睡眠不足で慢性疾患のリスク増大?

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  1. 睡眠不足の死亡率との関連
  2. 睡眠不足と食欲、肥満、糖尿病との関連
  3. 睡眠不足と高血圧との関連
  4. 睡眠不足とがんとの関連
  5. 睡眠不足と認知症との関連
  6. 睡眠不足とうつ病との関連
  7. 睡眠時間と寿命
  8. 必要な睡眠時間

睡眠不足の死亡率との関連

・大量のデータを基にした調査で関係性を指摘されているものとして、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、がん、うつ病などがある。
・不眠症になると糖尿病のリスクが1.5倍になると言われている。
 
※参考資料『三島和夫,川端裕人(2014)8時間睡眠のウソ。 日経BPマーケティング』

 

○2003年のピッツバーグ大学のメアリー・デュー博士らの研究報告
 
・平均年齢75歳の米国人のグループを約19年間追跡調査。
・寝付くまでに30分以上かかる人や熟睡感を得られない人の余命が短かかった。
 
※参考文献
Healthy older adults' sleep predicts all-cause mortality at 4 to 19 years of follow-up.

 

○アメリカ、"ライフスタイルと疾患との関係を分析する追跡調査(HPFS)"
 
・不眠症と申告した約23,500人を04~10年までの6年間追跡調査。
・入眠障害と非回復性睡眠(NRS:睡眠を取っているはずなのに疲れが取れない)の男性たちは、それ以外の不眠症の男性よりも死亡率が高かった。とりわけ心疾患での死亡率は約30~55%もアップしていた。
 
※参考文献
Association between insomnia symptoms and mortality: a prospective study of U.S. men.

 

○2016年1月、トロント大学の研究
 
・315人の死亡した高齢者を解剖して脳の状態を調べた。
・睡眠途中で目覚める回数の多い人は脳の動脈硬化が進んでいた。
 
※参考文献
Sleep Fragmentation, Cerebral Arteriolosclerosis, and Brain Infarct Pathology in Community-Dwelling Older People.

 

○米国アリゾナ大学の研究グループの研究報告
 
・気道閉塞性疾患のツーソン疫学研究から慢性不眠症の成人患者1,409人を対象に検討。
・研究は1972年に開始され、1996年までの間に数回の追跡調査が行なわれ、死亡率については2011年までの38年間追跡した。
・血液を採取し、血清サンプルは1972年をベースラインに、その後複数の時点で凍結保存した。
・睡眠と関連する習慣についての質問は、1984-1985年と1990-1992年の間に行われた2回の追跡調査時に行った。慢性の不眠症については、1984-1985年および、1990-1992年の調査において、2回とも不眠症の場合は慢性の不眠症、どちらかだけ不眠症の場合は断続的な不眠症、どちらも不眠症で無かった場合は不眠症でないと評価した。
 
・その結果、年齢、性別、体重、喫煙、睡眠薬および身体活動などの交絡因子の調整後、慢性の不眠症の人の死亡リスクは、不眠症でない人に比べて58%高く、死亡原因としてはがんより心血管疾患が多かった。
 断続的な不眠症の人も不眠症でない人より死亡率が高くなっていたが、BMIや喫煙、定期的な運動、その他の因子など交絡因子を調整するとその差は見られなくなった。
・慢性の不眠症の人では死亡率の独立した危険因子であるC反応タンパク質(CRP)の血清レベルが、有意に上昇していた。ハザード比が1.36とCRPはそれだけで独立して死亡リスクを高めたが、CRPの値で調整しても慢性の不眠と死亡率の関係に特段の変化は見られなかった。
 
※C反応タンパク
体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに血中に現れるタンパク質。
 
※参考文献
Persistent insomnia is associated with mortality risk.

睡眠不足と食欲、肥満、糖尿病との関連

・睡眠不足でホルモンが影響を受け、過食傾向になる。
男性の場合、食欲を刺激するホルモンであるグレリンの値を引き上げる。
女性の場合、食欲を抑えるホルモンGLP-1の量が影響される。
 
・睡眠不足によってレプチンが急に減少する。
 人は満腹になると、脂肪細胞がレプチンを放出し、脳に食べるのをやめるように伝える。
レプチンの濃度が低い人は過食しがち。
 
※参考資料『デイビッド・パールマター(2015)「いつものパン」があなたを殺す  三笠書房』

 

・睡眠は食べすぎを防ぐホルモン"レプチン"の分泌を増やす一方、食欲を刺激するホルモン"グレリン"の分泌を減らす。
→睡眠不足に陥ると空腹感を覚えるうえに、高カロリー・高炭水化物の飲食物を欲するようになる。
 
※参考資料『トム・ラス(2015)座らない! 新潮社』

 

・睡眠は、人為的に操ることのできないホルモンのリズムを制御している。ホルモンを分泌し、調整するには、規則正しい睡眠と覚醒が必要。
 
・睡眠が不足するとグレリンとレプチンの分泌が乱れる。二晩にわたって4時間しか眠らないと、レプチンは20%減少し、グレリンが増える。空腹感と食欲が著しく高まり、甘いものや塩辛いスナック菓子、でんぷん質の食物といった、高カロリー、高炭水化物の食品を食べたくなる。
 
・ニューヨークのコロンビア大学で行われた研究では、一晩に2~4時間しか眠らない人は6~9時間眠る人と比べて肥満になる確率が73%高かった。5時間は50%、6時間は23%高かった。
 睡眠時間が短いということは、より長く起きているということであり、食べ物に誘惑される時間、空腹を覚える時間も長くなる。起きている時間の活動量が少ないと摂取するカロリーの方が多くなってしまう。
 
※参考資料『デイビッド・B.エイガス(2013)ジエンド・オブ・イルネス 日経BP社』

 

●寝不足と肥満
 
・寝不足、寝すぎの人はBMIが高い傾向がある。
 
○睡眠時間の短さと肥満の関係
・同じ人の睡眠時間を9時間、7時間、4時間などにして調べてみると、睡眠時間が短いほど食欲を増すホルモンの分泌が増えると同時に、食欲を抑えるホルモンも低下することが分かっている。
 
※参考資料『三島和夫,川端裕人(2014)8時間睡眠のウソ。 日経BPマーケティング』

 

・睡眠が4時間くらいに制限されるとレプチンレベルが下がり、食欲を増すグレリンを増加させる。
 レプチンは食欲と体重を調整したり、体内にどれくらいのエネルギーがあるかを脳に教えたりするだけでなく、多くの動物、特にげっ歯類では生殖にも影響する。
 
・レプチンとグレリンの変化と睡眠や摂食との関連は、初期の祖先は、日が長く食物が豊富な夏の間はたくさん食べて脂肪をため込むので、一年のうちそのころはきっと眠りが短かった?
収穫の少ない暗い冬に備える生き残りのためのメカニズムであって、冬には体脂肪に頼り、夏より長く眠った?
 
※参考資料『ジム・ホーン(2011)眠りの科学への旅 化学同人』

 

・睡眠の過不足は肥満になりやすく、糖尿病の発症リスクが増大する。
・睡眠時間7~8時間を1としたとき、5時間未満になると糖尿病の発症リスクが2.5倍、6時間で1.7倍、9時間以上で1.8倍。
 
※参考資料『森下竜一,桐山秀樹(2015)アルツハイマーは脳の糖尿病だった 青春出版社』

 

○オランダ・アムステルダム自由大学医療センターの研究報告
 
・ヨーロッパ14か国に住む30~60歳の健康な成人788人を対象に、加速度計を用いて睡眠時間と身体活動を測定。
・糖尿病のリスク評価には、高インスリン正常血糖クランプ法とよばれる検査法を用い、血糖の処理にどのくらいのインスリンを要するかを調べた。
 
・その結果、平均的睡眠時間(7時間)の男性に比べ、最も睡眠時間の短い群または長い群の男性は、血糖処理能力が劣ること、そして血糖値が高いことが明らかになった。
 しかし女性においては、平均より睡眠時間の短い人はインスリンへの感受性が高く、β細胞(膵臓内でインスリンを産生する細胞)の機能も増強していた。
・男性では、寝すぎまたは寝なさすぎることは身体のインスリンへの反応を鈍くすることに関係し、これはグルコースの取り込みを減らし、将来的に糖尿尿リスクを増すことになると考えられる。
 一方、女性では睡眠時間の少なさが糖尿病リスクにはならないことを示唆している。
 
※参考文献
The Association Between Sleep Duration, Insulin Sensitivity, and β-Cell Function: The EGIR-RISC Study

 

○米国シカゴ大学医療センターの研究報告
 
・18-30歳の19名の健康な男性を対象。
・参加者は、ランダムな順番で二つの睡眠シナリオを実行。
①4日連続で8.5時間の就寝(平均7.8時間睡眠)
②4日間連続で4.5時間の就寝(平均4.3時間睡眠)
・血液は15分または30分間隔で4時間採取され、血液中の遊離脂肪酸、成長ホルモン、グルコース、インスリン、ノルアドレナリンとコルチゾールが測定された。
・4日間の実験終了後に静脈耐糖能試験が実施された。
 
・データ解析の結果、睡眠制限によって深夜と早朝の遊離脂肪酸濃度が15-30%上昇することを発見した。
 夜間(午前4時-6時ごろ)の脂肪酸の上昇は、続く約5時間のインスリン抵抗性の上昇(前糖尿病状態の指標)と相関していた。
・睡眠制限が夜間の成長ホルモンの分泌を促し、また血中ノルアドレナリン値を高め、それらが遊離脂肪酸の上昇に寄与しているようだという。
 グルコース濃度は変化しなかったが、インスリン感受性は睡眠制限で約23%低下しており、これはインスリン抵抗性が発現している状態であるという。
・血漿中の遊離脂肪酸は大部分の体組織にとって重要なエネルギー源だが、コンスタントに高まった血中の脂肪酸濃度は肥満者や2型糖尿病、心血管疾患患者においてしばしば観察されるものであり、2012年の関連研究においては、睡眠不足とエネルギー制御におけるヒト脂肪細胞機能の障害の関係が指摘されていた。
 
※参考文献
Sleep restriction increases free fatty acids in healthy men

睡眠不足と高血圧との関連

・不眠になると自律神経が高ぶり、血圧が上がる。なかでも夜間高血圧が著しく、心臓病や脳卒中が起こりやすくなる。
 
※参考資料『大塚邦明(2014)眠りと体内時計を科学する 春秋社』

 

○米国メイヨークリニックの研究報告
 
・普通体重の8人(19-36歳)を対象とし、順応期間を4日間おいた後に続けて、制限睡眠(夜間に4時間の睡眠)または普通睡眠(夜間に8時間の睡眠)のどちらかを9日間、さらに続けて回復期間が3日間の合計16日間のプログラムを実施した。
・血圧は各試験段階で、24時間モニタリングによって測定した。
 
・その結果、夜間の制限睡眠群と普通睡眠群とを比較すると、収縮期血圧/拡張期血圧は、それぞれ、平均115/64mmHgと平均105/57mmHgであった。
 制限睡眠群では期待される夜間の血圧低下が抑えられていた。また、夜間の心拍数が普通睡眠群より、制限睡眠群でより高かったことがわかった。
 
※参考文献
Prolonged Shortened Sleep Increases Blood Pressure at Night

 

○中国の西中国病院と米国ペンシルバニア州立大学(PSU)による研究
 
・219名の慢性不眠症患者と96名の通常に睡眠できる人を対象。
・平均年齢は40才で、60%以上が女性。
・半年以上睡眠が困難な場合を慢性不眠症と定義した。
・参加者はスリープラボで観察されながら1夜を過ごし、翌日睡眠潜時反復検査(MSLT)を取った。観察は、2時間間隔をあけ、20分の昼寝を午前9時・午前11時・午後1時・午後3時の4回に渡り行った。半分の参加者が、眠りに落ちるまでにかかった時間が14分未満であったが、残りの半分は14分以上かかった。
・高血圧は、血圧を測定もしくは医師の診断に基づくもので、肥満・睡眠時無呼吸・糖尿病・喫煙・アルコール・カフェインの使用などの交絡因子は調整した。
 
・その結果、MSLTスコアが14分以上である慢性不眠症は、高血圧の見込みが300%増加した。さらに17分より長いMSLTスコアであれば、400%に増加した。
・これまで、不眠症は夜間の睡眠障害として認識されているが、24時間の過覚醒の状態だと示唆する研究もある。
 生物学的に重症なタイプの不眠症は、24時間過覚醒と高血圧症のような重い心血管代謝の症状と関連している。
・"不眠症の人は日中の疲労感を訴えるが、問題はリラックスすることができず、興奮した状態であることだ。昼寝・カフェインの使用などの方法が不眠症の人には使えない。"と研究者は述べている。
 
※参考文献
Insomnia with physiological hyperarousal is associated with hypertension.

睡眠不足とがんとの関連

○東北大学の研究
 
・男女それぞれ2万人以上についての7年以上の追跡テスト。
 
・7~8時間睡眠をとった人と、6時間以下で睡眠負債が溜まっていた考えられる人を比較すると、男性では前立腺がんの罹患リスクが1.38倍、女性では乳がんの罹患リスクが1.67倍となっていた。
 
※参考資料
・睡眠時間と前立腺がん罹患リスク:大崎国保コホート研究 | 社会医学講座公衆衛生学分野Sleep duration and the risk of prostate cancer: the Ohsaki Cohort Study.
 
・睡眠時間と乳がん罹患リスク:大崎国保コホート研究 | 社会医学講座公衆衛生学分野Sleep duration and the risk of breast cancer: the Ohsaki Cohort Study.

睡眠不足と認知症との関連

・βアミロイドの量は、睡眠中に減り、覚醒時に増える。
 
※参考資料『森下竜一,桐山秀樹(2015)アルツハイマーは脳の糖尿病だった 青春出版社』

 

・マウスでは、眠りを断つとアルツハイマー病の原因であるアミロイドβというタンパク質が海馬に蓄積する。
 アミロイドβは一般に覚醒時に脳内で蓄積し、睡眠時に少なくなる。
 
※参考資料『櫻井武(2010)睡眠の科学 講談社』

 

○ハワイ大学による研究
 
・平均年齢84才の日系アメリカ人男性167名の自宅で、睡眠テストを行い、死亡するまで平均6年間追跡調査。
・死亡後、マイクロ梗塞・脳細胞の損傷・アルツハイマー病およびレビー小体認知症に見られるレビー小体に関連したプラークや原線維塊があるか確認するため、脳の解剖を行った。
・睡眠中の血中酸素レベルが通常よりも低い時間の割合により、参加者を4グループに分けた。睡眠中の時間の13%未満が低酸素レベルであったグループが最低グループ、同様に72-99%を最高グループとしている。
 
・その結果、最低グループの41人中4人に脳内のマイクロ梗塞があり、最高グループでは42人中14人以上が認められ、脳損傷がある可能性がほぼ4倍であった。
・睡眠時無呼吸時や、肺気腫などの症状により睡眠中の血液に酸素があまりない人は、血中酸素レベルが高い人よりも、マイクロ梗塞と呼ばれる脳組織の小さな異常がある可能性が高いことが明らかとなった。これらの異常は、認知症の発症に関連している。
・徐波睡眠に費やされた時間に基づいて再度参加者を4群に分けた。徐波睡眠時間が最も多かった38人中7人に比べ、徐波睡眠時間が最も少なかった37人中17人に、脳細胞の損失が見られた。
・徐波睡眠は、新たな記憶を処理し、事実を覚える際に重要である。ヒトは、年を取るにつれ徐波睡眠の時間が少なくなる傾向にある。脳細胞の損失は、アルツハイマー病及び認知症と関連している。
・本結果は、喫煙やBMIなどの要因を調整後も、追跡期間の初期に死亡した参加者や研究開始時に認知テストスコアが低かった参加者を除外した後も同じであった。
 
※参考文献
Associations of brain lesions at autopsy with polysomnography features before death.

睡眠不足とうつ病との関連

・不眠とうつは相関が高いので早期発見の糸口として捉えられている。
過去の多数の調査をまとめると、慢性不眠はうつ病の発症リスクを2~3倍、平均で2.1倍に上昇させることが分かっている。
 
※参考資料『三島和夫,川端裕人(2014)8時間睡眠のウソ。 日経BPマーケティング』

 

・数倍の頻度でうつ病などの精神疾患を引き起こす。
 
※参考資料『大塚邦明(2014)眠りと体内時計を科学する 春秋社』

睡眠時間と寿命

・100万人以上を対象としたアメリカのデータでは、一般的に睡眠時間が7時間台の人がいちばん長生きであることが分かっている。
 
・睡眠不足が影響する糖尿病や高血圧、うつ病などの有病率に関する多くの疫学調査でも、7、8時間前後の睡眠で最低になる。
 上記は、特定の睡眠時間の人を長期に追跡調査したものではなく、あくまで調査時点での睡眠時間と有病率の関係を見た集団の平均値。
個人がどれぐらい眠ったらよいかというデータではないことに注意。
 
※参考資料『三島和夫,川端裕人(2014)8時間睡眠のウソ。 日経BPマーケティング』

 

・2002年に発表された研究結果では、8時間睡眠の人は、研究期間6年のうちに死亡する確率が12%高く、6~7時間睡眠の人のほうが長生きした。
・2002年に発表された別の研究でも、毎晩8時間以上の睡眠をとっていた人のうち脳卒中または一過性脳虚血性発作をきたしたのは14%であったが、一方、毎晩6時間の睡眠をとった人の中で脳卒中をきたしたのは6%以下であった。
 
※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』

必要な睡眠時間

●年齢ごとの平均睡眠時間
 
・実験室で脳波を測りつつ睡眠時間を観察したデータでは、平均睡眠時間は年齢とともに短くなっていて、15歳で平均睡眠時間は8時間を切り、70歳を超えると6時間を下回る。
 
○高齢者の睡眠の特徴
 
・深い睡眠が少ない(短い)。
・入眠後3時間たたずに中途覚醒し、中途覚醒を繰り返すという傾向がある。
・加齢とともに基礎代謝が落ち、エネルギー消費量が減少するので若い人より睡眠の必要性が減る?
・年齢とともに徐波睡眠の必要性も減る。
・睡眠効率(寝床にいる時間のうち、実際に眠っているか)も加齢とともに落ちる。中途覚醒などで床にいても眠っていない時間が増える。
 
※参考資料『三島和夫,川端裕人(2014)8時間睡眠のウソ。 日経BPマーケティング』

 

・多くの場合6~8時間。高齢者は5~6時間。
 
※参考資料『大塚邦明(2014)眠りと体内時計を科学する 春秋社』

 

・加齢に伴い少しずつ睡眠時間が短くなり、60歳では6時間になる。そして徐波睡眠が減少していき、74歳までに徐波睡眠が全くなくなってしまうことも多い。
 日中に肉体的活動と学習の機会が減少した事によってこの種の睡眠の必要性がなくなったのか、あるいはこのように大規模な脳の協調活動を維持する力がなくなったためなのかは、はっきりしていない。
 後者の場合、徐波睡眠の減少が原因で疲労がたまるうえ、記憶が固定されなくなって記憶力が低下する、と考えることもできる。
 徐波睡眠の割合が減るために、やがて神経に何らかの損傷が生じ、それが加齢に伴う神経変異につながるのかもしれない。
 
※参考資料『ペネロペ・ルイス(2015)眠っているとき、脳では凄いことが起きている インターシフト』

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