幸福感

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  1. 幸せ度、幸福感の概要
  2. お金と幸福感
  3. 人間関係と幸福感
  4. 年齢と幸福感
  5. 欲望、馴化(慣れ)と幸福感
  6. 所有物と幸福感
  7. 性格と幸福感
  8. 居住地域と幸福感
  9. コントロールと幸福感
  10. 選択、比較と幸福感
  11. 幸福感と健康
  12. 感謝と幸福感
  13. ドーパミン、オキシトシンと幸福感
  14. 瞑想と幸福感
  15. ネットニュースによる関連情報

幸せ度、幸福感の概要

●幸せ度
 
・脳の中には"幸せ度"の目盛りがある。
・どんなときでも幸せだと言える楽観的な人もいれば、どう努力しても幸せを感じられない悲観的な人もいるが、これは"幸せ度"がこの違いをもたらしている。
・研究によれば、人生に何が起ころうと、人は"一定の幸せ度"を維持しようとする。
・幸せ度は、意識的に変えようとしなければいつまでも同じ値に留まる。
・調査によれば例外は以下の3つの場合。
①配偶者を失った場合(安定値に戻るのに時間がかかる)
②慢性的な失業状態にある場合
③極度の貧困状態にある場合
 
○幸せ度は変えられる?
・ミネソタ大学のデヴィッド・リッケンは、別々の環境で育った一卵性を含む何千組もの双子を追跡。
・その結果、幸せ度を決めているのは50%が後天的な要素であるらしいことが分かった。
→人生のかなりの部分を経験によって変えられる。
 
・財産や夫婦関係や仕事といった環境要因は、幸せ度にたった10%しか影響を与えず、あとの40%は、習慣的な考え方、使う言葉や行動によって決まる、ということが分かってきた。
 
※参考資料『マーシー・シャイモフ(2008)「脳にいいこと」だけをやりなさい! 三笠書房』

 

●幸福感、快楽のジョギングマシン仮説、フィリップ・ブリックマン、ドナルド・キャンベル
 
・ジョギングマシンでは歩いたり走ったりする速度を調整するが、それと同じように人の気分はたいていの生活環境に直ちに順応する。
・この仮説は、幸せの評価の類似性が、遺伝子の50%しか共有していない二卵性の双生児の組よりも、遺伝子的に同一の一卵性双生児の組で高いことを示す研究と整合する。
・人は遺伝で決まる幸せの基準値のようなものを持ち、人生で出会う短期的な出来事に応じてその基準から上ったり下がったりして、やがてそうした出来事に慣れてくるとじきに基準に戻ってくる。
・宝くじに当たったり、事故で障害を抱えるようになったりして、短期的に幸せ感が大きく変動したとしても、じきに基準のレベルに戻っていく。
 
○極めて悲劇的な出来事の場合
・離婚する、配偶者と死に別れる、仕事を解雇される、といった重大な出来事は、永続的あるいは半永久的な幸せ感の減少をもたらすこともあるようだ。
 しかし、離婚や配偶者の死であっても、多くの人は時が経てば程度の差こそあれ最後には順応してしまう。
 
※参考資料『スコット・O.リリエンフェルド(2014)本当は間違っている心理学の話 化学同人』

 

●ネガティブな出来事への適応、心理的免疫
 
・嫌な出来事のほうが、良かった出来事より影響力が強いというのは、様々な調査で明らかにされている。ある研究では、アメリカの大学生は誰かに一回批判された場合、他の人から二回くらい褒められなければ、批判される前の気分には戻れないという結果が出ている。
・悲惨な出来事でも、普通の人は予想以上にうまく適応している。ダン・ギルバートはこれを心理的免疫と呼び、人がこの心理的免疫を過小評価する傾向があることを様々な実験を通して実証している。
 
○極端な悲劇に見舞われた場合
・子どもを交通事故で亡くしたり、自殺で亡くしたりといった極端な悲劇に見舞われた人の幸福感は、それらの出来事によって長期間にわたって影響を受け続けるのではないかとも考えられる。
・レーマンらは、夫、妻、あるいは子どもを交通事故で亡くした人をインタビュー調査したが、事故後4~7年後でも対照群(交通事故で子どもや夫を亡くした人たちと、交通事故以外の面、つまり最終学位、年収、居住地域などでほぼ同一の人たち)より、うつ病の傾向が高く、日常生活における楽しみも少ないという結果を報告している。
→昇進を逃したり、健康を損なったケースと異なり、事故で妻や子どもを亡くしたケースでは、心理的サポート源をもその出来事で失くしてしまうので、立ち直りを難しくしているようだ。
 
※参考資料『大石繁宏(2009)幸せを科学する 新曜社』

 

●人は将来、未知の辛い出来事による不幸を過剰に見積もる
 
・辛い出来事は確かに人に影響を及ぼすが、その影響力は考えているほど大きくないし、長くも続かない。
・仕事や恋人を失ったとき、ひいきにしているチームが大事なゲームで負けたときなどの感情を想像させると、人々はどの場合でもいかにみじめな気持ちになるか、いかに長い間みじめな気持ちのままでいるかを過大に見積もる。
・健康な人が障害を受けないようにするために支払ってもいいと考える金額は、体に障害のある人が健康になるために支払ってもいいと考える金額よりはるかに大きい。健康な人は、体に障害のある人がどれだけ幸せになりうるかを過小に見積もる。
・ある研究グループの指摘では、"慢性的な病気や障害のある患者が、今の健康状態にある自分の人生を評価すると、たいていはそれと同じ健康状態にあると想像させた仮想患者の評価より高い結果が出る"という。
 
●誤った実行でも実行より未実行を後悔する
 
・例えば、婚約者に振られることは、未来の出来事として予想すると実際より辛く、過去の出来事として振り返るとそれ程でもない。
→実際に辛い目に合うと、脳はそれを緩和するような見方を無意識のうちに探し始めるため。
 
例)
①A社の株を持っていて、この一年、B社の株に替えるかどうか考えていたが、結局しなかった。今になって、B社の株に替えていれば12万円得をしていたことを知る。
②C社の株を持っていて、この一年の間に、それをD社の株に替えた。今になって、C社の株をそのまま持っていたら12万得していたことを知る。
 上記二つのどちらの失敗をより後悔するか予想させたところ、9割の人は株を切り替えなかった事より株を切り替えてしまった事の方が強い後悔を生むと予想した。
→ほとんどの人は、おろかな不行為より、おろかな行為を悔やむと考えているから。
ところが、上記9割の予想は間違っていることが研究によって分かっている。長い目で見れば、どの階層のどの年齢層の人も、自分がした行為より自分が行為をしなかったことをはるかに強く後悔するらしい。
 
・行動を起こして悪い結果になったとしても、その経験からどれだけのことを学んだかを考えれば自分を慰めることができる。一方、行動を起こさなかった場合は、その経験からどれだけのことを学んだかを慰めようと思っても経験自体がないので自分を慰めることが出来ない。
 
●ひどく嫌な経験よりちょっと嫌な経験の方が明るい見方をしづらい
 
・大きな苦しみを経験すると、その苦しみの強さが引き金となって心の防衛システムが作動し、ただちにこの経験について信頼できる明るい見方を探し始める。小さな苦しみだと作動しない。
 
※参考資料『ダニエル・ギルバート(2007)幸せはいつもちょっと先にある 早川書房』

 

●幸せの感じ方
 
・17年間に渡って行われたドイツのある研究によると、研究の開始から終了までに幸せがかなり変わった参加者は24%、大きく変わった参加者は9%しかいなかった。
 アメリカの場合、結婚、健康、収入など個々の状況をすべて合わせても、それは幸せの個人差の原因の20%にすぎず、個人差の約50%は遺伝的要因だった。
 さらに、別々に育てられた(多くは別の家の養子になって)一卵性双生児は、別々に育てられた二卵性双生児と比べ、大人になってからの幸せがずっと似ていて、一緒に育てられた一卵性双生児と変わらない。
 
※参考資料『サンドラ・アーモット,サム・ワン(2009)最新脳科学で読み解く脳のしくみ 東洋経済新報社』

お金と幸福感

●幸福感と家計収入
 
・イリノイ州クック郡に住む中高年に対する調査
・家計収入と幸せには関連があることが分かった。しかし、家計収入が多くても幸福感の増大につながるわけではなかった。これ以上収入が増えても幸福感が増大しなくなる限界がある。
・収入と幸せの関連性は見られたが、幸福感が強まると結果として収入が増えると予測できるという、順序だった。
・孤独感の低さと収入の増加はどちらも幸福感の増大と関連あるものの、収入の増加は幸福感の増大には貢献せず、孤独感を減らすこともない。
→幸福感の増大は、社会的なつながりに対するポジティブな効果を通して、収入の増加に貢献する。幸せな人は孤独感が減り、孤独感が低い人はより多くのお金を稼ぐ傾向にある。
 幸せで孤独感の低い人のほうが、職場でのものも含めて良好な人間関係を築いていて、この良い関係が業績を伸ばしているのかもしれない。
 
※参考資料『ジョン・T.カシオポ(2010)孤独の科学 河出書房新社』

 

●幸福と収入
 
・いったん食物や住居という基本的な要求が満たされると、収入が幸福におよぼす影響はわずかとなり、幸福度の増減は5%以内だった。
 
●金と欲求
 
・お金の額が高くなると、お金によって得られる選択肢が多くなる。
・金があれば、たとえそれを使わなくても、金がないとできない体験をする可能性が手に入る。
・脳は、新しいものを欲していて、選択肢が多いほうを好む。
 
※参考資料『グレゴリー・バーンズ(2006)脳が「生きがい」を感じるとき 日本放送出版協会』

 

●お金と幸せ
 
・経済学者や心理学者によると、富が人間の幸せを強めるのは、赤貧から抜け出して中産階級になる場合だけで、それ以上はほとんど幸せを強めない、という説が一般的。
・だれも金持ちになりたがらないと、重大な経済問題を抱えることになる。経済の反映のためには、人々が互いに商品やサービスを調達して消費し続ける必要がある。
→個人が努力すると経済は反映するが、個人は自己の幸せのためにしか努力しないため、生産と消費が個人の幸福への道だと人が誤って信じ込むことが不可欠。
 
※参考資料『ダニエル・ギルバート(2007)幸せはいつもちょっと先にある 早川書房』

 

●お金と幸せ
 
・欧米での研究では、相関係数は、0.10~0.20。年収の多い人は少ない人よりやや幸福感が高い。
・いったん食、住の基本的な欲求が満たされれば、それ以上の年収は必ずしも幸せの向上には繋がらない。
・年収が高ければ高いほど幸福感も高くならないのは、高収入のグループは、仕事等の必要事項に費やす時間が低収入のグループよりはるかに多く、ストレスが多いからという説もある。
・経済状況の満足感と人生の満足感の相関は、GNPの低い国ほど高いという結果が出ている。
・欧米や日本では、ほとんどの人が少なくとも食、住という基本的欲求は満たされているが、それでもなお金銭の追求を続けている。
→無意識のレベルでは未だ基本的欲求が満たされていない?それとも人間の欲求とは、何かが満たされればまた新たな欲求が現れるものなのかもしれない。
 
○幸福感と将来の年収
・オーストラリアの研究で、調査対象者が18歳のときに幸福感を5点法(不幸せ、平均以下、平均、平均以上、最も幸せ)で測定し、15年後の時点での年収を調べた。
・18歳の時の幸福感が"平均以上"の群で15年後の年収が最も高かった。
・18歳時点での幸福感と26歳時点での最終学歴の関係も調べたが、年収同様、幸福感が"平均以上"の群で最も学歴が高かった。
→"最も幸せ"な群の結果が一番良いというわけではないのは、非常に幸せな人は現状に満足しやすいため?
 
※参考資料『大石繁宏(2009)幸せを科学する 新曜社』

人間関係と幸福感

●幸福感と社会的結びつき
 
・イリノイ州クック郡に住む中高年に対する調査
・孤独感が弱いと幸せである可能性が高く、幸せであれば長い間には孤独感をそれほど感じなくなる。
 
※参考資料『ジョン・T.カシオポ(2010)孤独の科学 河出書房新社』

 

●結婚と幸福感
 
・ヘラーらは、13の論文をメタ分析したが、結婚生活への満足度と人生全般の満足度との相関が平均して0.42であり、測定上の誤差を考慮に入れると、想定相関は0.51であることを報告している。
 同様のメタ分析で健康への満足度と人生全般の満足度との想定相関が0.35、同様に仕事の場合は0.44、年収の場合は0.20未満であり、結婚生活の人生全般における重要性を物語っている。
 
○性格の類似性、趣味
・性格の類似性と結婚生活への満足度との関係は意外に低いのに対し、趣味の一致は結婚生活への満足度と関係が高いという結果が一貫して発表されている。
 
○相手の評価
・ニューヨーク州立大学バッファロー校のサンドラ・マレイ教授の研究では、既婚のカップルと交際中のカップルとを被験者とし、自己評価、パートナー評価させたが、平均してパートナー評価は、自己評価より高かった。相手を理想化する夫婦の結婚生活への満足度が高く、離婚の確率も低かった。
 
○子ども
・多くの研究を吟味したメタ分析によると、小さな子どもを持つ夫婦の満足度が、同年齢で子どものいない夫婦に比べて低いことや、子どもの数が多ければ多いほど、夫婦間の満足度が低いという結果が報告されている。
 また、子どもの数と夫婦関係とのネガティブな相関は、高収入で地位の高い夫婦や、世代間の比較で見ると最近の世代で顕著。
→高収入の夫婦では、子どもが生まれる前に一緒に旅行に行ったり、スキーをしたりと、趣味に費やす時間が多かったためと思われる
 
○原始時代との比較
・現代では結婚相手は多種多様な可能性があり、誰か一人に人生を捧げることが難しくなり、嫉妬等に悩まされることも多い。原始社会では選択肢が少なかった分、他にもっといい人がいたのではないかという思いは起こりにくく、後悔や嫉妬も少なかったのでは、と考えられている。
 
○幸福感と将来の恋愛関係
・オーストラリアの研究で、調査対象者が18歳のときに幸福感を5点法(不幸せ、平均以下、平均、平均以上、最も幸せ)で測定し、その後の対人関係を調べた
・33歳時点でパートナーがいるかどうか、いるのであれば何年間にわたってそのパートナーとの関係が続いているのか調査されたが、18歳時点での幸福度が高ければ高いほど、パートナーとの関係が長いという結果が得られた。
 年収や学歴では完全に満足していない人のほうが結果が良かったが、対人関係では完全に満足している人の方が結果が良かった。
→現状に満足している人は、自分のパートナーを理想化し、他の誰かに注意を注いだりしないから?
 
●友人関係
 
・原始時代は、小さい集団で暮らしていたので個人が集団のために役立つ場面が多々あり、自分の存在意義を見出すことが簡単にできた。現代社会では、そのような小さい集団で住んでいるわけではないので、自分の存在意義を見出すことはたやすくない。
 また、小さい集落であれば自分が一番上手にできることが何かある場合もあるが、大きい集団になると自分が何かで一番上手だという可能性が低く、自信も育ちにくくなり、このことも現代社会で幸福を感じるのが原始時代より難しくなった理由の一つという考えもある。
・平和な現代では、原始時代と比べて生死を共にするような経験を持つ機会は皆無と言ってよい。それぞれが各々の教育、出世のためにいろいろな場所に移り住むので、安定した友人関係を長期間にわたって保つことが非常に難しくなっている。
 
※参考資料『大石繁宏(2009)幸せを科学する 新曜社』

年齢と幸福感

・イリノイ州クック郡に住む中高年に対する調査
・人は歳をとればとるほど幸せに感じる
・理由として以下の2つの要因が考えられる
①人間の情動的な反応を司る脳構造である扁桃体が、長年のうちにネガティブな刺激に対して若干反応が鈍くなる可能性がある。
→その結果、中高年の人は平均して、かつては気に病んだ様々な潜在的な脅威に対してそれほど動じなくなる。
②年齢の高い人は無駄に費やすような時間がそれほど残されていないことを知っているので、情動的に最も満たされる人生の側面、すなわち、様々な人とのつながりに焦点を合わせ始める。
 
※参考資料『ジョン・T.カシオポ(2010)孤独の科学 河出書房新社』

欲望、馴化(慣れ)と幸福感

●幸福を追い求めることのマイナス面
 
○"幸福のタークサイドとは?-幸福がつねによいと限らないのはいつ、なぜ、どのようにか"という論文。ジューン・グルーバー、アイリス・モース、マーヤ・タミール
・西洋の快楽主義にのっとった"多いことは良いこと"という幸福の考え方が、はたして正しいのかどうか検証。
・その結果、幸福を求めれば求めるほど気持ちが落ち込む、というパラドックスに加えて、幸福を求めれば求めるほど孤立感が増すということが分かった。
・幸福を追求し続けると次のような負の影響が出ると指摘している。
 ・飲酒、暴食、薬物摂取など、節度を欠く行為にふけりやすくなる。
 ・大きな危険や脅威を見逃してしまう。
 ・固定観念を含む"手に入りやすい見方"に頼り、きちんと検証された情報に目を向けなくなる。
 ・だまされやすくなる。
 ・ひどい場合は躁状態に陥り、負の影響が仕事や人間関係にもあらわれて、全体的な機能が低下する。
 
・自己満足に陥ると、周囲に気を配るのを忘れがちにもなる。
・不安や恐れなど否定的な感情が完全に欠如している状態は、精神病質のひとつの指標となり、その場合、"様々な場面において、他者の幸福に無関心になる"という。
 
※参考資料『ローリー・ヘルゴー(2014)内向的な人こそ強い人 新潮社』

 

●"もっと神話"、"いつか神話"
 
・何かを手に入れたいという欲望は、それが実現しても本当の喜びをもたらしくてはくれないばかりか、さらに別の欲望を喚起するだけ。
・幸せはいつも"ちょっと未来"にあって、けっしてつかまえられない。幸せを感じられるのは、今この瞬間でしかない。
・人は将来の幸せを予想するのが得意ではなく、欲しいものを手に入れた後の幸せを常に過大評価している。
 
※参考資料『マーシー・シャイモフ(2008)「脳にいいこと」だけをやりなさい! 三笠書房』

 

●快楽の踏み車
 
・人間は常に新しい状況に順応し続けるので、宝くじに当たるなどの幸運や事故などの不運にあっても、時間が経つとその人が自己評価した現在の幸福度に関する違いは少なくなる。
・幸福とは相対的なもので、近い過去の変化によってのみ得られる。
・与えられた結果に満足を覚えている最中にもその満足感は薄れてゆき、しだいに無関心になり、新たな渇望がわき上がっていくる。
 
※参考資料『グレゴリー・バーンズ(2006)脳が「生きがい」を感じるとき 日本放送出版協会』

 

●馴化(慣れ)
 
・素晴らしい出来事は、最初に起こったときが特別素晴らしく、繰り返し起こるにつれて素晴らしさが薄れてしまう。
 
○慣れを打破する方法
①経験の種類を増やす。
②次に経験するまでの時間の間隔を増やす。
 
※参考資料『ダニエル・ギルバート(2007)幸せはいつもちょっと先にある 早川書房』

所有物と幸福感

・物を所有すること(家以外)と幸福感の相関は低い。
・所有欲、購入欲の強い人は、全般的に満足度が低いという結果が出ており、必要以上のものを求めることで幸福感を向上させることは難しいようだ。
・同じ消費でも、幸せに繋がりやすい消費・購入と、そうでない消費・購入があることが研究で分かっている。
 コンサートや旅行等の体験的消費の方が、テレビや服などの物質的消費よりも幸福感により強く影響を与える。
→物の場合、時が経つにつれて消耗していくから、購入後常に同じような喜びを与えてくれる物は少ない。
 経験の場合は、消耗していくということがない分、満足度が保持できる。旅行の思い出にいたっては、辛かったり、嫌なことですら、後から考えるといい思い出になったりする。
 コンサートや旅行は誰かと一緒に行くことが多いので、誰かと一緒に何かを経験するということが幸福感に繋がる鍵なのかもしれない。
 
※参考資料『大石繁宏(2009)幸せを科学する 新曜社』

性格と幸福感

・社交性、神経症傾向、同調性、善良さ、オープンさが5大性格特性と呼ばれ、様々な性格特性はこの5つの因子に大きく分類できるという結果が出ている。
・デネーヴとクーパーの行ったメタ分析によると、幸福感は社交的な人において高く(0.27)、神経症傾向の強い人において低い(-0.25)という結果が出ている。同調性(0.19)と善良さ(0.16)も、幸福感とそれぞれ正の相関を示している。オープンさは、幸福感とはほとんど相関がなかった(0.06)
 
○社交性
・明るく、活発で人懐っこいといった性格なども含まれる。
・社交性の高い人は、"喜び"や"ドキドキ"といった肯定的感情を覚える人が多く、人生への満足度も全体的に高いことが予想される。
 
○神経症傾向
・うつ傾向、心配性、怒りっぽいなども含まれる
・神経症傾向が強い人は、うつ傾向も強く、否定的な感情を経験することが多く、人生全般にも不満を持っている人が多いようだ。
 
○同調性
・やさしく、親切で、共感的な特性が含まれる。
 
○善良さ
・まじめで、几帳面で、曲がったことが嫌いといった特性。
 
○オープンさ
・知的で、想像力があり、新しい体験を求めるといった特性
 
※参考資料『大石繁宏(2009)幸せを科学する 新曜社』

居住地域と幸福感

・カリフォルニアに住んでいる人の方がアメリカの中西部(夏は暑く冬は極寒)に住んでいる人より幸せだと予想しがちだが、実際に調査すると、人生の満足度に全く差がないという結果が出ている。
→この二つの選択肢では、天候やレクリエーションが大きく異なるため、これが人生の満足度に非常に重要な影響を与えるだろうと予測したが、実際は、日常生活での対人関係(夫婦関係、友人、近所づきあい)などの方が重要である場合が多いため。
・オーストラリアで行われた研究では、退職後それまでと同じコミュニティで隠居生活を送っている人のほうが、違うコミュニティに引っ越した人より、様々な面(自己受容、人生の目的など)で満足度が高いという結果が出ている。
 
※参考資料『大石繁宏(2009)幸せを科学する 新曜社』

コントロールと幸福感

●自分で運命をコントロールする
 
・運命をコントロールするのは自分自信だという強い気持ちをもっている人は、逆境から立ち直るのも早いし、人生を最大限楽しむこともできる。
 
○犬を使った実験
・ある実験で、犬に絶対に逃げられない電気ショックを繰り返し与えると、"学習性無力感"と呼ばれる症状があらわれる。
①2匹の犬をペアにし、弱い電気ショックを双方に与える。片方の犬は鼻でレバーを押すと電気ショックを止めることができるが、もう一方の犬はレバーを押しても電気ショックを止められない。
②実験用の小部屋(低い敷居で二つに分けられていて、床には時々肉体には無害の電気ショックが流れるが、敷居を飛び越えて反対側に移れば、電気ショックを避けることができる)に移され、床に電流が流れたとき、電気ショックを避けようとためらわずに低い敷居を飛び越えたのは、前の実験でコントロールを手にしていた犬たちだった。
→コントロールを与えられていた犬たちには、ストレスが起きたときにそれを跳ね返す強靭な心(心理的な免疫)が育っていたと考えられる。
 
・この心理的な免疫の発達度は、前頭前野の中で感情の統制に関わる部分がどれだけよく機能するかで大きく変わる。
→電気ショックのコントロールでストレスへの免疫をつけても、前頭前野のある領域を不活性化するとその免疫が完全に消えてしまうことを発見した。
 
※参考資料『エレーヌ・フォックス(2014)脳科学は人格を変えられるか? 文藝春秋』

 

●コントロールと欲求
 
・人にとって、コントロールするということは心地よいこと。
・力を発揮すること(変化させる、影響を及ぼす、ことを引き起こす事など)は、人間の脳に生まれつき備わった基本的な欲求の一つ。
・人はコントロールへの情熱を持ってこの世に生まれ、持ち続ける。コントロールする能力を失うと、みじめな気分になり、途方にくれ、絶望し、陰鬱になることが分かっている。
 
・ある研究で、地域の老人ホームの入所者に観葉植物を配った。半数の入所者には自分で植物の手入れと水やりを管理するよう伝え(高コントロール群)、残りの入所者には職員が植物を世話すると伝えた(低コントロール群)。6ヵ月後、低コントロール群では30%の入所者が死亡していたのに対して、高コントロール群で死亡したのは15%だった。追試研究によって、コントロールする感覚が老人ホーム入所者の福利にいかに重要かが確かめられた。
 
※参考資料『ダニエル・ギルバート(2007)幸せはいつもちょっと先にある 早川書房』

 

●コントロール、ストレスと不快
 
・コントロールできないストレスは、たいてい不快に感じる。一方、自らの意思で行う激しいエクササイズなどコントロールできるものは我慢できるし、場合によっては楽しいとさえ感じる。
 
※参考資料『グレゴリー・バーンズ(2006)脳が「生きがい」を感じるとき 日本放送出版協会』

選択、比較と幸福感

●他人との比較と幸福
 
・幸福感という意味では、他人との比較をしない人のほうが幸福感が高いようだ。特に、他人と比較して自分が劣っている領域でいつも社会的比較をするのは、精神衛生上あまり好ましいとは言い難い。
・リュボマースキー教授が高校3年生を対象とした研究では、幸福感の高い人では、たとえ第一志望の大学に合格できなくても、第二志望の大学への合格が決まれば、急に第二志望の大学の評価を上げるという心理的操作を行っていたが、幸福感の低い人では、入れなかった大学の評価が不合格が決まる前と変わらないという結果が出た。
 
●選択と幸福感
 
・何か購入するたびにありとあらゆる情報を手に入れ、吟味したうえでなければ何の決断も出来ない"最大効果の追求"派もいれば、ある程度の情報が入ればそれをもとに決断する"適度でOK"派もいる。
・"最大効果の追求"派は、"適度でOK"派より幸福度が低く、うつ傾向が強い。また、この関係は"最大効果の追求"派が自分と他の人とを比較する傾向が強いところからきているという結果が出ている。
 さらに、"最大効果の追求"派は、その決断に後悔する事が多い。考えれば考えるほど、選ばなかった選択肢のことが気になり、もし別のものを選んでいたらどうだったろうという発想が出てしまうらしい。
・コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の調査によると、大学4年生の調査対象者の就職後を測定したところ、"最大効果の追求"派は、"適度でOK"派よりも約20%高い給料を得ていたが、"適度でOK"派ほど自分の選択に満足していなかった。
→"最大効果の追求"派は、客観的に見ればいい仕事を得ているのに、もっといい仕事があったのではないかと考えてしまうことから、現状に満足できないらしい。
 
※参考資料『大石繁宏(2009)幸せを科学する 新曜社』

 

●上方比較
 
・自分より良いものを持っていたり、優れた資質を備えている人をうらやましがってしまう気持ち。
・しかし、手に入れたときの幸福感は一時的でしかなく、喜びはだんだん薄れてくる(順応)
→そのため、また幸せを感じたいと思って別のものを求めることになる。
・人が欲しくなるのはたいてい今のものより"ちょっとだけ"新しかったり、速かったり、大きかったり小さかったりするもの。
→それよりも、今あるものや状況の素晴らしさに目を向けた方が、人はずっと幸せになれるし、経済的。
 
※参考資料『デイビッド・ハミルトン(2011)「親切」は驚くほど体にいい! 飛鳥新社』

 

●自分の都合の良い対象と比較する
 
・ガン等の命に関わる病気を持つ人は、自分より病状の重い人を比較の対象にする傾向が特に強い。
・ある研究では、96%のガン患者が、自分は他のガン患者より健康だと答えた。
 
●どうしようもない(選択の余地がない)ことの方が明るい見方をしやすい
 
・逃れられない、避けられない、取り消せないなど選択の余地がない状況は、"心理的免疫システム"を起動させる引き金となる。
→経験を変えることができなくなって初めて、経験についての見方を変える方法を探し始める。
 人が物事の良い面を探しだすのは必要に迫られたときだけであり、だからこそ、遺伝子診断の結果、自分に危険な遺伝子欠陥がないと分かったときや危険な遺伝子欠陥があると分かったときには幸せが増すのに、はっきりした結論がでないときには幸せが増さない。
 
例)
・写真講座において、2枚の写真を仕上げさせ、一枚は自分で持ち帰っていいが、もう一枚は作品サンプルとして提出させた。一部の人には、いったん写真を持ち帰ったらもう変更はきかないと伝え(変更不可群)、他の人には、いったん写真を持ち帰って気が変わったら持ち帰った写真と提出した写真を交換できると伝えた(変更可能群)
→数日後、持ち帰った写真をどれだけ気に入ったか質問すると、変更可能群は変更不可群ほど写真を気に入っていないことが分かった。
・写真を持ち帰ってから考え直す機会があるほうが良いか?と聞かれると大多数の人は機会がある方を好むし、考え直す機会のある場合とない場合でどちらの写真を気に入ると思うかと予測させると、変更できるか出来ないかは写真の満足度に何の影響も与えないと予測する。
→変更不可の状況は心理的防衛システムを作動させ、そのおかげで明るい見方を手に入れることができたようだが、そのことは予期できないようだ。
 
※参考資料『ダニエル・ギルバート(2007)幸せはいつもちょっと先にある 早川書房』

 

●選択と満足
 
・候補となる選択肢の数が増え、却下した選択肢の魅力が積み重なるにつれ、選んだ選択肢は物足りなく思える。
 選択肢の増加が生活充足感の低下につながりうると考えられるのは、これが一つの理由であり、かなり大きな理由と考えられる。
 
●選択と損失回避
 
・人間には"損失回避"の傾向がある。1万円損する痛みは1万円得する嬉しさを上回る。
・二者択一を伴う決断を迫られると、選ばなかった選択肢の損失を考慮してしまうため、どちらを選んでも、選択肢がそれしかなかったときに比べて、物足りなく思える。
 
●選択と言葉による理由付け
 
・好みの理由を挙げるようにいわれると、必死に言葉を探しはじめる。
そして全体の印象を決める上で、さほど重要でない要因がかえって言葉にしやすいことがある。そこで思いついた言葉をとらえて、それが自分の好みの理由だと考える。
 そして言葉というものは、一度語られると、語った本人にとって大きな意味を持ち始める。
 いざ選ぶ段になると、言葉としてはっきり語られた理由が、決断を大きく左右する。
 しかし、時間が経つうちに、言葉にした理由は後退していって、後には説明し難い好悪の感情が残る。
 
●自己判断
 
○アトゥール・ガワンデの調査
・もし癌に罹ったら、自分で治療法を選びたいかどうかという問いに、回答者の65%までが、そうしたいと答える。
 だが実際に癌に罹っている患者に同じ質問をすると、そう望むのは12%に過ぎない。
 
※参考資料『バリー・シュワルツ(2004)なぜ選ぶたびに後悔するのか ランダムハウス講談社』

 

●選択肢と幸せの感じ方
 
・人は選択肢が多いときの方が、限られているいるときより、自分の決断に満足しない傾向がある。
→比較する対象が多いほど、あきらめた選択肢を惜しむ気持ちが生まれて、幸せが減ってしまうらしい。
 
※参考資料『サンドラ・アーモット,サム・ワン(2009)最新脳科学で読み解く脳のしくみ 東洋経済新報社』

幸福感と健康

・20年以上にわたる調査から、幸福感が免疫機能を高め、病気を予防するという結果が得られている。
・幸せを感じている人は、平均的な人より風邪を引く割合が35%少なく、インフルエンザワクチンに対する抗体が50%も多くつくられる。
・幸福感や楽観思考のテストで高得点をとった人は、心血管疾患、高血圧症、伝染病にかかる確率が低いという結果が出ている。
・ユーモアを失わず、いつも自分を幸せだと思っている人は、そうでない人より長生きする。特にガン患者においてその違いは著しく、ガンにかかってもユーモアを失わなかった人は、そうでない人より早期に死亡した割合が70%も少ない、という調査結果がある。
 
※参考資料『マーシー・シャイモフ(2008)「脳にいいこと」だけをやりなさい! 三笠書房』

 

・多くの研究で、幸福な人あるいは楽観的な人は、悲観的な人よりもたいてい健康であることが証明されている。
 しかし、ほとんどの場合は関連性が認められただけで、因果関係は証明されていない。幸福だから健康なのか、それとも健康だから幸福なのか?
 
※参考資料『バーバラ・エーレンライク(2010)ポジティブ病の国、アメリカ 河出書房新社』

感謝と幸福感

●感謝の気持ちと幸福
 
・ロバート・エモンズ教授の研究によると、感謝の気持ちを忘れない人が幸福感の高い人だという結果が出ている。
→感謝を忘れない人の対人関係が感謝の気持ちを持っていない人のそれより、ずっと良好だからではないか?
 
○感謝介入法
・エモンズとマカラフは、被験者をランダムに3つの実験群に分け、"感謝群"では、過去1週間を振り返って、自分が感謝することを5つ書かせた。これに対し"雑用群"では、過去1週間で面倒くさかったことを5つ書かせた。最後に"出来事群"では、過去1週間に起こった出来事を5つ書かせた。
・これを9週間にわたって実行した結果、人生の満足度は"感謝群"で最も高かった。さらに、"感謝群"の被験者には、筋肉痛やのどの痛み等の症状の数も有意に少ないという結果が出た。
 
※参考資料『大石繁宏(2009)幸せを科学する 新曜社』

 

・ある研究で、"感謝すべき出来事"を数えるグループと、"不満"を数えるグループに分け、週の最後にそれぞれ5個リストアップする作業を10週間続けてもらった。
→10週間後に両群の幸福感を比べたところ、"感謝グループ"が"不満グループ"より25%も高くなっていた。
 
※参考資料『デイビッド・ハミルトン(2011)「親切」は驚くほど体にいい! 飛鳥新社』

ドーパミン、オキシトシンと幸福感

○ドーパミン
・目標達成や夢の実現によって得られる幸せ
・ドーパミン的な幸せは、得られたときの快感は大きいが、長続きしない。
・"もっともっと"と次の報酬を求め、際限なくエスカレートする。
・成果を求める過程において、他人との競争が生じるケースもある。
・努力をしても思うような結果が出ないときには、まじめな人ほど自分を責めてしまい、それが大きなストレスになってしまう。
 
○オキシトシン
・親切やふれあいによって得られる幸せ
・強烈な幸せ感というわけではないが、ほんのりと長続きする。
・成果とも無縁で、他人との競争もない。
 
※参考資料『デイビッド・ハミルトン(2011)「親切」は驚くほど体にいい! 飛鳥新社』

 

●ドーパミンと幸せ
 
・ドーパミンは、ラットにも人間にも、"肯定的結果につながる行動"を選択させているように思える。
・人間のドーパミン機能の一つが報酬の信号を送ることだ、という証拠は、パーキンソン病から得られたもの。
・パーキンソン病は、様々な機能を果たすドーパミン産生ニューロンが徐々に死んでいく運動障害。
・パーキンソン病の患者は、運動の問題に加えて、試行錯誤による学習がうまくできなくなるが、投薬によって患者のドーパミンのレベルを上げると、報酬と結びついている反応はうまく学習するようになる。反対に、患者が薬をやめてドーパミンレベルが下がると、否定的結果と結びついている反応をより簡単に学習するようになる。
 
※参考資料『サンドラ・アーモット,サム・ワン(2009)最新脳科学で読み解く脳のしくみ 東洋経済新報社』

瞑想と幸福感

・70年代初めに生理学者ロバート・キース・ウォレスが行った研究によると、瞑想が血圧の正常化、不安の緩和、免疫機能の向上などをもたらし、身体や心の健康に非常に有益であることが明らかになった。
・瞑想はストレスに効くだけではなく、脳の中の幸福感や思いやりを司る部分を活性化して、人を幸せへと導いてくれる。
・カリフォルニア大学のポール・エクマンが行った仏教僧を対象とした実験では、僧侶たちの扁桃(アドレナリンのスイッチ)は瞑想中にオフの状態になっていることが分かった。
・瞑想では、熟練した僧ほど脳の左前頭葉前部の機能が、右前頭葉前部より活発になっていたが、これは幸福感や思いやりなどポジティブな感情が、不安や憂うつなどネガティブな感情より大きくなったことを示している。
・リチャード・デビッドソンの実験では、瞑想は始めて3ヶ月、1日20分から30分しか瞑想をしていない人でも、脳機能に幸福感の高まりを示す大きな変化が見られた。
 
※参考資料『マーシー・シャイモフ(2008)「脳にいいこと」だけをやりなさい! 三笠書房』

ネットニュースによる関連情報

●幸福感、抑うつ、神経質と遺伝との関連
 
・298,420名のゲノムを解析し、幸福感、抑うつ、神経質に影響を与える遺伝子変異を同定した。
・研究チームは、主観的な幸福感に関与する3つの遺伝子変異を発見した。
 また、抑うつ症状に関与する2つの遺伝子変異と神経質に関与する11の遺伝子変異をみつけた。また、主観的幸福感、神経質、抑うつが主として同じ遺伝子セットによって影響されることを発見したという。
・研究者は、"抑うつ症状や神経質に関連する遺伝子変異の大部分が主観的幸福感にもリンクすること、逆も真であることを発見した。
・一方、研究者は"抑うつや神経質の症状が現れるかどうかは、遺伝子変異だけでは決まらない。心理学的な幸福感は、遺伝と環境の両方に影響を受ける。我々が見つけた遺伝子変異は、これら遺伝的影響の小さな部分に過ぎない。"とも述べている。

 

●人生の楽しみが多い高齢者は死亡リスクが低い?
 
・高齢者イギリス縦断的研究(ELSA)に参加していた50歳以上(平均年齢63歳)の9,365人の男女を対象。
・"楽しさ"についての4つの質問それぞれに対し、("決して","まれに")、("ふつう","しばしば")と回答した者は、それぞれ、"0"、"1"とスコア化した。4つの質問の回答の合計点で、0から2のスコアは"人生の楽しみがない"、3から4のスコアは"人生の楽しみが多い"と分類された。結果に影響を及ぼす可能性のある要因、例えば、富、教育歴、健康問題有り、抑うつ気分などで、調整した。
・その結果、女性、結婚している、同居している、高学歴、裕福、若年、現在雇用中で、"人生の楽しみが多い"と報告した回数が大きかった。
 追跡調査期間中、1,310人の死亡が認められた。"人生の楽しみが多い"という報告がより少ない者で、死亡率がより高まるという、段階的な効果が見られた。例えば、全死因死亡リスクは、"人生の楽しみがない"群と比して、"人生の楽しみが多い"を2回報告した者で17パーセント減少、3回報告した者で24パーセント減少した。
・研究者らは、この関連は、重病が楽しみの欠如につながり、さらに死亡リスクを高めるという、逆の因果関係によるバイアスの可能性があると指摘している。

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