不整脈の概要

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  1. 不整脈、徐脈、頻脈、期外収縮の概要
  2. 洞(機能)不全症候群の概要
  3. 房室ブロックの概要
  4. 右脚ブロック、左脚ブロックの概要
  5. 心房細動の概要

不整脈、徐脈、頻脈、期外収縮の概要

●不整脈とは?
 
・脈がゆっくり打つ、速く打つ、または不規則に打つ状態を指す。
 
●徐脈
 
・脈が1分間に50以下の場合。
・一般に脈拍が1分間に40以下になると、息切れや、めまいなどの症状が出やすくなる。
 
●頻脈
 
・脈が1分間に100以上の場合。
・明らかな誘因がないのに、突然、脈拍が120以上になる場合は病的な頻脈の可能性がある。
・頻脈になると動悸や息切れのほかに、時に胸痛やめまい、失神といった症状が出ることがある。
 
●期外収縮
 
・心臓の中で規則的に電気を送ってくれる”発電所”(洞結節)とは別の場所から、やや早いタイミングで心臓に電気が流れる現象。
 
・期外収縮はそれを感じない人の方が多いが、のどや胸の不快感や動悸、またはキュッとしたごく短い時間の痛みとして感じる人もいる。
 期外収縮が連続して出現したときは一時的に血圧が下がり、めまいや動悸がすることもある。
 
・3つに1つ、5つに1つといったように、時々脈が飛ぶ場合は期外収縮の可能性がある。
 
・30歳を超えるとほぼ全員に認められるようになり、年をとるにつれて増加する。
 
・期外収縮は病気に関連して起こることもあるが、多くは病気とは関係なく、年齢や体質的な理由で出る。
 ただ心室性期外収縮の一部は心筋梗塞や心筋症が原因で起きている場合があり、そのため危険な不整脈に移行することがある。
 
・一般に精神的ストレスや睡眠不足、疲労は期外収縮を悪化させる。規則正しい生活を心がける。

洞(機能)不全症候群の概要

●洞(機能)不全症候群とは?
 
・”発電所”(洞結節)の異常によって、心臓の中で電気が作られなくなる病気。
 
●原因
 
・洞結節の機能は年齢と共に低下する。
・病気の原因ははっきりしないことが多く、洞結節や心房の老化現象が主要な原因ではないかといわれている。
・降圧薬や強心薬などの薬剤でも洞不全が起こる。
 
●症状
 
・電気不足で脈が遅くなるか、または時々心臓が止まるようになる。
・この病気では同時に心房の異常も合併することがあり、そうなると徐脈と同時に頻脈も出てくることがある。
 頻脈が停止した時に心臓が止まりやすくなり、ふらつきや失神が起こる。
 一般に数秒以上心臓が停止するとふらつきが起こり、10秒以上停止すると意識がなくなって倒れる(アダム・ストークス発作)ことがある。
 
・洞不全症候群では、心臓が止まってそのまま死んでしまうことはまずないが、意識を失った時にけがをしたり、交通事故に遭ったりすることがある。
 
・脈の遅い状態が長く続くと、心臓の機能が低下して心不全になることがある。
 
・脈が遅いために失神やふらつきなどの症状が出現した場合は、ペースメーカーの植え込み手術が必要となる。
 症状がなくても、4秒以上の心停止が見つかった場合はペースメーカーを植え込むことがある。
 
・長年の肉体労働やトレーニングなどにより生理的に洞結節の機能が抑制されて、脈が遅くなっているような人には、ペースメーカー治療の必要はない。

房室ブロックの概要

●房室ブロックとは?
 
・心房と心室の境界には電気の流れを調節して”変電所”の役目をする房室結節という組織があるが、この機能が低下して、心房から心室の方へ電気が伝わらなくなるために脈が遅くなる。
 
●症状
 
・この病気は重症度により1度、2度、3度に分けられる。
 
・よく運動をする人や、若年者では迷走神経という神経の機能が高まって、生理的な現象として房室結節からの電気が少し伝わりにくくなり、1度または2度のブロックが起こることがあるが、無症状であれば心配はない。
 
・心筋梗塞や心筋症のような病気に伴って2度~3度の房室ブロックが起こった場合は、極端に脈が遅くなったり、時に心臓がそのまま止まったりしてしまうことがあるので注意が必要。
 
・洞不全症候群と同様に、脈が遅くなった時にふらつきやめまい、失神、心不全などが起こる。

右脚ブロック、左脚ブロックの概要

●右脚ブロックとは?
 
・心臓の中には”発電所”(洞結節)と、”変電所”(房室結節)、さらに電気を流す”電線”の役目をする組織がある。
 心臓は左右の部屋に分かれているので、この電線も右と左に分岐している。
 ”脚”というのはその分岐した電線の役目をする組織を、”右脚”とは心臓の右側を走る電線を指し、”右脚ブロック”とは電線上で電気の流れが悪くなった状態を意味する。
 
・脚ブロックには完全ブロックと不完全ブロックがあり、完全ブロックが必ずしも完全断線を指すわけではないが、完全ブロックの方が電気の流れがより悪くなっている状態と判断できる。
 
・完全右脚ブロックの場合、仮に右側が断線していたとしても、ちゃんと左側の電線から電気が流れてくるので、心臓は正常に動く。
 
・先天性の心臓病や心筋梗塞、心筋症という病気があると右脚ブロックになりやすいが、右脚ブロックを持つ人で心臓病のある人は、その一部にしかすぎず、多くは心臓病がない。
 右脚というのは、ちょっとしたことで電気の流れが悪くなりやすく、断線したとしてもほとんど問題はない。
 病気のために右脚ブロックが生じている人以外は、左脚にまで障害が及ぶことはあまりない。
 
●右脚ブロックの症状
 
・右脚ブロックは通常は症状を伴わない。
・運動などで脈拍が上昇した時などに一時的(一過性)に右脚ブロックになる人がいて、この際に胸部の違和感を訴える人もいる。
 
●右脚ブロックの診断時の注意点
 
・右脚ブロックは心電図で診断できるが、これがまったく心配のないものかどうかは、心臓のエコー検査(心臓超音波検査)や運動負荷検査、またはホルター心電図検査で診断する。
 これらの検査が正常で、自覚症状がない場合でも、親や兄弟などの近親者の中に若年~中年で突然死した人がいる場合は、マラソンなどの激しい運動はしない方がよい。
 
・親類の中で睡眠中に”ぽっくり”亡くなった人がいる場合には、ブルガダ症候群という特殊な病気の可能性があるので、不整脈の専門医を受診することを推奨。
 
・現時点では右脚ブロック以外に異常がなくても、数年~数十年先に異常が出てくる場合も時にはあるので、検査を1~2年に一回受けるようにする。
 
●左脚ブロックの概要
 
・左脚ブロックは左側の電線の流れが悪くなった状態だが、右脚ブロックと違って心臓病を伴う場合が多いとされている。
 左脚ブロックといわれたら、まずもともと心臓病がないかどうかを病院で調べてもらう。

心房細動の概要

●心房細動とは?
 
・心房細動は心房が細かく動く、つまり速く動くことを意味し、原因として、心房のどこか(多くは肺静脈の入り口部周辺)に新たな”発電所”ができて(あるいは胎児の頃に持っていた発電所から)電気が漏れ出るためであり、それにより心房の中で不規則な電気の流れ(旋回)が起こる、という仕組みが考えられている。
 
・心房細動によく似た不整脈に心房粗動がある。心房粗動では心房の中で一定の回路を通って規則的な電気の旋回が起こっている。
 
・心房細動は70歳を超えると、病気のあるなしに関係なく数~10%の人に現れてくる不整脈で、原因は心房の筋肉の一種の老化現象ではないかとも考えられている。
 その一方で若い人にも出ることがあり、それらの多くは体質的な理由で起こり、また、高血圧、肺疾患、甲状腺機能亢進症、弁膜症、心臓の手術後では、より生じやすくなる。
 
・心房細動自体は、危険な、命にかかわるような不整脈ではなく、元に心臓病がない場合は、心房細動のために寿命が短くなるというものでもない。
 心房細動があっても三分の一近くの人は自覚症状がないため、まったく正常な生活を送っている。
 
・心房細動がある人は日常生活の心がけとして、精神的ストレス、睡眠不足、疲労、過度のアルコール摂取などを控えることが必要。というのは、それらによって心房細動を誘発する原因となる期外収縮が増加するから。
 
●心房細動の症状
 
・心臓が全体として1分間に60回から200回の頻度で不規則に興奮する。
 脈はまったくバラパラで打ち、動悸がして息苦しくなり、時にはめまいや胸痛などの症状が出る場合がある。ただ、心室につたわる脈がそれほど速くない場合には、まったく症状のない場合もある。
 
・時々発作の起こる(つまり心房細動が出現する)「発作性心房細動」と、心房細動の状態がずっと続く「持続性(慢性)心房細動」に分けられる。
 
・心房細動では、運動をしたり精神的に興奮したりすると一時的に房室結節の通りがよくなって、急に脈拍数が増加して息切れやめまいなどの症状が出ることがある。
 
・発作性心房細動では発作のおこりはじめに血圧が下がって意識を失うこともある。
 
●心房細動と脳梗塞
 
・心房細動時には心房が細かく動くだけで、十分な収縮ができないので、そこで血液がよどみ、血栓ができ、それが頭や手に飛んでいって血管が詰まる(脳であれば脳梗塞になる)ことがある。
 そのため最近では心房細動に対しては、脳梗塞を予防する目的で、血液を固まりにくくする薬剤(ワーファリン、プラザキサなどの抗凝固薬)が使用されるようになっている。
 適切な量のワーファリンやプラザキサなどを服用していれば、どのようなタイプの心房細動であっても、脳梗塞を予防でき、大出血を起こすこともない。

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