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アルコールと交感神経
・アルコールも脳や交感神経を刺激して心臓を無理に拍動させ収縮させる作用があるので好ましいものとは言えない。常飲すると血圧を上げる。 ・交感神経を緊張させる作用があるので、不整脈の原因となる。 ※参考情報『小坂眞一(2008)心臓病の9割は防げる 講談社』
アセトアルデヒド
・日本人の14%は肝臓にアルコール分解酵素を持っていない。46%の人はアセトアルデヒド分解酵素の働きが弱い。 ・アルコール、タバコに含まれるアセトアルデヒドはいわゆる細胞毒で、脳や心臓の筋肉に大きなダメージを与えている。 ※参考情報『小坂眞一(2008)心臓病の9割は防げる 講談社』
アルコールの利尿作用、血栓症
・アルコールの利尿作用のメカニズム ①アルコールによって血液の浸透圧が高くなり、その結果、血管外の水分が血管内に移動して血液量が増え、そのために尿量が増える。 ②アルコールが脳に直接作用して、腎臓に働く抗利尿ホルモンの分泌を減らしてしまう。 →体が脱水症状で水分補給を欲していても脳の機能が抑制されているので気づきにくい。 ・アルコールは利尿作用があるので、酒ばかり飲んで水分の補給をしないと血液が濃縮して固まりやすくなり、その結果、血栓ができてしまう。 ※参考情報『小坂眞一(2008)心臓病の9割は防げる 講談社』
アルコールと肥満
・アルコールは即エネルギーとして使われるが、つまみを一緒に食べていると食事のエネルギーが睡眠中に中性脂肪となって体内に蓄積されやすい。 ・アルコールは胃液の分泌を増加させ、食欲を増進させて消化、吸収を増強する作用がある。 ・アルコールはそれ自体が7.1キロカロリー/gと高カロリーのうえ、肝臓細胞におけるエネルギー燃焼サイクルを抑制し、脂肪の分解を止めてしまう。 ↓ 加えて皮下脂肪組織や内臓脂肪から脂肪酸を血液中に放出させる。 ↓ 脂肪酸は肝臓に行って中性脂肪の材料となり、肝細胞から余剰の中性脂肪が血中に放出。肝臓の中性脂肪増える。脂肪肝やアルコール性肝炎の原因。 ↓ インスリン抵抗性状態、糖尿病 ※参考情報『小坂眞一(2008)心臓病の9割は防げる 講談社』
高血圧とアルコールとの関連
●多量飲酒の影響 ・多量飲酒は長期的には血圧を上昇させる。 ・"NIPPON DATA"を始めとする多くの疫学研究では、アルコール摂取量が多くなればなるほど、血圧の平均値が上昇し、高血圧の頻度が増加することが示されている。 ・飲酒習慣のある男性高血圧患者において飲酒量を約80%減じると1~2週間のうちに降圧を認めた。 ・Ueshimaらの介入試験では、飲酒習慣のある軽症高血圧患者の飲酒量をエタノール換算で平均56.1mL/日から26.1mL/日に減じると、収縮期血圧の有意の低下を認めた。 ・メタ・アナリシスでもアルコール制限の降圧効果が示されている。Xinらの成績では、29~100%のアルコール制限で有意の降圧を認め、アルコール制限の程度と降圧には量・反応関係を認めた。 ●適正な飲酒量 飲酒はエタノールで20g/日以下にすべきであるとされている。 ●少量の飲酒 ・高血圧患者では少量の飲酒はむしろ心血管病のリスクを改善し、飲酒量と心血管リスクはU型の関係を示すという疫学研究(心血管病のない成人男性が対象)が報告されており、多くの同様の報告がある。 しかし、少量の飲酒の心血管保護効果の有無については、今後の検討が必要で、これらの疫学研究の成績をもとに飲酒をしない人に少量の飲酒を勧めるべきではない。 ※参考資料 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス
※多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
●飲酒習慣と心筋梗塞の関連について ・適度な飲酒は心筋梗塞を予防するという疫学研究の結果が、心筋梗塞の発生率が高い欧米を中心に多数報告されている。 これまで日本で行われた小規模の研究で、すぐ赤くなる人では飲酒によって心筋梗塞になりやすくなるという報告があった。 本研究では、生活習慣に関するアンケート調査を実施した男性を対象に、まず飲酒ですぐ赤くなる・ならないで分け、それぞれのグループで、飲酒量とその後約9年の追跡期間中に発症した急性心筋梗塞との関連を調べた。 ○結果 ・飲酒後すぐ赤くなるグループでも、赤くならないグループでも、飲酒量が増えるにしたがって、急性心筋梗塞の発症リスクが低下した。 また、1日当たり3合以上の大量飲酒者でも、急性心筋梗塞のリスクが高くなることはなかった。 ○推察、注意点 ・予防のメカニズムについては、エタノールそのものの効果から、特に赤ワインに含まれるポリフェノールなどの効果まで、幅広く報告されている。 今回の分析では、お酒の種類に関わらず、エタノール量に換算して検討した。エタノールには、HDLを増やす作用、血液を固まりにくくする作用などが知られている。 ・同じコホート研究から、1日当たり平均で1合(日本酒換算)を超える飲酒が、総死亡、がん、全脳卒中、2型糖尿病、自殺のリスクと関連することが報告されており、前述したアルコールの作用は、必ずしもすべての病気に予防的というわけではないことに注意。