動脈硬化の概要、危険因子、起こりやすい部位

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  1. 血管の構造、機能
  2. 動脈硬化の概要
  3. 原因と危険因子
  4. 動脈硬化の起こりやすい部位
  5. 動脈硬化の起こる部位とその症状

動脈硬化の概要

○動脈硬化とは?
・動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりして本来の構造が壊れ、働きが悪くなる病変の総称。
・一般には動脈硬化といえば”粥状動脈硬化(アテローム硬化)”を指す場合が多い。
・コレステロールなど血液の脂質が、動脈に溜まったり(プラーク)、酸素や栄養が不足したり、高血圧があっていつも血管に負担がかかったり、色々の原因が重なって動脈の新しい細胞が作られなくなってくると、動脈は弾力性を失い固く、もろくなってしまう。
 
○動脈が硬くなると?
・弾力性が失われると血液をうまく送り出せず、心臓に負担をかけてしまう。
・細動脈硬化では、弾力性がないため血圧が高くなると血管が破裂しやすくなる。
 
○アテローム性動脈硬化
・動脈の内側に粥状(アテローム性)の隆起(プラーク)が発生する状態。
・プラークの表面が破れると血栓ができ、時にはそのために血管がつまってしまい心筋梗塞や脳梗塞の原因となる。
 
○細動脈硬化
・高血圧や糖尿病と合併して起こり、動脈血管の弾力性がなくなり硬くなる症状。
・弾力性がないため血圧が高くなると血管が破裂しやすく、特に脳内で破裂すると脳出血に至る恐れがあると言われている。
 
○中膜硬化(メンケベルグ硬化)
・動脈の中膜にカルシウムが蓄積し骨化することで進行する動脈硬化。
・血管内部の狭窄は見られないものの、進行につれて中膜が硬く脆くなり、血管破裂に至ることがある。
・大動脈や下肢の動脈、頚部の動脈に起こりやすく、50歳以上の男女に多く認められる。

原因と危険因子

・なぜ動脈硬化が起こるのかは、まだ完全に分かっていない。今日までに分かっているのは、動脈硬化がすでに10代から始まること、そして、40歳を過ぎる頃に症状がぼつぼつ現れてくること。
 
・動脈硬化が進んだり、それがもとで心臓病や脳卒中になる原因として下記が挙げられる。
 
○高血圧
・高血圧→血管内皮細胞が変調→酸化ストレス→酸化LDL→プラーク→動脈硬化
コレステロールと動脈硬化の”高血圧、LDLと動脈硬化”参照
 
○コレステロールを始めとする血液の脂質の異常
コレステロールと動脈硬化参照
 
○糖尿病
・高血糖→糖化LDL→酸化LDL→プラーク→動脈硬化
高血糖と動脈硬化参照
 
○加齢(男性:45歳以上、女性:閉経後)
・加齢で男性ホルモンのテストステロンが減少→コレステロール値に影響?
テストステロン参照
・閉経後エストロゲン減少→コレステロール値に影響?
月経前症候群(PMS)、更年期障害、ホルモン補充療法 ”閉経、更年期障害”参照
 
○喫煙
タバコと心疾患の”タバコと動脈硬化”参照
 
○肥満
・内臓脂肪増加→善玉サイトカイン減少、悪玉サイトカイン増加→脂質異常
肥満と炎症、酸化ストレス、内臓脂肪とレプチン、アディポネクチン参照
 
○運動不足
 
○感情的なストレスに満ちた状態
ストレスと各種病気との関わりの”動脈硬化”参照
 
○偏った食事内容
 
○嗜好品(アルコール、コーヒー、紅茶)

動脈硬化の起こりやすい部位

大動脈、脳動脈、冠動脈、心臓、脾動脈、腎動脈などの順
 
○大動脈
・心臓から出た血液は、直径15~20mmの大動脈を通って、脳や肝臓などの重要臓器に栄養を運んぶ。
・大動脈は大動脈弁から上に向かって始まり、その後、脳や腕に栄養を運ぶ3本の血管を分枝し(大動脈弓部)、Uターンして下へ向かい脊椎の左側を下方に走行する(下行大動脈)。
 
○脳の動脈
・脳の中には内頸動脈、それから枝分かれした中・前大脳動脈、脳の後方には椎骨動脈がくっていた脳底動脈、その枝である後大脳動脈などがある。それぞれはさらに細い分枝に分かれて脳に分布する。
 
○冠動脈
・心臓の上に冠のように乗っている動脈で、心臓を取り囲むようにして走行し、心筋にエネルギーを供給する動脈。
・冠動脈は、他の動脈と違い、心臓の収縮期にその血流は減少し、拡張期に血流が流れる、という性質を持つ。

動脈硬化の起こる部位とその症状

●脳動脈
 
・アテローム血栓性脳梗塞
動脈硬化で狭くなった脳の太い血管に血栓ができ、血管が詰まるタイプの脳梗塞。
 
●頚動脈
 
・頸動脈が動脈硬化によって血管が狭くなったり、詰まったりする。
・この部分にできた血栓やプラークが脳内に流れ込むと脳梗塞の原因となる。
・この部分の狭窄が進むと脳への血流が悪くなり、これが原因で脳梗塞となることもある。
 
●冠動脈
 
・狭心症
動脈硬化によって内腔が狭くなり血流量が減ると心臓が酸素不足に陥り、胸の痛みや息苦しさを伴う発作を起こす。
 
・心筋梗塞
冠動脈の動脈硬化の部分が血栓で完全に詰まった状態になり、激しい胸痛や呼吸困難、脈の乱れを起こす。
 
●胸部大動脈、腹部大動脈
 
・大動脈瘤。
動脈硬化が原因となって動脈の一部がふくれて瘤のようなものがつくられる。
瘤のできた部分が破裂して大出血を起こしショック状態になり、短時間で死亡することもある。
 
●腎動脈
 
・腎硬化症
腎臓を流れる血液の量が減少して、腎臓の機能が低下する。
 
●末梢動脈
 
・閉塞性動脈硬化症
下肢の動脈に硬化が起こり血流が滞ると、下肢のしびれや疼痛などの症状が現れる。
症状が進行すると足指に栄養が行き届かなくなり、壊死することもある。

動脈硬化の概要

●血管の構造
 
・内膜、中膜、外膜の3層からなる。
 
○内膜
・単層の内皮細胞と少量の結合組織からなる。
 
○中膜
・輪状に走る平滑筋と弾性線維から構成される。
 
○外膜
・結合組織からなる。
 
●血管平滑筋による収縮と拡張
 
・血管壁には平滑筋があり、その収縮・弛緩によって血管の内径が変化し、循環の調節を行っている。
・血管平滑筋の緊張は、自律神経からのインパルスや血液中の化学成分によって調節されている。血管運動の中枢は延髄網様体にある。
 
○体温調節との関係
・暑いときは、体の表面に近い細い血管を拡張して、血液を多く流して熱を効率的に体の外へ逃がす。
 逆に、寒いときにはこの血管を収縮して、血管内を流れる血液を減らすことにより、できるだけ熱が体外へ逃げないようにする。
 
●血管内皮細胞の働き
 
・内皮細胞は、さまざまな刺激物質に曝されたとき、それらに反応して血管拡張因子あるいは血管収縮因子を産生・遊離することによって、血管平滑筋の収縮・拡張を調節する。
 
○内皮由来の主な血管拡張因子
・一酸化窒素(NO)、プロスタサイクリン、過分極因子
 
○内皮由来の主な血管収縮因子
・エンドセリン

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