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高血糖と酸化ストレス、動脈硬化
●砂糖と炎症 ・砂糖の過剰摂取は悪玉コレステロールや炎症の指標である"C反応性タンパク(CRP)"を増加させる。 ●ブドウ糖と炎症 ・ブドウ糖は、大半は燃焼され、20%が肝臓でグリコーゲンに変えられ、貯蔵される。 ・血中ブドウ糖の上昇は炎症性サイトカインを増やす。 ・高血糖が膵ランゲルハンス島に炎症を引き起こすことが知られており、糖毒性と呼ばれている。 ※参考資料『金子義保(2012)炎症は万病の元 中央公論新社』
・一つは高血糖そのものが原因、もう一つは高血糖が二次的に引き起こす脂質異常性。 ・高血糖そのものが動脈硬化を起こす仕組み。可能性としては以下がある。 ①高血糖による酸化ストレスによる血管内皮細胞傷害 ②高血糖による血管内皮細胞タンパク質の変性 ③高血糖による血管中膜の弾性線維の変性 ④高血糖によって引き起こされた高インスリンによる血管中膜の平滑筋の増殖 高血糖そのものが動脈硬化を引き起こすことは、たとえ食後のごく短時間しか高血糖値でなくても油断できない。 ※参考情報『小坂眞一(2008)心臓病の9割は防げる 講談社』
●食後高血糖と血管内皮の障害 ・食後2時間血糖値が180mg/dlを超えると血管内皮に障害が起こり、糖尿病合併症が生じるといわれている。 ・血糖値が高くなりすぎて180mg/dlを超えると、体内にAGEsがつくられ、このAGEsが血管の内側にへばりつくと、動脈硬化のもとになる。 ・高血糖によって酸化ストレスが増し、血管が傷つきやすくなる。血管が傷つくとこれを補修するために、傷ついた部分にコレステロールがくっつき、動脈硬化が進む。 ※参考資料『江部康二(2015)江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか? 洋泉社』
●血糖値スパイクと動脈硬化 血糖値急上昇 →血管の細胞で活性酸素が大量発生 →血管の細胞が傷つく →血管の傷を修復しようと免疫細胞が血管壁にはりつき、中に入り込む →血管壁の内側が盛り上がり、血管が狭くなる。 ※参考資料『NHKスペシャル 血糖値スパイクが危ない(2016/10/8)』
・ブドウ糖はタンパク質にくっつきやすい性質を持っていて、特別な酵素がなくてもタンパク質と結合できる。 LDLは血液中をブドウ糖と一緒に流れているので、高血糖の状態だとLDLが糖化を受けて糖化LDLとなる。 ・糖化LDLはLDL受容体に認識されにくくなり、血液中に残りつづける。 糖化LDLは酸化を受けやすい。 糖化LDLはマクロファージによってゴミとして認識されてしまう。 したがって、高血糖状態ではマクロファージによってコレステロールが取り込まれやすい状態が続き、プラークが成長しやすい。高コレステロールの状態でなくてもプラークが形成されてしまう。 ※参考情報『林 洋(2010)嘘をつくコレステロール 日本経済新聞出版社』
終末糖化産物(AGEs)と動脈硬化
●終末糖化産物(AGEs)の概要
〇糖化反応(メイラード反応)、終末糖化産物(AGEs) ・糖分子がタンパク質、脂肪、アミノ酸に結合。 ・糖分子自身が結合し自然発生的に起こる反応で、メイラード反応と呼ばれることもある。 ・糖化反応によってAGEsを形成し、このAGEsによってタンパク質の繊維がゆがめられ、硬くなってしまう。 ・高炭水化物の食事によって糖化反応のスピードは増す?糖質は体内のタンパク質と結合しやすい? 〇タンパク質が糖化 ・糖化したタンパク質の機能はにぶくなる。 ・タンパク質はいったん糖と結合すると、同様にダメージを受けたほかのタンパク質とも結びつき、この結合によってますます機能は低下する。 ・タンパク質はいったん糖化されるとフリーラジカルの産生が50倍と大幅に増え、これがきっかけで細胞の機能が失われ、結果的に細胞は死んでしまう。 ※参考情報『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す 三笠書房』
●終末糖化産物(AGEs)と動脈硬化
・血管の内皮細胞と平滑筋細胞の間にコラーゲンがクッションのように存在し、しなやかな弾力性を与えている。 このコラーゲンがAGE化し、クッションとしての機能を失うだけでなく、内側の内皮細胞や平滑筋細胞を攻撃するようになる。 AGE化したコラーゲンの作用によって以下が生じる。 ①血中を流れているLDLが内皮細胞内にしみこみやすくなるような環境にしてしまう。 ・AGE-RAGE複合体によって活性化された酸化酵素によって内皮細胞がダメージ →内皮細胞で守られている血管の壁に傷 →LDLを酸化、AGE化させ、いっそう悪玉化させる。 ②血管の外側の平滑筋細胞を刺激して、細胞の数をどんどん増やしてしまう。 →平滑筋細胞が異常に増えて厚くなり(AGE-RAGE複合体によって活性化された酸化酵素によって刺激を受けて活性化され数を増やす?)、血管が厚く硬くなって動脈硬化につながる。 ※参考資料『山岸昌一(2012)老けたくなければファーストフードを食べるな PHP研究所』