健康情報のメモ

レプチン、アディポネクチン、グレリン

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
  1. 内臓脂肪とレプチン、アディポネクチン
  2. レプチンの作用
  3. レプチン、グレリンと睡眠の影響
  4. レプチン抵抗性
  5. グレリンの作用
  6. アディポネクチン
  7. ネットニュースによる関連情報

内臓脂肪とレプチン、アディポネクチン

・内臓脂肪は腸を支える膜(腸間膜)に溜まった脂肪。
 腸間膜は、腸から吸収した栄養を運ぶ血管が豊富にあるのが特徴で、皮下脂肪とは違った環境にある。
・脂肪細胞はレプチンやアディポネクチンといったサイトカインを分泌している。
 
※参考情報『小坂眞一(2008)心臓病の9割は防げる  講談社』

レプチンの作用

※空腹・満腹とレプチンとの関連は以下の記事参照。
胃腸の基礎知識の”空腹、満腹の伝達の仕組み”
・脳の視床下部の摂食中枢に働いて食欲を抑え、交感神経を刺激して基礎代謝を高めて、脂肪の燃焼を高める。食べ過ぎると体が熱くなり、食欲が落ちる人はレプチンが有効に働いている。
・脳の摂食中枢がレプチンに反応しないレプチン抵抗性の人は肥満になりやすい。
・レプチンは交感神経を刺激して血圧を上昇させる作用がある。肥満になると血圧が上がるのは血液中のレプチンが多いのが原因。
 
※参考情報『小坂眞一(2008)心臓病の9割は防げる  講談社』

 

・インスリンのように最終的にほかのすべてのホルモンに影響を与え、脳の視床下部のあらゆる機能を制御する存在。
 
・レプチンは脂肪細胞にあるが、悪い作用ばかりではない。
過剰にあると変性疾患になったり寿命が短くなったりする。
健全なレベルであれば逆に、老化による病気のほとんどを防ぎ、長寿を支える。
この重要なホルモンへの感受性を高めれば高めるほど、より健康になれる。
 
・レプチンは甲状腺を管理し、甲状腺が代謝速度を調節する。
レプチンはすべてのエネルギー貯蔵を監視している。
レプチンは空腹をおぼえるかどうか、脂肪をもっと蓄積するか、燃焼させるかを決定する。
レプチンは炎症反応を調整し、交感神経か副交感神経のどちらを喚起するかも制御する。
 
・人は満腹になると、脂肪細胞がレプチンを放出し、脳に食べるのをやめるように伝える。
レプチンの濃度が低い人は過食しがち。
 
※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す  三笠書房』

 

・脂肪細胞が太ったということを検知
→レプチンというホルモンを大量に分泌。
→脳の摂食中枢に働きかけて、食欲を抑えるように促す。
 
・マウスの実験で、体の中でレプチンをなくしてしまうと、マウスは食事を食べ続けるようになってしまう。
→食欲を抑える仕組みは代用がない?
 
※参考資料『伊藤裕(2011)腸!いい話 朝日新聞出版』

 

●体重の長期的変化
 
・脳が体重の長期的変化をレプチンによる動的平衡システムによって体脂肪を指標として知る。
 
※参考資料『デイヴィッド・J.リンデン(2012)快感回路 河出書房新社』

 

●レプチンと腸の免疫
 
・レプチンそのものは腸の免疫反応に影響を及ぼしており、胸腺で作られるT細胞の種類を制御することで後天性免疫機構の一部を引き起こしたりコントロールしたりする、サイトカインの一種。
・レプチンは好中球の産生や移動にも関与する。
 
※参考資料『ロブ・デサール,スーザン・L.パーキンズ(2016)マイクロバイオームの世界 紀伊國屋書店』

 

・レプチンというホルモンは全身の脂肪細胞から分泌されて視床下部の弓状核という部分に働き、食欲を抑制。
 
※参考資料『櫻井武(2010)睡眠の科学 講談社』

グレリンの作用

※成長ホルモンについては以下の記事参照。
成長ホルモン
・グレリンというホルモンは胃から分泌されて食欲を亢進させる。
 
※参考資料『櫻井武(2010)睡眠の科学 講談社』

 

●ダイエットとグレリン
 
・ダイエットを経験すると、減量後に以前より空腹感が強くなるのが一般的。
ダイエット成功後に再び体重が増え始めた人の胃では、空腹ホルモンであるグレリンの濃度が20%高くなっていた。失った体重を取り戻そうとする。
 
※参考情報『ディーパック・チョプラ(2014)スーパーブレイン 保育社』

 

・空っぽのときの胃によって分泌され、食欲を増進させる。
・男性の睡眠不足の場合にグレリン値は急上昇する。
・この食欲ホルモンがきちんと機能していないと、脳が胃と本質的につながらなくなる。空腹でないときに空腹を感じてしまい、その循環は血糖のバランスや炎症経路、脳の不調や疾患のリスクに影響を与える。
 
※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す  三笠書房』

 

・胃が空腹になると胃からグレリンというホルモンが分泌。
→胃を支配している迷走神経に働きかけて、胃の中が空っぽであることを脳に伝達。
→脳は空腹感を覚え、物を食べる行動を起こす。
 
・胃が満腹になると食べたもので胃が引っ張られるのを胃が検知
→グレリンの分泌減少
→食事ストップ。
 
・マウスの実験で、体の中でグレリンを完全になくしてしまっても、そのマウスは食べることをやめない。
→グレリン以外にも食べることを促すホルモンが用意されていると思われる。
 
・いろいろな病気で体が弱った患者にグレリンを投与すると体が元気になり、効果が認められている。
 
●成長ホルモン、ミトコンドリア、グレリン
 
・グレリンはミトコンドリアを増やして細胞を元気にしてくれることがわかっている。
・グレリンは、脳の下垂体から分泌される成長ホルモンの分泌を促す作用もある。
・成長ホルモンが大人で足りなくなるとメタボの体型になってしまう。
 
胃が満腹
→グレリンの分泌減少
 →ミトコンドリア減少→メタボ
 →成長ホルモン減少→メタボ体型
 
※参考資料『伊藤裕(2011)腸!いい話 朝日新聞出版』

アディポネクチン

・善玉のサイトカインで、動脈硬化を予防し、血糖値を下げ、中性脂肪やLDLを下げ、ガンを予防する。
 
・血液中のアディポネクチン量が少ない人は低アディポネクチン症と呼ばれ、狭心症や心筋梗塞になりやすい。女性のアディポネクチン量は男性よりも多い。
 
・内臓脂肪が大型化すると、善玉サイトカインの分泌が減って、悪玉サイトカインが分泌される。
 
※参考情報『小坂眞一(2008)心臓病の9割は防げる  講談社』

 

●痩せと脂肪細胞、アディポネクチン
 
・痩せている人の小さな脂肪細胞からは、アディポネクチンというホルモンを分泌。
→血管の炎症を抑え、血栓ができるのを防いで動脈硬化を防ぐ。
 肝臓や筋肉に働いて"脂肪を燃やせ"という指令を出す。
 
※参考情報『坪田 一男(2011)人は誰でも「元気な100歳」になれる 小学館』

 

●AGEsとアディポネクチン
 
・AGEsが高い人はアディポネクチンの量が少ない。
 
・AGEsが脂肪細胞のRAGEにくっつく
→アディポネクチンの産生を抑える。
→脂肪細胞の炎症作用を引き起こしてインスリンの働きを阻害する物質を産生。
 
・AGEsは糖尿病になり高血糖になるとつくられると考えられていたが、メタボの早い時期から体の中でつくられ、悪影響を及ぼしていると思われる。
 
※参考資料『山岸昌一(2012)老けたくなければファーストフードを食べるな PHP研究所』

ネットニュースによる関連情報

●レプチンがランナーズハイに影響?
 
・レプチンは脂肪細胞由来のホルモンであり、身体が十分なエネルギーを有している場合には脳に対して満腹の信号を送る機能を持っている。
・レプチンレベルが低いことは、ヒトの運動中毒やマラソンタイムの亢進、トレーニング状態と関連している。
 
レプチンレベルが低下することは、食品を求めて身体を動かそうというような本能的な働きかけを導く事によって、身体活動に対する欲求を高めることに関連していると考えられる。
 
低脂肪でレプチンレベルを調整するような食事を恒常的に摂取しているようなマラソンランナーなどは、報酬作用に対する感受性が高くなり、より一層運動をする様な状態へと導いている可能性がある。

 

●レプチンと血圧上昇の関係
 
・正常なレプチンの信号が、マウスが高脂肪食で肥満するにつれて血圧の上昇を引き起こすことを明らかにした。しかし、レプチンを欠く、あるいは脳のレプチン受容体を欠くマウスにはこのような現象はみられなかった。
体重増加に伴って、脂肪細胞から分泌されるホルモンであるレプチンが血圧を高める働きをしている、と考えられる。

レプチン、グレリンと睡眠の影響

レプチン抵抗性

・レプチンとインスリンは共通点が多いが、互いに弱めあう傾向がある。どちらも炎症性の分子。
 レプチンは炎症性カイトサインであり、さらに体の炎症過程で大きな役割を演じる。全身の脂肪組織で、ほかの炎症分子の生成を制御する。
 これは体重オーバーや肥満の人が、脳の不調や心の健康問題、神経変性疾患のリスクの大幅な上昇など、炎症性の問題を抱えやすいことの説明にもなる。
 炭水化物が精製や加工をされればされるほど、レプチンとインスリンは不健全な量になっていく。
 インスリン抵抗性と同様に、レプチンを急増させ続ける物質が体に負担になるほど増えると、レプチンの受容体が働かなくなり、レプチン耐性になる。
→レプチンが増加しても満腹の信号を送らなくなる。
 
・トリグリセリド(炭水化物が多い証拠)の値が上昇するとレプチン耐性が起こる。
 
※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す  三笠書房』

 

●肥満とレプチン抵抗性
 
・肥満者の多くはレプチン抵抗性という説がある。
・小胞体ストレスがレプチン抵抗性の原因という説がある。
 
※参考資料『杉山政則(2015)現代乳酸菌科学 共立出版』

 

●レプチン耐性
 
・レプチンは脂肪組織から直接分泌されるホルモンで、脂肪が増えるとレプチンが血液中に放出され、脳に伝達され、食欲が低下する。
・太った人ではレプチンがたくさん分泌されても脳がそれを検知しない。
 
※参考資料『アランナ・コリン(2016)あなたの体は9割が細菌 河出書房新社』

 

●レプチン抵抗性
 
・太りすぎの人の多くは、レプチンの血中濃度が高いのに、レプチンに対して正常に反応しない。
・レプチン抵抗性は、たいていの場合、肥満の結果生じる。食べ過ぎて肥満になると、レプチンを、体重を減らすよう弓状核に指示する信号をうまく活性化できなくなってしまう。
 
※参考資料『サンドラ・アーモット,サム・ワン(2009)最新脳科学で読み解く脳のしくみ 東洋経済新報社』

 

●レプチン抵抗性
 
痩せ薬として期待されたが、レプチンは分泌され過ぎるとその命令を脳が無視するようになってしまい、肥満の人には効果が薄くなってしまう。
 
※参考資料『伊藤裕(2011)腸!いい話 朝日新聞出版』

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