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活性酸素の悪影響
・エストロゲンは間接的に活性酸素を消去する働きをしているので、女性のほうが寿命が長い? ・加齢臭はノネナールという物質の臭いで、過酸化脂質が分解したもの。過酸化脂質は、脂肪が過度に酸化した状態のものをいい、活性酸素が脂質に作用しすることから生じる。 体調が悪いと活性酸素が多く発生するので臭いにも影響。 ・活性酸素は、血液が流れていなかった状態から、急に血液が流れ酸素がミトコンドリアに入り込んだときに最も多く発生する。 →激しい運動を急にやめる(激しい運度は酸素不足の状態、急に運動をやめるとエネルギーが急に必要なくなるので酸素が余る)場合は、クールダウンをすると良い。 正座から急に立ち上がる場合も同じ現象(正座で足の血流が抑制、急に立ち上がると血液が急に足に流れ込む)。このときのビリビリという痛みは活性酸素が神経を刺激した痛み。 最初からたくさん食べてしまうと、急速にエネルギーを必要とし、活性酸素が発生してしまう。急速に血糖値が上がり、インスリンを大量に分泌する必要がある。エネルギーが急に必要になるので活性酸素が出やすい状態。 →インスリン分泌細胞は、活性酸素に弱く、死んでしまうことがある。糖尿病の原因の一つ。 ・睡眠時無呼吸症候群は、呼吸が一度止まり酸欠状態になり、その後苦しくなって呼吸を始めるため、酸素が大量に入ってくる。これは活性酸素が発生しやすい状態。 ※参考資料『太田成男(2010)体が若くなる技術 サンマーク出版』
●活性酸素が発生しやすい状況 ・酸素が足りなくなり、そこへ急に酸素が多くなったとき。 ・急激な運動を急にやめたとき。 ・ストレスを感じたとき。 血管が収縮して酸素不足 →アドレナリンによって興奮しているので酸素の消費が激しくなる。 →そこへ緊張が緩むと酸素が流れ込み、活性酸素が増加。 ・酸素がそんなに不足していなくても、グルコースや遊離脂肪酸が入ってくるときは活性酸素が発生しやすくなる。 ※参考資料『瀬名秀明,太田成男(2007)ミトコンドリアのちから 新潮社』
●過剰な酸化作用の悪影響 ・過剰な酸化作用が、しわ、代謝の低下、肥満、心臓病、がん、認知症、その他の病気や老化を引き起こすと推測されている。 ※参考資料『デイビッド・B.エイガス(2013)ジエンド・オブ・イルネス 日経BP社』
活性酸素、ミトコンドリアと老化の関わり
・細胞のコピーを作るときのコピーミス、活性酸素、放射線や紫外線、発ガン物質などの要因によって遺伝子に傷がつき、その蓄積が老化の正体。 ・老化防止機能として、活性酸素を取り除く酵素SODと遺伝子の修復能力、がある。 ・老化防止機能の加齢による衰え具合には個人差がある。 エネルギー(ミトコンドリアの数)が少ないと呼吸や体温調整にエネルギー使用を優先し、老化防止が後回しにされてしまう。 ※参考資料『太田成男(2010)体が若くなる技術 サンマーク出版』
●活性酸素と加齢 ・スカベンジャーがすべての活性酸素を除去するわけではないので、加齢とともにじわじわと活性酸素による損傷は溜まってゆく。 ・核内のミトコンドリア遺伝子もわずかながら影響を受ける。 ・ミトコンドリアDNAは変異を高頻度に起こしてしまう。 ・スカベンジャー酵素の活性は加齢とともに衰えてゆくため、高齢になると体は活性酸素の影響を受けやすくなる。 ●ミトコンドリアと老化 ・活性酸素やミトコンドリアDNAの損傷が老化の原因の一つかもしれないが、それだけが原因ではないと思われる。 ●男女の寿命の差とミトコンドリア ・ラットの実験結果で雄のミトコンドリアDNAは雌より4倍も酸化されている。 ・Mn-SOD(マンガン依存性スーパーオキシドジスムターゼ)とグルタチオンペルオキシダーゼがそれぞれ2倍雌の方が活性が高い。 →女性ホルモンのエストロゲンは核に入り込んで、NF-κBという酵素を多くつくる。 →NF-κBは遺伝子に働きかけてMn-SODとグルタチオンペルオキシダーゼを多めに作る命令を発する。 ※参考資料『瀬名秀明,太田成男(2007)ミトコンドリアのちから 新潮社』
ミトコンドリアの老化
・酸化的リン酸化に関連する酵素(シトクロムC)の活性は、加齢とともに低下する。この低下は、筋肉、肝臓、脳で見られる。 ・ミトコンドリア遺伝子はヒストンのようなタンパク質で保護されておらず、周囲に活性酸素などが多いので、加齢とともに変異を蓄積しやすい。 →するとミトコンドリアからの活性酸素の漏出が増大し、細胞のいろいろな機能に障害を与える? ※参考資料『杉本正信(2012)ヒトは一二〇歳まで生きられる 筑摩書房』
活性酸素、フリーラジカル、酸化の効果
●フリーラジカルの効果 ・免疫システム(白血球とマクロファージ)がバクテリアを殺す際に用いられ、細胞がシグナルを送るプロセスでも利用される。 ●ビタミンCが"酸化促進剤"として心血管の働きを助ける ○2009年、ウェールズのカーディフ大学による研究 ・健康な血管はなめらかな筋肉の層に包まれているが、高血圧、高コレステロール、糖尿病、心不全の患者の血管は、その筋肉がうまく弛緩せず、そのために血管は収縮したままとなり、心臓の負担が増える。 →ビタミンCを注射 →血管を弛緩させるシグナル分子である一酸化炭素(フリーラジカル)の生成量が増える →動脈の弛緩が促される さらにビタミンCは、血中の酸素に反応して過酸化水素を作る。 →過酸化水素は不安定で有害な化学物質だが、血管の内側からの電気信号を強めて、周囲の筋肉を弛緩させることができる。 酸化分子は体にとって毒と思われがちだが、体が生理機能を果たすために有用な場合もあるのでは? 重要なのはバランスで、酸化分子があまりに多いと有害であり、逆に少なすぎても有害なのでは? 酸化促進剤が血管の病気の治療薬として利用されるかもしれない。ただし、酸化ストレスは動脈を収縮させる恐れもあるので、バランスを見つけるのが難しい。 ※参考資料『デイビッド・B.エイガス(2013)ジエンド・オブ・イルネス 日経BP社』
体の抗酸化機能
●活性酸素を無毒化する酵素、スカベンジャー ・SOD(スーパーオキシドジスムターゼ) Mn-SOD(マンガン依存性SOD)はミトコンドリアに存在。 ・カタラーゼ ・グルタチオンペルオキシダーゼ ・シトクロムc過酸化酵素 ※参考資料『瀬名秀明,太田成男(2007)ミトコンドリアのちから 新潮社』
●体の抗酸化機能 ・グルタチオン還元酵素、グルタチオン・ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、スーパーオキシド・ジスムターゼなどの酵素や、ビリルビン、尿酸などの化学物質によって、フリーラジカルを中和する。 ●脳内のフリーラジカルとビタミンC ・ビタミンCは抗酸化物質で、フリーラジカルをどんどん無力化してくれる。フリーラジカルは、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中などに関与している。 ●体の抗酸化機能とビタミン ・食品から容易に得られるビタミンA、C、Eなどは、フリーラジカルに電子を与え、酸化の悪循環を断つ。 ・体が望んでいないときにビタミンで過剰なフリーラジカルを抑制したらどうなるのか?おそらく、フリーラジカルの量を調整している体の働きを阻害することになる。 ※参考資料『デイビッド・B.エイガス(2013)ジエンド・オブ・イルネス 日経BP社』