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増殖しない細胞
●神経細胞、心筋細胞は増殖しない ・神経細胞は記憶を担い、体験に応じてネットワークを柔軟に作り変えていくので、その神経細胞が新しいものに置き換わってしまったら、折角の蓄積が失われてしまう。 ・心筋細胞は一時も休めないため、増殖せず長い寿命を持っている。 ※参考資料『NHK「サイエンスZERO」取材班(2011)長寿遺伝子が寿命を延ばす NHK出版』
脳卒中と長寿
・脳卒中のリスクは年齢とともに急激に上昇し、90歳代後半で頂点に達する。100歳以上の人では脳の損傷が少ない。 ・アルツハイマー病も年齢とともに増加し、頂点に達した後で減少に転じる。 ※参考資料『デヴィッド・スノウドン(2004)100歳の美しい脳 DHC』
オートファジーと寿命、認知症
・体のなかではタンパク質の品質管理がなされていて、食べるものがなくなり、タンパク質が不足すると、細胞の中の古いものを分解して新しいものの材料になる仕組み(オートファジー)がある。 ・このオートファジーがうまく行われていることこそ寿命の延長につながるということが分かってきた。ミトコンドリアもオートファジーでリニューアルされている。 ・アルツハイマー病は、このタンパク質の品質管理がうまく行われずに、神経の中に古くなって質の落ちたタンパク質がどんどん溜め込まれてしまっている、という見方がある。 ※参考資料『伊藤裕(2011)腸!いい話 朝日新聞出版』
胃ろう
・日本では、胃ろうが高齢者の終末期医療に広く使われている。世界一の平均寿命はこの胃ろうが寄与している? ※参考資料『NHK「サイエンスZERO」取材班(2011)長寿遺伝子が寿命を延ばす NHK出版』
老年学の二つの説
●積極説 ・老化というプロセスは積極的に発達した。 ・動物の個体には、自身を衰えさせ死に至らせる機能が埋め込まれている。そして死ぬことで何らかの方法で子孫に役立っている。 ●消極説 ・老化という現象が進化したのは、老化自体に意義があるからではなく、他の現象(自分の肉体を維持するよりも繁殖に力を注ぐ方が理にかなっているなど)の副産物として消極的に発生した。 ・体内に老化はプログラミングされておらず、肉体の維持よりも大切なことを優先した結果としての、身体の段階的な衰え。 ○老いた個体の進化 ・若い個体の方がたくさん子供を作るという理由から、若い個体の方が進化を遂げる。老いた個体も進化するものの、若い個体ほど進化圧が強くかからないので、若い個体ほど進化しない。 ・進化にとっての高齢のヒトの重要性が薄れた結果、老化とともに悪影響を及ぼす遺伝子が蓄積される傾向が強まる。 年を取って初めて悪影響を及ぼすので、繁殖をする上では支障がなく、順調に繁殖を続け今日に至った。 ※参考資料『デイヴィッド・ベインブリッジ(2014)中年の新たなる物語 筑摩書房』