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ストレスが海馬に与える影響
・強い感情の記憶(恐怖心や非常に強いプラスの感情など)は、扁桃体と連動して記憶する。 ・海馬にはコルチゾールのレセプターがたくさんあり、ストレス反応の際にはコルチゾールを使って"チェック・アンド・バランス"を行っている。 →ストレスホルモンは脳に戻る? 脳はストレス反応を引き起こすだけでなく、その標的にもなりうる。脳がストレスホルモンの影響を受ける。 コルチゾールが過剰に分泌されたり、慢性的に高いと損傷を受けやすく、その結果、記憶をはじめとする認識、思考のプロセスが悪影響を受ける。 ・海馬にコルチゾールがあふれると海馬が疲労、消耗して、HPA軸が正常に機能しなくなり、認知機能も損なわれる。 ・海馬はストレス反応の停止に関係しているので、海馬が損傷を受けると、ストレスがなくなったと認知する能力が衰え、ストレス反応を止められなくなり、さらにストレスが高まってしまう。 ・グルタミン酸(神経伝達物質、海馬におけるシナプス伝達のほとんどを担う)は海馬に大量に存在し、いろいろな学習や基本的な記憶のしくみに欠かせないが、過剰にあると有毒で、脳卒中をはじめ、脳や脊髄の疾患後に起こる損傷はこのグルタミン酸の働きによる。てんかん。 ・ストレスに反応して脳が、脳を守る処置として神経細胞の新生を一時的に止めるのでは?それが海馬の萎縮の実態では? ※参考資料『ブルース・マキューアン(2004)ストレスに負けない脳 早川書房』
●ストレスと海馬 ・健康な人でもストレスが積み重なって、それが長い時間持続すると、ストレスホルモンが海馬を傷害する。 それが強くなってくると、うつ病のような症状が出てくる可能性がある。 ※参考資料『NHKスペシャル取材班(2016)キラーストレス NHK出版』
●海馬、コルチゾール、記憶 ・海馬にはコルチゾールの受容体があり、危険等の経験を学習して記憶するのに役立っている。 ・コルチゾールが多すぎると、ニューロンどうしの結合を蝕み、記憶を破壊してしまう。 ・コルチゾールのピーク時には、ニューロン内の遺伝子を刺激し、ニューロンの材料となるタンパク質を増産させる。 その結果、樹状突起も受容体も多くなり、シナプスは太くなる。その強くなったニューロンが生存に関わる記憶を強化し、その回路内のニューロンを他の要求から遮断する。 ↓ 本来、一個のニューロンは、いくつもの記憶の一部になる事ができるが、脳がストレスを感じているときに入ってきた情報は、記憶になろうとしても遮断されているので取り込まれづらくなる。 ↓ ストレスに反応しているときには、ストレスと関係ない情報が記憶されない。 慢性ストレスでコルチゾールが多い状態が続いていると、新しい情報が頭に残らない うつ病の人はものを覚えにくいのはこの影響かもしれない。 ・コルチゾールが多すぎると既存の記憶へのアクセスも阻まれることが分かっている。 火事になったときに非常口の場所を度忘れするのはそのため。 ・ストレスが多すぎると、人間はストレスと関係のない記憶を形成できなくなり、また、すでにもっている記憶も取り出せなくなる。 ※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』
●海馬とストレス ・海馬で十分な数の受容体がコルチゾールと結合すると、海馬から視床下部に信号が送られ、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)の放出をやめるよう指令が下される。 →海馬はコルチゾールの分泌量を正常範囲に保つことで、扁桃体によって誘発されたストレス反応を制御している。 ・ストレスホルモンは直接海馬を損傷するのではなく、海馬のニューロンから主なエネルギー源であるブドウ糖を枯渇させるので、海馬のニューロンが強く働くように求められているときにうまく仕事を果たせなくなる。 その結果、海馬のニューロンは、ストレス下のようなニューロン活動が増すときに起こるグルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の値の上昇にとりわけ敏感になり、自らを傷める。 ※参考資料『ジョゼフ・ルドゥー(2004)シナプスが人格をつくる みすず書房』
ストレスと迷走神経
※迷走神経の概要については以下の記事参照。
胃腸の基礎知識の”迷走神経、腸内の神経系”
※迷走神経と呼吸の関係については以下の記事参照。
健康法豆知識の”呼吸”
胃腸の基礎知識の”迷走神経、腸内の神経系”
※迷走神経と呼吸の関係については以下の記事参照。
健康法豆知識の”呼吸”
・心臓を落ち着かせるのは副交感神経、とりわけ、迷走神経の働き。迷走神経のブレーキ。 ・哺乳類は、迷走神経のブレーキが常に作動していて、心臓が過剰に活動するのを防ぎ、ストレスが体を害さないようにする。 ・交感神経の働きを抑えるだけでなく、迷走神経のブレーキを少し外す事によって、心拍数や呼吸を少し上げる事もできる。 ・迷走神経のブレーキがよく効かない人は、心疾患に関連性があるとされる資質を持つ。A型人間(怒りっぽい)。 ※参考資料『ブルース・マキューアン(2004)ストレスに負けない脳 早川書房』
・迷走神経は、基本的にはコントロールするための神経で、脳から各器官にシグナルを送っているが、逆に、各器官の状態を脳に知らせてもいる。 ・迷走神経は、危険・恐怖・脅威に対応するのに必要な各部をつなげていて、脅威が去ると、迷走神経がブレーキをかけて闘争反応を解除する。 ・迷走神経のブレーキはほかの器官とともに心臓も落ち着かせるが、迷走神経が緊張気味の人はこのブレーキがうまく働かず、呼吸性の洞性不整脈が起きやすい。 ※参考資料『ジョン・J.レイティ(2014)GO WILD野生の体を取り戻せ! NHK出版』