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人間関係に関する説
○好き嫌いと利害関係 ・恋愛のような関係を除けば、たいていの人間関係における"好き・嫌い"には"利害"が関係している。 ・"利害"には、金銭だけでなく、地位や優劣、自己評価など、様々な側面も含めた心理的利害も含まれる。 ○人間関係の不和の原因、"原因の帰属" ・自身の問題は"状況"や"環境"のせいにして、他者の問題は"人間性"や"性格"にあてる。 ○感情の好悪を決める要因 ①相手要因 ・相手の性格、外見、自分にない面を持っているなど。 ・"原因の帰属"から類推されたり、利害関係から判断してしまうことも多い。 ②自己要因 ・自分の側の性格、置かれている状況、興奮度などが影響し、好意を持ったり嫌いになったりすること。 例)自分の仕事が"うまくいっていない"という状況下で"うまくいっている人"を嫌いになるのは、相手ではなく自己に要因があると思われる。 ③相互的要因 ・二人の間の態度、好み、性格が、"一致しているか"、"相反しているか"で好きになったり、嫌いになったりするもの。 ④相互作用要因 ・二人の間の相互作用によって、好意が生まれたり、嫌悪感が生まれたりするもの。 ⑤環境的要因 ・物理的、地理的環境が対人好意を決定する要因となる。 ○自分から信頼する ・自分が相手を嫌えば、その相手も自分を嫌う。逆に相手のことを好きになれば、相手からも好かれるという互恵性を持っている。 ・自分から自己開示すれば相手も自己開示したくなり、自己開示されると自分も自己開示したくなる。 →待っていても自己開示されない場合は、自ら勇気を持って他人に対して踏み込んでいくしかない。 相手が自己開示してきたときは、自分もそれに応えて自己開示するとよい。 ※参考資料『齊藤勇(2009)「あまり人とかかわりたくない」人のための心理学 PHP研究所』
コミュニケーション手段
●メール、ネットによるコミュニケーションの長所 ・口頭で伝えにくいことも、文字だと伝えられる。 ・口で言うよりも、はっきりとストレートに伝えられる。 ・じっくり考えてから発信できるので、口頭よりもうまく伝えられる。 ・リアルタイムなやり取りではないので、落ち着いて自分のペースで対応できる。 ・話ベタと関係ないので、内向的な人にはメリットが大きい。 ・絵文字が楽しく、また言葉で伝えにくい感情を伝えられる。 ・対話者以外の他人の目を気にする必要がない。 ・周りにしばられず、周囲の人間関係のネットワークに入らずに本人と直接、コミュニケーションがとれる。 ・自分の表情、顔色を悟られずにコミュニケーションがとれる。 ※参考資料『齊藤勇(2009)「あまり人とかかわりたくない」人のための心理学 PHP研究所』
男女の仲
●SVR理論(マーステイン) ・男女の仲が親密になる3段階のステップ。 ①第一段階:刺激(Stimulus) ・出会いの瞬間であり、ルックスや社会的地位など、外から見える部分に対する刺激が重要な要因となる。 ②第二段階:価値(Value) ・価値観の類似性が重要な要因となる段階。 ・同じ趣味や好み等が、親密さを見出すカギとなる。 ③第三段階:役割(Role) ・互いの人生における役割関係ができ、相補性ができることによって互いが"なくてはならない人"になっていく。 ●愛の三角理論(スターンバーグ) ・"親密性"、"情熱"、"コミットメント(自己開示)"という3つの指標で、愛情の形を分類。 ・理論によると最初は"情熱"が強いが、だんだんと関係が熟成するにつれて"コミットメント(自己開示)"が"親密性"を押し上げていくようになる。 ・満たされた人間関係は、むしろ相手を知ってからの自己開示によるコミットメントが重要となる。 →"受け入れられない"といって逃げていては、いつまで経っても先の段階へは進まない。 ●人との仲が親密になる条件 ①接触の回数が増えるほど、人間関係は親密になる可能が高い(単純接触の効果) ②物理的な距離が近いほど、人間関係は親密になる可能が高い ③同じ体験を共にするほど、人間関係は親密になる可能が高い(吊り橋効果) ・"たくさんの人に顔を見せ"、"できるだけ、様々な活動に参加して距離を近づけ"、"より感情的共有経験をする"ことで、強い人間関係ができていく。 ○不安や恐怖によって親和要求が増す ・人は誰でも、不安になればなるほど、人間関係を強く求めるようになる。 ※参考資料『齊藤勇(2009)「あまり人とかかわりたくない」人のための心理学 PHP研究所』
人間関係と健康
※親切、信頼、感謝、愛着、親密の”親密と健康効果”参照。
・148の研究結果の分析から、周囲が自分を気遣ってくれていると感じており、実際に周囲の人々とつながりがある人は、周囲から見放されていて孤立していると感じている人より、生存率が50%高いことが明らかになっている。 家族や友人との関係に満足していることは、病気への抵抗力、心臓発作からの回復、余命だけでなく、高齢期における認知機能の維持とも強い関連がある。 ・70年間も追跡調査を行ってきたエジンバラ大学の研究グループは、約1000名の対象者のデータから、交友関係への満足感と、認知機能の変化や生活満足感に関連があることを明らかにしている。さらに、性別、教育年数、社会階層、幼少期のIQレベルの影響を排除しても、79歳時に回答した孤独感の程度は、現在の認知機能の状態を予測する非常に有効な要因であることを明らかにしている。 ・一人で住んでいるからといって、必ずしも孤独を感じているわけではないが、頼れる人が一人もいない状況におかれると、深刻な病気、認知障害や認知症、死亡のリスクが高まる。家族から見放され、自分を心配する人は一人もいないと感じている人は、最も病気になりやすく、貧困にあえいでいる場合が多い。 ※参考資料『ダグラス・パウエル(2014)脳の老化を防ぐ生活習慣 中央法規出版』
人間関係を改善する方法
●"箱"の法則 ○"箱"の中、外 ・自分が"箱"の中にいる状態とは? ・自分や他の人達を、ゆがんだ目で見ている。 ・他の人はいわば物にすぎない。 ・自分が"箱"の外にいる状態とは? 他の人や自分をあるがままの人間として見ている ○自分への裏切りをきっかけに"箱"に入る ①自分が他の人のためにすべきだと感じたことに背く行動を、自分への裏切りと呼ぶ。 ②いったん自分の感情に背くと、周りの世界を、自分への裏切りを正当化する視点から見るようになる。 ③周りの世界を自分を正当化する視点から見るようになると、現実を見る目がゆがめられる。 ④したがって、人は自分の感情に背いたとき、"箱"に入る。 ⑤時が経つにつれ、いくつかの"箱"を自分の性格とみなすようになり、それを持ち歩くようになる。 ⑥自分が"箱"の中にいることによって、他の人たちをも"箱"の中に入れてしまう。 ⑦"箱"の中にいると、互いに相手をひどく扱い、互いに自分を正当化する。共謀して、互いに"箱"の中にいる口実を与え合う。 ・他人の欠点を大げさにあげつらう。 ・自分の長所を過大に評価する。 ・自己欺瞞を正当化する。ものの価値を過大に評価する。 ・相手に非があると考える。 ・"箱"の外にいると、自分を正当化する必要がなくなる。 ○"箱"の中にいるときに、しても無駄なこと ・相手を変えようとすること。 ・相手と全力で張り合うこと。 ・その状況から離れること。 ・コミュニケーションを取ろうとすること。 ・新しいテクニックを使おうとすること。 ・自分の行動を変えようとすること。 ○知っておくべきこと ・自分への裏切りは、自己欺瞞へ、さらには"箱"へとつながっていく。 ・"箱"の中にいると、業績向上に気持ちを集中することができなくなる。 ・自分が人にどのような業績を及ぼすか、成功できるかどうかは、すべて"箱"の外に出ているか否かにかかっている。 ・他の人々に抵抗するのをやめたとき、"箱"の外に出ることができる。 ○知ったことに即して生きること ・完璧であろうと思うな。よりよくなろうと思え。 ・すでにそのことを知っている人以外には、"箱"などの言葉を使うな。自分自身の生活に、この原則を活かせ。 ・他の人々の"箱"を見つけようとするのではなく、自分の"箱"を探せ。 ・"箱"の中に入っているといって他人を責めるな。自分自身が"箱"の外に留まるようにしろ。 ・自分が"箱"の中に入っていることがわかっても、あきらめるな。努力を続けろ。 ・自分が"箱"の中にいた場合、"箱"の中にいたということを否定するな。謝った上で、更に前に進め。これから先、もっと他の人の役に立つよう努力しろ。 ・他の人が間違ったことをしている点に注目するのではなく、どのような正しいことをすればその人に手を貸せるかを、よく考えろ。 ・他の人々が手を貸してくれるかどうかを気に病むのはやめろ。自分が他の人に力を貸せているかどうかに気をつけろ。 ※参考資料『アービンジャー・インスティチュート(2006)自分の小さな「箱」から脱出する方法 大和書房』
ネットニュースによる関連情報
●エンドルフィンと社会的ネットワークとの関連 ・ある研究結果によると、エンドルフィンは、ヒトや動物の社会的結合を促進することを示唆している。 ○社会結合の脳オピオイド説 ・社会的相互作用は、脳内でエンドルフィンのオピオイド受容体への結合を起こし、ポジティブな感情の引き金になるといわれている。 これがヒトが友達に会うと良い気分になる原因かもしれない。 ○うつ病との関連 ・うつ病のヒトではエンドルフィンのシステムが妨害されていることが示唆されており、それがうつ病の人々が他人とのつながりに喜びを感じられない原因かもしれない。 ○運動との関連 ・フィットネスレベルの高い人々は社会的ネットワークが小さめであることがわかった。 ・運動もまたエンドルフィンの分泌を高めるので、社会的ネットワークに依存する必要がないからかもしれない。 ○ストレスとの関連 ・強いストレスに曝されている人々は社会的ネットワークが小さめであることがわかった。 ・社会的ネットワークが大きい方がストレスへの対処が良好にできるということか、あるいはストレスが強いと社交にさく時間が取れないのでネットワークは小さくなるのではないかと推測されている。
●夫婦仲が悪いと心血管疾患リスクが増加? ・結婚や夫婦のような関係にあるパートナーと住んでいる281名の健康的な有職の中年成年を対象に行った。4日間に渡りカップルの交流を1時間ごとに観察し、参加者は自分たちの関係を肯定的・否定的に感じているかを評価した。 ・夫婦間の関係が良くない人は、関係に満足している人に比べ、心臓発作や脳卒中を患うリスクが8.5%高いようだ。
●不快な対人関係によって女性高齢者の血圧が上がる? ・50才以上の1,502名を対象に、2006年にまず、配偶者、子ども、その他家族、友人との不快な対人関係(過剰な要求、批判、失望、など)事象がどれくらいあったかをアンケートした。そして、その時及び4年後に血圧を測定した。 ・その結果、ネガティブな人間関係のトータルスコアが高い人は、4年後に高血圧になっているリスクが38%高かった。51-64才の人々は、65才以上の高齢者よりも、よりリスクが高かった。 この傾向は特に女性で顕著で男性では明確な関係は認められなかった。 女性は人間関係に特に気を使う傾向があるので、ネガティブな関係に強い影響をうけるためではないか、と研究者は語っている。
●恋人が出来るとネガティブさが軽減? ・18-30才の245組のカップルを9ヶ月間追跡調査し、3ヶ月毎に個別にインタビューした。アンケートにより参加者の神経症の程度と恋人関係の満足度を分析した。 ・神経症の人は、ネガティブな出来事に強く反応したり、あいまいな事をポジティブまたは中立的に受け取る事ができず、ネガティブに解釈する傾向がある。恋人ができると、こうした傾向は時間とともに徐々に減少することが明らかとなった。 ・恋人ができた事によるポジティブな経験や感情が、悲観的に物事を見る代わりに、自信を持って人生に取り組む助けとなる、と研究者は述べている。