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運動の認知能力、認知症に対する効果
・運動すると、抗欝効果のある脳内物質の産生が増えることが示された。 ・運動するとVGF神経成長因子をコードする遺伝子が活性化する。VGFは神経細胞の発達と維持に欠かせないタンパク質で、この発見は、運動をするかしないかが脳の健康、さらには認知症やアルハイマー病の発症にも影響することへのさらなる裏づけとなった。 ※参考資料『デイビッド・B.エイガス(2013)ジエンド・オブ・イルネス 日経BP社』
・アミロイドβタンパクを分解する酵素が発現する ・脳への血流が増加する →運動野の神経細胞を活性化 ・脳内の神経伝達物質(エンドルフィン、ドーパミン、セロトニン)を増やす。ランナーズハイ ・フリーラジカル(活性酸素)のもととなる古い酸素を追い出す ・脳内の血管を再生、ホルモンバランスを整える ※参考資料『伊藤隼也(2014)ボケない長寿脳の作り方 宝島社』
・運動は血管の健康を保つための確実な方法の一つ。 ・身体を動かすと血流が増え、脳が活発に働くために必要な酸素と栄養がたくさん入ってくる。さらにストレスホルモンを減らし、脳細胞の栄養となる化学物質が増える。その結果うつ病を避ける事が出来るし、脳組織の損傷を防ぐ事が出来る。 ※参考資料『デヴィッド・スノウドン(2004)100歳の美しい脳 DHC』
●認知症と運動 ・パーキンソン病の場合、黒質が最初に機能不全を起こすが、アルツハイマー病では、神経変異性は海馬で始まり、そのために海馬は縮小し始め、短期記憶の能力が失われる。 ・アルツハイマー病では、脳は可塑性を失ってニューロン間の結合を形成できなくなり、さらにニューロンの多くは死滅する。 ○2013年、ピーター・エルウッド博士(イギリスのカーディフ大学) ・30年にわたり、ウェールズの45~59歳の男性2235人を追跡し、5つの活動が健康状態に影響を及ぼすか否か、認知能力の低下、認知症、心臓病、がんの発症、早期の死を引き起こすか否かについて調査を行った。 ・結果は、以下に挙げる5つの活動のうち、4つまたは5つを実践した被験者は、認知(心的)能力の低下、認知症のリスクが60%低下した。 ①運動(活発な運動、もしくは一日に少なくとも3.2kmの歩行、もしくは1日に16kmの自転車走行) ②健康的なダイエット(一日に少なくとも3~4回、果物と野菜を摂取する) ③正常な体重(18~25のBMIの維持) ④アルコール飲料の摂取を控える。(アルコールはときに神経毒として機能する) ⑤禁煙(毒素回避の一つ) ・運動は、全般的な認知能力の低下と認知症のリスクを減らすもっとも強力な要因。 ○2011年、J・E・アルスコグ(メイヨークリニック)のメタ分析の調査 ・認知症を中心に運動と認知障害を扱った既存の研究1603件のすべてを再調査。 ・選ばれた29件のランダム化比較試験には、運動(ほとんどが有酸素運動)は、認知症に罹患していない成人における記憶、注意力、処理速度、および計画を立てて実行する能力の改善に役立つと記されていた。 ・ほとんどの研究では、典型的な運動量は一週間に2.5時間の有酸素運動とされていた。 ※参考資料『ノーマン・ドイジ(2016)脳はいかに治癒をもたらすか 紀伊國屋書店』
○カール・コットマンの研究 ・遺伝子操作によってアミロイド斑を蓄積しやすくしたマウスを使って脳の効果を調べた。 ・運動したマウスは、不活発だったマウスに比べてアミロイド蓄積のペースが落ちることが分かった。 ○フィンランドの集団調査 ・1970年代初頭に1500人に対して実施された調査をベースに、21年後に再調査。 ・65歳から79歳になっていた対象者のうち、少なくとも週2回運動していた人は、認知症になる確率がそうでない人より50%低かった。 ※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』
ネットニュースによる関連情報
●種類によらず運動によって高齢者の認知機能が改善 ・62-84才の参加者を対象に、異なるトレーニング方法が認知機能に及ぼす効果を比較した。第1グループと第2グループは高強度の有酸素運動と筋力トレーニングプログラムを割り当てられ、第3グループは全般的運動活動(コーディネーション・バランス・ボールゲーム・移動運動・柔軟性)の向上目指したトレーニングを行った。 ・認知機能は3群全てにおいて同等の改善を示した。
●中年期の中強度の運動は認知機能低下を防ぐ? ・中等度の身体活動量が記憶の維持には十分であり、もっとも不活動であった群のみが目立って認知的機能減退の高リスクを抱えているという事が明らかになった。 ・全般的に、本研究では中強度の運動、例えばやや早歩きでのウォーキングなどが、25年後のより良い認知機能を予見する因子となりそうだ、と研究者は報告する。