熱ショックタンパク質(HSP)と免疫

熱ショックタンパク質(HSP)と免疫の関係についてメモ書きしています。

・HSPは細胞を保護したり、分子シャペロンとして働いたり、炎症を抑えたりするなどの細胞内の働きだけでなく、細胞外でも働いている。
→HSPの一部は細胞の外へ排出され免疫系を活性化したり、炎症を起こしたり、傷や潰瘍の修復を促進したりする。
 
・ストレス時に産生されたHSPは、最初は細胞内で変性したタンパク質を再生し細胞を保護するなど、その細胞を何とか維持しようとする。
 ある程度維持できた場合、過剰な炎症が起こらないように炎症を抑える。
 
・ストレスによる傷害が強く細胞死や組織傷害が起こってしまった場合には、細胞内のHSPを細胞外へ放出し免疫や炎症を活性化する事により、侵入した細菌などを殺すとともに、傷害された組織の治癒を促進する。
 その後、ある程度状況が改善すると、今度は増産されたHSPが再び細胞内で働き、過剰な炎症を抑え通常の状態に戻す。
 
・ウィルスが感染した細胞やDNAが変化してしまった細胞など弱った細胞は、HSPを細胞表面に出したり、HSPを放出したりして、体全体に悪影響を与えてしまう状況にあることを知らせている。
 このHSPは自然免疫を活性化し、外部から侵入した細菌と同じように自らを除去させている。
 自分がピンチな状態にあることをストレスによって増えるHSPを目印にして伝えている。
 
・HSPはストレスに対して細胞を強くしているだけでなく、ストレス時に起こる様々な反応(炎症、修復、弱った細胞の除去など)が協調して行われるように調節している。
 
※参考資料『水島徹(2012)HSPと分子シャペロン 講談社』

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