チョコレート・ココア摂取と慢性疾患との関連

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  1. チョコレート・ココアの表示ルール
  2. チョコレート・ココアの原材料に関する注意点
  3. チョコレート・ココアの健康効果の概要
  4. 循環器疾患との関連

チョコレート、ココアの表示ルール

(1)チョコレート製品
 
●”チョコレート生地”と”準チョコレート生地”
 
○チョコレート生地
・カカオ分が35%以上のもの。
・カカオ分が21%以上でそれを合わせた乳固形分が35%以上のもの。
 
○準チョコレート生地
・カカオ分が15%以上のもの。
・カカオ分が7%以上でそれを合わせた乳固形分が12.5%以上のもの。
 
●チョコレート製品の”種類別名称”による分類
 
ココアを含むチョコレート製品は、その原材料の成分によって区別されていて、包装の表示欄に記載されている”種類別名称”を見て確認する事ができる。
 
○チョコレート
・”チョコレート生地”だけか、”チョコレート生地”を全重量の60%以上使用した加工品。
 
例)ミルクチョコレート(明治)
・原材料
砂糖、カカオマス、全粉乳、ココアバター、レシチン、香料
 
○チョコレート菓子
・”チョコレート生地”が全重量の60%未満で、ナッツやフルーツなど他の食材とを組合わせたチョコレート加工品。
 
例)きのこの山(明治)
・原材料
砂糖、小麦粉、カカオマス、植物油脂、全粉乳、ココアバター、乳糖、ショートニング、練乳パウダー、脱脂粉乳、クリーミングパウダー、異性化液糖、麦芽エキス、イースト、食塩、乳化剤、膨脹剤、香料
 
○準チョコレート
・”準チョコレート生地”だけか、準チョコレート生地の比率が60%以上の加工品
 
例)小枝(森永)
・原材料
砂糖、植物油脂、カカオマス、乳糖、全粉乳、コーンフレーク、シュガーコートアーモンド、アーモンド、米パフ、ホエイパウダー、脱脂粉乳、果糖、乳化剤(大豆由来)、香料
 
○準チョコレート菓子
・”準チョコレート生地”が全重量の60%未満で、ナッツや、ビスケットなど他の食材とを組合わせたチョコレート加工品。
 
例)コアラのマーチ(ロッテ)
・原材料
植物油脂、小麦粉、砂糖、乳糖、カカオマス、でん粉、全粉乳、全卵、ホエイパウダー、食塩、膨脹剤、カラメル色素、香料、乳化剤
 
(2)ココア製品
 
●ココアバター、ココアケーキ、ココアパウダー
 
○ココアバター
・カカオマスから抽出される油脂。
 
○ココアケーキ
・ココアバターを圧搾法で除いた残りのかたまり。
 
○ココアパウダー
・ココアケーキを粉砕したもの。
 
●ココア製品の”種類別名称”による分類
 
○ココア(ココアパウダー)
・ココアバターが8%以上、水分7%以下のものをいい、次の3種類に分類される。
①ココアパウダーのみのもの。
②ココアパウダーにバニラ系の香料を加えたもの。
③ココアパウダーにバニラ系の香料の他に、必要により、その他の香料、香辛料、ビタミン、ミネラル等を合わせて3%未満加えたもの。
 
例)森永”純ココア”
・原材料がココアパウダーのみ。
 
○調整ココア
・ココアパウダーに糖類、乳製品又は可食物を加えて調整し、手軽に飲みやすくしたもの。
 
例)森永”ミルクココア”
・原材料
砂糖、ココアパウダー、ぶどう糖、脱脂粉乳、乳糖、全粉乳、麦芽糖、クリーミングパウダー、カカオマス、食塩、香料、乳化剤、pH調整剤

チョコレート、ココアの原材料に関する注意点

・チョコレートは本来カカオ由来の油脂やココア分でつくられるもの。それに乳脂肪由来のものを足せばミルクチョコレートとなり、風味や口当たりがよくなる。
 
・カカオや乳脂肪とは別に、”ハードバター”と呼ばれる、やし油やコーン油を化学的に改質した成分が入っている製品もある。

・ホワイトチョコレートにはポリフェノールは含まれていない。
・チョコレートの原材料であるカカオマス、ココアバターの表示が原材料のなるべく最初に表示されているものが良い。
 
※参考資料『石川みゆき,南清貴(2011)ママのための食品添加物事典 主婦の友社』

チョコレート、ココアの健康効果の概要

●カカオポリフェノールとは?
 
・カカオ豆に含まれるポリフェノール。
・カカオポリフェノールは、主に、エピカテキン、カテキンとプロシアニジン(エピカテキンやカテキンがいくつか結合した化合物)からなる。
 
●カカオポリフェノールの健康効果
 
・カカオポリフェノールの抗酸化作用による心臓病のリスク低減、動脈硬化の抑制作用や脂肪蓄積を抑える効果、といった生活習慣病の予防効果、脳機能の改善効果などが研究成果として報告されている。
・抗菌、ストレス抑制、冷え症改善、便性改善など様々な効果があるとされ、研究が進められている。
 
※参考サイト
チョコレート・ココア健康講座 | 日本チョコレート・ココア協会

 

●ココアの健康効果
 
・カカオ豆は果実内部にある種子であり、カテキンなどのポリフェノールや食物繊維を豊富に含むことから、抗酸化作用、コレステロール低下作用、糖質吸収抑制作用、便通改善効果などが報告されている。
 
・鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルを豊富に含むことから貧血予防に効果があり、血圧を安定させることが知られている。
 
※参考資料『近藤和雄,佐竹元吉(2014)サプリメント・機能性食品の科学 日刊工業新聞社』

 

●ダークチョコレート(砂糖、バターなしの100パーセントチョコレート)
 
・ダークチョコレートは抗酸化物質を含んでいて、心臓病と脳卒中のリスクを低下させる。
・目にもいい可能性がある。コントラストに対する感度が高くなるという研究が少なくとも一つある。
 
※参考資料『A.J.ジェイコブズ(2013)健康男 日経BP社』

 

●チョコレートの健康効果
 
・血圧を低下させ、LDLの酸化を阻害、インスリン抵抗性を改善する等、心臓の健康によい影響を与える可能性がある。
 含有成分であるフラボノールとテオブロミンがこうした結果に貢献していると思われる。
・マンガン、銅、鉄分のよい供給源でもある。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

循環器疾患との関連

・健康成人に35g(カップ4~5杯程度)のココアを飲用させた試験において、LDLの酸化が開始されるまでの時間が長くなったことが明らかとなっており、ココアが動脈硬化予防作用を有することが示されている。
 
・オランダの15年に及ぶ大規模コホート調査では、カカオを含む製品の習慣的な摂取は血圧や心血管疾患の死亡率と逆相関するという報告がなされている。
 
※参考資料『近藤和雄,佐竹元吉(2014)サプリメント・機能性食品の科学 日刊工業新聞社』

 

●ダークチョコレート(カカオ70%、砂糖少ない)
 
・少量であれば心臓発作リスクを軽減。
・フラボノイドと呼ばれる抗酸化物質が豊富にあり、心血管疾患の予防に効果。
 
※参考資料『トム・ラス(2015)座らない! 新潮社』

 
 
●日本の多目的コホート研究(JPHC Study)の結果
・多目的コホート研究(JPHC Study)とは?

●チョコレート摂取と脳卒中発症リスクとの関連
 
・アンケート調査の結果からチョコレートの摂取量を算出し、脳卒中発症との関連を分析した。
 
○結果
・女性では、チョコレートの摂取量が最も多い群(中央値37.5g/週)で、最も少ない群(中央値0 g/週)に比べて、脳卒中の発症リスクが16%低い結果となった。
 男性では、チョコレートの摂取と脳卒中発症との関連は見られなかった。
 
○推察、ポリフェノールの効果
・チョコレートやチョコレートの成分と同じココアには、ポリフェノールが含まれており、ポリフェノールの摂取により、一酸化窒素が血管壁でつくられ、その一酸化窒素には血管を拡張させる作用があるため、血圧の低下に働くことが報告されている。
・先行研究を多く集めて総合的に検討したメタアナリシスの結果でも、チョコレートおよびココア製品の摂取により、短期間に収縮期血圧の平均値を2~3mmHg低下させることが示されている。 また、インスリンを効きやすくすることで血糖値を改善する効果やHDLを増加させる作用があることも報告されている。
 そのほか、ポリフェノールによる動脈硬化の抑制効果、血栓の形成を抑制する作用、および炎症を抑える作用なども報告されており、これらがチョコレートの脳卒中発症に対する予防効果として考えられる。

 
 
●他の研究事例
 

○ビター(ダーク)チョコレートとは
・一般的に、ミルクが入らないか、または少量のみ入った、カカオマスの含有量が40~60%ほどのチョコレートをいう。
 
○オランダ・ワーゲニンゲン大学の研究
 
・過体重の中高年男性44人を対象に、4週間に渡って2種類のビターチョコレートのうちいずれか一方を毎日70gずつ食べてもらった。
・チョコのうち一方は普通のビターチョコ、もう一方はフラバノールを添加したビターチョコだった。なお、カカオマスの含有量はどちらのチョコも同じとした。
・調査期間中に参加者の体重増加を防ぐため、カロリーの高い食品を控えるようアドバイスをしておいた。
 
・結果、ビターチョコが動脈硬化を防ぐことはわかったが、普通のビターチョコと高フラバノールのビターチョコで効果に差はみられなかった。また、高フラバノールのチョコは風味が好まれず、参加者の食べるモチベーションを下げてしまうことがわかった。
・ビターチョコレートは、動脈の弾力を復活させ、血管壁に白血球が付着するのを防ぐことで動脈硬化を防ぐようだ。
 
※参考文献
Dark chocolate consumption improves leukocyte adhesion factors and vascular function in overweight men

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