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- ごぼう
- だいこん
- かぶ
- さつまいも
- さといも
- じゃがいも
- にんじん
- れんこん
- しょうが
ごぼうの効能の概要
・一般に野菜の食物繊維は不溶性のものが多いが、ごぼうの場合は水溶性2.3%、不溶性3.4%とどちらも多いのが特徴。 ・ごぼう特有の水溶性食物繊維であるイヌリンについては、糖質の利用を遅らせる作用が糖尿病によいといわれている。 ・ごぼうのアクの成分はポリフェノールが主成分。 ・カリウムが多く、その他、マグネシウム、リン、亜鉛、銅など多くのミネラルが含まれ、貧血の予防や骨の形成等によい野菜である。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
ごぼうの機能性
●セルロース、リグニン ・不溶性食物繊維のセルロース、リグニンには腸内の善玉菌を増やす働きがあり、腸内環境を整えることが期待できる。腸内で水分を吸収して膨らみ、腸のぜん動運動を高め、便の排出を促す。 ・リグニンは、胆汁酸を吸着して排出する働きを持っている。胆汁酸の排出はコレステロールの減少につながるため、動脈硬化の予防が期待できる。 ●イヌリン ・ナトリウムを排出する働きがある。 ・摂取した食物と混ざり合い、小腸での糖質の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を緩やかにさせる。 ●アクチゲニン ・免疫細胞に働きかけ、アレルギー・炎症関連物質であるIL-4、IL-5、IL-6の分泌を抑制する。 ・筋肉へのグルコースの取り込みを促進することで糖尿病予防に役立つとの研究も報告されている。 ●クロロゲン酸、タンニン ・ごぼうの皮のクロロゲン酸やタンニンは、活性酸素によって生成される病気や老化の原因である過酸化脂質の発生を抑える働きがある。 ※参考資料『佐竹元吉(2016)機能性野菜の科学 日刊工業新聞社』
・不溶性食物繊維のリグニンには抗がん作用があり、大腸がんの予防に有効。 ・水溶性食物繊維イヌリンが急激な血糖値の上昇を防ぎ、糖尿病の予防に役立つと言われている。 ※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』
・水溶性のイヌリン、不溶性のセルロースやリグニンといった食物繊維が豊富。 ・リグニンは腸内の発がん物質の排泄を促すため、大腸がんなどを予防する効果も期待されている。 ・リグニンは切り口に多く発生するので、ささがきや乱切りなど断面の大きい切り方をし、少し時間をおいてから調理すると摂取量を増やすことができる。 ・ごぼうの皮には、クロロゲン酸やタンニンといったポリフェノールが含まれている。皮は厚くむかず、たわしなどでこすり表面を軽くそげる程度にするとよい。 ※参考資料『名取貴光(2016)新・野菜の便利帳 健康編 高橋書店』
かぶの根
・かぶの根はだいこんに似た栄養価で、カリウム、ビタミンC、食物繊維が少し目立つ程度。 ・だいこんのように消化酵素のアミラーゼが含まれるが、おろしたものを生で使用することは少ない。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
・乳がん、膀胱がん、肺がん、前立腺がんのリスクを低減させる。理由の一つは抗酸化成分であるフラボノイドを含むため。 ・ビタミンCが豊富で心血管系のサポートをする。 ※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』
・根にはデンプンを分解する消化酵素アミラーゼが豊富。 ※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』
かぶの葉
・かぶの葉は、カロテンがこまつなに近い量含まれている。 ・骨の形成や維持に必要なカルシウム、ビタミンKが多く、カルシウムの吸収を助けるビタミンCも豊富なので、骨の健康に役立つ。 ・食物繊維もかなり多く含む。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
・カブの葉はキャベツ、ブロッコリーより、がんを予防するグルコシノレートが多く、骨の健康に関わるビタミンKも多く含む。食物繊維やビタミンA、葉酸、マンガンも含有。苦味があるのは、葉にカルシウムが含まれるため。 ※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』
アミラーゼ
・根に含まれる、でんぷん消化酵素。 ・胃の不快感を取り除く作用がある。 ・加熱すると効果が失われる。 ※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』
さつまいもの効能の概要
・エネルギーはいも類の中でも多く、じゃがいもの約2倍、さといもの2.3倍。 ・カリウム、カルシウム、銅、マンガンなどのミネラル、ビタミンではB1、B6、C、E、パントテン酸などが多い。 ・ビタミンCが多くトマトの1.8倍含んでいる。ビタミンCは加熱によって分解される性質があるが、さつまいもではでんぷんに保護された形になっているために、加熱による損失が少ない。 特に焼き芋や蒸し芋のように、皮付きで丸ごと加熱する場合にはビタミンCだけでなく、他のビタミンやミネラルの減少も少ない。 ・野菜一般が保存によってビタミンCが大きく減少するのに対し、さつまいものビタミンCは保存中の減少が少ないという特徴がある。 ・いもの中でも食物繊維が多く、その78%がセルロースなどの不溶性。水溶性の食物繊維も比較的多く含まれている。 ・紫いもや紅いもの赤紫色の色素は赤ワインと同じアントシアンでポリフェノールの一種。 ・金時と呼ばれる品種の果肉の黄色やオレンジ色のものにはカロテンが多い。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
さといもの効能の概要
・さといも特有のヌルヌルした成分は食物繊維の一種で、ガラクタン・マンナンなど多様な成分が存在している。 ・食物繊維の含有量はサツマイモと同等で、サツマイモと比べて水溶性のマンナンを1.5倍強含むのが特徴。 ・カリウムがイモ類の中で最も多く、野菜類の中でも豊富なほうれん草に近い含有量。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
ガラクタン
・血中のコレステロール値を下げ、脳細胞を活性化させる。 ※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』
・ガラクタンには、免疫力アップに加え、血圧やコレステロール値の上昇を抑える働きがある。 ※参考資料『名取貴光(2016)新・野菜の便利帳 健康編 高橋書店』
だいこんの効能の概要
・だいこんに含まれる含硫化合物には抗がん作用が確認されている。さらに、動物実験で、腫瘍を壊死させる因子の産生力が大きいことが報告されている。 ・アミラーゼという消化酵素が存在し、おろして用いるとでんぷんなどの消化に有効である。また、酸化酵素も含まれ、焼き魚の焦げの発がん性物質を酸化すると考えられている。 ・大根は95%が水分で、目だって多い栄養成分はない。 ・栄養価が高いのはだいこんの葉の方で、多くのビタミン、ミネラルを豊富に含み、ほうれんそうや小松菜に匹敵するほど。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
・デンプン分解酵素ジアスターゼをはじめ、脂肪分解酵素リパーゼ、たんぱく質分解酵素プロテアーゼなど、豊富な酵素が働き、胃の調子を改善する。 ※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』
・ダイコンの辛みは、グルコシノレート、ミロシナーゼ、イソチオシアネートといった成分からできていて、すべて抗がん作用があると言われている。 ・ビタミンCも豊富。 ※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』
・根の部分に含まれる酵素・アミラーゼは、消化を促し、胸やけや胃もたれを防ぐ働きがある。 ・熱に弱いので、大根おろしなど生で食べる方が効果的。 ・根にはがん予防に効く食物繊維・リグニンも豊富。 ※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』
切干だいこん
・だいこんを濃縮した形になり、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、ビタミンB1、B2、ナイアシン、パントテン酸、食物繊維を豊富に含む。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
イソチオシアネート
・だいこんおろし特有の辛味とにおいの主成分は含硫化合物の一種のイソチオシアネート類。 ・食欲増進や消化促進によいとされてきたが、近年は抗菌作用や抗酸化作用が注目されている。ただし、おろして時間が経ると有効成分が揮発性のために減少し、効果が期待できない。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
・辛みのもととなっているのがイソチオシアネートという成分。 ・消化促進や食欲増進に役立つほか、血液をサラサラにして血栓をできにくくする働きや、抗菌・抗炎症作用などがある。さらに、肝臓の解毒作用を高め、発がんの抑制等にも効果があると考えられている。 ※参考資料『名取貴光(2016)新・野菜の便利帳 健康編 高橋書店』
じゃがいもの効能の概要
・かさがあるわりに低エネルギー食品。100g当たりのカロリーでは、さつまいもの約60%、ご飯の45%。 ・いもの中では少ないが、利用法の広さや食べる頻度を考慮するとカリウムの良い供給源といえる。 ・ビタミンCが多く、トマトの2倍強でみかんと同程度含んでいる。ビタミンCがでんぷんに保護された形になっているために加熱による損失が少ない。 特に、丸ごとゆでたり、ベイクドポテトなどにするとCだけでなく、他のビタミンやミネラルの減少も少ない。野菜類一般が保存によってビタミンCが大きく減少するのに対し、じゃがいものビタミンCは減少が少ない。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
・いも類のなかで群を抜いてビタミンCの含有量が高い。 ・主成分のデンプンに包まれて加熱しても失われにくく、皮つきのまま丸ごとゆでると半分以上のビタミンCが残る。 ※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』
タンニン
・じゃがいもに含まれるタンニンには、ピロリ菌を撃退する働きがある。 ※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』
じゃがいもの緑色部分、芽とソラニン、チャコニンについて
●ソラニン ・皮が緑色のものや発芽したものは、味が悪くなっている。有毒物質のソラニンが多くなっているので扱いに注意を要する。 ・ソラニンの毒性は加熱調理でもなくならない。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
●ソラニン、チャコニンとは? ・ソラニンやチャコニン(カコニンとも呼ばれている)は天然毒素で、芽(芽とその根元の部分)や緑色になった部分に多く含まれている。 ・グルコースやガラクトースをはじめとする糖と、植物由来の窒素を含んだ塩基性(アルカリ性)物質であるアルカロイドからできているグリコアルカロイド(糖アルカロイド)の一種。 ・光が当たったり、傷がついたりすると、じゃがいも中のグリコアルカロイドが増える。光に当たるとその部分にクロロフィルが溜まって緑色に変わる。 ・グリコアルカロイドは芽に一番多く含まれ、葉、茎、花、果実、根にも含まれている。 ・通常のじゃがいもは、100gあたり平均7.5mgのソラニンやチャコニンを含んでいて、そのうち3~8割が皮の周辺にある。 一方、光に当たって緑色になったところは100gあたり100mg以上のソラニンやチャコニンを含んでいるといわれている。 ●健康への影響 ・ソラニンやチャコニンを多く含むじゃがいもを食べると、吐き気やおう吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が出ることがある。 ・症状は、早い時には数分後から出始めるが、遅い時には数日後に出ることもある。 ・体重が50kgの大人の場合、ソラニンやチャコニンを50mg摂取すると症状が出る可能性があり、150mg~300mg摂取すると死ぬ可能性がある。 ●調理上の注意点 ・芽を根元を含めて完全に取り除く(多少皮より内側の部分も含めて多めに除く) ・皮をむく。特に、緑色になっているものは、皮を深くむく(皮より内側の部分も含めて緑色になっている部分は全て除く) ・日の当たる場所に置いているとソラニンやチャコニンの濃度が増えるが、土や汚れで緑色になっているか判別しにくい場合がある。 ・未熟な小型のイモを多量に食べたりするのはやめる(特に皮ごと食べるのは避ける)。 ・ジャガイモを茹でてもソラニンやチャコニンは分解しないので量は減らない。 なお、じゃがいもを170℃以上で揚げると、ソラニンやチャコニンが分解するので量が減るが、緑色の部分を取り除かなかった場合には食中毒の起きた事例がある。 ※揚げたり炒めたり焼いたりすると、じゃがいもに含まれる糖とアミノ酸の一部が反応して、アクリルアミドという化学物質が生成する。 じゃがいもを冷蔵庫で保存した場合は糖の濃度が高くなるので、揚げたり炒めたり焼いたりするとアクリルアミドの生成量が増える可能性がある。 ※参考サイト 農林水産省/食品中のソラニンやチャコニンに関する情報
にんじんの効能の概要
・オレンジ色の濃いものの方がカロテンが多く、栄養価が高い。 ・にんじんのカロテンは皮の近い部分に多く分布しているので皮ごと利用するほうが良い。 ・食べ物としてのにんじんの抗がん性は多くの実験で確認され、アメリカの国立ガン研究所が作成したがん予防効果が期待できる食品リストには、にんじんがにんにくと同じ最重要品のランクに挙げられている。 ・にんじんには血中の白血球数を増やす作用のある因子が含まれ、その作用が薬剤での効果に匹敵することが動物実験で確かめられている。 ・同じく動物実験で、がん細胞を壊死させる因子を増やす作用の強いことが確認されている。 ・食物繊維がかなり含まれていて、その主成分はリグニンやセルロース、ペクチンなど。 ・カリウムが多い。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
・β-カロテンは皮の近くに多く含まれているので、皮は薄くむくようにする。 ※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』
れんこんの効能の概要
・レンコンのアク成分であるポリフェノールは、一般にタンニンと呼ばれているもの。 ・レンコンは野菜の中では食物繊維が比較的多い。 ・デンプンが15.5%含まれていて、野菜の中では高エネルギー。 ・パントテン酸を多く含む。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
・はすに含まれるアルカノイドの仲間・アルメパピンは、心臓に適度に働き、血液の循環を改善する。同じアルカノイドの仲間・ミランチンは穏やかなマヒ作用があり、消炎作用や潰瘍を治すことが期待できる。 ※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』
タンニン、レンコンポリフェノール
・レンコンを折ると折面が黒くなるのは、レンコンポリフェノールのタンニンが酸化するため。 ・血管を収縮させる作用があることから潰瘍や鼻血など様々な止血作用に利用され、花粉症等のアレルギー症状にも用いられる。 ※参考資料『佐竹元吉(2016)機能性野菜の科学 日刊工業新聞社』
・時間が経つと黒くなり、渋みの元の成分はタンニン。胃潰瘍、十二指腸予防に有効。 ※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』
しょうがの効能の概要
・辛味成分であるショウガオールには抗がん作用があることが動物実験で確かめられている。 また、しょうがには白血球数を増加させる作用が大きいことや免疫力をアップする作用もあり、がんを予防する食べ物としての期待が大きい。 アメリカの国立ガン研究所が作成した、がん予防が期待できる食品のリストに、にんにくやにんじんと同じ最重要品目のランクに挙げられている。 ・しょうがの辛味成分であるジンゲロンやショウガオールには強い殺菌作用がある。生魚などの薬味として食中毒を防ぐ効果が大きい。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
・2000年にイスラエルで行われた研究では、生姜エキスがマウスの粥状動脈硬化病変の進展を顕著に減弱させ、LDL値を低下させたという。 ・生姜の成分のフラボノイドは、抗酸化作用をもつ。 ※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』
・辛味成分ショウガオールとジンゲロールが血行を促進する。発汗作用を高める働きがある。 ・香り成分のジンギベレンには、胃腸を健康にする作用や、胃腸を健康にする作用や咳止め作用、神経痛や月経痛の緩和作用があると言われている。 ・上記の辛みや香り成分は、細かくきざむほどその特性が生かされる。 ・しょうがの辛い成分や香り成分は皮の近くに多くが含まれている。皮をむかずに使うほうが効果的。 ※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』
ジンゲロール
・辛味成分。 ・新陳代謝によく働きかけ、発汗作用を促すだけでなく、血液の流れをよくしたり、胃腸の働きをよくする。 ・からだを温める作用もある。 ・殺菌作用があり、食中毒を防ぐ効果がある。 ※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』
ショウガオール
・辛味成分であるショウガオールには抗がん作用があることが動物実験で確かめられている。 ※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』
・ショウガオールには抗菌作用と抗酸化作用があり、がん予防に役立つとされている。 ※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』