グルココルチコイド、ストレスホルモンの作用

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  1. ストレスに関わるホルモン
  2. グルココルチコイドの作用
  3. 子育てとグルココルチコイド

ストレスに関わるホルモン

●闘争・迷走反応についの関連記事
 
ストレスの基礎知識、闘争・迷走反応、緊急反応、HPA軸の”闘争・迷走反応、緊急反応、HPA軸”
 
●副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)の関連記事
 
ホルモン、神経伝達物質、成長因子の概要の”副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)”
 
●アドレナリンの関連記事
 
ホルモン、神経伝達物質、成長因子の概要の”アドレナリン、エンドルフィン”
 

●ストレスホルモン
 
・アドレナリン
例)気分の高まり
・ノルアドレナリン
例)作業に伴う疲労
・グルココルチコイド
例)作業妨害などのイライラ
 
●副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)
 
・個体レベルのストレス反応の中核を担っている伝達因子。
・小脳の学習、すなわち運動学習の基礎過程に必須。
 
●グルココルチコイド分泌
 
※グルココルチコイド
・副腎皮質の束状層で産生される、副腎皮質ホルモンの一つ。
・種類としてコルチゾール、コルチコステロン、コルチゾンがある。
 
①扁桃体
ストレッサーを感知。快・不快のシグナルを視床下部に送る。
②視床下部
不快のシグナルに応じて副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)を放出して、脳下垂体に働きかけ
③脳下垂体
副腎皮質刺激ホルモン(コルチコロトピン)が分泌
④副腎皮質
グルココルチコイドが分泌
→グルコース(ブドウ糖)を作り出す
→炎症の抑制
→脳に直接働いてうつ状態の改善
 
●アドレナリン分泌
 
①扁桃体
ストレッサーを感知。快・不快のシグナルを視床下部に送る。
②視床下部
自律神経系に働きかけ、交感神経が緊張
③副腎髄質
アドレナリン分泌
→血液中にブドウ糖が増加し、血糖や血圧低下を防ぐように働く。
 
※参考資料『室伏きみ子(2005)ストレスの生物学 オーム社』

 

●アドレナリン
 
・ストレスを察知するとアドレナリンが大量に放出され、筋肉と脳の活動にエネルギーを供給するためにグリコーゲンと脂肪酸に変換し始める。
・アドレナリンは筋紡錘に結合するので、筋肉の静止張力上昇し、瞬時に動ける状態になる。
 
※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』

グルココルチコイドの作用

●闘争・迷走反応との関連
 
ストレスの基礎知識、闘争・迷走反応、緊急反応、HPA軸の”闘争・迷走反応、緊急反応、HPA軸”

●腸内細菌との関連
 
腸内細菌と精神的ストレス、精神疾患(うつ病、自閉症、ADHDなど)の”ストレスの影響”
 
●記憶との関連
 
記憶の”情動、ストレスと記憶”
ストレスと脳、神経の関わりの”ストレスが海馬に与える影響”
 
●加齢との関連
 
ストレスと活性酸素、加齢との関連の”加齢とストレス”
 
●食事、睡眠との関連
 
ストレスと食事、睡眠、運動など生活習慣との関わりの”食事とストレス”、”睡眠とストレス”
 
●遺伝との関連
 
親・祖父母の環境と子・孫に対する影響の”子宮環境の胎児への影響”

遺伝子とエピジェネティックな影響の”エピジェネティクスと子どものストレス耐性”

●グルココルチコイドと抗ストレスホルモン
 
・体内でブドウ糖を産生
・炎症を抑える働き
・脳に直接働きかけてうつ状態に陥るのを防ぐ。
・分泌が不充分の場合は、生体の抵抗力が落ち、ちょっとしたショックで死を招くこともある。
 
●きわめて強いストレス、慢性ストレスの場合
 
・分泌されたグルココルチコイドの副作用で、不必要な血糖上昇や胃粘液の減少が起こり、さらに自律神経の働きによる胃の血流量の低下、胃液分泌の亢進などが協調的に起こって、さらなるストレス状態に陥らせる。
 
・生体がストレス状態に陥ると、脳下垂体前葉はその状態を克服するためにさらに副腎皮質刺激ホルモンを分泌し、グルココルチコイドを作り続ける。
 
・脳下垂体前葉は本来、成長ホルモン、性腺刺激ホルモン、乳腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモンをバランスよく分泌して、生体の恒常性を保っているが、ストレス状態に置かれると、グルココルチコイドの分泌に追われて、他のホルモンの分泌が正常に行われなくなってしまう。
 
・グルココルチコイドがブドウ糖を産生する際、体を作っているタンパク質を壊してブドウ糖を作るので、ストレス状態が長引くとタンパク質が過剰に消費されてしまう。その結果として、傷害部位の治癒の遅滞、筋肉の萎縮、胃粘膜の傷害、血管の傷害などが引き起こされる事がある。
 
・免疫系の中心的存在である胸腺を萎縮させ、リンパ球が減少。
・免疫担当細胞を活性化する物質の放出が抑えられる。
 
・長期的にストレスにさらされ続けた人やうつ病患者で、グルココルチコイドが過剰生産され、神経細胞の減少を招く。脳の海馬に悪い影響を与える。アルツハイマー病と関連?
 
※参考資料『室伏きみ子(2005)ストレスの生物学 オーム社』

 

●コルチゾールの役割
 
○エネルギー関連
・アドレナリン放出によって使い果たされたエネルギーを補充する。
・食べたものをグリコーゲンや脂肪に変えて貯蔵しやすくする。
・人を活動的にさせ、おなかをすかせる。
・肝臓内のタンパク質を分解し、ブドウ糖に変えるよう促す。
・コルチゾールが分泌されすぎると、筋肉を刺激してブドウ糖を取り込むインスリンの働きが抑えられてしまう。インスリン抵抗性を生み、コレステロールや中性脂肪が血中に増える。
・さらにコルチゾールが過剰になると、脂肪が増え、腹部にたまる。
筋肉のタンパク質を減らして脂肪に変える働きを促し、その結果、骨のミネラルが減る。
骨の形成には多くの時間がかかるため、緊急反応が発動されると後回しにされる。
 
○免疫関連
・短期的には、コルチゾールは感染やケガに対処するのを助けるが、多すぎると免疫系を抑えてしまう。
・白血球が血管壁や傷口、感染箇所など、防衛しなければならない部分の細胞にくっつきやすいよう、その表面を変える働きをする。
・免疫活動がもう十分だと脳に知らせる。
 ストレスによってコルチゾールが過剰になった場合、視床下部に直接働きかけ、負のフィードバックによって自らコルチゾールの生成を止める。
・コルチゾールが少なすぎると免疫が過剰に反応して、炎症やアレルギー、自己免疫疾患になりうる。
→コルチゾールは、チェックとバランスを保っているので、コルチゾールが少なすぎると免疫系を抑える働きが弱くなり、免疫細胞が過剰に活動してしまう。
アレルギー、ぜんそく、リウマチ、
 
○分泌の概日リズム
・コルチゾールは概日リズムに沿って分泌され、早朝に大量に分泌され、だんだん減って夜には少なくなるのが望ましい。うつ病の人は、一日中高めで、特に夜になると上がる。
・コルチゾールの量がいつも体に一定量保たれると、腹部肥満、筋肉量の低下、骨中ミネラルの減少といった弊害が出る。
・PTSD患者や疲れ切った人にもコルチゾール分泌パターンに異常が見られる。
 
○学習、記憶関連
・学習と記憶にも関わる。
 
※学習のプロセス
刺激の繰り返し
→ある境界線を越えるまで脳の細胞に一時的に大量のグルタミン酸を送り込む。
→その結果、前より少ないグルタミン酸ですむようになる。シナプス接合が強化
 
※コルチゾールの役割
①神経細胞の興奮を高める遺伝子に結合。
②糖質コルチコイドがNメチルDアスパラギン酸(NMDA)レセプターとして知られる特殊なグルタミン酸レセプターを増やす。
 
※参考資料『ブルース・マキューアン(2004)ストレスに負けない脳 早川書房』

 

●慢性のストレス
 
・軽いストレスでも四六時中感じていると、コルチゾールが休み無く流れて遺伝子を目覚めさせ、その結果、シナプスの結合は切断され、樹状突起は萎縮し、細胞は死ぬ。ついには海馬もしなびてしまう。
・休み無くストレスに襲われると、回復のプロセスが始まらず、扁桃体が信号を出し続け、コルチゾールの量が健康なレベルを超える。
 
※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』

子育てとグルココルチコイド

・誕生後の一週間に、なめたり毛づくろいしたりしてもらわなかった子ラットは、ストレスと不安のレベルが大幅に上昇。グルココルチコイド受容体が関与。
 
・グルココルチコイド受容体はホルモン分泌を調節しており、ブロックされると海馬などでストレスホルモンのコルチゾールの濃度が上昇する。
 
・グルココルチコイド受容体遺伝子のように重要な遺伝子は、何百という下流の遺伝子の働きに影響し、連鎖的な変化を引き起こす。
→脳内の重要な遺伝子のスイッチがエビジェネティックにオンになったりオフになったりすると、その影響は広範に及ぶ可能性がある。
 
※参考資料『ティム・スペクター(2014)双子の遺伝子 ダイヤモンド社』

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