果糖に関する豆知識、健康影響に関する情報をメモ書きしています。
ただし、果物自体は普通に食べる量であれば健康に良いと言われています。清涼飲料水や各種加工品に添加されている異性化糖(高フルクトース・コーンシロップ:HFCS)、果糖ブドウ糖液糖と果物とは別に考えたほうが良いのかもしれないです。
※果物の効用参照
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果物の甘みと温度
・砂糖(ショ糖、スクロース)の甘さは、温度によってほとんど変化しないのに対して、果物や清涼飲料水に含まれる果糖(フルクトース)の甘みは温度によって大きく変動する。 フルクトースは、5℃でスクロースの約1.5倍も甘いのに対し、60℃では0.8倍の甘さしかなく、温度に上昇によって急激に甘味度が低下する。 ※参考資料『石川伸一(2014)料理と科学のおいしい出会い 化学同人』
果糖の肥満への影響
・ブドウ糖は血液から脳へと容易に移動するのに対し、果糖は血液脳関門を通り抜けられないので、血糖値を感じ取り、それに応じて食欲を変化させる働きを持つ脳は、血液中を循環する果糖の量を感知できない。 →果糖を摂取しすぎても満腹感を感じない。 ・果糖はインスリンを分泌させる働きを持たないため、レプチンも分泌されず、満腹信号を受け取ることができない。 ・ほとんどの糖分は消化器で消化されブドウ糖に変換されるのに対し、果糖は肝臓に達するまで完全には消化されない。果糖の独特な分子構造(特に炭素原子の配列)が、長鎖脂肪酸を構築するための支柱のような働きをする。(果糖はほかの糖分より脂肪に変換されやすい) ※参考資料『ポール・ロバーツ(2012)食の終焉 ダイヤモンド社』
●果糖と炎症 ・果糖の100%が肝臓で遊離脂肪酸、VLDL、中性脂肪に転換され、脂肪として貯蔵される。 ・炎症性サイトカインであるTNF-αを分泌させ、非アルコール性の肝障害を引き起こす。 ・果糖はAGEsの産生を促す。 ※参考資料『金子義保(2012)炎症は万病の元 中央公論新社』
果糖と脂肪蓄積、血糖値、インスリン
・果糖は中性脂肪に変わりやすいという特徴を持っている。 ・果糖は、血糖にはほとんど変わらず肝臓へと運ばれ、ブドウ糖代謝に入る。 ・果糖は、肝臓で脂肪合成に関わる酵素を活性化させて、とても中性脂肪に変わりやすくなっている。 ・インスリンに依存せずに中性脂肪に変えられる。 ※参考資料『江部康二(2015)江部先生、「糖質制限は危ない」って本当ですか? 洋泉社』
●果糖と血糖値、インスリン ・肝臓で10~20%だけブドウ糖に変換されるが、残りは果糖のままで血中を回る。他の糖質を同量摂取したときと比べて、血糖値の上昇は多くても20%ほどしか見られない。 血糖値とは、血中のブドウ糖の量を測定したものであるため。 ・GI値としては果糖は低い。 ・果糖ばかりを摂取するように指導したグループと、同様にブドウ糖を摂取したグループの、3ヵ月後の体の状態を比較すると、果糖摂取グループの方が、より血糖値の上昇が起こりやすくなるという結果が出ている。 ・果糖は体内で中性脂肪に変化して内臓にくっつき、脂肪肝などを引き起こしやすくなる。その結果、血糖値を下げるインスリンの働きが弱くなってしまう。 ※参考資料『山田悟(2015)糖質制限の真実 幻冬舎』
果糖とAGEs
・果糖はブドウ糖(グルコース)よりAGE化を起こしやすい。ブドウ糖の10倍の速さ。 ・通常の量の果物の摂取であれば問題ない。 ・HFCSは、フルクトースで甘味付けしたコーンシロップ。ショ糖の6倍の甘さで簡単に安くつくれる。 HFCSは、清涼飲料水、炭酸飲料、お菓子、缶詰、各種加工食品など様々な食料の甘み付けに使われているので、HFCSの大量摂取に注意する。 ・JIS規格では、フルクトース含有率が50%未満のものを"ブドウ糖果糖液糖"、50~90%未満のものを"果糖ブドウ糖液糖"、90%以上のものを"高果糖液糖"と呼んでいる。 ・飲料水以外の食料品では、甘味という表示の中に"果糖"あるいは"異性化糖"(ブドウ糖を果糖に転換した糖)という名称がある。 ※参考資料『山岸昌一(2012)老けたくなければファーストフードを食べるな PHP研究所』
果糖、異性化糖
●フルクトース ・純粋なフルクトースは水に非常に溶けるが、他の糖と違って分解しにくいので使用期限が長い。 ・結晶化を妨げる性質があるので、ソフトクッキーの硬化を防ぐ事ができる。焼くと、食欲をそそる芳香とぱりぱり感が出て、表面の色もキツネ色になる。 ・冷凍温度では氷の形成を防ぐ。 ●異性化糖(高フルクトース・コーンシロップ:HFCS) ・ブドウ糖を主成分とする糖液に異性化という処理を行ってフルクトース(果糖)の割合を高め、甘味を強くしたもの。 ・HFCSはコーンシロップから作った異性化糖。 ・JASでは、異性化糖はフルクトースの割合に基づき、果糖ブドウ糖液糖などに分類されている。 ※参考資料『マイケル・モス(2014)フードトラップ 日経BP社』
ネットニュースによる関連情報
●フルクトースが心筋増殖に関与? ・心筋が酸素欠乏下で低酸素誘導因子(HIF)を作り出し、これが心筋の病的な増殖を促すことを発見した。HIFは、心筋にケトヘキソキナーゼ-C(KHK-C)の産生を促す。KHK-Cはフルクトースに親和性が高く非常に効果的に反応を進めることができる。
●フルクトースと脳内の報酬系と満腹感の関係 ・フルクトースはグルコースに比べて、満腹感を高める効果と脳内の報酬系を刺激する効果が弱いことが明らかになった。
●高果糖コーンシロップを添加した飲料摂取でLDL、中性脂肪が増加? ・高果糖コーンシロップの用量が高まると共に、有意に用量依存的にLDL、中性脂肪の上昇がみられた。
●フルクトースはグルコースより体重、体脂肪が増加? ・マウスを用いて摂取カロリーの中の18%をフルクトース由来となる給餌を行った群と、同じくカロリーの18%をグルコース由来となる給餌を行った群で比較したところ、フルクトース給餌群では有意に体重、肝容量、体脂肪総量がグルコース給餌群に比べて増大していた。
●果糖の取り過ぎで尿酸値が上昇 ・果糖は、体内でエネルギーに変わるブドウ糖などとは異なり、肝細胞で分解され、中性脂肪に変換されるとともに、尿酸値を上げる。尿酸レベルが高すぎると、肥満や2型糖尿病などを引き起こす多くの代謝的な問題が生じる。
●果糖による脳の遺伝子の変化 ・ラットを迷路に入れたところ、果糖を与えた群は、脱出までの時間が倍かかったことから、果糖がラットたちの記憶力を損なったことが示された。果糖群のラットは他のラットの群に比べ血糖値と中性脂肪、インスリンのレベルが大幅に高かった。 ○果糖が遺伝子を損傷するメカニズム ・DNAの構成要素のヌクレオチドのひとつ、シトシンに対し、果糖は分子を加えたり、または除去したりすることがわかった。この改変は、遺伝子のスイッチが"ON"または"OFF"になる上で重要な役割を持つ。 ・長期に渡る果糖の摂り過ぎは、学習や記憶に関わる脳の機能を弱める可能性がある。