がんとエピジェネティクス、環境ホルモン、環境と薬の作用

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  1. エピジェネティクス
  2. 環境ホルモン
  3. 抗ホルモン剤とゾレドロン酸
  4. 骨粗しょう症の薬
  5. 免疫、炎症とがん、アスピリン

エピジェネティクス

・がん細胞のDNAは総じてメチル化が通常より少なく、普通なら(メチル化によって)抑制されている遺伝子が勝手気ままに振舞うようになる。
 そのせいで、染色体が不安定になり、遺伝子は変異し、刷り込みシステムは崩壊する。その結果、重要な成長遺伝子のスイッチがオフになる。
 同時にいくつかのDNAでは過度にメチル化されて、遺伝子が抑制される。がん抑制遺伝子。
 
※参考資料『ティム・スペクター(2014)双子の遺伝子 ダイヤモンド社』

環境ホルモン

・ホルモンの繊細な働きをまねるホルモン様化学物質(環境ホルモン)の中には、エストロゲンに似た働きをするものがある。
 大豆イソフラボンやワインに含まれるレスベラトロールのように天然のものもあれば、DES(ジエチルスチルベストロール)や殺菌剤のように人工の化学物質もあるが、そうした化学物質は、ホルモンが調節するすべての経路に影響し、特に発達の初期段階に影響を及ぼす。
 
※参考資料『ティム・スペクター(2014)双子の遺伝子 ダイヤモンド社』

抗ホルモン剤とゾレドロン酸

●悪性の乳がんを患う閉経後の女性に対する調査
 
・"ホルモン受容体陽性乳がん"は、エストロゲンに暴露すると大きくなる。したがって標準的な治療では、エストロゲンを抑えるために抗ホルモン治療が行われる。
 
・乳がんを外科的に除去した1803名の女性をランダムに2グループに分け、一方には、1年に2度、抗ホルモン剤とゾレドロン酸(骨を育てる薬)と投与し、もう一方には、同じ間隔で、抗ホルモン剤とプラセボを投与した。
  ↓
ゾレドロン酸を投与されたグループは、がんの再発率が36%も減少した。
→環境(骨。乳がんは骨に転移する)を変えれば、種(乳がん細胞)の発芽を抑えられる。
 
※参考資料『デイビッド・B.エイガス(2013)ジエンド・オブ・イルネス 日経BP社』

骨粗しょう症の薬

・骨粗しょう症の治療でビスホスホネートを1年以上投与された人は、乳がんのみならず、大腸がんのリスクも下がる事が分かった。
 ビスホスホネートは、下記に示す効果があると推測される。
"がん細胞が体内を移動し、ほかのがん細胞や骨に付着する力を減少させる。がん細胞と戦うT細胞を活性化させる。がん細胞に養分を送る血管の生成を妨げる。細胞死を誘発して細胞のバランスを保つ。抗がん剤の効果を高める。"
 
以下のような仮説もある
"骨は鉛やカドミウムといった有毒な重金属の集積所として機能している。年をとって骨が溶けるにつれて、有毒物質が体に戻され、悪影響を及ぼす。ビスホスホネートは骨を維持する事により、有毒物質の拡散を妨げている"
 
※参考資料『デイビッド・B.エイガス(2013)ジエンド・オブ・イルネス 日経BP社』

免疫、炎症とがん、アスピリン

自然炎症、慢性炎症の”免疫、炎症とがん、アスピリン”参照。

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