座位の弊害、スタンディングデスク

長時間に座りっぱなしでいることの弊害、スタンディングデスクの情報についてメモ書きしています。

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. 長時間の座位による悪影響
  2. 多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス
  3. ネットニュースによる関連情報

長時間の座位による悪影響

・テルアビブ大学、MRIで筋肉組織を分析
長時間座り続けている人は細胞を圧迫され、通常より50%も多くお尻に脂肪を蓄えていることが分かった。
→体の特定部分に長時間負荷がかかると脂肪組織が増殖。
 
・続けて何時間も座ると血糖値とインスリン分泌量が危険な水準に跳ね上がる。
→定期的に休憩して体を動かすようにする。
 
・座った途端、まず足の筋肉で電気的活動がストップ。消費カロリーは1分あたり1kcalへ低下し、脂肪燃焼を促す酵素の生産が90%減少する。
 2時間座ると、善玉コレステロールが20%減少する。
・座り仕事の人は立ち仕事の人と比べて心血管疾患の発生リスクが2倍になる。
・時々立ち上がってストレッチするなどできる限り体を動かすことを推奨。
 
※参考資料『トム・ラス(2015)座らない! 新潮社』

 

・長時間座り続けることは、タバコを吸ったり日光に当たりすぎたりするのと同じくらい、健康にとって危険。
 
・一日2時間運動をしても、"座っているか寝ているかで過ごす22時間"を相殺することはできない。
 
・座っていること自体は問題ではなく、座っていることがもたらす生物学的影響が問題。運動が代謝を変化させ、体のシステムにプラスの効果を及ぼすように、長く座って過ごすこともまた代謝を変化させ、マイナスの影響を及ぼす。
 その他の時間の身体活動の量とは関係なく、長く座って過ごすことは、代謝を変化させ、中性脂肪、コレステロール、血糖、安静時血圧、食欲ホルモンのレプチンに大きく影響し、肥満、冠動脈疾患、その他の慢性疾患を引き起こす。
 
・テレビやコンピューターの前に座って1日4時間以上過ごすと、心疾患で死亡したり入院したりするリスクが2倍以上になる。しかも長時間に及ぶ不活動の悪影響を、運動によって相殺することはできなかった。炎症の指標であるC反応性タンパク質の血中濃度が2倍高かった。
 
・心肺能力(CRF)が低い人は、肥満、糖尿病、高コレステロールの人より死亡率が高く、喫煙者をしのぐほど。
 
※参考資料『デイビッド・B.エイガス(2013)ジエンド・オブ・イルネス 日経BP社』

 

・座りっぱなしでいると代謝が変化する。
 体内にあるリパーゼという酵素は筋肉が脂肪を吸収するのを助けているが、座っているときはリパーゼが分泌されない。すると脂肪は体脂肪として蓄積されたり、動脈をつまらせたりするようになる。
 
・サウスカロライナ大学とペニントン・バイオメディカル研究センターが行った研究では、心臓に問題がある男性のうち、1週間に23時間以上座っている人と11時間未満の人を比較すると、致命的な心疾患にかかる確率は前者のほうが64%高かった。
 
※参考資料『A.J.ジェイコブズ(2013)健康男 日経BP社』

 

●2015年9月、ロンドン大学とリーズ大学の研究報告
 
・英国の37~78歳までの女性12,778を対象として、"1日の平均座位時間"、"貧乏ゆすりの程度"、"食事・喫煙・飲酒などの生活習慣"、"教育程度や就労の有無"などのライフスタイルの情報を入手し、平均12年間の追跡調査。貧乏ゆすりの程度は"まったくしない"のレベル1から"常にする"の10までの10段階評価。
 
・1日7時間以上座っていて、貧乏ゆすりがレベル1~2の女性は、座っている時間が1日5時間未満の女性よりも死亡リスクが30%アップ。
 
・座っている時間が7時間でも貧乏ゆすりがレベル3~4(ある程度行う)だと死亡リスクが25%低下し、貧乏ゆすりがレベル5以上(頻繁に行う)だと24%低下した。
 
・貧乏ゆすりのレベル5以上で座位時間が5~6時間だと死亡リスクが37%も低下した。
 
・貧乏ゆすりをする女性はBMI、グルコース、インスリン反応などの健康数値が良かった。
 
・貧乏ゆすりによって、身体のエネルギー消費量が高くなる、脚の血液循環が良くなる、と考えられている。
 
※参考資料『松井宏夫(2016)長生きできる人とできない人の習慣 日刊スポーツ連載』

 

●長時間の座位による疲労
 
・血管が圧迫され、血流が滞る。リンパの流れも悪くなる。
→疲労物質が滞り、疲労感が強くなる。
 
・歩くと脚の筋肉には"ミルキング・アクション"と呼ぶ牛の乳搾りに例えられる動きが起き、血流が促進される。
 血液を心臓へ戻す静脈には、竹の節のように一定間隔ごとに弁がついている。筋肉が収縮して静脈を圧迫すると弁が開き、血液が下から上へと送り出される。そして筋肉が弛緩すると弁が閉じ、血液の逆流を防いでくれる。この繰り返しにより、バケツリレーのように下半身を巡っている血液は少しずつ心臓へ戻る。
 この"ミルキング・アクション"が正しく機能していれば、疲労物質である疲労因子(FF、ファティーグ・ファクター)の代謝もスムーズに進むので、疲労が必要以上に溜まらない。
 
※参考資料『梶本修身(2016)すべての疲労は脳が原因 集英社』
※参考資料『梶本修身(2016)すべての疲労は脳が原因 2 集英社』

 

●座位の弊害
 
○ミズーリ大学コロンビア校のマーク・ハミルトンの研究
・長時間座り続けていると、筋肉の収縮がなくなって、リポタンパク質リパーゼ(LPL)という脂肪燃焼に関わる酵素が働かなくなり、新陳代謝が悪くなる。
→その結果、肥満や糖尿病のリスクが高まる。
・何時間も座り続けるのではなく、途中で立ち上がり散歩等をし、足や背中の筋肉を動かせば、脂肪燃焼効果が再び得られるらしい。
→目安として、30分ごとに立ち上がり、2分ぐらい歩く。
 
※参考資料『石川善樹(2016)疲れない脳をつくる生活習慣 プレジデント社』

多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス

※多目的コホート研究(JPHC Study)とは?

●職業性座位時間と死亡との関連
 
・近年、様々な研究により、テレビを見る、パソコンをする等の"座って行う行動(座位行動)"の時間が長いと、普段適度に運動をしていても、肥満、動脈硬化性疾患のリスクになることが報告されている。
 しかし、これまでの先行研究では、"余暇時間"の座位行動についてのみ検討され、"仕事中"の座位時間については、ほとんど検討されていない。
 そこで本研究では、仕事中の座位時間と、死亡との関連を検討した。
 
○結果
・喫煙、飲酒、余暇時間中の身体活動、仕事中の身体活動、高血圧や糖尿病の影響を考慮して解析した結果、農業等の第1次産業従事者では、短座位時間群に比べ、長座位時間群のほうが、男性では1.23倍死亡率が高くなり、女性では1.34倍高くなる傾向にあることがわかった。
 このことから、第1次産業においては、仕事中の座位時間が長いことにより死亡のリスクが高まる可能性が示された。
・第二次産業と第三次産業従事者の間では、同様の関連はみられなかった。

ネットニュースによる関連情報

●座りすぎで病気のリスク増大
 
・座っている時間が11時間以上の人は4時間未満の人と比べて死亡リスクが40%高かった。
 
・長時間座りっぱなしで足の筋肉を動かさないと、足の筋肉の細胞の代謝機能が落ちたり、血流が悪くなる。
 
①代謝機能が悪化
糖の取り込みを促進する"グルコース輸送体"や脂肪の分解を促進する"リポタンパク質リパーゼ"の働きが悪くなり、血液中の糖や中性脂肪が取り込まれなくなってしまう。
 
②血流
血流が悪化し、血液がドロドロになる。

 

●長時間の座位の後、ウォーキングで血管機能障害が改善
 
・6時間の座位によって血流量は大きく低下したが、その後10分間の、自己のペースによる歩行運動の結果、血管機能と血流量は回復した。

 

●長時間の座位自体は健康に悪くない?
 
・家庭であれ職場であれ座位の時間と死亡リスクの上昇には関連がみられないことを発見。
・座っている時間それ自体というよりは、動かないことが問題。座っていても立っていても動かなければエネルギー消費は少なく、健康には有害。スタンディングデスクは効果がない?。

 

●座位行動の増加は不安のリスクを増加?
 
・座位行動と"不安"について特に検討した9件の先行研究を分析したところ、5件において座位行動の増加は不安のリスクを増加させることが指摘されていることが明らかになった。残り4件では、総座位時間が不安のリスクに関連していた。
・研究チームは、座位行動と不安の間のリンクは、睡眠パターンの妨害、引きこもりがちな生活、代謝的な健康状態の悪化などによるものではないかと示唆している。

 

●スタンディングデスクで児童のやる気も向上?
 
・通常の椅子付き机を使用した小学生に比べてより注意力が高まり、教室での課題従事行動が12%高まった。
 身体活動の増加が、たとえ低いレベルのものであっても認知能力に有益な効果をもたらすことが示唆される。

 

●運動による効果は長い座位時間による悪影響を勝る?
 
・座業中心時間が長くなることは収縮期血圧が優位に高いこと、さらに総コレステロール、中性脂肪が高いことと、HDLが低いことに関連した。さらにBMIが高いこと、腹部周囲径が大きい事、体脂肪率が高いこととも関連していた。
 しかしながら、フィットネスレベルを考慮に入れて数値を補正すると、座業中心時間が長くなることは中性脂質/HDLの比率が高くなること(この数値はインスリン抵抗性の基準となり得る)だけにしか、有意な相関性は見られなかった。また、座業中心時間はメタボリックシンドロームとは関連していなかった。

 

●1時間ごとに5分歩けば、長時間の座位による悪影響を回避できる?
 
・3時間の座位を行っていると、足の主な動脈の流量依存性拡張、または動脈の血流の増加の結果による動脈の拡張が、わずか1時間後には50%も損なわれることが明らかになった。
 しかし1時間座るごとに5分間の歩行を行った参加者の動脈機能は同じままであった。3時間の研究時間中、機能が低下することはなかった。

 

●運動していても座位時間が長いと心肺フィットネスに悪影響
 
・座位行動は、運動とは独立に、心肺フィットネスの重要なリスク因子であることが示唆された。6時間の座位行動がフィットネスレベルに与える負の影響は、1時間の運動が与える正の影響と等価であった。
・研究チームはまた、座位の状態にあるときには、頻繁に姿勢を変える、立ち上がって背伸びをする、電話をする、貧乏ゆすりなど、どのような動作であってもとにかく体を動かすことがフィットネスを維持するコツであることを発見した。

 

●座位時間が長いとがんのリスク増加
 
・座りがちな生活が最高レベルの人は、最低レベルの人に比べ、身体活動とは無関係に大腸・子宮内膜・肺の3タイプのがんのリスクが有意に高かった。
・座る時間が2時間増えるごとに、大腸がんは8%、子宮内膜がんは10%、肺がんは6%増加した。

 

●運動していても座位時間が長いと死亡リスクが増加?
 
・座業中心行動は糖尿病、心疾患、インスリン感受性の低下、総死亡リスクの増加に関連している可能性がある。
・中~高強度の運動をしっかりと行ったとしても、座業中心時間が延びる事による悪影響を相殺することはできないようだということもわかった。

 

●座位時間と糖尿病発症の関連性
 
・ロンドンのオフィスワーカーで、調査開始時点に糖尿病や主要心血管疾患がなかった中高年4811人を対象として、長期的な健康調査からの回答を分析した。
・その結果、座位行動と糖尿病の関連性についての根拠はわずかなもので、それはテレビのための座位時間に限られていた。
・今回得られた知見は、座位行動に害がないとするものではないが、長時間の座位行動の健康上のリスクに関しては、これまで認識されていたものに比べ、関連がないことを示唆している。

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