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脂質異常症の診断基準
●血液検査の脂質に関する項目
○総コレステロール(TC)
・HDLやLDLなどに含まれるコレステロールの総量を測定したもの。
○中性脂肪(TG、トリグリセライド)
・食事で摂取される脂肪のほとんどが中性脂肪で、体内ではエネルギー源となる。余剰は脂肪組織や肝臓に貯蔵される。
○HDLコレステロール
・HDL(高比重リポたんぱく)に含まれるコレステロールを測定。
・血中の余分なコレステロールを肝臓に戻す運搬役で、”善玉コレステロール”とも呼ばれている。
○LDLコレステロール
・LDL(低比重リポたんぱく)に含まれるコレステロール。
・測定値にばらつきがあるため、以下のフリードワルドの式を使って計算する。
LDL=TC-HDL-TG
中性脂肪(TG)が400以上の場合は、non HDLを使用し、LDLの診断基準に+30して評価する。
non HDL=TC-HDL
・LDLはコレステロールを肝臓から全身に運ぶ働きをしている。
・多すぎると動脈硬化を促進するため、”悪玉コレステロール”とも呼ばれている。
●脂質異常症の診断基準
○総コレステロール(TC)
・HDLやLDLなどに含まれるコレステロールの総量を測定したもの。
○中性脂肪(TG、トリグリセライド)
・食事で摂取される脂肪のほとんどが中性脂肪で、体内ではエネルギー源となる。余剰は脂肪組織や肝臓に貯蔵される。
○HDLコレステロール
・HDL(高比重リポたんぱく)に含まれるコレステロールを測定。
・血中の余分なコレステロールを肝臓に戻す運搬役で、”善玉コレステロール”とも呼ばれている。
○LDLコレステロール
・LDL(低比重リポたんぱく)に含まれるコレステロール。
・測定値にばらつきがあるため、以下のフリードワルドの式を使って計算する。
LDL=TC-HDL-TG
中性脂肪(TG)が400以上の場合は、non HDLを使用し、LDLの診断基準に+30して評価する。
non HDL=TC-HDL
・LDLはコレステロールを肝臓から全身に運ぶ働きをしている。
・多すぎると動脈硬化を促進するため、”悪玉コレステロール”とも呼ばれている。
●脂質異常症の診断基準
LDL | 140mg/dL以上 | 高LDL血症 |
120~139mg/dL上 | 境界域高LDL血症 | |
HDL | 40mg/dL未満 | 低HDL血症 |
中性脂肪 | 150mg/dL以上 | 高トリグリセライド血症 |
脂質異常症が関連する疾患
・脂質異常症は死亡に直結する疾患ではなく、動脈硬化性疾患、特に心筋梗塞や脳梗塞のリス
クとなる。
クとなる。
●低HDL、高中性脂肪と虚血性循環器疾患(虚血性心疾患および脳梗塞)の発症との関連 ○調査方法 ・40~69歳の男女約2万3000人を1993年から2005年まで追跡調査。 ・研究開始時の健診データを用いて、高血圧を含むメタボリックシンドロームの有無を調べ、その後の脳卒中発症および虚血性心疾患発症のハザード比および人口寄与危険度割合を計算した。 ○虚血性心疾患の発症との関連 ・低HDLの男性のハザード比は2.48(1.53~4.03)、女性は1.37(0.71~2.64)であった。 ・高中性脂肪の男性のハザード比は1.76(1.10~2.81)、女性は0.70(0.31~1.58)であった。 ○脳梗塞の発症との関連 ・低HDLの男性のハザード比は1.48(1.03~2.14)、女性は1.41(1.00~1.98)であった。 ・高中性脂肪の男性のハザード比は1.42(1.04~1.93)、女性は1.33(0.91~1.95)であった。 ※参考資料 ・メタボリックシンドローム関連要因(メタボ関連要因)と循環器疾患発症との関連 ・・多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
※HDLと循環器疾患発症との関連については以下の研究も参照。
HDLコレステロールと循環器疾患発症との関連について
●非喫煙、血圧、血糖、体重が正常でもコレステロールが高いと心臓病リスク増加? ・55歳の時点で、約40%が過去10年にわたってコレステロール高値であったが、15年の追跡期間中、これらの人々の心臓病リスクは16.5%であり、高値ではない者が4.4%だったことから、約4倍の上昇と考えられた。 ・この傾向はコレステロール以外のリスクのない人々で特に強い傾向がみられた。タバコを吸わず、血圧も血糖値も正常範囲にあり、体重も普通範囲だが、コレステロールが高いことで問題が起こるリスクが高まるようだ。
●HDLが高くてもLDLと中性脂肪も高いと効果がない? HDLの値が独立して(LDL、中性脂肪(トリグリセリド、TG)の値と関係なく)心血管疾患リスクに影響しているのか、それとも、LDLやTGの値に依存しているのか調べたところ、以下のような事が分かった。 ・HDLは、心血管リスクを一様に予測することはなかった。 ・TGおよびLDLにより、HDL低値とHDL高値いずれにおいても、心血管疾患の発症率が変化した。 ・LDLとTGのいずれか一方が高濃度、または両方が高濃度で存在すると、HDL低値による単独のものの作用と比較し、心血管疾患リスクは30~60%高くなった ・TGおよびLDLが100mg/dLを超えている場合には、HDL高値は心血管疾患リスクの減少とは関連していなかった。 上記結果より、HDLの保護作用がTGとLDLの濃度に依存していて、これらの脂肪が正常範囲にないと、HDL高値であっても保護効果はない、ということを示している。
飽和脂肪酸摂取との関連
・飽和脂肪酸の摂取量が多いと血液中のコレステロールが高くなる関係がある。 ○なぜ、飽和脂肪酸を多く摂取すると血液中のコレステロールが増えるのか? ・飽和脂肪酸は主に動物性食品に含まれているが、動物性食品はコレステロールも含んでいるので、飽和脂肪酸の摂取が多い人はコレステロールの摂取も多くなっている。 それ以外に、飽和脂肪酸は肝臓でのコレステロール合成を活発にする作用があり、食事から飽和脂肪酸を摂取すると肝臓で合成されるコレステロールが増え、たくさんのVLDLを作って血液の中に出て行く。結果としてLDLも増えてしまう。 食事の中のコレステロール含量が多くなくても飽和脂肪酸の摂取量が多いと、食べた後に肝臓でのコレステロール合成が増えてしまってLDLが増えてしまう。 ※参考情報『林 洋(2010)嘘をつくコレステロール 日本経済新聞出版社』
●飽和脂肪酸摂取量と総コレステロール濃度 ・飽和脂肪酸摂取量と血清(又は血漿)総コレステロール濃度が正の関連を有する。 Keysの式 ⊿血清総コレステロール(mg/dL)=2.7×⊿S-1.35×⊿P+1.5×⊿ √C Hegstedの式 ⊿血清総コレステロール(mg/dL)=2.16×⊿S-1.65×⊿P+0.068×⊿C ⊿S:飽和脂肪酸摂取量の変化量(% エネルギー) ⊿P:多価不飽和脂肪酸摂取量の変化量(% エネルギー) ⊿ √C:コレステロール摂取量(mg/1,000 kcal)の変化量 ⊿C:コレステロール摂取量(mg/1,000 kcal)の変化量 ・Keysの式は、日本人成人でもほぼ成立することが報告されている。 ・国民栄養調査のデータを用いた横断的解析でも、飽和脂肪酸摂取量と血清総コレステロール濃度との間には正の相関が観察されている。 ・27の介入試験(詳細は報告されていないが全て欧米諸国で行われた研究と思われる。総対象者数は682人、介入期間は14~91日間)をまとめたメタ・アナリシスによれば、総エネルギー摂取量の5%を炭水化物から飽和脂肪酸に変えると平均して6.4mg/dLの血清LDL濃度の上昇が観察されている。 研究数を増やした別のメタ・アナリシスでもほぼ同様の結果が得られている。 ・血清総コレステロール並びにLDL濃度への影響を飽和脂肪酸の炭素数別に検討したメタ・アナリシスによると、ラウリン酸(炭素数が12)、ミリスチン酸(同じく14)並びにパルミチン酸(同じく16)では有意な上昇が観察されたが、ステアリン酸(同じく18)では有意な変化は観察されなかった。 このように、飽和脂肪酸の中でも炭素数の違いによって血清コレステロール濃度への影響が異なることが指摘されている。 ●飽和脂肪酸摂取量とLDL ・欧米での多くの介入研究では、飽和脂肪酸摂取量を減少させると、冠動脈疾患罹患率、動脈硬化度、LDL値がの減少することが示されている。 ●高脂質食とHDL ・高脂質食/低炭水化物食によってHDLを増加させることができるが、飽和脂肪酸の摂取量が増加すると、LDLを増加させ、総死亡率を増加させるため、長期間の摂取は好ましくない。 ※参考資料 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
食事からのコレステロール摂取との関連
●食事から摂取したコレステロールの概要
・コレステロールは体内で合成できる脂質であり、12~13mg/kg体重/日(体重50kgの人で600~650mg/日)生産されている。
・摂取されたコレステロールの40~60%が吸収されるが、個人間の差が大きく遺伝的背景や代謝状態に影響される。
このように経口摂取されるコレステロール(食事性コレステロール)は体内で作られるコレステロールの1/3~1/7を占めるのに過ぎない。
・コレステロールを多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成は減少し、逆に少なく摂取するとコレステロール合成は増加し、末梢への補給が一定に保たれるようにフィードバック機構が働く。
このためコレステロール摂取量が直接血中総コレステロール値に反映されるわけではない。
・コレステロールは体内で合成できる脂質であり、12~13mg/kg体重/日(体重50kgの人で600~650mg/日)生産されている。
・摂取されたコレステロールの40~60%が吸収されるが、個人間の差が大きく遺伝的背景や代謝状態に影響される。
このように経口摂取されるコレステロール(食事性コレステロール)は体内で作られるコレステロールの1/3~1/7を占めるのに過ぎない。
・コレステロールを多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成は減少し、逆に少なく摂取するとコレステロール合成は増加し、末梢への補給が一定に保たれるようにフィードバック機構が働く。
このためコレステロール摂取量が直接血中総コレステロール値に反映されるわけではない。
●食事性コレステロールを減らすとLDLが下がる? ・肝臓にコレステロールがたくさん溜まってくると、肝臓はLDL受容体を介して血液中のLDLを取り込まなくなって、LDLの値が高くなってしまう。 ↓ 食事から摂取するコレステロールの量を減らすと、肝臓はLDL受容体をたくさん作って細胞表面に出し、血液中のLDLを取り込もうとする。 ↓ 血液中のLDLが低下する。 ○体質によって血液中コレステロール値の減り方が異なる ・肉や魚の動物性食品にはコレステロールが含まれていて、卵の卵黄には一個当たり約260mgのコレステロールが含まれている。 一般的には、食品からのコレステロール摂取量がおよそ100mgを超えると血液中のコレステロールが増え始め、摂取量が300ないし400mgを超えると、それ以上にコレステロールを摂取しても、もはや血液中のコレステロールは、それ以上には増えないとされているが、摂取量をどの程度減らすと、どれくらいコレステロールが下がるかは、個人差が大きく、その効果も個々人で異なる。 もともと体質的に食事からのコレステロールの吸収が悪い人はコレステロールをたくさん摂取しても血液中のコレステロールも増えないが、逆に吸収が良い人はわずかばかりコレステロールを摂取しただけでも血液のコレステロールが増えてしまう。 ※参考情報『林 洋(2010)嘘をつくコレステロール 日本経済新聞出版社』
●食事性コレステロール摂取とコレステロール値 ・以下のKeysの式並びにHegstedの式によれば、食事性コレステロールの摂取によって血清総コレステロール濃度が上昇することが示されている。 ・飽和脂肪酸摂取量と血清(又は血漿)総コレステロール濃度が正の関連を有する。 Keysの式 ⊿血清総コレステロール(mg/dL)=2.7×⊿S-1.35×⊿P+1.5×⊿ √C Hegstedの式 ⊿血清総コレステロール(mg/dL)=2.16×⊿S-1.65×⊿P+0.068×⊿C ⊿S:飽和脂肪酸摂取量の変化量(% エネルギー) ⊿P:多価不飽和脂肪酸摂取量の変化量(% エネルギー) ⊿ √C:コレステロール摂取量(mg/1,000 kcal)の変化量 ⊿C:コレステロール摂取量(mg/1,000 kcal)の変化量 しかし、食事性コレステロールと血清総コレステロール濃度又はLDL濃度との間に強い関連が観察されるのは、コレステロール摂取量がある一定の範囲にある場合に限定されており、あまり明確ではないものの、およそ100~350mg/日の範囲で両者は強い関連を示しており、それ未満でもそれ以上でも両者の関連は明確でないとしている。 一方、別の報告では、コレステロール摂取量が400mg/1,000kcalまでの範囲では、コレステロール摂取量と血清総コレステロール濃度の関連はほぼ直線的であるとしている。 ※参考資料 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
不飽和脂肪酸摂取との関連
●一価不飽和脂肪酸
・血中脂質を比較した欧米での多くの介入研究から、高一価不飽和脂肪酸食は、LDL値は増加させず(高飽和脂肪酸食では増加)、HDL値を減少させず(高炭水化物食では減少)、空腹時中性脂肪値は増加させない(高炭水化物食では増加)ことが報告されている。 しかし、炭水化物を一価又は多価不飽和脂肪酸で置き換えると、血中LDL値の低下は、多価不飽和脂肪酸の方が一価よりも強い。 一価不飽和脂肪酸は飽和脂肪酸や高炭水化物に対して優位性を示すが、多価不飽和脂肪酸との比較で優位性はない。 ・炭水化物を同量のエネルギーを有する一価不飽和脂肪酸に食べ替えた研究では、血清総コレステロール濃度並びにLDL濃度には有意な関連を示さなかった。 ※参考資料 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
●多価不飽和脂肪酸
●脂肪とHDL ・介入試験をまとめたメタ・アナリシスによれば、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸全てがHDLを有意に上昇させることが示されているが、その変化量は僅かである。 ●多価不飽和脂肪酸とLDL ・27の介入試験(総対象者数は682人、介入期間は14~91日間)をまとめたメタ・アナリシスによれば、総エネルギー摂取量の5%を炭水化物から多価不飽和脂肪酸に食べ替えると平均として2.8mg/dLの血清LDL濃度の減少が観察されている。 研究数を増やした別のメタ・アナリシスでもほぼ同様の結果が得られている。 ●α-リノレン酸(n-3系)とHDL、LDL ・n-3系のα-リノレン酸をサプリメントとして付加して血清脂質の変化を観察した17の介入試験をまとめたメタ・アナリシスでは、HDL濃度が有意に低下したが、LDL濃度には有意な変化は認められなかった。しかし、この研究では摂取量は報告されていない。 ●魚類由来長鎖n-3系脂肪酸(EPA 又はDHA)とLDL ・サプリメントとして付加して血清脂質の変化を観察した47の介入試験をまとめたメタ・アナリシス(インドで行われた二つの研究を除いて全て欧米諸国で行われた研究、脂質異常症で糖尿病、心筋梗塞の既往など心血管系疾患リスクを有する成人男女を対象)では、LDL濃度は有意な上昇を示している。 しかし、この研究における摂取量の平均値は3.25g/日と、通常の食品からの摂取量としてはかなり多く、一方で、LDL濃度の上昇は平均2.3mg/dLと小さく、現実的な意味は乏しいと考えられる。 糖尿病患者を対象とした類似の研究をまとめたメタ・アナリシスでもほぼ類似の結果が報告されている。 ●EPA、DHAとHDL ・EPAやDHAを含んだサプリメント投与研究のメタ・アナリシスで、DHAはHDLを増加させるが、EPAは増加させないことが示されている。 しかし、低HDLコレステロール血症患者にDHAを投与して、心筋梗塞罹患が減少するとの報告はない。その理由の一つに、DHA投与によりLDLが増加することが考えられる。 ●魚類由来長鎖n-3系脂肪酸と中性脂肪値 ・魚類由来長鎖n-3系脂肪酸をサプリメントとして負荷して血清脂質の変化を観察した47の介入試験をまとめたメタ・アナリシスでは、血清トリグリセライド濃度は有意な減少を示している。 この研究における摂取量の平均値は3.25g/日と、通常の食品からの摂取量としてはかなり多いものの、血清トリグリセライド濃度の低下は平均30mg/dLであり、現実的にある程度意味のある低下量であるかもしれない。 ※参考資料 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
炭水化物摂取との関連
●炭水化物、脂肪酸摂取と中性脂肪値 ※%E(エネルギー比率) 総エネルギー摂取量に占める割合 ・炭水化物から、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に食べ替えると、血清トリグリセライド濃度が有意に減少することがメタ・アナリシスで示されている。 そして、その影響は互いにほぼ等しく、5%Eの炭水化物をそれぞれの脂肪酸に食べ替えると、血清トリグリセライド濃度が10~12mg/dL程度減少するとされている。 ※参考資料 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
食物繊維摂取との関連
・水溶性食物繊維は、コレステロールを含んだ胆汁酸を吸着し、そのまま便として排出してくれる。 胆汁酸はコレステロールから作られるので、胆汁酸の肝臓での再吸収を抑えれば、血液中のコレステロールが原料となって胆汁酸が合成されるので、その分、コレステロールを下げることができる。 ※参考資料『近藤和雄(2015)人のアブラはなぜ嫌われるのか 技術評論社』
●食物繊維とコレステロール ・コレステロールと中性脂肪はともに肝臓で作られる。胆汁酸は肝臓でコレステロールを材料にして作られる。 ・食物繊維を摂取すると胆汁酸中のコレステロールが食物繊維に吸収されて、脂肪のミセル化が十分にできなくなり、中性脂肪やコレステロールの消化・吸収が低下する。 食物繊維に胆汁酸中のコレステロールが吸着されて、小腸でのコレステロールの再吸収が十分に行われなくなるために、LDL値が低下する。 ※参考情報『小坂眞一(2008)心臓病の9割は防げる 講談社』
●食物繊維とLDL ・67の介入試験をまとめたメタ・アナリシスは、水溶性食物繊維摂取量は血清LDL濃度を低下させることを示している。 しかし、その効果は3g/日の摂取量の増加で5.0mg/dL程度の低下のため、水溶性食物繊維摂取量を増加させる現実的な意味は僅かかもしれないとしている。 ・血清LDL値との間でもメタ・アナリシスによって負の関連が示唆されているが、この効果は水溶性食物繊維に限定されている。 一方、LDL値低下作用は低グリセミック・インデックス食でも観察されており、グリセミック・インデックスが低い食事は総じて食物繊維、特に不溶性食物繊維が豊富であると考えられるため、高LDL値を示す人に対して水溶性・不溶性を問わず、食物繊維を勧めるのは好ましいと考えられる。 ●食物繊維と中性脂肪 ・67の介入試験をまとめたメタ・アナリシスは、水溶性食物繊維摂取量は血清トリグリセライド濃度に有意な関連を示さなかったと報告している。 ※参考資料 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
運動、肥満との関連
・コレステロールは、体の中でエネルギーになっているわけではないので、運動によるコレステロール減少効果はそれほど大きく無い。 ・運動不足の人は、エネルギーが消費されず、皮下脂肪や内臓脂肪として貯蔵される。その際に肝臓から脂肪細胞へ向けて中性脂肪を運ぶ役割をしているのがVLDLで、VLDLが増えるとそれに伴ってコレステロールも運ぶのでコレステロールの値も増えてしまう。 したがって、無駄な中性脂肪が肝臓から出ないようにすれば、VLDLも作られず、その分血液のコレステロールも減る事になる。 ただし、中性脂肪を減らす事によるコレステロールの減少はそれほど大きくはない。 ・VLDLが減ると、別の作用での効果もある。 VLDL、LDL、HDLは、それぞれが運搬している脂質を交換する作用がある。HDLが運んでいるコレステロールをVLDL、LDLに渡したり、逆にVLDL、LDLが運んでいる中性脂肪をHDLに渡したりしている。 VLDLが多いと、よりたくさんのコレステロールがHDLからVLDLに引き渡されてしまう。 中性脂肪が多い人は一般にHDLが低下しているが、それは上記作用が関係していると言われている。 ※参考情報『林 洋(2010)嘘をつくコレステロール 日本経済新聞出版社』
●肥満とHDL ・肥満症、内臓肥満の患者ではエネルギー摂取量を減らして減量が安定すればHDL値は増加する。(エネルギー摂取量の制限中はLPL(リポタンパク質リパーゼ)活性が減少するため、HDL値は減少することに注意する。) ※LPL(リポタンパク質リパーゼ) リポタンパク質態の中性脂肪のエステル結合を加水分解する反応を触媒するリパーゼ ※参考資料 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書