ビタミンAの概要、効果、病気予防効果

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. ビタミンAの概要
  2. ビタミンAの吸収
  3. ビタミンAの効果
  4. ビタミンAを多く含む食品
  5. ビタミンA不足の問題
  6. ビタミンA過剰摂取のリスク
  7. ビタミンAと生活習慣病との関連


※カロテノイド(β-カロテンなど)の情報は下記を参照。
カロテノイド、リコペンの概要、効果、健康影響

ビタミンAの概要

・ビタミンAは、レチノイドといい、その末端構造によりレチノール(アルコール)、レチナール(アルデヒド)、レチノイン酸(カルボン酸)に分類される。
 
・食品中には、ビタミンA以外に体内でビタミンAに変換されるプロビタミンA(カロテノイド)というものがある。
 カロテノイドは、黄、橙、赤色などを示す天然色素の一群で、主に植物性食品に含まれ、β-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチンなどがある。
 
・ビタミンAは皮膚や粘膜の正常保持、視覚の正常化・成長および分化に関与しているため、不足すると皮膚や粘膜の乾燥、夜盲症、成長障害、胎児の奇形などを引き起こす恐れがある。
 
・ビタミンAは脂溶性であることから過剰摂取にも注意が必要。

ビタミンAの吸収

・ビタミンAは、動物性食品から主にレチニル脂肪酸エステルとして、植物性食品からプロビタミンAであるカロテノイドとして摂取される。
 
・食事からビタミンAを摂取すると、脂質とともに小腸粘膜上皮細胞に吸収される。一定量は肝臓に貯蔵され、他は血液によって各組織のタンパク質と結合し、組織を健全に保護する働きをしている。
 
・β-カロテンの場合、体内でビタミンAが不足すると、必要量だけがビタミンAに変換される。変換されないβ-カロテンは脂肪組織に蓄えられるか、または排泄される。

ビタミンAを多く含む食品

・肝臓や卵、濃い色の野菜や果物に多く含まれる。
レバー、ぎんだら、うなぎ、卵
にんじん、ほうれん草、しゅんぎく、こまつな

ビタミンA不足の問題

・健康な人は体内にレチノイドを十分貯蔵しているため、不足する危険性はほとんどない。
 
・ビタミンA不足の一番の問題は視覚障害。ビタミンAが不足すると目の角膜や粘膜がダメージを受け、症状が悪化すると視力が落ち、失明する場合もある。
 
・脂肪便症や胆道系障害などの脂質吸収不良、たんぱく質欠乏症、エネルギー欠乏症などにより、ビタミンA欠乏症が起こることがある。また、過度のアルコール摂取は、貯蔵されているビタミンAを消耗する。
 
・成長阻害、骨及び神経系の発達抑制もみられ、上皮細胞の分化・増殖の障害、皮膚の乾燥・肥厚・角質化、免疫能の低下や粘膜上皮の乾燥などから感染症にかかりやすくなる。

・ビタミンAが欠乏すると皮膚や呼吸器の粘膜が弱くなり、感染症にかかりやすくなる。
 
※参考資料『中村丁(2015)栄養の基本がわかる図解事典 [2015] 成美堂出版』

ビタミンA過剰摂取のリスク

・ビタミンAは脂溶性のため、摂り過ぎると体内に蓄積される。過剰摂取により様々な健康被害を引き起こす恐れがある。
 
・過剰摂取による健康障害が報告されているのは、サプリメントあるいは大量のレバー摂取などによるもの。
 
○短期間の過剰摂取
吐き気、頭痛、脳脊髄液の上昇、めまい、目のかすみ、筋肉協調運動障害。
 
○長期間の摂取
中枢神経系への影響、肝臓の異常、骨や皮膚の変化。
 
○子供がビタミンAを過剰摂取した時の主な症状
頭蓋内や骨格の異常
 
・妊婦がビタミンAを過剰摂取すると、胎児に奇形を起こす可能性が高くなると報告されている。

ビタミンAと生活習慣病との関連

※フレイル(虚弱)との関連については以下の記事参照。
フレイル、サルコペニア、高齢者の栄養の”高齢者の健康とビタミン、脂肪酸との関係”

・近年、ビタミンA関連の物質レチノイドが、がんの治療や再発予防に有効であるという臨床試験結果を多くの学者が発表している。
 急性前骨髄球性白血病が寛解、肝臓がんの再発が抑えられたなど。
 
※参考資料『阿部尚樹,上原万里子,中沢彰吾(2015)食をめぐるほんとうの話 講談社』

 

・いくつかの研究によって、成長ホルモンの産生を刺激する能力があることが示されてきた。研究者らは、ビタミンAが直接的に細胞内成長ホルモンレベルや、成長ホルモン産生に必要であるIGF結合タンパク質3のレベルに影響すると考えている。
・甲状腺が健常に働くのを助ける。
・多数の研究が免疫能の増強におけるビタミンAの重要性を指摘している。
・ビタミンAには抗腫瘍効果があることを示唆する証拠がある。
 
○副作用
・カートメルらによる臨床試験の結果、約4年間にわたって毎日2500IUのビタミンAを摂取した人では、中性脂肪の上昇が11%、総コレステロールの上昇が3%、HDLの減少が1%あった。このことは、心疾患のリスクの高い人では、慎重になるべきであることを示している。
・メルアスらは、1日5000IUのビタミンA摂取が骨密度の低下と明らかに関連することを発見した。
 
※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』

ビタミンAの効果

・皮膚やのど、鼻、肺、消化管などの粘膜を正常に保つ働きをするため、感染症を予防し、免疫力を高めることにも役立っている。
・ビタミンA前躯体のβ-カロテンは、抗酸化力を持ち、有害な活性酸素を消去し、老化やがんの抑制に働く。
 
※参考資料『中村丁(2015)栄養の基本がわかる図解事典 [2015] 成美堂出版』

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