心臓病と慢性腎疾患

心臓と腎臓は双子の臓器とも言われていて、慢性腎疾患の原因は腎炎を除くと心臓病の発症原因と重なっています。そして、日本人の10人に1人が慢性腎臓病と言われているそうです。

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. 腎臓の概要
  2. 腎臓の働き
  3. 慢性腎臓病(CKD)とは?
  4. 慢性腎臓病(CKD)と循環器病のかかわり
  5. 慢性腎臓病(CKD)にならないために

腎臓の概要

・腎臓は背中側の腰骨の上のあたり、腸の後ろに左右に1個ずつあり、形はソラマメ型で、大きさは縦10~12cm、横5~6cm、左腎のほうが右腎と比べて少し高い位置にある。
・腎臓は血液量の最も多い臓器で、全身の臓器で作られた老廃物を尿に捨て、きれいになった血液を心臓に戻すという大切な役割を担っている。

腎臓の働き

・身体で作られた老廃物をろ過して、尿として排泄する。
・体内の水分量や電解質の調整。
・ホルモンを出す内分泌器官として働く。
①ビタミンDを活性化し、カルシウムが骨に吸収されるのを助ける。
②血圧の維持に重要なレニンの生産と分泌を行う。
③骨髄で作られる赤血球の生産を刺激するホルモン(エリスロポエチン)の生産と分泌を行う。

慢性腎臓病(CKD)とは?

・CKDの原因としては、糖尿病、慢性腎炎、高血圧が代表的。
・CKDの定義では、尿蛋白の有無が重要。

慢性腎臓病(CKD)と循環器病のかかわり

・腎機能の低下に伴い、循環器病による入院や死亡が増加する。
つまり、CKDは循環器病(心臓病、脳卒中、高血圧に代表されるように、血液の循環の異常が原因で起こる諸臓器の病気)などの予後を規定する因子という事。
 
・循環器病の患者の腎臓はそうでない人と比べて、障害の程度がひどい。
 心筋梗塞や脳卒中、大動脈瘤の患者では、腎動脈が狭窄する事もあり、腎臓自体にも動脈硬化や糸球体硬化・尿細管萎縮などの障害がおこる事がある。
 その結果、蛋白尿を認め、腎機能が悪化する。
 
・腎臓病と循環器病は互いに影響し合って悪化させている悪循環の関係にあるが、その原因としては、互いを悪化させる因子に共通したものが見受けられるため。
 例えば、高齢、糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙などは共通した悪化因子。
 
・循環器病による全身の循環不全や、検査の為の造影剤の使用は、腎機能を悪化させる可能性がある。
 
・腎臓病によって老廃物が蓄積し、カルシウム・リン代謝に異常を来すと、動脈硬化や血管石灰化が進展する。
 同様に高血圧のコントロールが悪化すると、心血管への負担が増大し、心肥大・動脈硬化を進展させる。
 

・腎臓の機能を表す尺度に"糸球体濾過量"があるが、これは年齢とともに低下していく。
・メタボの人は慢性腎臓病になる確率が2倍になる。
・慢性腎臓病の人は、心不全や脳卒中になる確率も高くなる。
 
※参考資料『伊藤裕(2011)腸!いい話 朝日新聞出版』

慢性腎臓病(CKD)にならないために

・CKDの予防には、早期発見が大切。
 
・腎臓は肝臓と同じように予備能力が大きな臓器のため、病状がかなり悪化しないと自覚症状はあらわれない。
 むくみ、尿の変化(量の増減、泡立つなど)、体がだるい、貧血、食欲がない、吐き気があるなどの症状が認められた場合には、すぐに病院で検査を受ける必要がある。
 また、高血圧や糖尿病の程度も重要なので、定期的な血圧測定や血液検査(血糖値、ヘモグロビンA1cなど)を行う事が大切。


※参考情報
慢性腎臓病 | 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス

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