※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
- エネルギー代謝 解糖系
- エネルギー代謝 クエン酸回路、呼吸鎖、酸化的リン酸化
- ミトコンドリアと脂肪の燃焼
- 糖質の代謝
- 脂質の消化、代謝
- AMPK(AMP-activated protein kinase)を活性化して脂肪を燃焼
- ネットニュースによる関連情報
エネルギー代謝 解糖系
●ミトコンドリア、解糖系によるエネルギー代謝 ・酸素が十分にあるときは脂肪を燃やし、酸素が減ってくるとブドウ糖を使用する。さらに酸素が少なくなるとミトコンドリアの外(細胞質)で、ブドウ糖を分解してエネルギーを生み出す(解糖系) ・ミトコンドリアの機能が高まるとうまく脂肪を原料にしてATPを作る事ができる。 ○解糖系 ・効率が悪い。 ・エネルギー生成とともに乳酸が溜まってくる(筋肉疲労) 乳酸は疲労の原因物質で、体の酸素不足(虚血)を知らせるアラーム。 ・乳酸は脂肪が燃えることを抑制する。 ※参考資料『伊藤裕(2010)臓器は若返る 朝日新聞出版』
・グルコースが細胞の中に入ると、細胞質ゾルで数段階のステップを経てピルビン酸という化合物に変換。 一個のグルコースが二個のATPと二個のピルビン酸に換わる。 ・酸素を一切必要とせず、二酸化炭素も放出されない。 ※参考資料『瀬名秀明,太田成男(2007)ミトコンドリアのちから 新潮社』
エネルギー代謝 クエン酸回路、呼吸鎖、酸化的リン酸化
・酸素が充分に供給されるとピルビン酸の代謝物であるアセチルCoAがクエン酸回路、呼吸鎖という代謝経路に乗って、二酸化炭素と水にまで分解される。 ・脂質やタンパク質もそれぞれの代謝経路でアセチルCoAになるので、この代謝経路を通る。 ・この好気的条件下では36個のATPが作られる。 ※参考資料『瀬名秀明,太田成男(2007)ミトコンドリアのちから 新潮社』
ミトコンドリアと脂肪の燃焼
・酸素が十分にあるときは脂肪を燃やし、酸素が減ってくるとブドウ糖を使用する。 さらに酸素が少なくなるとミトコンドリアの外(細胞質)で、ブドウ糖を分解してエネルギーを生み出す(解糖系) ・ミトコンドリアの機能が高まるとうまく脂肪を原料にしてATPを作る事ができる。 ※参考資料『伊藤裕(2010)臓器は若返る 朝日新聞出版』
AMPK(AMP-activated protein kinase)を活性化して脂肪を燃焼
・通常、体内でエネルギーが使われるときはATP(アデノシン三リン酸)からADP(アデノシン二リン酸)への変換となるが、エネルギーが逼迫したとき、リン酸を二つ次々と爆発させる反応が促進される。 →このとき生じるのがAMP(アデノシン一リン酸) →細胞質ゾルでの脂肪酸合成はやめて、ミトコンドリアでもっとエネルギーを作らなくてはならない。 このようなエネルギーの枯渇を感知して、命令を出す司令塔の役割をするのがAMPKという酵素。 ・ウォーキングのような有酸素運動ではミトコンドリアの中で脂肪の燃焼を持続させる。 ・短距離走のような激しい運動では酸素が足りず、無酸素運動の状態になる。脂肪の燃焼も間に合わず、ATPが消費されるばかりとなって、結果的にAMPの比率が増える。 →増えてきたAMPは近くのAMPKと結合する →AMPKにリン酸が結合するように促す。 →リン酸がくっつくことでAMPKタンパク質は構造が変化し、働けるようになる。(リン酸化による活性化) →活性化したAMPKは、エネルギーが足りないことを様々なタンパク質へと伝え始める。 →ATPのリン酸を一つ取って、別のタンパク質に与えて、そのタンパク質を活性化。 →リン酸化によるスイッチを次々とリレーさせて情報を伝達 →脂肪酸合成の原料(マロニルCoA)を作る作用を失い、原料を減らす。 →マロニルCoAが減ると脂肪が作られにくくなり、脂肪を燃やしてエネルギーを得る方にまわせる。 マロニルCoAはミトコンドリアの中に脂肪酸が入ってくるのを防ぐ役割も果たしているので、これが減少すると脂肪がミトコンドリアの中に流れ込んでくる。 →その他、ミトコンドリアを増やすように働きかけたり、筋肉の中に糖を取り込んでエネルギーをつくるように促したり、といった役割をするタンパク質の活性化も促す。 ・激しい運動と穏やかな運度を交互に繰り返すサーキット運動を行う(ミトコンドリア活性ダイエット)とATPを一時的に減少させAMPKが活性化されて効率よく脂肪を燃焼させることができる。 ※AMPKが脳下垂体で働くとマロニルCoAが減って、その結果食欲が湧く。エネルギーが足りないのをAMPKが伝達し、食欲が湧く。 ※参考資料『瀬名秀明,太田成男(2007)ミトコンドリアのちから 新潮社』
ネットニュースによる関連情報
●加齢にともなう筋力低下にAMPKが関係? ・AMP活性化タンパクキナーゼ(AMPK)を欠損したマウスでは、通常の中年マウスに比べて、予想以上に筋力低下が著しく進行することがわかった。 ・このAMPKの代謝的スイッチが、運動を行う事やメトフォルミンやサリチル酸など一般的に利用されている薬を利用することによってオンになるという研究報告もある。
●過食によって褐色脂肪細胞の機能が低下 ・食餌性肥満のモデルマウスを使用。 ・過度の栄養 →細胞の信号伝達機能を低下 →褐色脂肪細胞の近くにある血管が損なわれ、細胞が酸素不足になる →褐色脂肪細胞のミトコンドリアが機能不全 →脂肪酸を燃焼して熱を産生できなくなる →この褐色脂肪細胞の衰えが糖尿病や心血管系疾患といった代謝疾患の発症まで遠く影響を及ぼす