ミネラル セレンの概要

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. セレンの概要
  2. セレンの吸収
  3. セレンを多く含む食品
  4. セレン不足の問題
  5. セレン過剰摂取のリスク
  6. セレンと循環器病との関連
  7. セレンとがんとの関連
  8. セレンとフレイル、認知機能との関連


※サプリメントの健康影響については以下の記事参照。
サプリメントの効果

セレンの概要

・生体内では、酵素やたんぱく質の一部を構成し、抗酸化システムや甲状腺ホルモン代謝において重要な役割を担っている。
 
・セレンは、過酸化水素やヒドロペルオキシドを分解するグルタチオンペルオキシターゼの構成成分。

・酸化障害に対する生態防御に重要なグルタチオンペルオキシダーゼ類の活性中心であり、抗酸化反応において重要な役割を担っている。
 
※参考資料『近藤和雄,佐竹元吉(2014)サプリメント・機能性食品の科学 日刊工業新聞社』

 

○アンチエイジングで期待されている効果
・身体の成長やタンパク質の合成に必要。
・ビタミンEの効率を高め、加齢の原因となり老化に関連するフリーラジカルによる損傷から細胞を保護する抗酸化物質として働く。
 
※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』

セレンの吸収

・食品中のセレンの多くは、たんぱく質に結合して存在し、その吸収はたんぱく質の吸収と同時に行われると考えられている。
 
・体内での恒常性は、尿中への排泄により保たれている。

セレンを多く含む食品

・セレン含有量の高い食品は魚介類であり、植物性食品と畜産物のセレン含有量は、それぞれ土壌と飼料中のセレン含有量に依存して変動する。
 
・セレンは藻類、魚介類、肉類、卵黄に豊富に含まれており、通常の食事で不足することはない。

セレン不足の問題

・通常の食生活でセレン不足が問題となることは、日本ではほとんどない。
 セレン不足は、土壌中のセレン濃度が極端に低い地域において、摂取不足により起こる。

セレン過剰摂取のリスク

・セレンの場合、通常の食品において過剰摂取が生じる可能性は低いが、サプリメントの不適切な利用に伴って過剰摂取が生じる可能性がある。
 
・セレンは毒性が強く、必要量と中毒量の差がとても小さいため、サプリメントなどの安易な摂取には注意が必要。
 
・セレンを慢性的に過剰摂取すると、爪の変形や脱毛、胃腸障害、下痢、疲労感、焦燥感、末梢神経障害、皮膚症状などがみられる。

セレンと循環器病との関連

・HDLを上げ、LDLを下げることにより心臓病を予防し、血液粘度を下げ、血液凝固の危険性を回避することにより心臓発作や脳卒中の危険性を減らす。
 
※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』

 

●糖尿病との関連
 
・皮膚がん既往者に200μg/日のセレンサプリメントを平均4.5年間投与したアメリカの介入研究において、対象者を血清セレン濃度に基づいて3群に分けて検討すると、セレン濃度が最も高い(121.6μg/L以上)群において2型糖尿病発症率の有意な増加が認められている。
 血清セレン濃度とセレン摂取量との回帰式に当てはめると、血清セレン濃度が121.6μg/Lの人は、セレン摂取量が84μg/日であり、200μg/日をサプリメントから摂取すれば、総セレン摂取量は284μg/日となる。
 観察研究においても、血清セレン濃度の上昇が糖尿病発症率の増加に関連することが認められている。
 
●その他の疾患との関連
 
・セレンと心血管系疾患に関する疫学的観察研究をまとめた論文は、コホート内で血清又は足爪セレン濃度の低い群は高い群に比較して、心血管系疾患発症リスクが高いと結論している。
 しかし、介入研究をまとめた論文は、心血管系疾患予防目的でセレンを投与しても効果は認められないとしている。
 また、セレンと高血圧症に関する疫学的観察研究をまとめた論文は、セレン状態と高血圧症との間に関連はないと結論している。
 他方、アメリカとイギリスでの大規模な横断研究は、血清のセレン濃度と脂質成分値(コレステロールと中性脂肪)の関連がU字型であることを示している。
 
※参考資料
「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書

 

●心血管疾患
 
・研究者らは、セレンの補給が心血管疾患リスクや心血管疾患による死亡リスクを低下させる可能性を示唆している。
 
○矛盾する観察研究の結果
・複数の観察研究では、血清セレン濃度と、高血圧リスクや冠動脈疾患リスクが逆相関することがわかった。
・25の観察研究を用いたメタ解析では、セレン濃度が低い人は冠動脈疾患のリスクが高いことがわかった。
・セレン濃度と心疾患のリスクや心臓死のリスクとの間に、統計的に有意な関連が見られなかった研究や、セレン高値が心血管系疾患のリスクの増加と関連するとの結果となった研究もある。
 
○臨床試験のデータの注意点
・臨床試験のデータは、特に食事から十分なセレンをすでに摂取している健康な人が、心疾患の予防のためにセレンサプリメントを用いることがよしとするものではない、というものが多い。
 心血管の健康状態に対する、食事やサプリメントに含まれるセレンの有用性をより理解するためには、さらなる臨床試験が必要。
 
※参考情報
セレン | 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業

セレンとがんとの関連

・コーネル大学とアリゾナ大学で研究された2つの5年間調査で、1日わずか200μgのセレンサプリメントにより、前立腺がんで63%、結腸がんで58%、肺がんで46%の発症率低下がみられたという。
・低セレン値は前立腺がんのリスク増大と関連づけられてきた。
 
※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』

 

●セレンとがん予防
 
・セレンは、DNA修復、アポトーシス、内分泌系、免疫系やその他のメカニズム(抗酸化作用など)に影響するため、がんの予防に役立つ可能性がある。
 
○疫学研究
・セレン量の状態と、大腸がん、前立腺がん、肺がん、膀胱がん、皮膚がん、食道がん、胃がんのリスクとの間で、逆相関が示唆されている。
・セレンとがん予防に関する研究のコクランレビューによると、セレン摂取量の最も低いグループと比較して、セレン摂取量の最も高いグループでは、がんリスクが31%低下し、がんによる死亡リスクも45%低下しており、また、膀胱がんリスクは33%低下し、男性の前立腺がんリスクは22%低下していた。
 レビューによるとセレン摂取量と乳がんリスクとの関連は見られなかった。
・20の疫学的研究を用いたメタ解析では、足の爪、血清、血漿中のセレン濃度と、前立腺がんリスクとの間で、逆相関する可能性が示された。
 
●セレンのサプリメントとがん予防
 
・セレンのサプリメントを用いたがん予防に関する複数の無作為化対照試験では、矛盾する結果が出ている。
・コクランレビューでは、9つの無作為化臨床試験をもとに、セレンは消化管がんの予防には有用である可能性があると結論づけているが、より適切にデザインされた複数のランダム化臨床試験による検証を要するとしている。
 
○セレンと前立腺がん
・皮膚の基底細胞がんまたは扁平上皮がんの既往歴を有する米国成人1,312人を対象とした、栄養とがん予防に関する二重盲検ランダム化対照試験の二次分析では、セレンパン酵母で200μg/日のセレンを6年間摂取すると、前立腺がんリスクが52~65%低下することがわかった。
 
○セレンサプリメントとビタミンEのがん予防臨床試験(SELECT)
・米国・カナダ・プエルトリコの50歳以上の男性35,533人を対象とした無作為化対照試験。
・セレン200μg/日単独またはビタミンE 400 国際単位(IU)/日との併用では、5.5年間摂取した時点で、前立腺がんリスクとの関連性は見られないことが示され中止となった。
・被験者がサプリメントの摂取を中止後1.5年間追跡調査したところ、セレンサプリメントと前立腺がんリスクとの有意な関連性は見られないことが確認された。
 
○FDAの判断
・2003年にFDAは、セレンを含む食品やサプリメントに対し、次のような条件付き健康表示(ヘルスクレイム)を認めた。
 "セレンを摂取することで一部のがんのリスクを低下させる可能性を示す科学的データがある。しかし、FDAはこのデータを限定的なものであり確定的ではないと判断している"。
 
※参考情報
セレン | 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業

 

・老化やがんを防ぐ、生活習慣病を予防する、といわれ、前立腺がんの発生率低下、全がん死亡率の減少などの有効性が示唆されている。
 
※参考資料『近藤和雄,佐竹元吉(2014)サプリメント・機能性食品の科学 日刊工業新聞社』

 

・一部のタンパク質に含まれ、抗酸化作用があるが、がんの予防に関しては言われるほどの効果はなかった。
 
○セレン・ビタミンEがん予防試験(SELECT)
・2001年~2004年、35000人以上の男性が参加。
・前立腺がんの予防効果を調べた。
・セレンとビタミンEを別々に、あるいは一緒に、およそ5年に渡って摂取しても前立腺がんの予防にはならなかった。
 
※参考資料『デイビッド・B.エイガス(2013)ジエンド・オブ・イルネス 日経BP社』

セレンとフレイル、認知機能との関連

※フレイル(虚弱)との関連については以下の記事参照。
フレイル、サルコペニア、高齢者の栄養の”高齢者の健康とビタミン、脂肪酸との関係”
※認知機能との関連については以下の記事参照。
アルツハイマー病に効果のある食事の”ビタミンE、ビタミンC、セレンと認知症との関連”

●認知障害
 
・スモーガンらの研究によると、セレンが認知障害に対してある種の保護作用を示す可能性があるという
 
※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください