タンパク質の合成、フォールディング

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  1. 細胞質とタンパク質
  2. タンパク質の階層
  3. タンパク質の合成
  4. タンパク質のフォールディング

細胞質とタンパク質

○細胞小器官(オルガネラ)
・小胞体:細胞の外へと分泌されるタンパク質や、膜に局在するタンパク質を合成
・ゴルジ体:タンパク質輸送の中継基地
・リソソーム:タンパク質を分解
・ペルオキシソーム:毒性の物質を分解
・ミトコンドリア、葉緑体
 
○サイトゾル(細胞質ゾル)
上記小胞体以外のタンパク質を合成
 
※参考資料『永田和宏(2008)タンパク質の一生 岩波書店』

タンパク質の階層

○1次構造
・ポリペプチド
 
○2次構造
・αへリックス:ポリペプチドがらせん状
・βシート:ポリペプチドがジグザグに折り返しながら平面的なシートを形成
 
○三次構造
・分子表面の凹凸を介して他の分子と相互作用
 
○4次構造
・いくつかの三次構造をサブユニットとして会合。
 
※参考資料『永田和宏(2008)タンパク質の一生 岩波書店』

タンパク質の合成

すべてのタンパク質は、DNAの持つ遺伝情報から以下のようなプロセスで作られる。
 
①DNAからmRNAへ"転写"
・タンパク質合成に必要な部分の情報をDNAからmRNAに転写
 
②リボソームでmRNAの情報を"翻訳"し、ポリペプチド生成
・小胞体の表面やサイトゾル(細胞質ゾル:細胞質から細胞内小器官を除いた部分)に存在するリボソームによってmRNAの塩基配列が読み取られ、対応するアミノ酸に"翻訳"し、一つ一つのアミノ酸を一列にペプチド結合によってつなげて、ポリペプチドを生成。
 
③ポリペプチドがフォールディングされタンパク質生成
・一列の鎖状のポリペプチドがフォールディングと呼ばれる折り畳みのプロセスによって三次元の構造をとる事によって、特定の機能を持ったタンパク質が形成される。
 
○セントラルドグマ
・上記のDNA→RNA→ポリペプチドという過程は一方向にしか流れず、"セントラルドグマ"と呼ばれる。
・タンパク質にもアミノ酸の一定の配列情報が保持されているが、タンパク質の情報を読み取ってDNAを作り出す、といったことは細胞内では起こらない。
 
○RNAを元にタンパク質合成をすると?
・遺伝情報に頻繁に変異が生じ、それを元に作られるタンパク質も頻繁に変化する。
 一本の鎖であるRNAは、何か一つの塩基に変異が生じたら、参照すべき相補鎖が存在しないので、それを修復することができず、まったく違った遺伝子になってしまう。
 
※参考資料『永田和宏(2008)タンパク質の一生 岩波書店』

タンパク質のフォールディング

●フォールディング
 
・機能を持つためには、ポリペプチドが折りたたまれて、三次元の"構造"を作ることが必要。
・構造の多様性が、タンパク質の機能の多様性に対応している。
・構造を獲得することで、分子の表面にさまざまの凹凸ができること、その凹凸を利用して、他のタンパク質や他の分子と特異的な相互作用をすることが機能の基となる。
 
●フォールディングと親水性、疎水性
 
・20種類のアミノ酸には、水になじみやすい親水性のアミノ酸と水になじみにくい疎水性のアミノ酸がある。
・水になじみにくい疎水性のアミノ酸クラスターを分子の内側に折りたたんでしまう。
・細胞膜などの膜を貫通して存在する膜タンパク質の場合、膜の中は脂質からなる疎水的環境なので、膜を貫通する部分だけは疎水性アミノ酸が外に出ている方が安定する。
 
※参考資料『永田和宏(2008)タンパク質の一生 岩波書店』

 

●タンパク質と疎水結合
 
・紐状であるポリペプチドは、アミノ酸の間に働くいろいろな力で結合し複雑な立体構造となってタンパク質を形成している。
 
・水の中で疎水的な分子はお互い集まりやすく、この性質により疎水的な分子同士が結合する力を疎水結合と呼ぶ。
 
・タンパク質を構成するアミノ酸には、疎水的なアミノ酸(ロイシン、バリン)と親水的なアミノ酸(セリン、グルタミン酸)があり、水の中では、疎水的なアミノ酸はお互いに結合し、なるべく水に接しないようにタンパク質の内側に入り込むように位置し、親水的なアミノ酸が水に接する外側に位置する形をとる。
 
●酵素の特異性とタンパク質の立体構造
 
・物質の合成や分解など体の中で行われるさまざまな反応を担っているタンパク質を酵素と呼ぶ。
 
・酵素が高度な反応を行うには、複雑な立体構造が必要。
 酵素の一つ一つのアミノ酸がペプチド結合だけでなく、ジスルフィド結合、静電結合、水素結合、疎水結合などによって、ある一定の配置を取り、その配置とその酵素が働く基質(酵素が働く相手の物質)の構造が絶妙に立体的に絡み合う事により、酵素が基質を認識する。
 
・酵素が基質を認識して反応を行う場所は、酵素の内部である事が多い。
 酵素内部への入り口が基質よりも小さいケースがかなり多いが、タンパク質の形の"揺らぎ"によって、入り口が大きくなったり小さくなったりしているので、大きくなったときに基質が酵素の内部に入る事ができる。
 
・酵素の立体構造が少しでも崩れて変性してしまうと酵素は働けなくなってしまう。
 
・ストレスは細胞内のタンパク質を変性させてしまう。HSP(Heat Shock Protein)はタンパク質の変性を防ぐ。
 
※参考資料『水島徹(2012)HSPと分子シャペロン 講談社』

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