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リンの概要
・リンはすべての生物に必須のミネラルで、ATPの形成、その他の核酸や細胞膜リン脂質の合成、細胞内リン酸化を必要とするエネルギー代謝などにおいて重要な役割を担っている。
・生体内のリンは約80%がカルシウム塩として存在し、骨や歯の成分となっている。
その他のリンは、生体膜のリン脂質、DNAやRNAといった核酸の成分、また、ATPなど高エネルギーリン酸化合物として、エネルギー代謝や脂質代謝などに重要な役割を担っている。
・カルシウムとともに骨格を形成する働きがある。
・生体内のリンは約80%がカルシウム塩として存在し、骨や歯の成分となっている。
その他のリンは、生体膜のリン脂質、DNAやRNAといった核酸の成分、また、ATPなど高エネルギーリン酸化合物として、エネルギー代謝や脂質代謝などに重要な役割を担っている。
・カルシウムとともに骨格を形成する働きがある。
リンの吸収
・食事からのリン摂取量の増減がそのまま血清リン濃度と尿中リン排泄量に影響する。
血清リン濃度と尿中リン排泄量は、副甲状腺ホルモン(PTH)、線維芽細胞増殖因子23(FGF23)、活性型ビタミンDによって主に調節されている。
・血液中のリン酸塩は、血液のpHの維持や酸塩基の平衡維持に関わっている。
血清リン濃度と尿中リン排泄量は、副甲状腺ホルモン(PTH)、線維芽細胞増殖因子23(FGF23)、活性型ビタミンDによって主に調節されている。
・血液中のリン酸塩は、血液のpHの維持や酸塩基の平衡維持に関わっている。
リン不足の問題
・リンは、日常摂取する食品に多く含まれているので、調理による損失を考慮しても通常の食生活で不足することはほとんどない。
リン過剰摂取のリスク
・リンは食品添加物として、加工食品に広く用いられているため、過剰摂取に注意する必要がある。
・長期にわたってリンを過剰摂取すると、腎機能の低下、副甲状腺機能の亢進、カルシウムの吸収抑制などが起こることが知られている。
・リンはカルシウム代謝と関係が深く、カルシウムとリンの摂取比は1~2が理想的とされるが、加工食品の利用が多くなった今日の日本では、摂取比が3になることが多いとされている。
・長期にわたってリンを過剰摂取すると、腎機能の低下、副甲状腺機能の亢進、カルシウムの吸収抑制などが起こることが知られている。
・リンはカルシウム代謝と関係が深く、カルシウムとリンの摂取比は1~2が理想的とされるが、加工食品の利用が多くなった今日の日本では、摂取比が3になることが多いとされている。
・加工食品には、食品添加物としてリン酸塩がよく使われており、清涼飲料水にも酸味料として添加されている。ピロリン酸鉄、リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム ・リンの取りすぎはカルシウムの吸収を阻害し、骨が弱くなるので過剰摂取に注意する。 ※参考資料『中村丁(2015)栄養の基本がわかる図解事典 [2015] 成美堂出版』
●リンの過剰摂取とカルシウムの排泄 ・リンの摂取はカルシウムの排泄にほとんど影響しない。 複数の観察的研究では、大量のリンを含有する炭酸清涼飲料を摂取すると骨密度が低下し骨折のリスクが増大することが示唆されている。しかし、その原因はリン自体よりミルクをソーダ―に替えたことによるものと考えられる。 ※参考情報 カルシウム | 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業
リンと生活習慣病との関連
●糖尿病 ・一般に、インスリンが作用するとグルコースと共にリンも細胞内に取り込まれるとされている。 ・血清リン濃度やリン摂取量が血糖値やインスリン分泌に及ぼす影響については十分な知見が得られていない。 ○リン摂取量が多いと耐糖能が改善? ・ApoE欠損マウスを用いた検討で、リン摂取量が多いほど動脈硬化は進行するが、インスリン感受性が亢進し、耐糖能が改善することが報告されている。 ○血清リン濃度低下でメタボのリスク増大? ・ギリシャでの191人の健康な人と64人のメタボリックシンドロームの対象者を比較した研究では、メタボリックシンドローム対象者で健康人に比べ有意に血清リン濃度が低く、メタボリックシンドロームの該当項目が増えるごとに血清リン濃度が低下することが報告されている。 ・韓国人46,798人を対象とした研究では、血清リン濃度はBMI、空腹時血糖値、HOMA-IR、血清トリグリセライド値、血圧と有意に負に相関する、すなわち、血清リン濃度の低下はメタボリックシンドロームの発症リスクを高めることが示唆されている。 ○糖尿病患者は血清リン濃度が高い? ・健康な人と糖尿病患者を比較すると、糖尿病患者で血清リン濃度が高く、血清リン濃度が高いことは糖尿病や心血管疾患のリスクではないかという逆の報告もある。 ●高血圧 ・血清リン濃度と高血圧については、血清リン濃度が高いほど、血圧が低下するという報告がある。 ●慢性腎臓病(CKD) ・腎臓は、リンやカルシウムの代謝調節に重要な役割を果たしており、腎機能の低下に伴って生じるリン・カルシウム・骨代謝異常はCKD-mineral and bone disorder(CKD-MBD)と総称されている。 ・CKD早期からリンの負荷を制限することが、CKDの進行やCKD-MBDを抑制するために好ましいという考えもある。しかし、CKDのどの段階からどの程度リンを制限すればよいかについての科学的根拠は十分ではない。 ●腎結石 腎結石患者と健康な人を比較した試験では、腎結石患者ではリン摂取量が2,670mg/日と、健康な人の1,790mg/日に比べて有意に高く、尿中リン排泄量も腎結石患者で617.7mg/日と、健康な人の358.5mg/日に比べて有意に高いことからリン摂取量が増加し、尿中リン排泄量が増加することは腎結石の発症リスクが高くなると示唆されているが、症例数が少なく十分な科学的根拠はない。 ※参考資料 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書