ヒトはなぜ脂肪が含まれた食品を好むのか、脂肪とコレステロールが脳に与える影響、反応についてメモ書きしました。
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脳における脂肪の役割
●脳と脂肪 ・人間の脳は70%以上が脂肪で構成されるというだけでなく、脂肪は免疫系を調整するのに極めて重要な役割を果たしている。 ※参考情報『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す 三笠書房』
脳とコレステロールの関連
●脳とコレステロール ・コレステロールは細胞膜の材料として使用されているので、胃腸の粘膜や皮膚の細胞など新陳代謝が激しく、古い細胞から新しい細胞が頻繁に生まれ変わる場所で多く使用される。 脳の神経細胞は増殖がほとんど行われないので、コレステロールが余りやすい。余ったコレステロールは血液脳関門を通過できず、たまる一方となる。このコレステロールが脳に悪影響を及ぼす可能性がある。 動脈硬化を治療する目的でコレステロールを下げる治療を行ったところ、認知症も一緒によくなったという報告があった。調べてみるとアルツハイマー病の人の脳内には、そうでない人よりも、コレステロールが多く溜まっているということが分かった。 コレステロールそのものが認知症の原因ではないが、何らかの関与をしていると考えられている。 ※参考情報『林 洋(2010)嘘をつくコレステロール 日本経済新聞出版社』
脂肪摂取時の脳の反応
●脂肪を食べると脳が快感? ・糖、脂肪を摂取すると脳の報酬中枢が反応して強い快感が生じる。 ・食物中の脂肪分が多いほど体は体脂肪として多くのエネルギーを蓄え、将来の栄養不足に備える事ができる。だから脳は脂肪分を有益だと判断していて、信号を発して過食を防ぐというメカニズムが働きにくい。 ●脂肪と食感 ・脂肪は、味覚と同様に触覚の要素も重要。 ・脂肪の感触を伝えるのは三叉神経。三叉神経は、唇、歯茎、歯、顎などの触覚情報を拾って脳に伝えている。 ・チーズに含まれる脂肪分は風味以外の働きもしていて、ビザソースに滑らかで豊かな食感を与えている。 ●糖と脂肪の相互作用とヒトの評価 ・糖が多すぎると味の評価が落ちるが、脂肪は多ければ多いほど良く評価される。 ・最も脂肪分の多いクリームに少量の糖を加えると評価が上がる。 ※参考資料『マイケル・モス(2014)フードトラップ 日経BP社』
●脂肪の摂取と脳 ・食物として摂取される脂肪は、脳神経系の"ドーパミンD2受容体"のシグナル伝達を低下させ、満腹中枢の感受性を低下させ、過食を引き起こす。 ・イギリスの研究グループは、3歳頃まで脂肪や糖分の多い加工食品を食べている子供は、8歳頃にはIQがやや低くなると報告している。 ※参考資料『金子義保(2012)炎症は万病の元 中央公論新社』
ネットニュースによる関連情報
●高脂肪食はドーパミンシステムを損なう? ・飽和脂肪酸の高脂肪食を食べたラットのドーパミン機能が有意に低下していることを発見した。一価不飽和脂肪酸の高脂肪食に対してはそのような現象は見られなかった。 ・ヒトにおいても飽和脂肪酸をたくさん食べ過ぎると、報酬反応が減少するのでそれを埋め合わせるためにより多くの高脂肪高糖分食を、今までと同じ報酬を得るために食べるのではないか?と考えている。 ・研究チームは脂肪が脳に直接作用してドーパミンシステムに影響しているのだろうと考えている。このプロセスには脳内の炎症反応が関与しているということを別の実験結果から得ている。 ・体重増加や肥満とは独立に、高脂肪食の摂取は脳の気分障害、薬物中毒、過食などに関わる脳の機能の不具合を起こし、動機づけと快楽を求める気持ちの病的状態につながる。