健康情報のメモ

アンチエイジングメモ、長寿の人の特徴

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
  1. 性格
  2. 教育
  3. 認知トレーニング
  4. 交友関係
  5. 人生の目標
  6. 多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス
  7. ネットニュースによる関連情報

性格

●スタンフォード大学の"長寿プロジェクト"、性格の影響
 
・慎重で、粘り強く、几帳面な性格の子供が長生きだった。
・下記は正しくなかった?
 結婚は長生き。働きすぎより気楽。ストレスをなくし楽しく暮らす、心配はよくない、
子供はまじめより、伸び伸びとする。
 
●"女性的"だと長生き?
 
"女性的"な男性の寿命>"男性的"な男性の寿命
"女性的"な女性の寿命>"男性的"な女性の寿命
 
※参考資料『杉本正信(2012)ヒトは一二〇歳まで生きられる 筑摩書房』

 

●感情表現と長寿
 
・若い頃の自伝の前向きな感情表現がその後の長寿を予言?
・感情表現が最小の群と最大の群で6.9歳の寿命の開き。死亡リスクが2倍。
 
※参考資料『デヴィッド・スノウドン(2004)100歳の美しい脳 DHC』

教育

●教育と長寿
 
・修道女はライフスタイル(たばこ、住居、医療、所得)は同等だが、学歴が高いシスターほど、どの年齢で比べても死亡率が低い。
 教育には生命を守ってくれる効果があり、若い頃から一生続く。
 
※参考資料『デヴィッド・スノウドン(2004)100歳の美しい脳 DHC』

ネットニュースによる関連情報

●両親が長寿の場合の心血管疾患のリスクとの関連
 
・両親が長命である者は、心血管系の障害、即ち心不全、脳卒中、高血圧、高コレステロール、心房細動などの症状が低めであることが明らかになった。
例えば、60-70代に心疾患で死亡するリスクは、両親の少なくとも一方が70歳以上まで生存していた場合、20%低下した。加えて、がんによる死亡リスクも7%低下した。

認知トレーニング

●認知トレーニング
 
・認知トレーニングについての研究結果では、改善が見られたといっても実質的には各認知機能のテストの成績が少しだけ上がっただけであって、電話番号が思い出しやすくなった、あるいはスーパーの陳列棚から商品を見つけやすくなったなどの日常生活での有益な機能改善はみられなかった。
 
・これまでの認知トレーニングの成果に関しては、以下の点について専門家の意見が一致している。
①健常高齢者を対象としたほとんどの研究で、認知トレーニングが認知機能テストの成績を改善できている。
②加齢による機能低下が顕著である能力ほど、認知トレーニングによって大きな改善が見られている。
③認知トレーニングの対象になっている能力の成績のみに改善がみられている。(プラセボ効果であれば、対象以外の能力全般で得点が改善されるはずなので、効果はあるといえる)
④効果の持続性が明らかにされている。
⑤認知トレーニングによって認知機能テストの成績に改善がみられても、その効果の日常生活への波及はみられない。
 
○改善効果を日常生活へ波及させるには?
・単に言われたやり方をやるのではなく、自分たちのやり方も反映させる。
・認知トレーニングに運動等他の方法を組み合わせる。
 
※参考資料『ダグラス・パウエル(2014)脳の老化を防ぐ生活習慣 中央法規出版』

 

●脳トレと認知能力
 
・現在広く普及している脳トレーニング・ソフトの中で、研究室で練習した項目以外に応用が効いたという報告例はほとんどなく、大半が狭い応用である。
 
○ACTIVE(自立した元気なお年寄りのための認知能力上級トレーニング)テスト
・1988年にスタート。
・任意に集められた2832人の高齢者が4グループ(言葉を記録するトレーニング、問題解決能力を鍛えるトレーニング、問題処理の速度を上げるトレーニング、トレーニングを何もしない対照グループ)に分けた。
・実験では各グループが6週間強のあいだに、一種類のトレーニングを一時間ずつ10回行った。そして、トレーニングの後に、研究室で出される基本的な問題と、日常的な問題の両方で被験者の能力が試された。
・この実験では被験者(とりわけ問題処理速度のトレーニングを受けた人)の多くが、トレーニング後にたちまち能力が上り、その効果が何年も持続した。しかし、向上した能力は、自分が練習した項目に限られていた。言葉の記憶力を鍛えても問題処理速度は変わらないし、その逆も同様だった。
 
※参考資料『クリストファー・チャブリス,ダニエル・シモンズ(2011)錯覚の科学 文藝春秋』

交友関係

人間関係、コミュニケーション "人間関係と健康"参照

人生の目標

・人生の目標をもっていると、目標の達成のために、健康的な食事、運動、認知機能の維持に関わることを行う意思、継続性などの面で差が出るのかもしれない。
 
○ラッシュ大学メディカルセンターのボイル博士の研究
・シカゴに住んでいる約900名の健常高齢者を4年間追跡調査。
・よりしっかりとした人生の目標をもっている人はアルツハイマー病になる確率が低いことを報告。
・死後剖検の結果をもとに、脳の中ではアルツハイマー病の原因となるような病理的変化が起こっていたとしても、よりしっかりとした人生目標をもっている人ではそうでない人に比べて、生前、実際の認知機能の低下が少なかったという結果を示している。
 
※参考資料『ダグラス・パウエル(2014)脳の老化を防ぐ生活習慣 中央法規出版』

多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス

※多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
●教育歴、社会的役割と循環器疾患発症リスクとの関連
 
・研究開始時に行った最終学歴に関するアンケートから、女性を対象に①中学卒業(全体の54.8%)、②高校卒業(同・34.7%)、③短大、専門学校、大学以上(同・10.5%)の3つのグループで脳卒中・虚血性心疾患の発症を比較した。
 
○最終学歴
・高校卒業グループと比べ、中学卒業のグループの脳卒中発症リスクは約1.6倍、短大・専門学校・大学以上の高学歴グループは約1.4倍高いという結果だった。病型別では、くも膜下出血や脳梗塞において比較的強い関連がみられた。一方、虚血性心疾患の発症については、教育歴との関連は見られなかった。
 中学卒業のグループは、身体活動量が少なく、肥満や高血圧が多いという特徴があったため、そのような点に配慮した生活習慣改善の必要性が示唆された。
 
○就業状態
・就業状態別に調べると、低学歴グループに加えて高学歴グループでもリスクが高いという欧米とは異なる関連が、働いている女性でよりはっきりと見られた。
 働いている女性で高学歴のグループでは、心理的なストレスを認識している人の割合が高かったことが、要因の一つである可能性がある。
 
○家庭における役割の影響
・働いている女性の家庭における役割を同居人のカテゴリー(例:配偶者、親、子供、その他)により、家庭での役割が①なし(単身)、②1つのみ(例えば、夫のみと同居していれば役割は1つとする)、③2つ以上(例えば、夫と子供と同居していれば家庭での役割が2つとする)に分類し、家庭での役割の数による全脳卒中発症リスクを比較した。
・その結果、特に家庭における社会的役割が1つしかない高学歴女性では全脳卒中発症のリスクが高いが、一方、家庭において2つ以上の役割を持つ高学歴女性では全脳卒中発症リスクの増加がみられなかった。
 働いている高学歴女性の脳卒中発症リスクは家庭における役割が多いことで軽減される可能性が考えられる。

 

●学歴とがん・循環器系疾患罹患リスク及び死亡リスクとの関連について
 
・追跡開始時に行ったアンケート調査の結果を用いて、対象者を最終学歴によって3つのグループに分けた。中学校(高等小学校)までを"初等教育"グループ、高等学校(旧制中学校)を"中等教育"グループ、短大・専門学校、大学以上を"高等教育"グループとして、その後に生じた何らかのがん・循環器疾患の罹患リスクと死亡リスクを比べた。
 
○がん・循環器系疾患
・がん・循環器系疾患の罹患リスクついては学歴による差は見られなかった。また、がんによる死亡についても、学歴による違いは見られなかった。
・全死因による死亡と循環器系疾患による死亡についてはどちらも"初等教育"のグループで"高等教育"のグループよりもリスクが高くなった。"初等教育"グループでは全死因の死亡リスクが22%、循環器系疾患による死亡リスクが44%上昇していた。
 
○職業の種類と循環器系疾患の死亡リスクとの関連
・職業の影響を取り除いて検討したところ、循環器系疾患による死亡リスクの差が見られなくなった。
・職業と循環器系疾患による死亡リスクの関係を調べると、農林漁業、建設作業その他労務作業では、管理職、専門職、事務職に比べて、循環器系疾患による死亡リスクが高くなった。
・初等教育グループには循環器系疾患による死亡リスクが高い職業が多く、そのことが学歴による死亡リスクの違いにつながったと考えられる。
 
○医療サービスの利用に対する考察
・欧米の研究では、学歴が病気になった後の致死リスクと関連することが報告されている。
・今回の研究では、循環器系疾患になるリスクには学歴による差が見られなかったにも関わらず、それで死亡するリスクは「初等教育」グループで高いという結果だった。このことから、日本では国民皆保険制度が採用されているものの、発症後の医療サービスの利用に学歴による格差があるのではないかと考えられる。
 また、今回の研究では収入についての情報が得られなかったが、学歴による収入の差が、より高度な医療へのアクセスを制限していることも考えられる。

 

●教育歴と身体的機能障害の関連
 
・1990年に行われたアンケート調査から、社会経済的な格差を表す指標の代用となる条件として教育歴を取り上げ、対象者を①中学卒業(全体の48%)、②高校卒業(同39%)、③専門学校・短大・大学など(同13%)、の3つのグループに分けた。
 また、2000年の調査より、身体的機能障害について、外出時に介助必要(全体の0.8%)、あるいは屋内生活に介助必要(同0.3%)のいずれかと答えた人の割合(有病率)を算出し、その教育歴による差について分析した。
 
○結果
・身体機能障害のうち屋内生活に介助が必要な人の割合については、短大・大学卒業グループと比べ、高校卒業グループでは約2.2倍、中学卒業グループでは4.8倍高いという結果だった。
 また、外出時に介助が必要な人の割合は中学卒業グループでは2.4倍高いという結果だった。
・今回の結果から、日本においても、欧米と同様に、教育歴という社会経済的な格差を表す1つの条件によって、高齢者の身体的機能障害の有病率に差が存在することが示された。
 
○配偶者からの社会的な支えの影響?
・男女別に調べると、男性では、脳卒中既往の有無にかかわらず、教育歴と身体機能障害の有病率との関連がみられたが、女性では、脳卒中既往者については明らかな差がみられなかった。
・男性の脳卒中既往者では、教育歴の低いグループの有配偶者割合は教育歴の高いグループと比べて低くなっているのに対して、女性では教育歴による有配偶者割合の違いがみられなかった。
 配偶者からの社会的な支えは脳卒中予後に重要であるという先行研究結果から考えると、男性脳卒中既往者の中で教育歴により配偶者からの社会的な支えに差が生じ、その結果、身体的機能障害の有病率に差がみられた可能性がある。
 そこで、婚姻状態による差が影響しないように考慮して検討したが、結果にそれほどの差は生じなかった。

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