葉菜類の効用

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  1. キャベツ
  2. はくさい
  3. ほうれんそう
  4. こまつな
  5. しゅんぎく
  6. レタス
  7. サラダ菜
  8. にら
  9. 多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス


キャベツの効能の概要

・動物実験によって、腫瘍を壊死させる因子を体内で作り出すことが確認され、これが抗がん性につながるものと考えられている。
・動物実験の結果、白血球数を増加させる作用によって免疫力を増強することが確認されている。
・キャベツには特有のイオウに似た風味がある。この成分は含硫化合物の一種で、イソチオシアネートといい、免疫力向上による抗がん性が確認されている。
・ビタミンCの含有量は淡色野菜の中ではトップクラス。
ビタミンCは加熱に弱く、水に溶け、空気酸化で減少する。加熱はゆでるよりも蒸す、炒める方が損失は少ない。
・キャベツは利用法が多く、食べる量も多くできるので、ビタミンK、葉酸、カリウム、カルシウム、食物繊維などのよい供給源となる。
 
※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』

 

・胃潰瘍や十二指腸潰瘍の予防効果がある。
 
※参考資料『佐竹元吉(2016)機能性野菜の科学 日刊工業新聞社』

 

・低カロリーでビタミンCを多く含み、食物繊維が多い野菜。
・他のアブラナ科の野菜と同様の効能を持つ。
・色の違いにより異なった種類の抗がん成分グルコシノレートを含み、これが健康維持のために非常に重要な体内のデトックス酵素の効果を高める。
・難消化性の糖を含む。食べ過ぎるとお腹が張ったり、ガスがたまったりする。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

 

・キャベツの細胞が壊れることでできるイソチオシアネートという成分には、消化を助けるほか、胃の病気の原因となるピロリ菌などの殺菌効果やがんを予防する効果などもあるとされている。
・ビタミンCやビタミンUは水溶性で熱にも弱いので、効率よく摂るためには生食が一番。水にさらすとビタミンが流れ出てしまうので、切った後はさっと洗う程度にする。
 
※参考資料『名取貴光(2016)新・野菜の便利帳 健康編 高橋書店』

ビタミンU(キャベジン)

・ビタミンUは、キャベツの特異な生理作用として知られている抗腫瘍因子。
 
※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』

 

・キャベツに含まれるビタミンUには、胃壁の粘膜を丈夫にし、胃や十二指腸の潰瘍発生を抑制する作用がある。
 
※参考資料『佐竹元吉(2016)機能性野菜の科学 日刊工業新聞社』

 

・ビタミンU(キャベジン)は、胃腸の粘膜を再生したり、胃酸の分泌を抑える働きがある。
 
※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』

はくさいの効能の概要

・アブラナ科の野菜には、グルコシノレート類と呼ばれる抗がん作用のある生理機能成分が含まれていることから、がん予防が期待できる食べ物の上位にランクづけられている。
 はくさいについてはその含有量はそれほど多くはないが、食べる頻度や量からみると無視できないといえる。
・水分が95%と野菜の中でも多い方。その分、ほとんどの栄養成分の量が少ない。
・比較的多いものにカリウムがある。カリウムは水溶性なので、ゆでる・煮るなどによって汁のほうへ流出するが、75%は残る。
 
※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』

 

・イオウ成分のブラシニンは、生体ミネラルの一つで乳がんが体内でつくられるのを抑える効果が確認されている。
 
※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』

ほうれんそうの効能の概要

・カロテンが多く、にんじんやモロヘイヤには及ばないが、しゅんぎくとともに葉ものではトップクラス。
・動物実験では、ほうれんそうは腫瘍を壊死させる因子の産生力が大きく、また、白血球数を増加させる作用によって免疫力を増加させる作用が大きいと報告されている。
・野菜の中でも鉄が多く含まれている。野菜の鉄の吸収をよくするにはビタミンCを同時に食べるのが良い。ほうれんそうにもCがかなり含まれているので、ゆですぎや水さらしをしすぎないこと。
・カリウムが多く、ゆでても多く残るのでよい供給源となる。
・カロテン以外にもビタミンC、E、葉酸、K、B1、B2なども多く含まれている。
・シュウ酸というアクがあるが、ゆでて水洗いすることでほとんど除ける。
 
※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』

 

・ビタミンA、C、Kが豊富で鉄分、マグネシウム、マンガン、カルシウムなどのミネラルを含む。
・抗酸化作用のあるフラボノイドやカルテノイドである、β-カロテン、ルテイン、ゼアキサンチンに加え、エポキシキサントフィルを特徴的に含む。
 
※参考資料『ナショナルジオグラフィック別冊 2(2017)食材の科学 日経ナショナルジオグラフィック社』

 

・ルテインを豊富に含む。ルテインは、人間の目や皮膚等に存在し、特に目の多様な機能を調整するのに欠かせない成分で、体内で生成することができない。
 
※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』

 

・ほうれんそうのえぐみは、シュウ酸によるもの。シュウ酸にはカルシウムの吸収を妨げる働きがあるが、ゆでれば減らすことができる。ただし、アクが強いものを生食しても、通常の食事で摂る程度の量なら健康に害を及ぼす心配はない。
 
※参考資料『名取貴光(2016)新・野菜の便利帳 健康編 高橋書店』

こまつなの効能の概要

・ほうれんそうには及ばないがカロテンの含有量が豊富。
 カロテンは脂溶性なので、油を使う料理や脂肪の多い食材と一緒に食べると吸収がよくなる。胡麻和えやピーナッツ和えなどにすると炒めなくても吸収が良くなる。
 また、カロテンは軽く加熱するだけでも体内での吸収をよくすることができる。
・カルシウムが100g中に170mgとほうれん草の4倍含まれている。
・鉄はほうれん草の1.4倍と多く含まれている。
・カリウムも多く含むが、ゆでると溶け出すので、ゆですぎや水さらしは適度にする。
・ビタミンが豊富で、カロテン以外にビタミンK、葉酸、パントテン酸などが多い。
・アクが少なく味に癖がないので、下ゆでしなくても煮物や炒め物に利用できる。
 
※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』

しゅんぎくの効能の概要

・カロテンが豊富で、ほうれん草を上回る含有量。カロテンは油に溶ける性質があるので、油の多い食材との組合せで吸収がよくなる。加熱によっても吸収がよくなる。
・カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンE、K、B1、B2、葉酸が多く、食物繊維も多い。
 
※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』

 

・独特の香りを生み出しているのは、αピネン、ペリルアルデヒドなどで、食欲増進、胃もたれの解消、消化促進などの効果が期待できる。
 
※参考資料『名取貴光(2016)新・野菜の便利帳 健康編 高橋書店』

 

・香り成分・リモネンには食欲増進、咳止め、整腸の作用があり、さらには自律神経を整えてイライラをやわらげる効果がある。
 
※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』

レタスの効能の概要

・種類によって栄養価に差があり、玉レタスの栄養価は低く、高栄養なのがサラダ菜、リーフレタス、サニーレタスなどで、カロテンはトマトの約4倍でカリウム、ビタミンKも豊富。
・ビタミンCはいずれのレタスもあまり多くはない。
 
※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』

 

・95%ぐらいが水分で栄養価が高い野菜ではないが、カリウム、鉄、ビタミンB1、C、食物繊維などをバランスよく含んでいる。
 
※参考資料『ファイブ・ア・デイ協会(2006)野菜&果物図鑑126 新星出版社』

 

・レタスの葉や茎の切り口から出る白い乳状の液は、サポニン様物質。
やや苦味のある成分で、精神を安定させたり、食欲増進や腎臓の機能を高める作用がある。さらに鎮静、催眠の効果もあるといわれている。
 
※参考資料『主婦の友社(2016)からだに効く野菜の教科書 主婦の友社』

サラダ菜の効能の概要

・カロテンが普通のレタスより多い。
・レタスの中でも特に鉄が多く、カリウムやビタミンKも豊富。
 
※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』

にらの効能の概要

・にんにくと同じ強いにおいと辛味がある。この主成分はにんにくと同じ含硫化合物のアリシンで、多くの生理作用があるが、にんにくよりは弱い。
 アリシンの生理作用の一つは、ビタミンB1と結合して、吸収率が高く持続性のあるB1に変えることがある。
 ビタミンB1の吸収が良くなると、エネルギーの代謝が促進されてスタミナが強化され、疲労回復に役立つ。
 にらレバ炒めやにら玉のように、ビタミンB1の多い材料と組み合わせるとB1が効率よく利用され、スタミナ料理にできる。
・カロテンが豊富でほうれん草には劣るが小松菜を上回る。
・カロテン以外に、ビタミンE、K、パントテン酸、カリウムが多い。
 
※参考資料『山口米子,大滝緑(2005)野菜の効用事典 明治書院』

多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス

※多目的コホート研究(JPHC Study)とは?

●アブラナ科野菜と肺がんとの関連について
 
・日本人82,330人(男性38,663人・女性43,667人)におけるアブラナ科野菜(キャベツ、だいこん、こまつな、ブロッコリー、はくさい、チンゲンサイ、からしな、ふだんそう)と肺がん罹患リスクの関連を喫煙状況別に調べた。
 
○イソチオシアネートと発がんとの関連
・アブラナ科野菜は、イソチオシアネートという、DNA損傷の原因となる発がん物質の排出を高める作用が報告されている物質を多く含むことが知られている。
・アブラナ科野菜は肺がんリスクを低下させる可能性があることが近年注目されているが、これまでの研究の大半はアブラナ科野菜の摂取量が少ない欧米で行われたものだった。
 
○全体
・アブラナ科野菜の摂取量が多い非喫煙者で、肺がんリスクが51%低くなっていた。
 一方、女性では全体でも喫煙状況別にみても、アブラナ科野菜摂取と肺がん罹患リスクとの間に関連はみられなかった。
 
○個別のアブラナ科野菜と肺がんリスクの関連
・キャベツの摂取量が多い男性の非喫煙者で、43%肺がんリスクが低くなっていた。
・その他のアブラナ科野菜では男女ともに関連はみられなかった。
 
○推察
・今回の研究の結果は、アブラナ科野菜には抗がん作用のあるイソチオシアネートの他、葉酸、ビタミンC、ビタミンE、カロテンなどの生理活性物質が多く含まれることにより、リスクの低下がみられたと考えられる。
・女性の非喫煙者に関しては、受動喫煙の影響を排除できなかったことなどにより、関連がみられなかった可能性がある。

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