認知症と脳梗塞の関連に関する情報をメモ書きしています。
●”ラクナ梗塞”と”アテローム梗塞”
・”ラクナ梗塞”、”アテローム梗塞”は脳血栓症の範疇に入り、細い血管の動脈硬化によるものをラクナ梗塞、太い血管の動脈硬化によるものをアテローム梗塞という。
●アテローム性動脈硬化と脳の組織 ・血管の内壁にプラークと呼ばれる脂肪層が形成されるために血管が狭くなる。すると運べる血液の量が少なくなって、身体の組織や器官に十分な酸素や栄養が行き渡らない。 ・酸素が少なくなった脳では、まず神経細胞が死に、脳の組織に炎症が起こる。これが炎症性カスケード反応の始まり。 細胞から放出された有毒物質がされに多くの脳細胞を殺し、血管まで傷つける。 ●ラクナ梗塞、脳卒中とアルツハイマー病の相互作用 ・ラクナ梗塞は、脳の小さな血管がアテローム動脈硬化になり、プラークがたまって血液が妨げられると起こる。 ただそうなるまでには長い時間がかかるので高齢になると脳卒中のリスクが格段に高まる。 ・プラークと神経原繊維変化にラクナ梗塞が加わると脳内のコミュニケーションが妨げられ、様々な能力が失われる事がある。 ・アメリカの修道女を対象に追跡した研究(ナン・スタディ)によると、"アルツハイマーの脳"と診断されたシスターで、白質、視床、その近くの脳幹神経節にラクナ梗塞がある人は97%が認知症。一方、"アルツハイマーの脳"でも梗塞が全くないと57%に下がる。 ・脳卒中の経験がある人は、神経原繊維変化が少なくても認知症の症状が出やすい?ラクナ梗塞がないと認知症の症状が出にくい? "アルツハイマーの脳"になってもラクナ梗塞を発生しないように予防すれば認知症を防げる? ※参考資料『デヴィッド・スノウドン(2004)100歳の美しい脳 DHC』
●脳とコレステロール ・コレステロールは細胞膜の材料として使用されているので、胃腸の粘膜や皮膚の細胞など新陳代謝が激しく、古い細胞から新しい細胞が頻繁に生まれ変わる場所で多く使用される。 脳の神経細胞は増殖がほとんど行われないので、コレステロールが余りやすい。余ったコレステロールは、血液脳関門を通過できず、たまる一方となる。このコレステロールが脳に悪影響を及ぼす可能性がある。 動脈硬化を治療する目的でコレステロールを下げる治療を行ったところ、認知症も一緒によくなったという報告があった。調べてみるとアルツハイマー病の人の脳内には、そうでない人よりも、コレステロールが多く溜まっているということが分かった。 コレステロールそのものが認知症の原因ではないが、何らかの関与をしていると考えられている。 ※参考資料『林 洋(2010)?をつくコレステロール 日本経済新聞出版社』
●高血圧とアルツハイマー病 ・高血圧を放置しておくと、アルツハイマー病のリスクは2倍に、脳血管性認知症の危険性は6倍になる。 ・高血圧が続くと脳の微小血管に病変や血栓が生じ、酸素と糖が脳細胞に供給されなくなり、脳細胞が減少してしまう。これが脳血管性認知症。 以前はアルツハイマー病と脳血管性認知は別の病変と考えられていたが、現在では深く関連していると考えられている。アルツハイマー病の患者の5割に脳血管の損傷が見られ、同時に双方を患うことも少なくない。 ・高血圧は脳卒中の確率を高くする。脳卒中を起こすとアルツハイマー病のリスクが高くなる。脳卒中がきっかけとなってβアミロイドの生成を刺激する特定のタンパク質を分泌したり、脳卒中によって脳に炎症が起き、その結果アルツハイマー病を引き起こす。 ※参考資料『森下竜一,桐山秀樹(2015)アルツハイマーは脳の糖尿病だった 青春出版社』