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騒音、雑音
・雑音は"闘争・逃避反応を引き起こす。アドレナリンを増やし、血圧を上昇させる。 ・雑音が多い仕事に就いている人は静かな環境で働いている人と比べて心臓のトラブルが2~3倍にのぼる、という報告がある。 ・ホワイトノイズ装置やエアコンやつけっぱなしのテレビが発する程度の雑音でも子供の言語習得を妨げる可能性がある。 ※参考資料『A.J.ジェイコブズ(2013)健康男 日経BP社』
靴、裸足、ヒトの進化の特徴
・人の足は裸足で走るように進化してきた。 ・クッションの効いたスニーカーを履くと、かかとで強く着地するようになり、ひざとむこうずねに負担がかかる。 ※参考資料『A.J.ジェイコブズ(2013)健康男 日経BP社』
●ヒトは走る動物 ○チンパンジーとの比較 ・アキレス腱 歩くときは何の用もなさない。アウストラロピテクスにはなかった。 ・土踏まず。扁平 ・大臀筋 ・大きな尻が必要なのは走るときだけ。 ・項靭帯(頭の後ろの腱)。アウストラロピテクスにはなかった。 動物が速く動くときに頭を安定させる働きしかないため、歩く動物には必要ない。 ○呼吸 ・トカゲは走りながら同時に呼吸することができない。速く動いては静止してあえぐ。 ・チーターは前足が接地するたび、胃腸が前方の肺に食い込み、空気を吐き出させる。次のストライドのために身体を伸ばすと、内臓は後方にスライドし、空気を吸い戻す。 チーターは一度のストライドで一呼吸しかできない。 ・すべての"走る"哺乳類が、一歩進み、一度呼吸するという同じサイクルにしばられている。 ・ヒトは一対一にならず、比率は様々な値をとり、一般的に好まれるのは二対一だった。 ○体温調節 ・毛皮に覆われた動物は、もっぱら呼吸によって涼をとり、体温調節システム全体が肺に託されている。 ・ヒトは、身体の熱の大部分を発汗によって発散する。 ・チーターは、体温が40.5℃に達すると足を止め、それ以上走ろうとしなかった。 体内に蓄積された熱を口から吐き出せなくなった場合、動きをとめなければ死ぬしかない。 ○高齢でも衰えない ・2004年のニューヨーク市民マラソンの結果を調べて、年齢別にタイムを比較。 19歳を振り出しとして、ランナー達は毎年速くなり、27歳でピークに達する。27歳を過ぎると、タイムは落ち始める。19歳のときと同じスピードに戻るのは64だった。 →ヒトは長期間にわたって持久走を得意でいられる。 ※参考資料『クリストファー・マクドゥーガル(2010)BORN TO RUN走るために生まれた 日本放送出版協会』
気温
・寒いと燃焼カロリーが増える。体温を保つだけでも消費カロリーが増える。 ・寒いときには、白色脂肪細胞より燃えやすい褐色脂肪細胞が活性化する。 ・冷たい飲み物を温めるのに体はエネルギーを必要とする。氷入りの飲み物30ccでお よそ1キロカロリーが消費される。 ※参考資料『A.J.ジェイコブズ(2013)健康男 日経BP社』
呼吸
・鼻には、吸った空気を調節する働きがある。空気を温め、湿り気を与え、有害な細菌も 取り除く。 ・鼻呼吸すると亜酸化窒素が作られて血管が拡張し、酸素の取り込みが増える、と主張す る研究者もいる。 ・深い呼吸をすることで心拍数が低下し、血圧が下がる。 ※参考資料『A.J.ジェイコブズ(2013)健康男 日経BP社』
●姿勢と呼吸 ○浅い呼吸 ・ノートパソコンやスマートフォンを使うと、背中が曲がって猫背になりがち。 →背中が曲がっていると、横隔膜を使うことができないので、呼吸が浅くなってしまう。 →十分な酸素が体にも脳にも行き渡らないので、心身が不調になる。 ○深い呼吸 ・深い呼吸のポイントは、背筋を伸ばしてゆっくり吐くこと。 →ゆっくりと長く吐くと、副交感神経を優位にするので、リラックスした状態を生み出しやすい。 息をゆっくり吐いているとき、体内に二酸化炭素がたまってくる。血液中に二酸化炭素が行き渡ると、幸せな気分をもたらすと言われているセロトニンの分泌が増えていく。 ※参考資料『石川善樹(2016)疲れない脳をつくる生活習慣 プレジデント社』
※瞑想神経とストレスについては以下の記事も参照。
ストレスと脳、神経の関わりの”ストレスと瞑想神経”
・迷走神経は、基本的にはコントロールするための神経で、脳から各器官にシグナルを送っているが、逆に、各器官の状態を脳に知らせてもいる。 ・迷走神経は、危険・恐怖・脅威に対応するのに必要な各部をつなげていて、脅威が去ると、迷走神経がブレーキをかけて闘争反応を解除する。 ・迷走神経のブレーキはほかの器官とともに心臓も落ち着かせるが、迷走神経が緊張気味の人はこのブレーキがうまく働かず、呼吸性の洞性不整脈が起きやすい。 ・迷走神経のブレーキは呼吸によって調整することが可能。 →呼吸を通して自律神経の警報システムを調節することができる。 ・ヨガや合唱をすると、過敏性腸症候群や原因不明の首の痛みがある程度改善することがあるが、それは腸も首も呼吸の信号経路になっているから。 ※参考資料『ジョン・J.レイティ(2014)GO WILD野生の体を取り戻せ! NHK出版』
コエンザイムQ10
・体の中でコエンザイムQ10は抗酸化物質として、また、細胞のためのエネルギーを作り出す際に重要な役割を果たす。 ・コエンザイムQ10の代謝経路はコレステロールと同じなので、スタチンによって合成が妨げられると、体と脳でコエンザイムQ10が不足する。 ※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す 三笠書房』
・生体内すべての細胞に存在する強力な抗酸化物質で、ミトコンドリア内で重要な機能を営んでいる。 ○アンチエイジングで期待されている効果 ・抗酸化物質で、LDLの酸化を予防することが知られている。 ・電子や陽子の運搬役として働くので、ミトコンドリア内の電子伝達系において重要な成分である。 研究者らは、コエンザイムQ10が効率的な方法でエネルギー消費を助けることによって、ストレスのかかっている間、心臓を保護するものと考えている。 ・皮膚の老化予防に寄与することでも知られ、多くの保湿剤に配合されている。 ※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』
・イワシやサバなどに含まれていて、缶詰でも手軽にとれる。 ・動物から植物まであらゆる細胞に含まれており、エネルギー代謝を助ける補酵素として働いている。 ・ミトコンドリアでエネルギーを生み出すクエン酸回路では、コエンザイムQ10も働いており、エネルギー効率を高めて疲労からの速やかな回復を助ける。加えてコエンザイムQ10の抗酸化作用は、ミトコンドリアでの酸化ストレスの軽減を補助する。 ・コエンザイムQ10は体内でも作られているが、合成量は加齢とともに右肩下がりになる。また、ストレスや病気等でも合成量は減る。 ※参考資料『梶本修身(2016)すべての疲労は脳が原因 2 集英社』
ネットニュースによる関連情報
●コエンザイムQ10の抗酸化作用はそれほどでもない? ・マウスのコエンザイムQ10を次第に枯渇させ、次に回復させる実験を行ったところ、コエンザイムQ10を枯渇させても細胞膜やDNAへのフリーラジカルによる酸化損傷が増加する兆候がみられなかった。マウスが別の抗酸化物質を用いるからでもないことを発見した。 コエンザイムQ10はまた、従来考えられていたほどミトコンドリアにおける電子受容体としての必要性も高くはないようだ。
●寒さによる震えと白色脂肪細胞から褐色脂肪細胞への転換 ・健康な参加者を18℃から12℃の環境において震えさせ、その震えを皮膚と筋肉の電気信号で検出するとともに、血液を採取して、寒冷に刺激されて放出されるふたつのホルモン、イリシンとFGF21を測定した。 ・その結果、筋肉が生成するイリシンと褐色脂肪が生成するFGF21のレベルが高まること、特に、寒さによる震えが10-15分続くと、1時間の適度な運動と同じだけのイリシンが作り出された。 これらのホルモンは実験室レベルでの研究でヒトの白色脂肪細胞のエネルギー燃焼速度を加速することが知られている。ホルモンを投与された脂肪細胞は熱を産生しはじめるが、これは褐色脂肪細胞に変化したことの証明ともいえる。
●少し寒い気温で過ごすと褐色脂肪細胞が増加 ・10日間に渡って1日6時間、15℃で過ごしたところ、熱を産生しカロリーを燃焼する褐色脂肪細胞が増加しており、寒さへの耐性も出来、震えにくくなることがわかった。 ・若者から中年の人においてはエネルギー収支の数%~30%を占める熱を、震えなくても作りだすことができるという。つまり気温の低さは、人間のエネルギー消費に有意な影響を与えられると言える。
検診
●"賢明な選択キャンペーン" ・9つの専門家団体が、かつては歓迎されてやたらと過大評価された45の検査や処置のリストを公開。http://www.choosingwisely.org/doctor-patient-lists/ ・前立腺がん検診は推奨されない。 ・乳がん検診は大幅に簡略化されている。 ・頭が痛いときのCTスキャンや、腰が痛いときのX線撮影はもう必要ない。 ・慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者の大部分で、気管支拡張薬や酸素療法は効果がないのも明らかになっている。 ※参考資料『アレン・フランセス(2013)を救え 講談社』
文明病
○乳がん、卵巣がん ・早くから月経が始まり、妊娠の回数が少ない女性は、月経の回数もホルモン・サイクルを経験する期間も長くなる。 →プロゲステロンは細胞分裂を促すため、ホルモンにさらされる乳房と卵巣では腫瘍ができやすい。 ○狩猟採集民との比較 ・アマゾンの熱帯林で暮らす狩猟採集民チマネの12,000人を対象として、総計37,000件の健康調査を行った。 ・乳がんや卵巣がんは皆無で、結腸がんや精巣がんもゼロだった。心血管疾患、喘息もゼロだった。チマネ族の人々が自己免疫疾患になる確率は、ニューヨーク市に住む人の約40分の1だった。 ※参考資料『ジョン・J.レイティ(2014)GO WILD野生の体を取り戻せ! NHK出版』
迷走神経、精神と体