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エビデンスレベル
●EBM(Evidence-based medicine) エビデンスレベルの分類 ・1a:ランダム化(無作為)比較試験のメタアナリシス ・1b:少なくとも一つのランダム比較試験(RCT) ・2a:ランダム割付を伴わない同時コントロールを伴うコホート研究(前向き研究) ・2b:ランダム割付を伴わない過去コントロールを伴うコホート研究 ・3:症例対照研究(ケースコントロール、後ろ向き研究) ・4:処置前後の比較などの前後比較、対照群を伴わない研究 ・5:症例報告、ケースシリーズ ・6:専門化個人の意見(専門家委員会報告も含む) ※参考資料『宗田哲男(2015)ケトン体が人類を救う 光文社新書』
●エビデンス(科学的根拠)レベル ・エビデンスレベルは、そこで見られた相関関係がどれほど強く因果関係を示しているのかの確率の高さで決まっている。 ①無作為比較試験 ・研究対象者をランダムに二つのグループに分けて治療効果を比較する。双方に行う治療法以外の要素・条件はすべて同じにすることで、その治療法の効果のみ評価できる。 ②観察研究 ・病気を発症する原因に近づいた集団と近づいていない集団をそれぞれ一定期間追跡し、病気の発症確率を比較する。 ・無作為比較試験と比べると信頼性は劣るが、数十年という長い期間に渡って評価できる。 ③症例対照研究 ・ある患者の症例を健康な人と比較した研究。病気の原因と推測されるものと、発症の因果関係まではつかむことが出来ない。 ④症例報告 ・臨床現場における症例報告。 ⑤専門科の意見、コンセンサス ⑥動物実験や細胞実験のデータ ※参考資料『山田悟(2015)糖質制限の真実 幻冬舎』
●研究の方法(研究デザイン)に関する信頼性 ①無作為化比較試験(RCT) データの偏りを軽減するために、被験者を無作為に処置群と比較対象群に割り付けて試験を実施し、評価を行う。 ②前向きコホート試験 ③コホート内症例対象研究 ④後ろ向きコホート研究 ⑤症例対象研究 ⑥地域相関研究 ⑦時系列研究 ⑧症例報告 ⑨実証研究に基づかない権威者の意見(コンセンサス) ※コホート研究 ある集団を追跡調査して病気の原因を調べる研究 ※参考資料『江部康二(2015)江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか? 洋泉社』
多目的コホート研究(JPHC)
●多目的コホート研究(JPHC Study:Japan Public Health Center-based prospective Study) ※多目的コホート研究(JPHC Study) | 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ ○JPHC Studyとは? ・1990年に始まった大規模で長期にわたる観察型の疫学研究。前向きコホート研究。 ・日本各地の約10万人の地域住民を対象とし、生活習慣などに関するアンケート調査を行い、そのうち約5万人から健康診断の際のデータや血液を提供してもらい、どの様な生活習慣が各種疾病の発症に関連しているのかを明らかにするコホート研究と呼ばれる疫学研究を行っている。 ・生活の質の低下や平均寿命前の死亡の原因となる疾病には、がん、脳卒中、心筋梗塞、2型糖尿病、白内障、歯周病などの疾患、うつ病の帰結の1つとしての自殺も含めて、対象疾患と捉えている。このように、さまざまな病気について考える研究なので、"多目的"と名付けられている。 ○前向きコホート研究とは? ・コホート研究とは、疫学研究の中でも、特定の集団(コホート)を対象として長期的に経過を追跡調査し、病気の原因を調べる手法。 ・無作為比較試験(RCT)と比べると信頼性は劣るが、数十年という長い期間に渡って評価できる。 ・前向きコホート研究では、最初に健康な人の生活習慣(喫煙、飲酒、食生活など)を調査し、この集団(コホート)を未来(前向き)に向かって追跡調査する。 その後発生した疾病を確認し、最初に調査した要因と疾病の発生との因果関係を分析する。
文献データを見る上での注意点
●大規模調査に対する裏事情 ・大規模調査を行うためには手間と時間がかかる。 ・推察される結果が企業にとってメリットがあるものでないと企業からの援助を受けにくい。 →企業にとってマイナスとなるようなエビデンスは、調査自体が行われにくく表舞台にも出にくい。 ※参考資料『岡田正彦(2015)医者が絶対にすすめない「健康法」 PHP研究所』
・文献のデータには矛盾するデータが報告される事がある。 ・科学的な基準を満たす、二重盲検プラセボ対照研究、特に長期にわたって行われ、数千人以上の被験者を擁するものの結果を尊重する。 ・観察に基づく後ろ向き研究ではなく、前向き研究を選ぶ。 観察研究によって、起こり得る問題を知ることはできるが、変動要因をコントロールする前向き研究に比べると、その結果はそれほど信用できるものではない。 ※参考資料『デイビッド・B.エイガス(2013)ジエンド・オブ・イルネス 日経BP社』
●権威ある医学雑誌 ・ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン ・ランセット ・JAMA(米国医師会雑誌) ●インパクトファクター ・医学雑誌の信頼性評価基準 ・各雑誌に掲載された1つの論文あたり引用された回数の多さを示す指標。 ※参考資料『江部康二(2015)江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか? 洋泉社』