魚介類摂取の健康影響

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. 青魚の健康効果
  2. 魚介類に含まれる水銀の健康影響
  3. 魚介類に含まれるダイオキシンの健康影響
  4. 貝毒の概要と健康影響
  5. ネットニュースによる関連情報

青魚の健康効果

※n-3系脂肪酸の健康効果については、以下の記事参照。
不飽和脂肪酸の摂取と健康への影響
※認知症との関連については以下の記事参照。
アルツハイマー病に効果のある食事の”n-3系脂肪酸と認知症との関連”

魚介類に含まれる水銀の健康影響

●水銀の特徴
 
・自然界にもともと存在していたものが多く、さまざまな化合物が存在する。
・魚介類中に、微生物によって変化したメチル水銀が含まれることがある。
 食物連鎖の上位の魚類(サメやメカジキなどの大型魚やキンメダイ)に比較的多く蓄積されている。
 
●メチル水銀の毒性
 
・神経毒性(神経の発達への影響)があり、特に、母体を通じた胎児や発達中の幼児へ影響する。
 ただし、現在の摂取量は一般の人の健康に影響が及ぶレベルではない。
・ヒトの体内でのメチル水銀の半減期は、約2か月。
 
●日本人の水銀の摂取状況
 
・平均8.2μg/人/日(総水銀、体重50kg)
耐用一週間摂取量(PTWI(※))の約57%
 
※PTWI(Provisional tolerable weekly intake)
・ヒトが一生にわたり摂取し続けても、健康影響が現れない一週間あたりの摂取量の指標。
・胎児のPTWI
ヒトの体重1kgあたり1週間に総水銀2μg、うちメチル水銀は0.8μg
 
●魚介類の水銀に関する摂食指導(平成22年6月9日に見直された指導の概要)
 
・対象者:妊娠されている方及び妊娠している可能性のある方
・内容(いずれも筋肉で1回約80グラムとして換算)
2ヶ月に1回以下(1週間に10グラム程度):バンドウイルカ
2週間に1回以下(1週間に40グラム程度):コビレゴンドウ
1週間に1回以下(1週間に80グラム程度):キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロ、エッチュウバイガイ、ツチクジラ及びマッコウクジラ
1週間に2回以下(1週間に160グラム程度):キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ
 
※マグロの中でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、ツナ缶は通常の摂食で差し支えない。
 

・マグロ、メカジキ、サメなど、海の食物連鎖のいちばん上にいる大型の魚は、絶滅の危機にあり、水銀含有量も高いため、避けたほうがよい。
 
※参考資料『マイケル・ポーラン(2010)フード・ルール 東洋経済新報社』

魚介類に含まれるダイオキシンの健康影響

●ダイオキシン類の特徴
 
・様々な製品の製造工程で意図せずにできるほか、ごみの焼却、火山の噴火、森林火災などでもできる。
・絶縁油として使われていたPCBや過去に使用されていた一部の農薬の不純物にも含まれる。
・一度できると分解されにくい物質。
・水に溶けにくく、脂に溶けやすい性質。
・大気・排水→河川・湖沼・海→水中に底泥→食物連鎖等を通じて魚介類に蓄積
 
●ダイオキシン類の毒性
 
・ダイオキシン類のうち一部の化合物は、”ヒトに対して発がん性あり”とされている。
・動物実験により、生殖発生毒性、発達毒性、発がん性、免疫毒性が認められている。
 
●耐容摂取量
 
・耐容一日摂取量(TDI: Tolerable Daily Intake)
人が生涯にわたり毎日摂取しても健康に悪影響が現れないと判断される一日当たりの摂取量。
4pg TEQ/kg体重/日(胎児への影響から算出)
 
●摂取量
 
・日本人は食品の中でも魚介類からダイオキシン類を摂取する比率が高いことがわかっている。
・厚生労働省が平成25年度に実施した食品からのダイオキシン類一日摂取量調査(平成26年10月23日公表)では、農畜水産物を含む食品全体からのダイオキシン類の摂取量は0.58pg-TEQ/kg体重/日。上記耐容一日摂取量より低い。
 
●対策
 
・ダイオキシン対策推進基本指針やダイオキシン類対策特別措置法に基づき、排出削減対策や健康及び環境への影響の実態把握などを推進してきた結果、環境へのダイオキシン類の排出量は大きく減少(平成24年は平成9年と比べて約98%削減)している。

貝毒の概要と健康影響

●貝毒とは?
 
・毒をもった植物プランクトンを主に二枚貝(ホタテガイ、カキ、アサリなど)が捕食することによって、毒を蓄積させる現象。
・毒成分は熱に強く、加熱調理しても毒性は弱くならない。
 
●毒化する貝の種類
 
・二枚貝、トゲクリガニやイシガニなどの二枚貝捕食生物、ホヤなどの貝毒原因プランクトン捕食生物。
 
●貝毒による食中毒症状は?
 
・麻痺性貝毒(唇や顔面、四肢末端のしびれ感、めまい、頭痛、吐き気など)、下痢性貝毒(下痢、吐き気、嘔吐、腹痛など)。
 
●貝毒による食中毒の防止対策
 
・都道府県及び漁業関係者は、農林水産省の通知に基づき、規制値以下の貝類が出荷されるよう連携して出荷前に貝毒検査を行い、規制値超過の場合には出荷規制する対策がとられている。

ネットニュースによる関連情報

●魚介類摂取量と脳内水銀濃度、アルツハイマー病との関係
 
・脳内水銀濃度は、週当たりに摂取した魚介類の食事の数と正に相関していた。
・魚介類摂取量(食事一回以上/週)は、アルツハイマー病の病変がより少ないことと有意に相関していた。

 

●水銀と魚に含まれる脂肪酸と脳の発達の関係
 
・1,500名以上の母親とその子どもを追跡調査した。生後20ヵ月の時点で、子どものコミュニケーションスキル・行動・運動能力を測定するためにデザインされた一連のテストを受けた。また、出生前の水銀曝露レベルを測定するために、妊娠時に母親の毛髪サンプルを収集した。
・その結果、水銀曝露はテスト結果の低さと相関していなかった。
・妊娠中の女性の多価不飽和脂肪酸(PUFA)レベルもまた測定し、魚に含まれるn-3系として知られている脂肪酸レベルが高い母親の子どもは、ある種のテスト結果が良かったことも発見された。
・水銀は脳の発達に悪影響を与えると言われていて、魚、特に食物連鎖の上位にいる魚の水銀含有量は高くなっていて悪影響が懸念されているが、魚に含まれる脂肪酸がその悪影響を緩和、相殺してくれる可能性がある。

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