食道がんの概要と予防方法

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. 食道がんとは?
  2. 症状
  3. 原因、リスク要因
  4. 疫学・統計
  5. 予防方法
  6. ネットニュースによる関連情報

食道がんとは?

・日本人の食道がんは、約半数が胸の中の食道中央付近から発生し、次いで1/4が食道の下部に発生する。
・食道がんは、食道の内面をおおっている粘膜の表面にある上皮から発生する。日本では、食道がんの90%以上が扁平上皮がん。
・日本では少ないが、欧米では胃がんと同じ腺上皮から発生する腺がんが増加している。
・頻度はまれだが、未分化細胞がん、がん肉腫、悪性黒色腫などのほかに、粘膜ではなく筋層などの細胞から発生する消化管間質腫瘍(GIST)も発生することがある。
・食道の内面をおおっている粘膜から発生したがんは、大きくなると粘膜下層に広がり、さらにその下の筋層に入り込む。もっと大きくなると、食道の壁を貫いて食道の外まで広がっていく。
 食道の周囲には、気管・気管支や肺、大動脈、心臓など重要な臓器が近接しているので、がんが大きくなるとこれらの臓器に広がる(浸潤)。
 腹部や首のリンパ節、別の臓器などに転移することもある。

がんとは?

症状

①無症状
・食道がんは、初期には自覚症状がないことが多く、健康診断や人間ドックのときに内視鏡検査などで発見されることが20%近くある。無症状で発見された食道がんは、早期であることが多く、最も治る確率が高くなる。
 
②食道がしみるような感覚
・食べ物を飲み込んだときに胸の奥がチクチク痛んだり、熱いものを飲み込んだときにしみるように感じるといった症状は、がんの初期のころにみられる。
・がんが少し大きくなると、このような感覚を感じなくなるので注意が必要。
 
③食物がつかえるような感覚
・がんがさらに大きくなると、食道の内側が狭くなり、食べ物がつかえて気が付くことになる。特に丸のみしがちな食物(硬い肉、すしなど)を食べたとき、あるいはよくかまずに食べたときに突然生ずることが多い症状。
 
④体重減少
・一般に進行したがんでよくみられる症状で、食べ物がつかえると食事量が減り、低栄養となり体重が減少する。
 
⑤胸痛・背部痛
・がんが食道の壁を貫いて外に出て、周りの肺や背骨、大動脈を圧迫するようになると、胸の奥や背中に痛みを感じるようになる。
 
⑥咳
・食道がんがかなり進行して気管、気管支、肺へ及ぶと、むせるような咳(特に飲食物を摂取するとき)が出たり、血の混じった痰(たん)が出たりするようになる。
 
⑦声のかすれ
・食道のすぐ脇に声を調節している神経があり、これががんで壊されると声がかすれる。
・声に変化があると、耳鼻咽喉科を受診する場合が多いが、喉頭そのものには炎症はないとして見すごされることもあるので注意。

原因、リスク要因

・喫煙と飲酒、肥満が確立したリスク要因とされている。特に日本人に多い扁平上皮がんでは、喫煙と飲酒の関連が強く、お酒を飲みながらたばこを吸うと食道がんのリスクがより高まることも指摘されている。
 逆に喫煙や飲酒の習慣がない人が食道がんになることは、ほとんどない。
※飲酒と食道がんとの関連については以下の記事参照。
アルコールの効能、リスクの”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”
 
・熱い飲み物や食べ物がリスクを上昇させるという研究結果も多く報告されている。
 日本をはじめ中国や香港からも、熱い飲食物が食道粘膜の炎症を通して食道がんのリスクを上げるという報告が複数ある。
・欧米人に多い食道腺がんでは、食べ物や胃液などが胃から食道に逆流する”胃食道逆流症”に加え、肥満で確実にリスクが高くなるとされている。
・食道がんにかかる人は咽頭や口、喉頭などにもがんができやすく、咽頭や口、喉頭などのがんにかかった人は食道にもがんが発生しやすいことがわかってきている。
 これは、これらのがんの原因が共通して飲酒や喫煙になるためだと考えられている。

疫学・統計

・予測がん罹患数(2014年)では、がん全体に占める割合が、男性は4%、女性が1%となっている。
・年齢別にみた食道がんにかかる率や食道がんによる死亡率は、ともに40歳代後半以降増加し始める傾向にあり、特に男性は女性に比べて急激に増加する。
・罹患率、死亡率ともに男性のほうが高く、女性の5倍以上。

予防方法

・喫煙者はまず禁煙する。
・飲酒も適量を心掛け、熱い飲食物は覚ましてから口にする。
・野菜(でんぷん質のもの除く)や果物、βカロテンやビタミンCを含む食品の摂取がおそらく確実な予防要因とされているので、積極的に摂るようにする。
※野菜・果物のがんに対する効果については以下の記事参照。
果物の効用
野菜、果物全般の健康効果の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”

ネットニュースによる関連情報

●5年以上のアスピリン服用で消化管がんに対して予防効果あり?
 
・アスピリンを10年間服用することで、腸がんの症例数を約35%、死亡数を40%削減できることを発見した。食道・胃がん発生率は、30%の削減、これらのがんによる死亡は35-50%低減できるという。
・アスピリンの長期服用は胃出血など、消化管などからの出血のリスクを増大させる危険性もあるので注意が必要。アスピリン使用による副作用は他にも消化性潰瘍があるが、リスクは30-60%増加する。

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