・アルミニウムは、天然にも土壌、水、空気中のちりなどに広範に存在し、土壌などから吸収されたアルミニウムが野菜、穀類、魚介類などに微量含まれている。
　
・膨脹剤、色止め剤、品質安定剤などの食品添加物にアルミニウムが含まれている。

・ラットを用いた動物実験では、アルミニウムを多量に投与したときに腎臓や膀胱への影響や握力の低下などが認められている。
　
・人が一生涯摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される暫定的な許容量（暫定耐容週間摂取量）として、体重1kg、１週間当たり、2mgという値を設定している。
　
・一時期、アルツハイマー病とアルミニウムの関係があるといった情報もあったが、現在はこの因果関係を証明する根拠はないとされている。

・加工食品と野菜などの生鮮食品からアルミニウムをどれくらい摂取しているのか調査。
　
・アルミニウムの推定摂取量の平均値は、すべての年代層で”暫定的な許容量”（許容量）を下回っていた。
　
・小児（1-6歳）では、許容量に対する摂取量の割合が最も大きく、許容量の約43％だった。
　
・アルミニウムを含む食品を多く食べる場合の推計では、小児では摂取量の多い5％の人が許容量を超える可能性があることがわかった。小児以外の年代層では、許容量を超えなかった。
　
・アルミニウムの推定摂取量には、穀類加工品や菓子類などの寄与が大きく、これは、膨脹剤として使用される食品添加物（硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウムアンモニウム）によるものと推察される。

１）用途
　
①膨脹剤
　
・ふくらし粉やベーキングパウダーとも言われるもので、炭酸ガスを発生させ、生地を膨脹させ、食感を向上させるために使用される。
　
・ベーキングパウダーは、炭酸水素ナトリウム（重曹）に酸剤（酸性の物質）を配合したもの。
　重曹は、水分がある状態で加熱されると炭酸ガスが発生し、生地を膨らませる作用を持つが、苦みのあるアルカリ性物質（炭酸ナトリウム）が生成してしまう。これを改良するために酸剤が配合されている。
　硫酸アルミニウムカリウムと硫酸アルミニウアンモニウムは酸剤の一種。
　
・一部の菓子パン（メロンパンなど）、焼菓子（スポンジケーキなど）、揚げ菓子（ドーナツなど）、蒸し菓子（小麦饅頭など、蒸しパン）などに使用されている。
　
※大部分のパンと菓子パンは、パン生地を膨脹させるために”パン酵母”を使用しており、膨脹剤は使用されていない（パン酵母の発酵過程で発生する炭酸ガスにより生地が膨脹する）。
　
②色止め剤
　
・ナスやシソなどに含まれる色素が漬物の製造時に色落ちするのを防ぐために使用されている（ナスの場合、皮にある紫色素（ナスニン）を安定させ、色落ちを防止する）。
　
③形状安定剤
　
・魚介類の甘露煮などを作る際に、煮崩れを防ぐためのもの。
・同様に、うに、くらげなどの型くずれを防ぐためにも使用されている。
　
④品質安定剤
　
・栗きんとんやきんぴらごぼうなどの煮物を煮込む前に原料を漬けることで、歯切れ、歯ごたえを良くするもの。
　
２）添加物の表示について
　
①色止め剤、形状安定剤、品質安定剤として使用
　
“硫酸アルミニウムカリウム”、”ミョウバン”、”カリミョウバン”、”硫酸アルミニウムアンモニウム”、”アンモニウムミョウバン”と物質名で表示。
　
②膨脹剤として使用
　
膨脹剤として使用される場合は、一括名で表示可なので、”膨脹剤”、”膨張剤”、”ベーキングパウダー”、”ふくらし粉”などと用途名で表示される。
　
アルミニウムを含まない場合もあるため、”膨脹剤”と表示されていても、アルミニウムを含む食品添加物が使用されていない場合もある。

・国際的にアルミニウムを含む食品添加物の基準の設定や見直しが進められている。
　
・現在、日本ではアルミニウムを含む食品添加物の使用基準（使用量の上限）は設定されていない。現状の使用実態を確認した上で、使用基準を検討する。
　
・パンと菓子類に膨脹剤として使用される食品添加物（硫酸アルミニウムカリウムと硫酸アルミニウムアンモニウム）について関係業界に対して自主的な低減化の取組みを依頼している。