低価格食品、フェイク食品の仕組み

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  1. 植物性たん白、肉の代替利用
  2. たんぱく加水分解物、化学調味料無添加
  3. 格安弁当、惣菜
  4. 低価格の豆腐
  5. 成型肉、インジェクション肉
  6. お酢、みりん
  7. 納豆
  8. カロリーオフのマヨネーズ
  9. アイスクリームの種類、成分規格、品質
  10. ショートニング、マーガリン、ファットスプレッド
  11. ジャム
  12. もち

植物性たん白

●植物性たん白とは?
 
・食品業界では、大豆や小麦を原料として、それに含まれる”蛋白質”を独自の製法により抽出し、主として、食品の素材として使われるものをいう。
・現在製品として大豆系は粉末、粒状、繊維状、小麦系は粉末、粒状・ペースト状(冷凍品)がある。
 
●機能と使用例
 
・栄養強化:プロティンパウダー、菓子類、育児粉乳
・脂肪分離防止(乳化・抱脂性):ソーセージ
・結着・離水防止(結着・保水性):ハム
・保型性向上(結着性):かまぼこ、ちくわ、プレスハム
・食感改良(組織形成性):パン・麺、焼きふ、ころも
・かみごたえ:ハンバーグ、ミートボール、餃子・シューマイ
・痩せ、焼き縮み防止:ハンバーグ、メンチカツ
 
●コストダウンに利用
 
・価格を下げるために肉の代わりに植物性たん白を使用しているという指摘もある。
・肉の代わりに使用する場合、同じたんぱく質なので噛み応えを似せることは出来るが、味までは似せることが出来ないので、アミノ酸液やエキス類、香料で味を整えている。

たんぱく加水分解物

●たんぱく加水分解物とは?
 
・旨味調味料の一つ。様々なアミノ酸を主成分とし、加工食品の調味目的で使用されるものだが、分類上は”食品”で、食品添加物ではない。
 ”たんぱく加水分解物”は、”加水分解”という比較的単純な加工で製造されることなどから、添加物ではなく食品に分類されている
 
・他の旨味調味料よりも手軽に味を調えることができることから、最近になって使用頻度が高まってきている。
 
●加水分解とは?
 
・たんぱくを含んだ原料(肉や魚の加工で残った部分)や大豆たんぱく、小麦たんぱくなどを加水分解するとアミノ酸が得られる。
 
・加水分解の方法としては、塩酸を用いる方法や酵素を用いる酵素分解法などがある。
 
●”化学調味料無添加、不使用”に注意
 
・化学調味料のアミノ酸は入っていなくても、同じような働きをするものが入っている場合がある。
 
・たんぱく加水分解物は、たんぱく質原料を酸で分解し、旨みを得たものだが、これは”添加物”ではなく、”食品”に分類されるので、”たんぱく加水分解物”と表示されるものの、”化学調味料不使用”と書くことはできてしまう。
 
・最近は酵母エキスも多く使用されている。酵母エキスは、酵母を培養したものを酵素などによって分解してアミノ酸や核酸系化合物を得ている。素材や工程が少し違うものの、旨みを化学的に生成しているという意味では同類という指摘も。

格安弁当、惣菜

以下のような方法でコストダウンを行っている例もある。
 
○ごはん
・低品質米に炊飯改良剤(油脂、酵素など)を入れて炊いている場合も。
・割れやすい米を使う、または割れた米と配合して使うことでコストダウン。
 
○鶏の唐揚げ
・外国産の鶏肉に大豆たんぱくをしみこませて体積を大きくしたものを使う。体積が増えるだけでなく、柔らかくなる。
 
○エビフライ
・輸入冷凍ものに、水分を含ませてプリプリ感を出す。含ませる水にはアミノ酸を加え味付けする。
 
○ツナマヨ
・ツナの原料となるキハダマグロは高いので、カツオを使っているケースもある。カツオでもツナと表記してよい。
・増粘多糖類を足してツナの量を減らし、アミノ酸液で味を調整している場合もある。
 
○餃子
・豚肉の代わりに、海外で油を搾ったカスを再利用した大豆たんぱくを使用しているものもある。

低価格の豆腐

●凝固剤の種類と低価格化
 
○塩化マグネシウム(ニガリ)
・水に溶けやすく、豆乳の凝固反応が速い(速効性)ので、凝固に技術を要する。
 
○硫酸カルシウム(すまし粉)
・水に溶けにくく、豆乳の凝固反応が遅い(遅効性)ため使いやすく、工業的に製造するのに向いている。
 
○グルコノデルタラクトン(グルコン)
・でん粉を原料として、発酵法で作られたもので、酸でたんぱく質を凝固させる。
・薄い豆乳でも工業的にしっかりと固めることが出来る。
・最近は生食用の豆腐では使用されておらず、厚揚げ製品等の原料豆腐によく使われている。
 
○乳化ニガリ
・塩化マグネシウムを油脂でコーティングしたもの。
・豆乳に混ぜると、油脂が溶けて塩化マグネシウムが露出するまで凝固が始まらないので、凝固前にしっかりと豆乳と混ぜ合わせることが出来る。乳化ニガリは、豆乳の中に混ざり合ってからニガリが効きだすように調整されている。
・表示上は”ニガリ”にすることができる。
・この技術によって”ニガリ使用”豆腐の低価格商品が可能になった。
 
●充填豆腐
 
・温かい豆乳に凝固剤を入れて固めるのではなく、冷却した豆乳に凝固剤を混ぜたものを容器に注入し、密閉した後に加熱して凝固させる。
・密閉後の加熱が殺菌効果もあるため、通常の豆腐より大幅に賞味期限が長くなる。
・薄い豆乳でも凝固剤を入れたら固まる。

成型肉、インジェクション肉

お酢、みりん

●お酢
 
・アルコールからお酢への発酵は、昔ながらの”静置発酵”では半年から2年以上の期間がかかっていたが、”速醸法”だと1~3日の期間で済む。
 
○原材料が米のみ、純米酢
・米を発酵させてアルコールを作り、さらにそれを酢にする。
・米本来のうまみやまろやかさがあり、穀物酢や米酢に比べて酢酸などの有機酸を多く含むと言われている
 
○醸造用のアルコールを混ぜて作ったもの、穀物酢
・JAS規格では”穀物酢のうち、米の使用量が穀物酢1リットルにつき、40g以上のものをいう”となっているので、米を40g使いさえすれば、他のアルコール類を加えてもよいことになっている。
・”アルコール、酒かす”を原料にして作られた酢が、穀類から作られた酢に混ぜられているか、小麦や米などにアルコールと酒かすを混ぜ、発酵させてアルコールを作り、それを酢に変える、などして作られている。
 
●みりん風調味料
 
・水飴やぶどう糖などを主原料に数種類のうま味調味料を加えて作ったもので、本みりんとは作り方が異なる。。
・米や麹を使っていないものがほとんど。

納豆

●納豆
 
○納豆のタレ
・安い商品は、裏面表示の原材料欄の最初に醤油ではなく、”アミノ酸液”になっているものがある。
・安い業務用の醤油を加水して薄め、足りなくなった味を増粘多糖類や化学調味料のフレーバーで補っている。

カロリーオフのマヨネーズ

●増粘多糖類などの添加物が加えられている
 
・カロリーを減らすために油の割合を大幅に減らしているが、そうするとマヨネーズ独特の粘り気がなくなってしまい、それを補うために増粘多糖類などの添加物が加えられている。
・乳化剤を使って水の含有量を増やしている。乳化剤の材料はやし油。
 
●商品名は”サラダクリーミードレッシング”
 
・マヨネーズはJAS規格で定められており、油分が65%以上のものを指す。増粘多糖類の使用も認められていない。
・商品のパッケージの名称欄には、マヨネーズではなく、”サラダクリーミードレッシング”と記載されている。
 
●あるメーカーの原材料の例
 
(マヨネーズ)
食用植物油脂、卵黄、醸造酢、食塩、調味料、香辛料、香辛料抽出物
 
(カロリーハーフ)
食用植物油脂、卵、醸造酢、食塩、砂糖類(砂糖、水あめ)、増粘多糖類、調味料、香辛料、たん白加水分解物、香辛料抽出物
 
●栄養成分の例(大さじ1杯、15gあたり)
 
      エネルギー たんぱく質 脂質 炭水化物 ナトリウム
マヨネーズ 100kcal   0.4g   11.2g  0.1g   105mg(食塩0.3g相当)
ハーフ    50kcal   0.4g    5.1g  0.5g   150mg(食塩0.4g相当)

アイスクリームの種類、成分規格、品質

●乳脂肪分と植物油脂、アイスクリームの原料
 
・本物の”アイスクリーム”は乳脂肪(牛乳中の脂肪分)を材料につくられているが、”ラクトアイス”、”氷菓”となるに従って牛乳由来ではない植物油脂の割合が増えている。
 
○乳脂肪分
・牛乳中の脂肪分のこと。
・乳脂肪分はアイスクリームの風味や組織に大きな影響を与える重要な成分。
 
○無脂乳固形分
・牛乳の中から水分と脂肪を除いたものの総称で、たん白質、乳糖、無機質(カルシウム、リン、マグネシウムなど)を含む。
・アイスクリームにミルク風味やコク、組織に滑らかさを与える。
 
○乳固形分
・乳脂肪分と無脂乳固形分を合わせたもの。
 
○糖類
・砂糖、ブドウ糖、果糖、水あめなど。
 
○植物油脂
・主に用いられるのは植物性のヤシ油、パーム油、ナタネ油。
・アイスクリーム類のうち”種類別アイスクリーム”には、乳脂肪以外の脂肪の添加を禁止されているが、それ以外には含まれていることがある。
 
○安定剤
・種子抽出物(ローカストビーンガム、グアガムなど)、ゼラチン、寒天、ペクチンなど。
・組織を滑らかにし、保形性をよくし、空気の混入(オーバラン)をコントロールする。さらに保管中の氷結晶の成長も抑える。
 
○乳化剤
・卵黄や大豆の中にあるレシチンや食用油脂が原料のグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが使用される。
 
●アイスクリームの種類
 
○アイスクリーム
・乳固形分15%以上、うち乳脂肪分8%以上
・乳固形分と乳脂肪分が最も多く含まれており、ミルクの風味が豊かに感じられる。
・植物油脂は使われていない。
 
○アイスミルク
・乳固形分10%以上、うち乳脂肪分3%以上
・乳固形分と乳脂肪分はアイスクリームに比べて少ないが、牛乳と同じくらいの乳成分を含んでいる。
・植物油脂が使われることもある。
 
○ラクトアイス
・乳固形分3%以上
・乳固形分はさらに少なく、植物油脂が使われることもある。
 
○氷菓
・乳固形分3%未満
・乳固形分はほとんどない。果汁などを凍らせたアイスキャンディーやかき氷など。

ショートニング、マーガリン、ファットスプレッド

●ショートニング
 
・19世紀末のアメリカで、ラードの代用品として生まれた。
・白色で無味無臭の油脂。
・マーガリンが香料などでバター風に加工されたものに対して、真っ白な油の融点を変えただけ(水素添加しただけ)のものと言える。
・お菓子やパンに入れると、バターよりもサクサク感を簡単に出すことが出来る。
 
●マーガリン
 
・精製した油脂に粉乳や発酵乳・食塩・ビタミン類などを加えて乳化し、練り合わせた加工食品。
 
●ファットスプレッド
 
・油脂含有率が80%を超えるものがマーガリン、80%未満がファットスプレッドと呼ばれる。
・マーガリンに比べて油分が少なく、水分の割合が多いためカロリーが少ない。
・柔らかく、パンに塗りやすい。
・マーガリンよりは、トランス脂肪酸が少ない。

ジャム

・果物と糖類だけでつくられていなくてもジャムと表記できる。
・水飴と酸味料、着色料、香料などをペクチンというゲル化剤で固めた製品もある。
・本物のジャムは、果実中のペクチンが出てきて固まる。
・原材料に”ペクチン”と書かれており、果肉がかけらも見えないようなジャムは注意。

もち

・商品名が”生○○切り餅”で個包装であっても、商品によって1kgで1,000円ぐらいのものと400円ぐらいのものがある。
 
・高い商品は国内産水稲もち米100%であるのに対し、安い商品は原材料にもち米粉、もち米粉調整品を使用し、加工デンプンやpH調整剤などの添加物を使用している。
 
 ・商品Aの原材料:水稲もち米粉、加工デンプン、pH調整剤
 ・商品Bの原材料:もち米粉調製品(もち米粉)、もち米、加工デンプン、pH調整剤、グリシン

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