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肝臓がんの概要
・肝臓のがんは、肝臓にできた”原発性肝がん”と別の臓器から転移した”転移性肝がん”に大別される。
・原発性肝がんには、肝臓の細胞ががんになる”肝細胞がん”と、胆汁を十二指腸に流す胆管の細胞ががんになる”胆管細胞がん”、他には、小児の肝がんである肝細胞芽腫、成人での肝細胞・胆管細胞混合がん、未分化がん、胆管嚢胞腺がん、神経内分泌腫瘍などのごくまれながんがある。
・日本では原発性肝がんのうち肝細胞がんが90%と大部分を占め、肝がんというとほとんどが肝細胞がんを指す。
・原発性肝がんには、肝臓の細胞ががんになる”肝細胞がん”と、胆汁を十二指腸に流す胆管の細胞ががんになる”胆管細胞がん”、他には、小児の肝がんである肝細胞芽腫、成人での肝細胞・胆管細胞混合がん、未分化がん、胆管嚢胞腺がん、神経内分泌腫瘍などのごくまれながんがある。
・日本では原発性肝がんのうち肝細胞がんが90%と大部分を占め、肝がんというとほとんどが肝細胞がんを指す。
症状
・肝臓は”沈黙の臓器”と呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどない。
・肝がん特有の症状は少ないが、進行した場合に腹部のしこりや圧迫感、痛み、おなかが張った感じなどを訴える人もいる。
・肝がん特有の症状は少ないが、進行した場合に腹部のしこりや圧迫感、痛み、おなかが張った感じなどを訴える人もいる。
疫学・統計
・予測がん罹患数(2014年)では、がん全体に占める割合が、男性は6%、女性が4%となっている。
・年齢別にみた肝臓がんの罹患は、男性では45歳、女性では55歳から増加し始め、70歳代に横ばいとなる。
・罹患率、死亡率は男性の方が高く、女性の約2~3倍。
・肝臓がん罹患率と死亡率の年次推移を生まれた年代別にみると、男女とも1935年前後に生まれた人で高くなっている。これは、1935年前後に生まれた人が、日本における肝臓がんの主な要因であるC型肝炎ウイルス(HCV)の抗体陽性者の割合が高いことと関連している。
・日本国内の死亡率の年次推移は、男女とも最近減少傾向にあり、罹患率は男性で減少、女性で横ばい傾向にある。
・年齢別にみた肝臓がんの罹患は、男性では45歳、女性では55歳から増加し始め、70歳代に横ばいとなる。
・罹患率、死亡率は男性の方が高く、女性の約2~3倍。
・肝臓がん罹患率と死亡率の年次推移を生まれた年代別にみると、男女とも1935年前後に生まれた人で高くなっている。これは、1935年前後に生まれた人が、日本における肝臓がんの主な要因であるC型肝炎ウイルス(HCV)の抗体陽性者の割合が高いことと関連している。
・日本国内の死亡率の年次推移は、男女とも最近減少傾向にあり、罹患率は男性で減少、女性で横ばい傾向にある。
ウイルス感染
・肝炎ウイルスの持続感染によって、肝細胞で長期にわたって炎症と再生が繰り返されるうちに、遺伝子の突然変異が積み重なり、肝がんへの進展に重要な役割を果たしていると考えられている。
・日本では、肝細胞がんの約60%がC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染、約15%がB型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染に起因すると試算されている。
・C型、B型の肝炎ウイルスは、日常生活で感染することはまずない。しかし、C型肝炎ウイルスが発見され検査法が普及したのは1990年代以降で、それ以前は注射や輸血などの医療行為を介して感染しているおそれがある。
現在多くの自治体で肝炎の無料検査を行っているので、40歳以上の人は自覚症状がなくても一度は肝炎ウイルスの検査を受ける事を推奨。
・肝炎ウイルスが体に侵入しても、”肝炎”という病気にならず、健康な人体と共存している場合もある。(無症候性キャリア)
・新たな感染を防ぐには、性行為の際にはコンドームを使用すること、歯ブラシ、カミソリなど他人の血がついている可能性のあるものは共有しないことなどの注意が必要。
・日本では、肝細胞がんの約60%がC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染、約15%がB型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染に起因すると試算されている。
・C型、B型の肝炎ウイルスは、日常生活で感染することはまずない。しかし、C型肝炎ウイルスが発見され検査法が普及したのは1990年代以降で、それ以前は注射や輸血などの医療行為を介して感染しているおそれがある。
現在多くの自治体で肝炎の無料検査を行っているので、40歳以上の人は自覚症状がなくても一度は肝炎ウイルスの検査を受ける事を推奨。
・肝炎ウイルスが体に侵入しても、”肝炎”という病気にならず、健康な人体と共存している場合もある。(無症候性キャリア)
・新たな感染を防ぐには、性行為の際にはコンドームを使用すること、歯ブラシ、カミソリなど他人の血がついている可能性のあるものは共有しないことなどの注意が必要。
野菜、果物
●日本の多目的コホート研究(JPHC Study)の結果
※・多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
※・多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
●野菜・果物および抗酸化物質摂取と肝がんとの関連について ・野菜・果物および抗酸化物質(レチノール・α-カロテン・β-カロテン・ビタミンC)摂取量と肝がんとの関連を調べた。 ○野菜と果物の合計摂取量 ・野菜と果物の合計摂取量と肝がんの発生リスクに関連はみられなかった。 ○野菜の種類別 ・種類別にみると、野菜、緑黄色野菜、緑の葉野菜では、摂取量が最も多いグループの肝がんリスクは最も少ないグループに比べ約40%減少した。 ○果物 ・果物では、摂取量が増えると肝がんリスクが高いという傾向が見られた。 ○レチノール(ビタミンA) ・レチノール(ビタミンA)摂取量と肝がんの発生リスクには関連はみられなかった。 ○α-カロテン・β-カロテン ・α-カロテン・β-カロテンでは摂取量の最も多いグループの肝がんリスクが減少する傾向にあった。 ○ビタミンC ・ビタミンCでは、高摂取グループで肝がんリスクが高い傾向にあった。 ○推察 ・抗酸化物質のなかでもカロテノイドには、動物実験により、肝発がん抑制作用が示されている。 肝炎ウイルス陽性の肝硬変患者にカロテノイドを投与した介入研究では、投与グループで肝がんの発生が50%減少したことが報告されている。 ・今回の研究では、α-カロテン、β-カロテンを多く含む野菜の高摂取グループで肝がんのリスクが低下することが示された。 また、肝炎ウイルス陽性者に限ると、α-カロテン、β-カロテンの予防効果が強まった。 ・肝炎ウイルス陽性者では、炎症により発がんに関わるフリーラジカルが産生されるので、そのフリーラジカルを抗酸化物質が除去するというメカニズムが考えられる。 ・ビタミンCは、肝がんのリスク要因の一つと考えられている鉄の吸収を高めてしまうことが知られている。 ・本研究の結果では、肝炎ウイルスに感染している人は、α-カロテン・β-カロテンを含む野菜を多く取り、ビタミンC摂取を控えた方がよい可能性が示された。ただし、今回の研究では症例数が少なかったために、結果が偶然である可能性もあるので、今後の研究での確認が必要。
魚、n-3不飽和脂肪酸
●日本の多目的コホート研究(JPHC Study)の結果
※・多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
※・多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
●魚、n-3不飽和脂肪酸摂取量と肝がんとの関連について ・アンケートから計算されたn-3およびそれぞれ個別の不飽和脂肪酸摂取量によって、5つのグループに分けて、最も少ないグループに比べ、その他のグループで肝がんのリスクが何倍になるかを調べた。 ○結果 ・n-3不飽和脂肪酸を多く含む魚、および、EPA, DPA, DHAといった魚に多く含まれているn-3不飽和脂肪酸を多くとっているグループほど、肝がんの発生リスクが低いことがわかった。 ○推察 ・n-3不飽和脂肪酸には抗炎症作用があることが報告されているが、肝がんになる人の多くは、B型・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎を経て発症するので、n-3不飽和脂肪酸は慢性肝炎への抗炎症作用をとおして肝がんの発症をおさえるのかもしれない。 ・n-3不飽和脂肪酸にはインスリン抵抗性を改善する作用があることも報告されている。近年、多くの疫学研究で、糖尿病や肥満が肝がんのリスクをあげることが報告されていることから、インスリン抵抗性は肝がんのリスクと考えられている。肝がんリスクの低下は、抗炎症作用に加えて、n-3不飽和脂肪酸によるインスリン抵抗性の改善によるのかもしれない。
●他の研究事例
〇中国・浙江省がん病院からのメタ分析の結果報告 ・7件のコホート研究と10件の症例対照研究を対象にメタ分析を行い、肝がんのリスクを評価。 ・摂取量の多寡に応じてカテゴリ分けし最も高い群を最も低い群と比較した結果、赤肉の摂取の相対リスクは1.10、加工肉および総肉摂取量の相対リスクは1.01だった。 ・白肉および魚の摂取はリスクを低下させ、白肉の相対リスクは0.69であり、魚の相対リスクは0.78であった。 ※参考文献 Systematic review with meta-analysis: meat consumption and the risk of hepatocellular carcinoma.
コーヒー
●日本の多目的コホート研究(JPHC Study)の結果
※・多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
※・多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
●コーヒー摂取と肝がんの発生率との関係について ・調査開始時のコーヒー摂取頻度により6つのグループに分けて、その後の肝がんの発生率を比較した。 ○結果 ・コーヒーをほとんど飲まない人と比べ、ほぼ毎日飲む人では肝がんの発生率が約半分に減少し、1日の摂取量が増えるほど発生率が低下し、1日5杯以上飲む人では、肝がんの発生率は4分の1にまで低下していた。 ○推察 ・なぜコーヒーによって発生率が低くなるのかについては、まだよく分かっていない。 コーヒーは、炎症を和らげる作用があり、肝炎の進行を防ぐことによって、肝がんを予防する、コーヒーにはクロロゲン酸をはじめとするたくさんの抗酸化物質が含まれており、これが肝臓のがん化を防御する方向に働いている、などの理由が考えられている。 ○注意点 ・現在コーヒーをたくさん飲んでいる人からの肝がん発生率が低かったとしても、現在よりもコーヒーを多く飲むようにすると肝がんの発生率が低くなるか否かについては、さらなる研究により確認しなければならない。 特に、肝がんになる人の多くがかかっているウイルス性慢性肝炎や肝硬変などのように肝機能が悪い状態では、カフェインを代謝する機能が障害されるために、コーヒーを飲む量が減るという報告もあり、結果として、あたかもコーヒーをよく飲んでいると肝がんになりにくいかのように見えているだけなのかもしれない。 ・また、B型かC型の肝炎ウイルスに感染していない人では、肝がんになることはまずありえないので、コーヒーをたくさん飲むことの肝がん予防におけるメリットは、ほとんどないものと思われる。 従って、今後、肝炎ウイルスに感染している人において、コーヒーを摂取することにより肝がんになるのを予防することができるかどうかを明らかにすることが重要だと考えられる。
その他のリスク要因、予防因子
・ウイルス感染以外の肝がんのリスク要因として、大量飲酒と喫煙、さらに食事に混入するカビ毒のアフラトキシンが確実とされている。
・最近の傾向として、アルコール摂取歴がほとんどない脂肪肝(非アルコール性脂肪肝炎)が原因で肝硬変、肝がん発がんに至るケースが増えてきている。
・最近の研究において、糖尿病患者でリスクが高いことを示す報告がある。
・肥満、糖尿病、運動不足もリスク要因であろうとのエビデンスが多数報告されている。
・最近の傾向として、アルコール摂取歴がほとんどない脂肪肝(非アルコール性脂肪肝炎)が原因で肝硬変、肝がん発がんに至るケースが増えてきている。
・最近の研究において、糖尿病患者でリスクが高いことを示す報告がある。
・肥満、糖尿病、運動不足もリスク要因であろうとのエビデンスが多数報告されている。