※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
- マグネシウムの概要
- マグネシウムの吸収
- マグネシウムを多く含む食品
- マグネシウム不足の問題
- マグネシウム過剰摂取のリスク
- マグネシウムと生活習慣病との関連
- 多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス
- ネットニュースによる関連情報
マグネシウムの概要
・マグネシウムは、ほとんど全ての生合成反応や代謝反応に必須のミネラル。
・カルシウムと密接に関与し、骨の健康を維持する働きもある。
・マグネシウムは全ての細胞や骨に広く分布するため、精製・加工していない食品に万遍なく存在している。
・カルシウムと密接に関与し、骨の健康を維持する働きもある。
・マグネシウムは全ての細胞や骨に広く分布するため、精製・加工していない食品に万遍なく存在している。
・糖代謝に大きな役割を果たしている。 ・細胞でのエネルギー産生やタンパク質合成にも用いられる。 ・神経系、筋肉の収縮、健康な骨や歯の形成に必須。 ・何百という酵素反応に関与しているので、その欠乏症は免疫系に有害な影響を与える。 ○アンチエイジングで期待されている効果 ・一部の研究で高血圧を抑える可能性が示唆されているように、心血管疾患の予防に働く。 ※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』
マグネシウムの吸収
・血清中のマグネシウム濃度は一定の範囲に保たれていて、マグネシウムが欠乏すると腎臓からのマグネシウムの再吸収が亢進すると共に、骨からマグネシウムが遊離し利用される。
・食品から摂取したマグネシウムは、20~70%程度が小腸で吸収され、全身の組織に運ばれて利用されるといわれている。
・腸管からの吸収率は、摂取量が多ければ低下し、少なければ高くなる。
・食品から摂取したマグネシウムは、20~70%程度が小腸で吸収され、全身の組織に運ばれて利用されるといわれている。
・腸管からの吸収率は、摂取量が多ければ低下し、少なければ高くなる。
マグネシウムを多く含む食品
大豆、アーモンド、いりごま、焼き海苔、ひじき、わかめ
まいわし、きんめだい、かき、ししゃも
まいわし、きんめだい、かき、ししゃも
マグネシウム不足の問題
・通常の食事をしている健康な人では不足することはほとんどない。
・マグネシウムはカルシウムと拮抗的に働くので、心疾患の予防の観点から、マグネシウム摂取量はカルシウム摂取量の約半分が理想的と考えられているが、カルシウムの摂取量に対するマグネシウムの相対的摂取不足が、種々の疾患の誘因として重要視されている。
・マグネシウムはカルシウムと拮抗的に働くので、心疾患の予防の観点から、マグネシウム摂取量はカルシウム摂取量の約半分が理想的と考えられているが、カルシウムの摂取量に対するマグネシウムの相対的摂取不足が、種々の疾患の誘因として重要視されている。
マグネシウム過剰摂取のリスク
・通常の食品に含まれるマグネシウムの過剰摂取で健康障害が起こったという報告はない。
マグネシウムと生活習慣病との関連
・高血圧との関連については以下の記事参照。
高血圧と食塩、食事、肥満との関連の”DASH食、カリウム、カルシウム、マグネシウムとの関連”
・大腸がんとの関連については以下の記事参照。
大腸がんの概要と予防方法の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”
高血圧と食塩、食事、肥満との関連の”DASH食、カリウム、カルシウム、マグネシウムとの関連”
・大腸がんとの関連については以下の記事参照。
大腸がんの概要と予防方法の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”
●糖尿病 ・マグネシウム摂取量と2型糖尿病との関連について検討した13の前向きコホート研究のメタ・アナリシスでは、マグネシウムの摂取量と2型糖尿病の罹患リスクは負の相関を示し、100mg/日のマグネシウム摂取量増加は、相対リスクを0.86に低下させた。 カルシウムの場合と同様に、マグネシウムの補給摂取(マグネシウム630mg/日相当)によるメタボリックリスク改善の報告(50歳代の2型糖尿病患者が対象)がある。 しかし、糖尿病の予防に必要なマグネシウムの摂取量を明らかにするためには、更なる縦断研究の蓄積が必要と考えられている。 ※参考資料 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
●マグネシウム摂取と糖尿病リスク ・マグネシウムの多い食事が糖尿病のリスクを顕著に低下させる理由は、おそらく糖代謝におけるマグネシウムの重要な働きによると考えられる。 低マグネシウム血症は糖尿病の先行状態であるインスリン抵抗性を悪化させるかもしれないし、あるいはインスリン抵抗性の結果であるかもしれない。 ・糖尿病はマグネシウムの尿中への喪失を増やし、その後に続くマグネシウム不足がインスリン分泌とインスリン活性を障害するため、糖尿病の管理が難しくなる。 ●マグネシウムと骨粗鬆症 ・マグネシウムは骨形成に関与しており、骨芽細胞および破骨細胞の活性に影響を与える。 ・マグネシウムは、骨の恒常性を主に制御する副甲状腺ホルモンと活性型ビタミンDの濃度にも影響を与える。 ○マグネシウム摂取と骨密度 ・地域住民を対象とした複数の研究の結果、男女ともマグネシウム摂取と骨密度との間に関連性があることが認められた。 ・少数ではあるが、食物やサプリメント由来のマグネシウム摂取量を増加させれば閉経後の女性や高齢女性の骨密度が増加するという研究結果も示されている。 たとえば、ある短期試験によれば、20人の閉経後の骨粗鬆症女性に1日あたり290mgのマグネシウム元素をクエン酸マグネシウムとして30日間投与したところ、プラセボと比較して骨代謝が抑制され、骨量減少が低下した。 ○骨粗鬆症患者と血清マグネシウム値 ・ある研究によれば、骨粗鬆症の女性は、そうでない女性より血清マグネシウム値が低いことが明らかになった。 ○骨粗鬆症の予防 ・推奨量のマグネシウムを含有する食事は骨の健康を促進したが、骨粗鬆症の予防と治療におけるマグネシウムの役割を解明するためにはさらなる研究が必要。 ※参考情報 マグネシウム | 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業
多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス
※多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
●マグネシウム摂取と糖尿病との関連について ・マグネシウムは、インスリンの働きを良くし糖の代謝を改善することが示唆されており、マグネシウム摂取により糖尿病のリスクが低くなることが欧米の研究で報告されている。 アンケート調査の結果を用いて、マグネシウムの摂取量により5つのグループに分類し、その後5年間の糖尿病発症との関連を調べた。 ○結果 ・本研究では、男女ともにマグネシウム摂取と糖尿病発症との有意な関連はみられなかったが、男性においてマグネシウムの摂取が多くなるほど糖尿病発症のリスクが若干低くなる傾向がみられた。 ・欧米の結果と異なる利用としては、日本を含むアジアは欧米に比べ肥満者の割合が少ないことや、日本人のマグネシウムの供給源は欧米人とは異なること(日本人のマグネシウムの主な供給源:穀類、野菜類、豆類;欧米人:乳製品、動物性食品)が考えられるが、さらなる検討が必要。
●食事からのマグネシウム摂取量と虚血性心疾患発症との関連について ・食事からのマグネシウム摂取量と虚血性心疾患との関連を調べた。 ○結果 ・虚血性心疾患の発症リスクは、男女とも、食事からのマグネシウム摂取量が増えるほどリスクが低下する傾向がみられた。 ・食事からのマグネシウム摂取量と脳卒中との関係は、脳卒中の病型(脳梗塞、出血性脳卒中)別の解析を含め、認められなかった。 ○推察 ・マグネシウムは魚、果物、野菜、大豆に多く含まれ、これらの食品(食品目)多く摂取することで、循環器疾患の予防が期待される。 ・先行研究では、マグネシウム欠乏症が重篤で致死性の虚血性心疾患を引き起こすことが報告されている。 マグネシウムの欠乏は、血圧上昇、血糖代謝低下、動脈硬化促進、脂質代謝異常など、虚血性心疾患の原因となる複数の要素と関連する。 一方、動物実験では、高マグネシウム食を与えると血中の血糖値と脂質値が下がることも報告されている。 これらのことがマグネシウム摂取の循環器疾患発症に対する予防効果として考えられる。
ネットニュースによる関連情報
●マグネシウムの摂取量とメタボのリスクとの関係 ・マグネシウムの食事からの摂取が推定平均必要量(EAR)を満たしている者は、食事とサプリからの摂取が不足している者に比べて、メタボリック症候群(0.88)、肥満(0.91)、血圧の上昇(0.88)、最高血圧の上昇(0.87)、HDLの低下(0.84)のリスクが低い(カッコ内はオッズ比)ことが明らかになった。