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カロリー制限の効果
・アメリカのウィスコンシン大学のアカゲザルのカロリー制限の実験で、30%カロリー制限した方が生存率が上がり、がん、動脈硬化、糖尿病などの老化に関わる病気にかかりにくくなっていて、見た目も若々しかった。脳の隙間も少なく、神経細胞も長生きになったと思われる。 →サーチュインが活性化され、ミトコンドリアが出す活性酸素が消去されたため? ・アメリカ・カロリー制限協会では、30%程度のカロリー制限に取り組んでいる。 →血管の年齢が実年齢より30歳若い。サーチュインが免疫細胞に働いた? 免疫細胞は歳を取ると敵と味方を見分ける能力が低下し、自分の体を攻撃し始める。特に攻撃を受けやすいのが血管。免疫細胞が入り込んで壁が厚くなり、動脈硬化を起こす。 ・日本の金沢医科大学の調査では、25%のカロリー制限を7週間行ったところ、サーチュインが活性化された。 →短期間でもサーチュインが活性化される?逆に、カロリー制限をやめると活性化がとまってしまう可能性も高い。 ※参考資料『NHK「サイエンスZERO」取材班(2011)長寿遺伝子が寿命を延ばす NHK出版』
●アカゲザルを使った米国の2チームによる研究 ・米国のウィスコンシン大学と国立加齢研究所の2チームが1980年代後半からアカゲザルを使ってカロリー制限の実験。 いずれも、好きなだけ食べさせるグループとそれよりも3割カロリーを制限したグループに分け、生存年数等を比較。 ・当初は、ウィスコンシン大学では"効果あり"、加齢研究所では"効果なし"としていた。 ・今回、両チームで互いの実験を比べたところ、ウィスコンシン大学では、カロリー制限を開始したサルの年齢が7~15歳の大人を対象としていたのに対し、加齢研究所では、1~23歳と若年から中高年まで含み幅が広かった。 カロリー制限開始時の年齢を若年(1~14歳)と中高年(16~23歳)に分けて再解析したところ、若年の場合は効果が見られず、中高年の場合は平均寿命が9歳ほど長いという結果となった。 ・さらに、開始年齢や性別に関わらず、がんの発生率が15~20%低く、糖尿病や脳卒中など加齢に伴う病気の発症時期がより遅くなる、という傾向もあった。 ※参考資料『2017/1/18 朝日新聞』
・フリーラジカルの産生が減り、ミトコンドリアからのエネルギー生成が高まる。 ・アポトーシスを減らすことにも大きな効果がある。 ・カロリー制限がきっかけとなって、炎症因子が減少し、神経細胞保護因子、とくにBDNF(脳由来神経栄養因子)が増加する。 ・過剰なフリーラジカルを抑制する際に重要な酵素や分子が増えることにより、体の自然な酸化防御機構が強化される ※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す 三笠書房』
●カロリー制限と低体温 ・カロリー制限している人は0.1~0.2度ほど低体温。 ・低体温だと代謝活動が低下。 →エネルギー代謝をつかさどる酵素の働きや炎症を引き起こす免疫システムが適度に抑えられる。 ※参考資料『後藤眞(2013)老化は治せる 集英社』
・カロリーだけを70~80%ぐらいに制限する食事療法。 ・カロリー制限を実践すると、認知症やアルツハイマー病の予防に効果的であることが実証されており、記憶力も向上することが分かってきた。 ※参考資料『森下竜一,桐山秀樹(2015)アルツハイマーは脳の糖尿病だった 青春出版社』
●AGEsと長寿遺伝子 ・食べ物の中のAGEsの量を八分目にすると腹八分目にしたのと同じ寿命延長効果があった。 ・食事で摂るAGEsを制限すると、SIRT1が増えることがわかった。 ※参考資料『山岸昌一(2012)老けたくなければファーストフードを食べるな PHP研究所』
長寿遺伝子、サーチュイン遺伝子の効果
・サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子とも呼ばれ、その活性化により生物の寿命が延びるとされる。ヒトを含む哺乳類では7種類が見つかっておりSIRT1~7と命名されている。 ・SIR1、6、7は核、2は細胞質ゾル、3はミトコンドリア、4、5はミトコンドリアのマトリックス内にある。 ●SIR1 ・PCG-1αに直接働きかけ、肝臓や筋肉でミトコンドリアを増やす役目がある。 ・グルタチオンペルオキシダーゼなど酸化ストレスを減らす酵素を増やす。 ・インスリンの分泌を促進。 ・がんを抑制するp53というタンパク質の働きも促進。 ●SIR3 ・酢酸からアセチルCoAをつくる酵素反応を促進させる。そしてアセチルCoAがクエン酸回路に入りエネルギーが枯渇しないように対応してくれる。 ●SIR4 ・グルタミンやグルタミン酸といった重要なアミノ酸が減らないようにしてくれる。 ※参考資料『瀬名秀明,太田成男(2007)ミトコンドリアのちから 新潮社』
・あらゆる生物が持っている遺伝子。 ・哺乳類では、様々な臓器で働き、長寿を実現する。肝臓や膵臓では糖尿病を抑える働きをしており、大腸ではがんを防ぐ働き、脳では神経の障害を防ぐ働きをしている。 100種類近くもの老化を抑え込む司令塔のような役割 ・サーチュインは、今の生活習慣、健康状態から予想される寿命を数パーセント増しにする程度かもしれない。飢餓を生き延びる緊急避難的な対策として進化した以上、最大寿命まで引っ張る必然はなく、とりあえず少し延ばす程度では? ・動脈硬化、骨粗しょう症、認知症、がん、糖尿病などの老年病に対し、一元的に予防、治療できるのでは? ●サーチュインによる悪影響は? ・生殖と寿命はトレードオフの関係では?サーチュインは、生殖を繰り延べるために進化したものならば、その活性化は生殖能力に悪影響を与えるのでは? ・がんを悪化させる?細胞の寿命を延長するのは、がん細胞が持つ機能と同じ。 ●心臓とサーチュイン ・心筋は常に働き続けているので、大量の酸素を消費していて、ミトコンドリアから有害な活性酸素が大量に発生する。この活性酸素によって心筋細胞が老化する。 この活性酸素による攻撃をサーチュインが防いでくれる。 ●長寿遺伝子はなぜ生まれた? ・サーチュインがカロリー制限によって活性化するのは、生物が飢餓を生き延びるために不可欠な存在だったから? →飢餓のときに生殖しようとすると死ぬリスクがあるので、老化を防いで生き延びて、栄養状態がよくなったら次の子孫を残す? ・祖先の生物で、体内にたまる有害な老廃物を掃除する働きを持った遺伝子が生まれ、老廃物がなくなったことで老化が遅れ、その固体は飢餓を生き抜くことが出来た? その後、より複雑な生物へと進化すると、ミトコンドリアの出す活性酸素や免疫の暴走など、老化の原因が増えていくにつれて、それを追いかけるようにサーチュイン遺伝子も進化して、たくさんの老化の原因を抑え込むようになったのでは? ※参考情報『NHK「サイエンスZERO」取材班(2011)長寿遺伝子が寿命を延ばす NHK出版』
●SIR1 ・サルの場合、SIR1の活性が上昇するとアミロイドを分解する酵素が増える。 加えて、細胞上のある受容体を変化させ、炎症の抑制を導く。 ・BNDF(脳由来神経栄養因子)が増える。BDNFは脳細胞の数を増やすだけでなく、機能的なニューロンへの分化を強化する。これによってBDNFが学習と記憶を向上させる。 ※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す 三笠書房』
●長寿遺伝子、時計遺伝子とメタボ、寿命との関わり ・長寿遺伝子サーチュインは、生体のリズムを作り出しているCLOCK、BMAL、Perという時計遺伝子の働きを化学修飾によってコントロールしている。 逆に時計遺伝子のCLOCKがサーチュインやサーチュインの活性化に必要なNAD+を作り出す酵素であるNamptの機能をコントロールしている。 ・サーチュインは食事や栄養状態によってその作用が変化するので、不規則な食事のパターンや偏った栄養状態は体内時計を狂わせるかもしれない。 →血圧は朝方一番高く、夜寝ているときは低い、といった体のリズムが狂わされる? ・不規則な生活をしていると時計遺伝子の働きが狂い、サーチュインの働きがおかしくなり、ミトコンドリアの機能が変わってメタボになりやすくなったり、寿命が短くなったりするかもしれない。 ※『伊藤裕(2010)臓器は若返る 朝日新聞出版』
●Sir1遺伝子 ・Sir1遺伝子は、ヒストンを脱アセチル化する酵素を作っていて、エピジェネティック制御に関与する。 ・カロリー制限により、Sir1遺伝子が活性化される。 ・カロリー制限すると解糖系代謝が低下し、ミトコンドリア呼吸が促進されるが、その結果産生される代謝物質NAD(補酵素)がSir1遺伝子を活性化、さらにSir1遺伝子が脱アセチル化によってPGC-1という遺伝子が作るタンパク質を活性化。 PGC-1タンパク質はミトコンドリアを新たに作るときに非常に重要な転写因子なので、さらに呼吸が促進される。 呼吸は促進されるが、酸化ストレスは低下しているので、寿命延長? ・Sir1タンパク質は、p53タンパク質と結合し、脱アセチル化を行い、アポトーシスを制御する。 ・Sir1遺伝子は、テロメア機能においても重要であり、他の代謝系酵素を直接制御する。 ・Sir1遺伝子から作られるタンパク質は、ヒストンや他のタンパク質を脱アセチル化する酵素で、テロメア領域のヒストンの脱アセチル化も制御している。 Sir1タンパク質による脱アセチル化が行われないと、WRN(ウェルナー症候群の原因遺伝子)タンパク質はテロメア領域に結合する事ができない。 ※参考資料『近藤祥司(2009)老化はなぜ進むのか 講談社』
●Sir2 ・インスリンの生成やその伝達経路を制御する働きを持っている。 ・米国メリーランド州ボルティモア国立老化研究所の研究(1958年~)による長寿の人の共通点は、以下が挙げられていて、これはSir2によっても同じ現象が起こる。逆にメタボでは逆の現象が起きている。 ①低体温 ②血液中のインスリン濃度が低い ③血液中のDHEA(ホルモンの一種)濃度が高い ※DHEA テストステロンやエストロゲンの材料となるホルモン。炎症を抑える働き。 ・Sir2を活性化する方法は、カロリー制限と運動。 ※参考資料『坪田一男(2011)人は誰でも「元気な100歳」になれる 小学館』
●長寿遺伝子 ・サーチュインは、飢餓の時に寿命を延長する役割を担っていることが分かっている。 ・カロリー制限によりサーチュイン遺伝子が活性化される。 ・サーチュインタンパクは、ヒストン脱メチル化により遺伝子発現を変化させ、老廃物を除去し、老化を遅らせる。 ○環境因子 ・遺伝因子と環境因子は、協調して長寿に寄与していると考えられている。 ・運動により細胞内のAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)が活性化 →サーチュイン遺伝子が活性化 →NF-κBの働きを抑え、加齢炎症を抑える →寿命を延長。 ・肥満や高血糖 →AMPK活性が減少 →ERストレス(小胞体ストレス)や酸化ストレス増加 →NF-κBが活性化 →炎症性サイトカイン増加 →寿命短縮 ○AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK) ・エネルギー消費を増やし、細胞内廃棄物処理(ハウスキーピング)機能の質を上げるなど、加齢を防ぐために重要な役割を果たしている。 ※参考資料『金子義保(2012)炎症は万病の元 中央公論新社』
カロリー制限、サーチュインに対する反証、懸念
●カロリー制限と感染症のリスク ・カロリー制限によりナチュラルキラー細胞の活性が低下し、インフルエンザウィルスによる感染に弱くなる。 カロリー制限の実験は、病原菌が存在しない清潔な環境で行われている。 ・高齢者は粗食によって低栄養状態になると、病原体に対する免疫機能が低下し、再生機能が衰えて血管壁がもろくなるうえ、筋肉も弱くなり、認知症にもなりやすくなり、寿命が短くなるリスクがある。 ●サーチュインに疑義 ・2011年9月21日、ネイチャーに発表された内容によると、SIR2の過剰出現は線虫およびショウジョウバエの寿命に影響しない。 →サーチュインとは無関係な遺伝子の変異によるもの? ※参考資料『杉本正信(2012)ヒトは一二〇歳まで生きられる 筑摩書房』
・Sirt6はげっ歯類の寿命は延ばすが、その効果があるのはオスに限られる? ※参考資料『ティム・スペクター(2014)双子の遺伝子 ダイヤモンド社』
・哺乳類では、高カロリー食でメタボ状態な動物に対して、標準食の個体並みの寿命に戻す効果があるのみ。 動物では、寿命の延長効果は無く、健康状態が維持されるという効果に留まる。(2008年) ※参考資料『太田邦史(2013)エビゲノムと生命 講談社』
・男性70歳、女性75歳以上になると痩せすぎにより死亡率が高くなるので注意。 →65歳を境に血中コレステロール濃度が自然に低くなる。コレステロール濃度が低下すると免疫機能が低下して、がん、脳血管疾患、呼吸器疾患の死亡率が上がってしまう。 ・ビタミンCは鉄イオンや銅イオンを還元し、還元された鉄イオンや銅イオンは酸化力のもっとも強い活性酸素を作り出す。ビタミンCを過剰に取るとデメリットの方が大きい。 ・カロリー制限が限度を越すと生殖能力の低下がありうる。 ハエを使った研究では、メチオニンというアミノ酸を多く摂取すると寿命がのびたうえに生殖能力も低下しなかった。 メチオニンは、大豆、落花生、カシューナッツなどの豆類に多く含まれる。 ※参考資料『太田成男(2010)体が若くなる技術 サンマーク出版』
レスベラトロール
・ポリフェノールの一種。サーチュインの働きを高めた? ・筋肉のミトコンドリアが2倍に。 ・赤ワインにも含まれているが量が極めて少ない。薬又はサプリメントで摂取。 ・レスペラトロールはサーチュインに直接あるいは間接に作用して、何回も働かせる事が出来る。 ・動脈硬化に対して予防の働き。 ※参考資料『NHK「サイエンスZERO」取材班(2011)長寿遺伝子が寿命を延ばす NHK出版』
・レスベラトロール(赤ワインに含まれる植物エキス)はミトコンドリアを増やして活性化し、肥満細胞のインスリン感受性を高め、酵母や線虫のような下等生物では寿命を伸ばす事ができる。 レスベラトロール(赤ワインに含まれる植物エキス)がサーチュイン遺伝子を活性化し、それが他の遺伝子を脱アセチル化する事によって上記効果がもたらされると考えられている。 ※参考資料『ティム・スペクター(2014)双子の遺伝子 ダイヤモンド社』
・レスベラトロールがエピジェネティクスと関連するヒストン・脱アセチル化酵素、Sir2というたんぱく質を活性化し、その結果として寿命が延長する。 ※参考資料『太田邦史(2013)エビゲノムと生命 講談社』
・天然に存在する抗酸化物質で、赤ワインが主要な供給源。 ・動脈収縮を防ぐため、血圧コントロールに役立つ可能性が示された。 ・疫学調査や臨床研究の結果、少なくとも部分的には赤ワインが持つコレステロール低下作用に関与していることが示されている。 ・がんの発症、進行の両者を防ぐと考えられている。発がん過程の様々な段階で発がん、増殖、進行を阻止することが示されている。 抗酸化作用、抗変異原性作用があり、ある研究によると、発がん物質を無毒化する酵素、キノンレダクターゼの産生を増幅させることが示されている。 ・レスベラトロールがsir2酵素を試験管内でも生体内でも活性化したという研究があり、寿命を延ばす可能性を示すエビデンスがある。 ※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』
ネットニュースによる関連情報
●SIRT3が脳のストレス保護?、運動で活性化? ・マウスによる実験で、ミトコンドリアに存在するSIRT3と呼ばれる酵素がエネルギー欠乏に至るような様々なストレスから保護している可能性が報告。 ・回し車での運動をしていたマウスはこのSIRT濃度が増加した。
●月5日間のカロリー制限食で健康と加齢が改善? ・19名の介入群と18名の対照群を含む参加者を対象に試験的にランダム化臨床試験を実施。 ・月5日間3か月にわたって、カロリーを普通食の34-54%に制限し、たんぱく質を11-14%、炭水化物を42-43%、脂質を44-46%に調整した食事を摂取したところ、加齢、糖尿病、心臓病、がんに関係する種々のリスク因子が、対照群に比べて有意に低下していた。
●レスベラトロールが記憶力の低下を防ぐ ・レスベラトロール治療群のラットは、空間学習と記憶能力の両方が改善されていた。 ・レスベラトロール治療群のラットの神経新生(神経細胞の成長と発展)は対照ラットに比べ、倍増していた。レスベラトロール治療群のラットはまた、微小血管系が有意に改善されていたため、血流が改善され海馬における慢性炎症レベルが低かった。
●レスベラトロールに寿命延長効果なし? ・イタリアの合計783名の65才以上の男女を1998年から2009年まで追跡調査した結果、尿中のレスベラトロール代謝産物の量と、死亡、炎症、心血管病およびがんの間には関係はみられなかった。
●2年以上にわたる25%カロリー制限によって慢性炎症の低下を確認 ・健康で肥満ではない人々が2年以上にわたって25%のカロリー制限を続けることで(ただし充分なたんぱく質、ビタミン、ミネラルは摂りつつ、することで)、他の免疫系の鍵となる機能、例えばワクチンに対する抗体産生などにネガティブな影響を与えずに慢性炎症が低下することを確認できた。
●カロリー制限によってサルの疾患リスク、死亡リスクが低下 ・76頭のサル(アカゲザル)を対象にした実験で、7-14歳の頃から30%のカロリー制限をかけられた食事を続けてきたサルと比較して、自由に摂食してきたサルでは、疾患リスクが2.9倍に、死亡リスクは3倍に上昇することが明らかになった。
●猿におけるカロリー制限の効果 ○2009年、ウィスコンシン大学のグループの報告 ・猿の有意な生存期間の延長とがん、心血管系疾患、インスリン抵抗性の低下を報告。 ○2012年、国立加齢研究所のグループの報告 ・健康が改善されるものの生存期間の延長は有意な差ではなかったと報告。 ○今回、両チームが共同してデータ解析した結果 ・両チームは、異なる年代の猿に対して食事制限を行っていた。 →比較検討の結果、大人から高齢の猿は食事制限で利益を得るが、若い猿にはあまり利益がないことがわかった。 ・両チームが与えた食事が実質的に異なるものであった。 国立加齢研究所の猿は天然の食品を多く食べたが、ウィスコンシンの猿は砂糖の多い加工食品がメインだった。そのため、ウィスコンシンの猿は肥満であり、食事制限の効果がより強く現れた。 ・結論として、カロリー制限は現実に寿命に影響を及ぼすであろうことが確認された。
●ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)で老化が抑制? ・ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)は体内にある物質で、サーチュインと呼ばれる長寿に関わる遺伝子の活性化の働きをする。NMNは野菜などにも含まれる。加齢に伴って減少してしまう。 ・健康な大人のマウスに、飲み水に混ぜてNMNを与え、生後5ヶ月から17ヶ月まで観察。 →NMNを与えたマウスは与えなかったマウスと比べて、"中年太り"による体重の増加が約1割少なく、血糖値を下げるインスリンの効き方が悪化したり、骨密度が低下したりといった老化現象も抑えられた。