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ケトン体の概要
・ブドウ糖とケトン体については、以下の記事参照。
ミトコンドリアによるエネルギー生成、解糖系、糖新生、ケトン体の”ブドウ糖とケトン体”
●ケトン体とは?
・アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称。
・脂肪酸ならびにアミノ酸の不完全代謝産物。
ミトコンドリアによるエネルギー生成、解糖系、糖新生、ケトン体の”ブドウ糖とケトン体”
●ケトン体とは?
・アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称。
・脂肪酸ならびにアミノ酸の不完全代謝産物。
●ケトン体の上昇 ・糖質制限でケトン体は上昇。 ・脂肪を積極的に摂取することでも上昇する。中でも最も早くケトン体に代わる脂肪が中鎖脂肪酸。 ※参考資料『宗田哲男(2015)ケトン体が人類を救う 光文社新書』
●ケトン体を生成して代謝 ・糖質の摂取が少なかったり、糖質の代謝に何らかの不具合が生じたりすると、アセチルCoAはケトン体に変化し、これが代謝されてエネルギーとして用いられる。 脂肪酸 →アセチルCoA →ケトン体(アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトン)が肝臓のミトコンドリアで生成 →アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸が身体の各臓器に運ばれて、アセチルCoAに変換 →クエン酸回路、電子伝達系でエネルギー生成 ※参考資料『近藤和雄(2015)人のアブラはなぜ嫌われるのか 技術評論社』
●ケトンとβヒドロキシ酪酸 ・飢餓状態のときに脂肪をケトンという分子に分解する事ができる。 食料がなくなって三日ほど経つと、肝臓が体内の脂肪を使ってケトンを作り始める。このときケトン体の一つであるβヒドロキシ酪酸が脳のための非常に効率の燃料源となって、食糧難の間も長期間、認知機能を保つ。 ※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す 三笠書房』
中鎖脂肪酸、ココナッツオイルとケトン体
●中鎖脂肪酸とケトン体 ・中鎖脂肪酸は、小腸から門脈を経由して直接肝臓に入り、そこで代謝されたケトン体になる。長鎖脂肪酸と比べて約5倍も速く分解されてエネルギーになる。 ※参考資料『宗田哲男(2015)ケトン体が人類を救う 光文社新書』
●βヒドロキシ酪酸とココナッツオイル ・βヒドロキシ酪酸は、ブドウ糖より効率よくATPエネルギーを生産。 βヒドロキシ酪酸はココナッツオイルを食事に加えるだけで簡単に得られ、抗酸化機能を高め、ミトコンドリアの数を増やし、新しい脳細胞の成長を促す。 ※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す 三笠書房』
ケトン食療法、認知症に対する効果
●中鎖脂肪酸とアルツハイマー病 ・通常、脳はエネルギー源としてブドウ糖を利用しているが、アルツハイマー病になると脳が糖を正常に利用できなくなり、エネルギー不足になり、機能不全に陥ってしまうことが分かっている。 ・これまで糖が脳の唯一のエネルギー源だと考えられてきたが、糖が不足するとケトン体を利用することも明らかになってきた。 →アルツハイマー病でブドウ糖を利用できなくなってもケトン体の活用によって機能回復する可能性がある。 ・腸から取り込んだ中鎖脂肪酸は直接肝臓に運ばれていくため、脂肪組織などにいったん蓄積されてから利用される長鎖脂肪酸よりもスムースにケトン体を作り出せる利点がある。 ※参考資料『近藤和雄(2015)人のアブラはなぜ嫌われるのか 技術評論社』
●ケトン食療法 ・ケトン体脂肪(中鎖脂肪酸(MCT)油)がアルツハイマー病患者の認知機能に著しい改善。 ・ココナッツオイルはMCTの供給源 ・ケトン食療法によって脳内のアミロイドが減少。 ・海馬のグルタチオン(体内に生来存在し、脳を保護する抗酸化物質)が増加する。 ・ミトコンドリアの増加を促し、代謝効率を上昇させる。 ・完全にケトン食療法を実施しようとするとカロリーの80~90%を脂肪から摂り、残りを炭水化物とタンパク質から摂らなければならない。 ○炭水化物を減らし、脂肪を増やす ・断食したときと同様の反応、つまり、脳を働かせるための燃料として脂肪を使ってケトンをつくるようになる。 ・夜中に肝臓が体内の脂肪を燃料として使うために動員するので、朝起きたときは軽いケトン症の状態とも言える。 ※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す 三笠書房』
●ケトン食の利用 ・小児の重症てんかんにケトン食が効果的であることが証明されている。 ・認知症やアルツハイマー病など脳の萎縮や退化にケトン食が注目を浴びている。 ●アルツハイマー病や認知症に対する効果 ○アメリカのメアリー・T・ニューポート医師 ・中鎖脂肪酸によって病気の進行を食い止めることができ、症状も劇的に改善した事例を観察。 ・中鎖脂肪酸はココナッツオイルに多く含まれているので、ココナッツオイルを使って治療を行っている。 ○アルツハイマー病とインスリン ・アルツハイマー病の特徴の1つとして、脳内のインスリン欠乏、インスリン抵抗性、がある。 インスリンが使えないと、神経細胞はブドウ糖を使えなくなるので、神経変性を起こし、記憶障害などの神経症状が出てくるようになる。 →脳はケトン体もエネルギー源にできるので、ケトン体を供給すると神経細胞を維持できる。ココナッツオイルを食べてケトン体を供給する。 ※参考資料『宗田哲男(2015)ケトン体が人類を救う 光文社新書』
ケトアシドーシス
○公式の見解(日本薬学界) ・ケトン体の蓄積により体液のpHが酸性に傾いた状態。 ・ケトン体は脂肪の分解により肝臓で作られ、血液中に放出される。 ・糖尿病性ケトアシドーシスは、主に1型糖尿病患者に起こる。 インスリンが不足した状態では、グルコース(ブドウ糖)の代りに脂肪の代謝が亢進し、ケトン体が作られる。 1型糖尿病患者でインスリンを十分に補わないと、血糖値が上がり続け、ケトン体が血液中に蓄積しケトアシドーシスをきたす。この状態では細胞が損傷を受け、さらに脱水が加わると意識障害(ケトアシドーシス昏睡)を起こす。 ○糖質制限をしている場合 ・糖質制限をしていると血糖値は上昇せずにケトン体が上昇するが、アシドーシスの症状(血液の酸性度が高くなりすぎた状態。吐き気、嘔吐、疲労感、脱力感、眠気など)は起こしていない。 ○糖尿病性ケトアシドーシス ・糖尿病性ケトアシドーシスの症状は、高血糖のときに起こっている。 インスリンの機能が低下して高血糖が原因で起きている症状。 ケトン体が増えているのは、インスリンの機能が低下してブドウ糖をエネルギー源として利用できなくなっているために、代わりに脂肪を分解してケトン体を生成し、エネルギー源として利用されている。ケトン体の蓄積は原因ではなく、エネルギー不足に対応した結果。 ・高血糖に伴ってケトン体が蓄積することが問題なのであって、糖質制限などで高血糖を伴わずにケトン体が蓄積する場合はこれに当たらないはずだが、ケトン体の蓄積自体を問題視してしまっている医者もいる。 ※参考資料『宗田哲男(2015)ケトン体が人類を救う 光文社新書』
ケトン臭
・糖質制限食の初期の段階では、血中ケトン体濃度が高まるにつれて、尿中や呼気中にケトン体の一つであるアセトンが排泄される。 ・3ヶ月から半年経つと、血中のケトンが基準より高値でも排泄されなくなる。 心筋や骨格筋などのケトン体利用効率が良くなり、さらに腎臓のケトン体再吸収も向上するため。 ※参考資料『江部康二(2015)江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか? 洋泉社』