果物の効用

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. 果物全般
  2. オレンジ
  3. リンゴ
  4. バナナ
  5. ベリー類
  6. ブドウ
  7. グレープフルーツ
  8. キウイ
  9. ミカン
  10. パイナップル
  11. レモン
  12. ネットニュースによる関連情報


果物全般の栄養成分、摂取目標

●果物に含まれる栄養成分の効用
 
・ビタミンC、ビタミンA
・カリウム
主に高血圧予防(ナトリウムの排泄作用)
・食物繊維
・タンパク質分解酵素
果物にはタンパク質分解酵素が含まれているものが多く、肉・魚料理と組み合わせることで、消化を助けるとともに、体内の脂質の酸化を防いだり、余分な脂質の排泄を促す成分も多く含まれている。
 
●果実摂取量
※厚生労働省「国民健康・栄養調査」(平成16年)
 
・15~19歳:108g/日
・20~29歳:77g/日
・30~39歳:63g/日
・40~49歳:92g/日
・50~59歳:130g/日
・60~69歳:166g/日
・70歳~:158g/日
 
●果実の摂取目標
 
厚生労働省、農林水産省は、健康の観点から毎日果物を200g摂取することを推奨。
 
○果物200gを摂取するには?
例)
・うんしゅうみかん:2個分
・なし:1個分
・ぶどう:1房分
・もも:2個分
・りんご:1個分
・バナナ:2本分
・キウイフルーツ:2個分
 
※参考資料
果実の1日の摂取目標「200g」 - 農林水産省(PDF)

果汁加工品と栄養成分

●果汁100%ジュースと栄養成分
 
・生の果物と比べると食物繊維等の含有量が少ないので、完全に代替することはできない。
・食物繊維以外の栄養成分はほとんど変わらない。
・濃縮還元ジュースは、果汁の濃縮に際して若干の成分変化が起こるが、ストレートジュースはそれと比べると果実を絞ったままのものであり、香り、味、色に優れる。
・市販のジュースには濃縮還元製品が多くあり、加工・保存によって栄養価が減少しているものもあるため、"食事バランスガイド"では果汁100%ジュースは飲んだ量の半分量を、"果物"として取り扱っている。
 ただし、果汁100%ジュースを倍量飲めばよいというわけではなく、あくまでも補完的なものとしている。
 
●ジャム、ドライフルーツ、缶詰
 
・濃縮または乾燥されていたり、糖分が添加されたりして、単位重量当たりのエネルギー量やその他の栄養成分が加工前の果物より増加しているものが多いので注意する。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

がん全般

※野菜・果物のがん予防効果については以下の記事も参照。
がんの予防の”野菜・果物”

●果物とがん予防
 
○2007年、世界ガン研究基金と米国ガン研究財団が報告した"食品、栄養、運動とがん予防"
・果物が"ほぼ確実"に発症リスクを下げるガンとして、口腔・咽頭・喉頭がん、食道がん、肺がん、胃がんの4つがある。
・果物が発症リスクを下げる"可能性がある"がんとして、鼻腔がん、膵臓がん、肝臓がん、大腸がんがある。
・果物と野菜の1日当たりの合計摂取量を、個人レベルでは少なくとも5サービング(約400g)以上摂取することを勧めている。
 
※参考資料『田中敬一,原田都夫,間苧谷徹(2016)科学的データでわかる果物の新常識 誠文堂新光社』

口腔・咽頭・喉頭がん

・あるコホート研究で、有意ではないもののがんリスクの減少が認められている。
・32例の症例対照研究でリスク低減効果が認められている。
・メタアナリシスでは、果物全体では100g/日の摂取量当たり0.72(95%信頼区間 0.59-0.87)、かんきつのみでは50g/日の摂取量当たり0.76(95%信頼区間 0.66-0.87)という効果が示されている。
・摂取量とリスク低減効果の関係をみると、少しの摂取量でも予防効果は認められるが、さらに摂取量を増やしても予防効果が増えるようではなさそう。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

食道がん

※野菜・果物の食道がん予防効果については以下の記事も参照。
野菜、果物全般の健康効果の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”

・果物全体では、いくつかのコホート研究で食道がんリスクの減少が認められ、また症例対照研究でもリスク低減効果が認められている。
・メタアナリシスでは、果物全体では、100g/日の摂取量当たり0.56(95%信頼区間 0.53-0.88)、かんきつのみでは、50g/日の摂取量当たり0.70(95%信頼区間 0.56-0.88)という効果が示されている。
・摂取量依存的な効果もみられた。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

肺がん

・いくつかのコホート研究で肺がんリスクの減少が認められ、メタアナリシスで、摂取量80g/日につき0.94(95%信頼区間 0.90-0.97)という効果が示されている。コホート研究(8例)の43万人をプールした解析では、0.77(95%信頼区間 0.67-0.87)という結果が示されている。
 また症例対照研究でもリスク低減効果が認められている。
 
・日本における疫学研究の結果は、JACC研究では男性の喫煙者に限ってリスクを軽減する、JPHC研究では、果物によるリスク軽減効果は認められなかったとしている。
 
○有効成分について
・JACC研究では、4万人弱を対象に血中カロテノイド(α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコペン)濃度を調べ、濃度が高いほど肺がんのリスクが低い(オッズ比が0.28~0.46)という解析結果を報告している。
 喫煙習慣者に認められることから、喫煙という酸化ストレスが原因となるがんに対して、酸化ストレスを軽減する成分を多量に含む果物が発がんリスクを軽減するとの考え方ができるように思われる。
・カロテノイドのうちβ-クリプトキサンチンに特異的に発がんリスク軽減効果を認めたとする報告が多い。カロテノイドのうち、β-クリプトキサンチンのみがリスク軽減効果を示すという報告もある。
・喫煙が誘発する肺がんは活性酸素や活性窒素によってDNAが損傷を受けることがきっかけである。DNAの損傷を修復する酵素が存在するが、この酵素には多型(酵素蛋白の一部のアミノ酸の種類が異なるタイプ)があり、この酵素中の特定の場所に、ある種のアミノ酸を持つ人だけが、リスク軽減の効果が現れるという報告もある。喫煙等の酸化ストレスと発がんリスクには強い関連性がある。
 発がんへの酸化ストレスの関与が低いタイプのがんについては、果物による発がんリスク軽減効果は限られたものになるのかもしれない。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

胃がん

※野菜・果物の胃がん予防効果については以下の記事も参照。
野菜、果物全般の健康効果の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”

・いくつかのコホート研究、症例対照研究、地域相関研究で胃がんのリスクを下げたとしているが、逆にリスクを上げるとしている研究もある。コホート研究(8例)についてのメタアナリシスは、果物100g/日ごとに0.95(95%信頼区間 0.89-1.02)、症例対照研究(26例)についてのメタアナリシスは、果物100g/日ごとに0.67(95%信頼区間 0.59-0.76)である。
 
・日本人を対象としたコホート研究として、JACC研究では、胃がん死亡率と果物摂取に関連はみられない、JPHC研究では、果物・野菜の摂取は胃がんリスク軽減と関連しているが、少量の摂取でも効果がみられ、大量摂取しても効果は上昇しないのではないかとしている。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

膵臓がん、肝臓がん

※野菜・果物の肝臓がん予防効果については以下の記事も参照。
野菜、果物全般の健康効果の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”

●膵臓がん
 
・いくつかのコホート研究、症例対照研究で膵臓がんのリスクを下げたとしている。予防効果は、コホート研究(3例)についてのメタアナリシスで、果物100g/日ごとに0.92(95%信頼区間 0.81-1.04)、症例対照研究(8例)についてのメタアナリシスで、果物100g/日ごとに0.89(95%信頼区間 0.82-0.98)となっている。
 結論として、果物の摂取による膵臓がん予防を示唆する確証は不足しているとしている。
 
・最近の報告として、フィンランドで実施された、α-トコフェロールとβ-カロテンのサプリメント摂取とがん予防に関する(ATBC)トライアルにおける健康な男子喫煙者約27,000人を対象に、フラボノイド、フラボノイド含有食品の摂取と外分泌膵臓がんの発症との関係が検討されている。結論として、フラボノイド高含有食品は、サプリメント非摂取グループにおいて膵臓がんのリスクを下げる可能性を示している。
 
●肝臓がん
 
・いくつかのコホート研究、症例対照研究で肝臓がんのリスクを下げたとしている。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

大腸がん

※野菜・果物の大腸がん予防効果については以下の記事も参照。
野菜、果物全般の健康効果の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”

・いくつかのコホート研究で大腸がんリスクの減少が認められている。メタアナリシスでは、果物全体では、1サービング/日の摂取量当たり0.97(95%信頼区間 0.92-1.03)という効果が示されている。
・日本人を対象とした研究として、Tsubonoらが果物摂取と大腸がんリスクとの関連について検討しているが、関連性がないと報告している。最近の報告でも関連性を示さないとする例が多い。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

 

●アイルランドのクイーンズ大学のクンツマン氏のグループの研究
 
・57,774を3~5年間追跡調査。食物繊維の摂取量が最も多いグループは、最も少ないグループに比べ、大腸がんのリスクが約40%低下した。特に穀物や果物からの食物繊維。
 
※参考資料『松井宏夫(2016)長生きできる人とできない人の習慣 日刊スポーツ連載』

前立腺がん

・Ambrosiniらによるアスベスト被爆したWittenoomの住人を対象とした研究では、ビタミンCを豊富に含む野菜、ブロッコリやピーマンでは予防との関連性が認められたが、同じようにビタミンCを豊富に含む果物や、抗酸化成分であるカロテノイドを含む果物や野菜には関連性が認められなかった。
 特定の部位にのみ効果を示す成分として、例えば、リコペンはカロテノイドの中で例外的に前立腺の発がんリスクを著しく軽減することが知られている。
 リコペンはトマトが最も重要な供給源であるが、すいか、赤肉のグレープフルーツ、かき、グワバ、パパイヤにも高濃度に含まれる。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

糖尿病

※野菜・果物の糖尿病予防効果については以下の記事も参照。
野菜、果物全般の健康効果の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”

●糖類の摂取と生活習慣病との関連
 
・アメリカ食品医薬品局は、糖類(ショ糖、果糖、ブドウ糖等)に関する1,000以上の文献を精査し、糖類の健康面における評価を行った結果、肥満、糖尿病、循環器系疾患等の生活習慣病の発症に糖が直接的な原因であるという明確な証拠はないと結論づけた。
 
・国連食糧農業機関と世界保健機関の両機関も同様に再検討し、"糖類の摂取は肥満を促進する"という考えは誤りであり、果糖やショ糖等の糖類が生活習慣病に直接結びつくことはないとした。
 
●果物摂取による糖尿病予防効果
 
○フィンランドの研究
・40から69才の男女4,304名を23年間追跡。
・食事調査から摂取量を5分割したところ、最も果物をよく食べるグループでの2型糖尿病発症リスクは0.69まで下がり、緑色野菜の高摂取群での0.69とほぼ同じレベルまで2型糖尿病の発症率が低かったと報告している。
 
○上海の大規模コホート研究
・調査開始時の栄養調査の結果について主成分分析を行い、それぞれの食事パターンと死亡リスクとの関連を平均5.7年間にわたり追跡して解析を行っている。
・その結果、果物の摂取量が豊富な食事パターンでは、総死亡リスク、循環器系疾患による死亡リスク、脳卒中による死亡リスクのいずれも有意に低下していたが、糖尿病が原因による死亡リスクが0.51で最もリスクを下げていたと報告している。
 
○HamerとChibaによる研究
・5つのコホート研究の結果について総合的に解析(メタアナリシス)したところ、果物の摂取量は糖尿病の発症リスクと関連がなかったと報告している。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

肝臓病

●肝機能の指標である血中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値
 
○米国の疫学研究
・米国人13,605名を対象。
・肝機能の指標である血中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値と血清抗酸化物質との関連を解析。
・特にβ-カロテンやα-カロテン、β-クリプトキサンチンの血清レベルが高いほどALT値が低いことを報告している。
 
●血清γ-GTP値
 
・血清γ-GTP値が、果物の摂取量や血清カロテノイド値と有意な負の相関があるとする研究結果が近年相次いで報告された。
・血清γ-GTP値は初期の酸化ストレスを反映し、この値が高いと糖尿病や循環器系疾患のリスクが高いことがこれらの研究により明らかになりつつある。
 
●抗酸化食品と肝疾患予防
 
・上記研究結果からビタミンやカロテノイドの豊富な果物を毎日摂取することが肝臓での酸化ストレス防御に有効に働き、肝疾患を予防できるのではないかと考えられる。
 
○ヒト介入試験の結果
・抗酸化の高い食品とそうでない食品の2種類をクロスオーバー法によりそれぞれ2週間介入。
・その結果、血中の炎症性マーカーやALT値、γ-GTP値が有意に低下した。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

心臓病

※野菜・果物の循環器疾患予防効果については以下の記事も参照。
野菜、果物全般の健康効果の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”

○米国Liuらの研究
・米国の女性看護職者を対象。
・果物・野菜の摂取と冠動脈性心疾患の関係を解析し、果物・野菜の摂取量の最低(中央値2.6サービング)と最高(中央値10.2サービング)に対する相対危険度は、1.0と0.68となり、強い予防効果があることが示された。
 
○米国Bazzanoらの研究
・米国の第1次国民栄養調査の集団を対象。
・果物・野菜摂取と冠動脈性心疾患との関係を解析。
・果物・野菜の摂取が1回/日と3回/日以上とを比較したところ、虚血性心疾患は24%、冠動脈性心疾患による死亡率は27%減少していた。
 
○米国Joshipuraらの研究
・米国の2つのコホート研究(女性看護職者と医療専門職者の集団)について解析。
・果物・野菜の摂取量が高いグループ(10サービング)は低いグループ(3サービング)との比較で相対危険度は0.8となり、果物・野菜の摂取と冠状動脈性心疾患との間には負の相関が認められたことを記している。
 また、摂取量が1サービング増加すると相対危険度は4%ずつ減少しており、緑黄色野菜、ビタミンCを豊富に含む果物・野菜の摂取が予防効果に大きく寄与しているとしている。
 
○Dauchetらによるフランスと北アイルランドの研究
・フランスと北アイルランドの異なる集団での解析を行い、果物・野菜、果物、野菜、かんきつ、その他の果物に分けて、それらの摂取頻度と急性冠状動脈疾患の相対危険度を示している。
・北アイルランドでは、かんきつでもその他の果物でもリスクを下げるが、フランスではかんきつのみリスクを下げた。
 なぜ、地域により異なる結果が出たのかは明らかにはなっていない。なお、野菜の摂取は、どちらの集団においても、冠状動脈疾患のリスクを下げる確証は得られなかった。
 
○Dauchetらのメタアナリシス
・9つのコホート研究についてメタアナリシスを行っている。
・合計で男性91,379名、女性129,701名からなる集団で、5,007名の冠動脈性心疾患の事例があった。
・冠動脈性心疾患のリスクは、1日の摂取が1皿分(106g)増加すると、果物・野菜を合わせた場合、相対危険度は4%ずつ減少し、果物だけの場合をみると7%ずつ減少することを示している。
 
○Shimazuらによる宮城県での研究
・宮城県大崎保健所管内に居住する国民健康保険加入者約5万人を対象に、食事の摂取パターンと心血管疾患の関係に関するコホート研究を行っている。
・日本食型(大豆食品、魚、海藻、野菜、果物、緑茶の摂取を特徴とするパターン)は、冠状動脈疾患や脳卒中を含む心血管疾患の死亡リスクが低く、肉食型(肉や乳製品等の動物性食品、コーヒー、アルコール摂取を特徴とするパターン)は高いという結果が得られた。
 
○Takechiらによる日本のコホート研究
・厚生労働省研究班の多目的コホート研究において、全国9ヶ所の保健所の管轄の約8万人を対象とし、1995年から追跡研究をした。
・食物摂取頻度調査をもとに、食品と心血管疾患のリスクとの関係を調べた結果、果物摂取量が多いほど心血管疾患のリスクが低いことが分かった。果物摂取量が最も多いグループ(平均280g)は、最も低いグループ(平均35g)に較べリスクは19%低くなっていた。
しかし、野菜にはこのような関係が認められなかった。
・喫煙者と非喫煙者に分けて比較すると、喫煙者ではリスク低減の傾向はあるものの統計的には有意ではなくなり、喫煙習慣が、果物・野菜の効果を減弱させる可能性を示している。
 
○Nakamuraらによる岐阜県でのコホート研究
・岐阜県高山市でのコホート研究を行い、約3万人を対象とした追跡調査を行った結果を報告。
・女性では野菜による心血管疾患の死亡リスクの低減作用が認められたが、果物については明確ではないとしている。
・男性では、果物あるいは野菜の摂取と心血管疾患の死亡リスクとの間に関連はみられないとしている。
・男女の違いは、男性の喫煙率が女性に較べ高いことや女性ホルモンとの関係が原因であろうとしている。
 
○Hozawaらによる研究
・約4,500人の18~30歳の男女について、血中カロテノイド濃度及び喫煙習慣と糖尿病の発生の関係を検討。
・非喫煙者のカロテノイド濃度は78μg/dlであるのに対して、喫煙者の血中濃度は68.3μg/dlと低く、喫煙習慣は血中の抗酸化成分であるカロテノイドを消耗することが推測される。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

脳卒中

○Dauchetらによるメタアナリシス
・脳卒中と果物・野菜の摂取に関する7つのコホート研究(米国、5研究;ヨーロッパ、1研究;日本、1研究)についてのメタアナリシス。
・解析は、男性90,513人、女性141,536人について行われ、2,955人の脳卒中の事例がみられた。
・脳卒中のリスクは、1日の摂取が1皿(106g)増加すると、果物のみの場合、相対危険度は11%減少し、果物と野菜については5%減少した。果物又は果物・野菜の摂取は、脳卒中の相対危険度が線形の用量反応関係を示し、多く食べるほど脳卒中のリスクが下がることが示された。
・野菜については、相対危険度が3%減少したが統計的には意味のある差ではなかった。
 
○Heらによるメタアナリシス
・8つのコホート研究(Dauchetらの解析した研究に加え、フィンランド、1研究;オランダ、1研究を追加)のメタアナリシス。
・解析は257,551名について行われ、そのうち4,917名が脳卒中を発症した。果物と野菜は区別せずに、合わせた摂取量(1サービング:果物80g、野菜77g)での検討を行っている。
・3サービング未満/日のグループと比較した場合、脳卒中の相対危険度は、3~5サービング/日のグループでは0.89、5サービング以上/日のグループでは0.74であった。
 脳卒中には虚血性と出血性があるが、そのどちらのリスクも下げるとしている。
 
○Sauvagetらの広島と長崎の研究
・広島と長崎の39,337名を対象。
・緑黄色野菜と果物の摂取は、脳卒中、脳内出血、脳梗塞による死亡のリスク低下と相関があり、予防効果を示唆している。
 
○デンマークの研究
・デンマークの男女について、果物と野菜の摂取量と虚血性脳卒中のリスクの関係を調べたコホート研究。
・野菜や果物の種類を9つのグループ(このうち果物に関してはかんきつとその他の果物の2グループ)に分けて検討した結果では、かんきつは統計的に意味のある差であったが、他のグループは予防的な傾向を示すものの、統計的に意味のある差ではなかった。
 
●果物摂取による効果の理由
 
・なぜ予防的に作用するかは明確になっていない。
たとえば、果物に普遍的に含まれる抗酸化ビタミンが予防要因として期待されるが、抗酸化ビタミンを投与した無作為臨床試験では、有意な脳卒中の予防効果を示さない。
 
・果物を食べる人は、たとえば肉を控える、運動をする等、リスクを下げる習慣を持つことも考えられる。
 
・動脈硬化の発症や進行には酸化ストレスが関与している。
 果物や野菜には、カロテノイドやポリフェノール等の抗酸化成分が含まれている。
 カロテノイドの摂取と予防効果に関しては必ずしも肯定的な結果だけではなく、β-カロテンの投与による介入試験では冠動脈疾患の予防効果を示す結果は得られず、逆に喫煙者ではリスクを上げたとする報告もある。
 β-カロテンとβ-クリプトキサンチンには予防的な結果を見いだせたが、それら以外のカロテノイドでは認められなかったという結果があり、カロテノイドの種類により、また対象とする疾病や症状により異なる結論が出るのかもしれない。
 ポリフェノールの場合も、予防効果に関して相反する結果が得られている。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

高血圧

●カリウムの摂取
 
○アメリカの研究
・859人(50~79才)の男女を対象にした12年間の追跡調査では、カリウム摂取量と脳卒中の発症との間には負の相関があり、食事のナトリウム/カリウム比が低いと血圧が低いことが分かった。
・584人の男性と718人の女性を調べた疫学調査では、カリウムの摂取量が少ない人は、多い人に比べて高血圧のリスクが男性では2.6倍、女性では4.8倍高かった。
・上記から、カリウムの摂取量が380mg(10mmol)上昇するごとに、脳卒中の死亡率は40%低下すると推定されている。
 果物200gは、ちょうどこの量(380mg)を満たしている。
 
○ナトリウム/カリウム比と果物摂取
・ナトリウムを増やさずカリウムを多く摂取するにはナトリウム/カリウム比の低い果物の摂取が有効である。
・果物には、ナトリウムがほとんど含まれておらず、カリウムの多い食品として位置づけられている。
 200gの果物には平均すると380mgのカリウムが含まれているが、ナトリウムはほとんど含まれていないため果物を食べても増えない。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

認知症

●果物と認知症
 
○オランダの疫学調査
・55歳以上の5395人を対象。
・ビタミンEやビタミンCが豊富な果物などの食品を多く摂取すると、アルツハイマー病の発症が少ないことが分かった。
 
○米国の疫学調査
・65歳以上の815人を対象。
・果物等の食品からのビタミンEの摂取は、アルツハイマー病の発症を抑えることが明らかになった。
 
○米国マサチューセッツ大学の動物実験
・脳にある神経伝達物質で、減少するとアルツハイマー病の原因とされているアセチルコリンが、濃縮リンゴジュースを与えたマウスで増加していた。
 
○米国の大学による疫学調査
・ワシントン州に住む65歳以上の1836人を対象に、7~9年間にわたり疫学調査。
・コップ1杯(約240ml)の果物や野菜の生ジュースを週に最低3回飲む人は、週1回未満の人に比べて、アルツハイマー病の発症率が73%低いことが分かった。週1~2回でも、発症率が32%低くなった。
 
○米国ユタ州立大学の研究
・3632人の高齢者を対象に、認識力と果物や野菜の摂取との関係を調査。
・その結果、果物と野菜の摂取量の最も多いグループは、認識力の高いことが分かった。
果物だけで比較した場合も、果物の摂取量が多い人は、少ない人より高い認識力を示した。
 
・果物や野菜の生ジュースを飲むと、アルツハイマー病の発症リスクが大きく減少するという結果は、他の大学の研究でも認められている。
・果実からの葉酸の摂取量が少ないと、血液中のホモシステイン濃度が高まり、アルツハイマー病になるリスクが上昇するという研究報告もある。
 この理由として、血液中のホモシステイン濃度が高まると、脳の微小血管障害、脳血管の内皮機能障害、酸化ストレスの増大など、全般的な"脳の老化"が促進されるためと考えられている。
・果物が認知症の予防に有効に働く理由は、果物には水溶性のビタミンCから脂溶性のビタミンEまで、多種多様な成分や抗炎症作用などが豊富にバランスよく含まれているためと考えられている。
 
※参考資料『田中敬一,原田都夫,間苧谷徹(2016)科学的データでわかる果物の新常識 誠文堂新光社』

骨粗鬆症

●果物摂取の重要性
 
・十分な量のカルシウムの摂取が重要であることはいうまでもないが、WHOとFAOが2003年に発表した報告書では、動物性たんぱくの過剰摂取による含硫アミノ酸が代謝性アシドーシスを誘発し、その結果、骨吸収(骨が破壊され、血中にカルシウムイオンが放出されること)が盛んになり骨に悪影響を及ぼすとしている。
 これを防ぐためには、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のカチオンの摂取が重要と考えられている。
→果物・野菜にはカリウム等のミネラル類が豊富に含まれており、代謝性アシドーシスを平衡化すると考えられている。
 また果物・野菜は、骨基質の重要な成分であるコラーゲンを生合成する上で必須な栄養素となるビタミンCの重要な供給源でもある。
・上記のWHO/FAOの報告書では、骨粗鬆症に関連した骨折の予防には、果物・野菜の摂取量を増やすことも重要であろうとしている。
 
●疫学研究
 
○イギリスでの研究
・閉経前の健康な女性994名を調査した結果では、牛乳と果物の摂取が少ない女性では、摂取量の多い人に比べ、骨密度が低いと報告している。
・閉経前と閉経後における骨密度の減少を891名の女性について追跡調査研究では、果物・野菜に豊富に含まれているビタミンC・マグネシウム・カリウムの摂取量が多いと骨密度の低下を抑制できたとしている。
 
○日本の農業に従事する閉経前の女性を対象とした研究
・日本国内5地域における農業に従事する閉経前の女性291名について、食事パターンと骨密度との関連を解析。
・この研究では栄養調査した結果から、4つの食事パターンに分類し、それぞれの食事パターンの摂取量が最も少ないグループから最も多いグループまで5分割して骨密度を比較している。
・その結果、脂肪や肉、食用油の摂取量が多い西欧型食事パターンが多いほど骨密度が低い傾向にあった。
 これに対し、果物や緑黄色野菜・キノコ・魚介類の摂取量が多い健康的な食事パターンが多いほど有意に骨密度が高かったと報告している。
 
○日本のみかん主要産地の地域住民を対象にした横断解析
・みかんに特徴的に多く含まれているカロテノイドであるβ-クリプトキサンチンの血清レベルが高いほど閉経女性における骨密度は高かったと報告している。
・このような関連は閉経前の女性や男性では認められず、またβ-クリプトキサンチン以外のカロテノイドにはみられなかったことから、β-クリプトキサンチンの豊富なみかんの摂取が閉経に伴う骨密度の低下に対して予防的に働いている可能性が考えられる。
 
○アメリカの男性も調査対象に含めた研究
・69才以上の老年期の男女907名を対象に骨密度と食生活習慣との関連を解析。
・男性において果物・野菜の摂取量と骨密度が有意に相関していたと報告している。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

 

●果物と骨粗鬆症
 
・最近の研究から、骨を丈夫にするには牛乳の摂取だけでは不十分で、果物や野菜も一緒に摂取する必要があるということが分かった。
・最近の研究で、腎臓におけるカルシウム代謝に、カリウムが重要な働きをしていることが分かり、それが上記の理由と考えられる。
 
○腎臓におけるカルシウム代謝
・腎臓は、血液中の水分や塩分、カルシウム等のバランスを一定に保ち、血液の酸とアルカリの調節、またビタミンDを活性化し、骨を丈夫にする働きもある。
・オーストラリアの研究チームの結果では、果物や野菜等カリウムの多い食品を摂取している人は、少ない人に比べて尿中へのカリウム排泄量が多く、その代わり腎臓から尿中へのカルシウムの排泄が抑制される。
 その結果、骨中のカルシウム蓄積量が増加して、骨密度が高いことが分かった。
 一方、腎臓から尿中へのカルシウム排泄は、ナトリウムの摂取量とも関係する。ナトリウムの摂取量が多くなると、腎臓から尿中へのカルシウム排泄を促進する。
 したがって、骨密度を高めるにはナトリウムの摂取量を減らし、カリウムの摂取量を増やす必要がある。
 
※参考資料『田中敬一,原田都夫,間苧谷徹(2016)科学的データでわかる果物の新常識 誠文堂新光社』

リンゴの効能の概要

・多くのフラボノイド、フェノール酸、ビタミンCを含み、糖やコレステロールの吸収を遅らせる水様性食物繊維であるペクチンも多く含む。
・リンゴの常食と肺がん、心臓病、喘息、2型糖尿病のリスクの低減には、相関関係があるという研究結果がある。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

 

※ケルセチンについては以下の記事参照。
ポリフェノールの概要、効果、健康影響の"ケルセチン"
○実の部分
・食物繊維のペクチンは、腸内細菌を整える、免疫の働きを整える、抗肥満の働きがある。
・ケルセチンというポリフェノールの一種は、がん予防、寿命延長、抗アレルギー、抗脂質異常症の働きがある。
 
○皮の部分
・アントシアニン(赤いリンゴ)、プロシアニジン(未成熟のリンゴ)、キサントフィル(黄色いリンゴ)、クロロフィル(青いリンゴ)というポリフェノールの一種は、がん予防、寿命延長、抗アレルギー、抗脂質異常症の働きがある。
・トリテルペノイド(ウルソル酸)は、がん予防、抗炎症、抗酸化、抗脂質異常性などの働きがある。
 
○2012年、ダナ・ファーバーがん研究所の研究
・リンゴに含まれるケルセチンというポリフェノールの一種が、強い抗酸化作用を持ち、咽頭がん、口腔がん、肺がん、乳がんの予防に貢献している可能性があると報告。
・ケルセチンはがんを引き起こすDNAの損傷が起こらないように細胞を保護する働きがある。
 
※参考資料『宇山恵子(2014)医者も教えてくれなかった実はすごいフルーツの力 講談社』

 

・食物繊維のペクチンを多量に含んでいるため、腸内細菌の善玉菌を増加させ、腸壁を刺激して便通をよくするとともに、糖やコレステロールの吸収を抑制する効果がある。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

リンゴポリフェノール

・プロシアニジン類、カテキン類、フェノールカルボン酸類などが含まれており、まとめてリンゴポリフェノールと呼ばれている。
・リンゴポリフェノールには優れた抗酸化作用があり、中でも強力なのがリンゴポリフェノールの約65%を占めている、プロシアニジン類。
・リンゴポリフェノールは成熟した真っ赤なリンゴよりも、未成熟で少し青っぽいリンゴに多く含まれている。
 未成熟で少し酸っぱいリンゴには、クエン酸回路を活性化して疲労を防ぐクエン酸も多く含まれるため、リンゴポリフェノールとクエン酸が同時にとれることになる。
 
※参考資料『梶本修身(2016)すべての疲労は脳が原因 2 集英社』

バナナの効能の概要

・カリウムが多くナトリウムが少ないので、血圧を安定させる働きがある。
・神経伝達物質の生成に重要な役割を果たすビリドキシンのすぐれた供給源でもある。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

 

・良質のたんぱく質を含み、運動後の疲労回復に効果的。
・食物繊維も豊富で、血糖値やコレステロール値が気になる人も、安心して食べることができる。
・ビタミンB6やセロトニンをつくる材料となるトリプトファンも多く含んでいる。
 
※参考資料『宇山恵子(2014)医者も教えてくれなかった実はすごいフルーツの力 講談社』

 

・ビタミンB2とクエン酸の相乗的な働きによって、疲労の原因とされる乳酸やピルビン酸を分解し、疲労の防止や回復につながる。
・豊富な食物繊維は便秘に有効。
・カリウムの含有量が多く、高血圧の予防になる。
 
※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』

イチゴの効能の概要

・ヘタをつけたまま、食べる直前に洗う。ヘタを取ってから洗ったり長時間水につけておいたりすると、水溶性であるビタミンCやペクチン、アントシアニンなどが流れ出てしまう。
 
※参考資料『名取貴光(2016)新・野菜の便利帳 健康編 高橋書店』

 

・キシリトールは、虫歯の原因となる酸の発生を防ぎ、溶けた歯の成分が元の状態に戻るように再石灰を防ぐ作用がある。
・アントシアニンは、イチゴの赤色のもとになっているポリフェノールの一種で、高い抗酸化力を持つ。
 
○2013年、フィンランドの東フィンランド大学の研究
・イチゴ、ブルーベリー、ラズベリーなど、ポリフェノールが豊富なベリー類を、小麦等を含むデンプン質の食べ物と一緒に食べると、インスリンの上昇がゆるやかになることが明らかになった。
・ポリフェノールが体内でデンプンの消化や吸収を遅らせることで、インスリンの上昇を緩やかにしているのではないかと研究者が述べている。
 
※参考資料『宇山恵子(2014)医者も教えてくれなかった実はすごいフルーツの力 講談社』

 

・ビタミンCが豊富。
・ラズベリー同様イチゴも、心臓病とがん予防の可能性を秘める赤いアントシアニンとエラジタンニンを含んでいる。
・イチゴをたくさん食べた女性は、心臓病にかかるリスクが約3分の1に減ったという研究結果もある。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

ブルーベリーの効能の概要

・大腸菌や感染症の細菌を撃退するアントシアノサイドを含む。
・血管に付着するコレステロールを防止するので、動脈硬化の予防に有効。
 
※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』

 

・アントシアニンは、ブルーベリーの紫色のもとになっているポリフェノールの一種で、高い抗酸化力を持つ。
・ビタミンEが100gに1.7mg含まれている。
 
※参考資料『宇山恵子(2014)医者も教えてくれなかった実はすごいフルーツの力 講談社』

 

・ビタミンC、マンガンが豊富。
・ファイトニュートリエントが豊富で、ブルーベリーの青い色はフラボノイドの一種であるアントシアニンに由来する。アントシアニンは、がん細胞の増殖を遅らせるという研究報告がある。
・イチゴとブルーベリーをよく食べる人は、食べない人に比べ認知症にかかる可能性が低いという調査結果もある。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

クランベリーの効能の概要

・抗酸化力が高く、細菌等が体内で増殖するのを防いでくれる。
・ポリフェノールとビタミンCが豊富で、活性酸素を消去して、肌老化を予防する美肌効果が期待できる。
・プロアントシアニジンというポリフェノールを豊富に含む。
 
○2013年、アメリカのタフツ大学の研究
・クランベリージュースを飲むんでいた人は、アディポネクチンの分泌量が増えていた。高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病を予防・改善できる可能性がある。
 
※参考資料『宇山恵子(2014)医者も教えてくれなかった実はすごいフルーツの力 講談社』

 

・ビタミンC、マンガン、多種のファイトニュートリエントを含み、果物の中で最も抗酸化作用が高いものの一つ。
・毎日クランベリージュースを飲むことで、心血管疾患のリスクが減る可能性があるという実験結果がある。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

ブドウの効能の概要

・黒ブドウの皮にあるフラボノイドやレスベラトロールは、血管内へのアテローム蓄積の原因となる炎症、血栓、LDLに対抗する働きがあることが分かっている。
 効果は赤ワインにもあり、紫色のグレープジュースも同じような効果を持つという研究結果もある。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

レーズンの効能の概要

・ブドウの水分を80%ほどを取り除き乾燥したもの。
・ビタミンCの含有量は生果に比べ落ちるが、縮んで食感が増した実の中に抗酸化成分、糖分、カロリーが凝縮されている。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

グレープフルーツの効能の概要

・食事と一緒に食べることで、血糖値、血圧、中性脂肪などの食後の上昇をゆるやかにしてくれる。
・ナリンゲニンというフラボノイドの一種の成分は、強い抗酸化力を持つ。
・クエン酸は、筋肉の疲れを早く回復させる働きがある。
 
○2010年、イスラエルのヘブライ大学の研究
・ナリンゲニンに、肝臓で脂肪を分解してインスリンの感受性を高めて血糖値の上昇を抑制する働きがあることが分かった。
 
○2011年、同志社大学の研究
・食事と一緒にグレープフルーツを食べると、食後の血糖値の上昇や中性脂肪の上昇がゆるやかになり、血糖値を安定させることが明らかになった。
 
※参考資料『宇山恵子(2014)医者も教えてくれなかった実はすごいフルーツの力 講談社』

 

・ビタミンCが豊富。
・ピンクや赤いグループフルーツは、色素成分カルテノイドを豊富に含有。これは抗酸化成分でもあり、健康な視力、皮膚、骨、免疫の働きに必要なビタミンAを体内でつくる。
・白グレープフルーツに含まれるフラボノイド類の組合せは、肺がんのリスクを低減する可能性があるとされている。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

 

・ビタミンPと呼ばれるヘスペリジンは、がんを予防するほか、毛細血管を強くし、血流改善効果で高血圧を予防する。さらにビタミンCの吸収を助ける。
 
※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』

 

・独特の苦みは、ポリフェノールの一種であるナリンギンによるもの。ナリンギンには抗酸化作用に加え、血液中の中性脂肪を分解する働きがある。
・香り成分のリモネンは、気分をリフレッシュさせるのに有効。さらに、交感神経を活性化してエネルギー消費を高めたり、脂肪の代謝を活発にしたりする働きもあると言われている。
 
※参考資料『名取貴光(2016)新・野菜の便利帳 健康編 高橋書店』

キウイの効能の概要

・ビタミンCとカリウムを豊富に含む。
・老化にともなう黄斑変性を予防する成分であるルテインとゼアキサンチンも含有。
・DNAを酸化による損傷から守るためには、ビタミンCの溶液よりキウイのエキスの方が有効だという実験室での結果もあり、キウイにビタミンC以外にもがん予防に役立つ成分があることを示唆している。
・キウイを毎日2~3個1ヶ月食べ続けると、心血管疾患の原因となる血漿トリグリセリドが減少し、血小板が凝集するのを抑制するという研究結果が出ている。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

 

・ビタミンCがとても多く、カルシウムも豊富。
・たんぱく質を分解する酵素が豊富で、肉料理のデザート等で食べると胃もたれや胸やけの予防にもなる。
・アクチニジンというタンパク質分解酵素は、たんぱく質を消化しやすくする働きがあり、胸やけや胃もたれを改善する。
 
※参考資料『宇山恵子(2014)医者も教えてくれなかった実はすごいフルーツの力 講談社』

 

・ビタミンCが豊富で、疲労回復に役立つクエン酸やリンゴ酸などを他の果物より多く含む。
・食物繊維の含有量が多い。
・アクチニジンという酵素は、肉類の吸収を促進させる。
 
※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』

ミカンの効能の概要

・ウンシュウミカンの果肉に含まれている約30種類のカロテノイドのうちの50%以上を占めているのがβ-クリプトキサンチンで、ミカンのオレンジ色のもとになっている色素の一つ。
・ヘスペリジンは、ミカンの皮や筋に含まれるポリフェノールの一種。血流改善、高血圧予防、コレステロール値の低下、炎症抑制、花粉症予防などが期待できる。
 
○2012年、農研機構果樹研究所の調査
・β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い閉経後の女性は、低い女性と比べて、骨粗鬆症になりにくいことが明らかになった。
・ウンシュウミカンをよく食べている(1日4個程度)女性のグループは、あまり食べない(1日1個未満)グループに比べて、骨粗鬆症にを起こしにくいことが明らかになった。
 
※参考資料『宇山恵子(2014)医者も教えてくれなかった実はすごいフルーツの力 講談社』

 

・袋には食物繊維のペクチンが存在。便秘予防と血液中のコレステロールを下げるのに有効に働く。
・白い筋は免疫機能を強くするビタミンP(ヘスペリジン)が多い。ビタミンPはビタミンCの吸収を助ける。
・β-クリプトキサンチンは、抗酸化作用があり、脳卒中や心臓病の予防に適している。
 
※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』

 

・動物実験でがん抑制効果が示されたβ-クリプトキサンチンを多く含む。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

β-クリプトキサンチンと糖尿病

○オーストラリアでの研究
・正常群・耐糖能異常群及び糖尿病群でそれぞれ血清β-クリプトキサンチン濃度を比較すると、正常群に比べて耐糖能異常群や糖尿病群になるほど低いことを報告している。
 
○フィンランドでの研究
・4,304名を23年間追跡調査。
・被験者に対して食事調査を行った結果から、食事から摂取した抗酸化物質の推定摂取量を算出し、糖尿病の罹患率と抗酸化物質摂取量との関係を詳細に解析した。
・調査ではビタミンE、ビタミンC、カロテノイド類について解析しているが、これらのうち糖尿病罹病のリスクを有意に下げていたのはカロテノイドではβ-クリプトキサンチンのみであった。
 
○日本人を対象にした調査結果
・糖尿病歴を有さず空腹時血糖値が126mg/dl未満の非糖尿病者である男女812名の空腹時血糖値とインスリン値からインスリン抵抗性の疫学指標であるHOMA指数(Homeostasis model assessment insulin resistance index)を算出し、血清カロテノイドとの関連を調べた。
・その結果、血清β-クリプトキサンチン濃度が高いグループほどHOMA指数が低いことが明らかとなった。リコペンやβ-カロテン等にも同様の関連がみられたが、男女ともに有意な関連が認められたのはβ-クリプトキサンチンのみであった。
 
※参考資料『平成21年9月発行 毎日くだもの200グラム運動指針(8訂版)』

パイナップルの効能の概要

・ビタミンC、マンガンが豊富。
・抗炎症作用が期待されるタンパク質分解酵素ブロメラインを含む。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

レモンの効能の概要

・レモンの果汁には美肌づくりと疲労回復、果皮には老化予防効果がある。
・クエン酸は、筋肉の疲れを早く回復させる働きがある。
・ルチンは、血管、特に毛細血管を丈夫にして、血圧を安定させる効果がある。
・リモネンの香りの成分にストレスを緩和したり、食欲を抑制したりする働きがある
・フラボノイドは抗酸化作用が高く、主に果皮に含まれる。
 
※参考資料『宇山恵子(2014)医者も教えてくれなかった実はすごいフルーツの力 講談社』

オレンジの効能の概要

・ビタミンCには強力な抗酸化作用があり、アントシアニンやポリフェノール、フラバノン(ヘスベレチンなど)といったファイトニュートリエントとともに、老化と病気の原因となる細胞のダメージを防ぐ役割を果たす。
・2010年に発表された研究によれば、喫煙者で柑橘類をよく食べる人は、肺がんを発症する可能性が低いことが示された。
・フラバノンを多く取り入れている女性は、取り入れていない女性に比べて、血栓による脳卒中を起こす可能性が約20%も低いという研究もある。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

 

・ビタミンCのほかに、ビタミンB1、B2、鉄分、カルシウム、カリウム、葉酸なども含んでいる。
・脂っこい食事と一緒にオレンジジュースを飲むと、食後の酸化ストレスの発生が抑制され、イノシトールという成分の働きで、脂肪燃焼効果が高まることが明らかになっている。
・ヘスペリジンというフラボノイド成分が、血管を丈夫に保つ働きを持つ。
・オレンジの苦味成分の一つでナリンゲニン(フラバノンの一種)は、抗炎症、抗酸化、炭水化物の代謝促進、免疫機能の調節などの働きを持つ。
 
※参考資料『宇山恵子(2014)医者も教えてくれなかった実はすごいフルーツの力 講談社』

ネットニュースによる関連情報

●果汁100%ジュースと糖尿病との関連
 
・リンゴ、ベリー、柑橘類、ブドウ、ザクロなど果物の100%ジュースの血糖コントロールの関連性への影響を検討。18の無作為化試験を含むシステマティックレビューとメタアナリシスにおける空腹時の血糖値と血中インスリン濃度を糖尿病リスクのバイオマーカーとして用いた。
→その結果、空腹時の血糖値や血中インスリン値あるいはインスリン抵抗性に対し、短期的には有意な影響を及ぼさないようであった。

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