肺がんの概要と予防方法

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. 肺がんとは?
  2. 症状
  3. 原因、リスク要因
  4. 疫学・統計
  5. 予防方法
  6. 多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス

肺がんとは?

・肺がんは肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞が何らかの原因でがん化したもの。
・肺がんは進行するにつれて周りの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れに乗って広がっていく。
・肺がんは喫煙との関係が非常に深いがんだが、たばこを吸わない人でも発症することがある。受動喫煙により発症リスクが高まる。
・近年、肺がんは日本人のがんによる死亡原因のトップとなり、まだ増加する傾向にある。

がんとは?

症状

・なかなか治りにくい咳、血痰、胸痛、呼吸時のぜーぜー音、息切れ、声のかれなどがあるが、これらは必ずしも肺がんに特有のものではない。
 また、進行の程度にかかわらずこうした症状がほとんどない場合が多く、検診によって発見されることもある。

原因、リスク要因

・日本人を対象とした研究(2008年)では、喫煙者の肺がんリスクは男性で4.8倍、女性で3.9倍という結果だった。
・日本では、男性で69%、女性では20%程度、たばこが肺がんの発生原因とされている。
・受動喫煙者は、受動喫煙がない者に比べて20~30%程度、肺がんのリスクが高くなると推計されている。
・喫煙による発がんリスクの大きさは、同じタバコを吸う人でも遺伝子素因で変わる可能性が指摘されている。
 
・環境要因として、飲料水中のヒ素は確実なリスク要因。
※ヒ素と肺がんの関連については以下の記事参照。
食品中のヒ素と健康影響の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”
 
・アスベスト、シリカ、クロム、コールタール、放射線、ディーゼル排ガス等への職業や一般環境での曝露、さらに、石炭ストーブの燃焼や不純物の混ざった植物油の高温調理により生じる煙(中国の一部地域)、ラドンなどによる室内環境汚染も、肺がんのリスク要因とする根拠は十分とされている。
 
・β-カロテンを多く摂取(1日20~30mg)すると、かえって肺がんリスクが20~30%程度高くなるという結果がある。
※β-カロテンの肺がんに対する効果については以下の記事参照。
カロテノイド、リコペンの概要、効果、健康影響

疫学・統計

・予測がん罹患数(2014年)では、がん全体に占める割合が、男性は18%、女性が10%となっている。
・年齢別にみた肺がんの罹患率、死亡率は、ともに40歳代後半から増加し始め、高齢ほど高くなる。
・罹患率、死亡率は男性の方が女性より高く、女性の2倍から3倍にのぼる。

予防方法

・肺がんの最大の予防は、たばこを吸わないこと。たばこの発がん物質は、血液に乗ってさまざまな臓器に影響を与えるため、禁煙することによって肺だけでなくさまざまな部位に発生するがんのリスクを下げることができる。
 
・受動喫煙も肺に対して発がん性があることが確実とされている。たばこを吸わない人は、できるだけたばこの煙を避ける。
 
・予防には果物やカロテノイドを含む食品がおそらく確実とされているが、β-カロテンについては上述の注意が必要。
※果物、カロテノイドの肺がんに対する効果については以下の記事参照。
・果物の効用
カロテノイド、リコペンの概要、効果、健康影響

多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス

※多目的コホート研究(JPHC Study)とは?
※女性ホルモンとの関連については以下の記事参照。
がんと生殖要因、ホルモン、環境の関連の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”
※イソフラボンとの関連については以下の記事参照。
大豆製品、イソフラボンの健康影響の”多目的コホート研究(JPHC Study)によるエビデンス”

●野菜・果物摂取量と肺がんとの関連について
 
・食事調査票から果物と野菜の摂取量を計算し、"低"、"中"、"高"の3つのグループにほぼ同様の人数になるように分け、"低"グループの肺がんリスクを基準値"1"とした場合に、"中"グループと"高"グループの肺がんリスクがその何倍になるかを算出した。
 
○結果
・野菜摂取量、果物摂取量、及び野菜+果物摂取量には、いずれも肺がんリスクとの関連はみられなかった。
 
○推察
・これまで多くの研究から、野菜・果物を多くとると、肺がんリスクが下がると報告されていた。
 野菜・果物を多くとる人では喫煙率が低い傾向があるので、"野菜・果物に肺がん予防効果あり"とする研究では、喫煙の影響を除ききれなかったという可能性がある。

ネットニュースによる関連情報

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