてがわかる本 学研パブリッシング』

細胞の分裂回数計をゼロにする遺伝子

・組織の再生や胎児の初期発生にかかわる幹細胞以外の細胞は、分裂回数に制限がある。
 
・分裂回数のカウンターとしてはたらいているのがテロメア。
 テロメアは、染色体をつくるDNAの端の部分で、その長さは細胞が分裂するたびに短くなり、あるところまで短くなるとそれ以上分裂できなくなる。
 
・幹細胞は、テロメアを元通りの長さに伸ばす酵素(テロメラーゼ)がつくられている。がん細胞もこれと同じ性質を持っていて、テロメアを修復する酵素の遺伝子がスイッチオンになっている。
 
※参考資料『矢沢サイエンスオフィス(2012)がんのすべてがわかる本 学研パブリッシング』

血管をつくりだす遺伝子

・悪性度の高いがん細胞は、その増殖に大量の栄養を必要とする。腫瘍の固まりが直径1mm以上になるとそのままでは内部に栄養が届かなくなり、中心部分から死滅していく。
 腫瘍細胞がそれ以上増えるためには、栄養と酸素を補給する新たな血管を自分の内部に呼び込む能力を獲得しなければならない。
 
・血管は一般に、チューブ上の構造をつくる性質をもつ細胞(内皮細胞)、固形分子の膜、筋肉細胞の構造になっている。
 多くの細胞は、内皮細胞の増殖をうながす物質(VEGF)を分泌する。これによってがんの内部に新しい血管が伸びていく。
 VEGF遺伝子は、ある種のがん遺伝子のはたらきによってスイッチオンになる。
 
がん抑制遺伝子の中には、VEGFの発現を抑えたり、血管の成長を積極的に抑える分子が発現するようにはたらきかけるものもある。
 
※参考資料『矢沢サイエンスオフィス(2012)がんのすべてがわかる本 学研パブリッシング』

がんの転移を助ける、抑える遺伝子

・良性の腫瘍はふつう、固形分子の膜に包まれているが、がん細胞はこの膜をすりぬけて周囲に広がったり(浸潤)、血管やリンパ管に入って移動し、別の場所に転移する。
 
・細胞どうしの接着や細胞の生産する固形物(細胞マトリックス)を感知する仕組みに異常が起こると、細胞が本来とどまるべき場所を認識できず、組織からはげおちてしまう。
 細胞が組織から抜け出す過程を助けるのが、腫瘍を包む膜(基底膜)を分解する酵素(MMPなど)。ある種のがん遺伝子は、このような酵素の遺伝子にスイッチを入れる。
 
※参考資料『矢沢サイエンスオフィス(2012)がんのすべてがわかる本 学研パブリッシング』

代謝やエネルギー産生を調節する遺伝子

解糖系とミトコンドリア、がんと老化との関係の”解糖系とがんとの関連”参照。

免疫による監視をくぐりぬける遺伝子

・ヘルパーT細胞は、がん細胞を認識し、排除する。
 一方、がんの内部に入った免疫細胞の分泌した分子が、がん細胞の増殖、血管の新生、浸潤や転移を促す、遺伝子変異を促進するなど、がん細胞を助ける作用をする場合もある。
 
※参考資料『矢沢サイエンスオフィス(2012)がんのすべてがわかる本 学研パブリッシング』

ゲノムの維持に関わる遺伝子

・がん細胞の遺伝子は変異しやすい。
 
・p53遺伝子、チェックポイントの異常で、傷や複製ミスによるDNAの修復が行われずに複製されて、遺伝子の変異が定着したまま増殖してしまう。
 遺伝子の変異が起きた細胞では、突然変異が加速されて起こり、薬剤耐性などがん特有の性質が獲得されてしまう。
 
※参考資料『矢沢サイエンスオフィス(2012)がんのすべてがわかる本 学研パブリッシング』

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