ホルモン、神経伝達物質、成長因子の概要

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

  1. ホルモンの概要
  2. 神経伝達物質の概要
  3. 成長因子(増殖因子、細胞増殖因子)の概要
  4. インスリン様成長因子(IGF)
  5. 脳由来神経栄養因子(BDNF)
  6. 血管内皮細胞増殖因子(VEGF)
  7. 繊維芽細胞成長因子(FGF)
  8. グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)
  9. 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)
  10. 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)
  11. アドレナリン、エンドルフィン
  12. DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)
  13. セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン
  14. アナンダミド(内因性カンナビノイド、エンドカンナビノイド)
  15. アセチルコリン(ACh)
  16. グルタミン酸(Glu)、γ-アミノ酪酸(GABA)
  17. ネットニュースによる関連情報

ホルモンの概要

●ホルモンとは?
 
・生体の外部や内部に起こった情報に対応し、内分泌器官(視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、膵臓、生殖器など)で合成、分泌され、体液(血液)を通して体内を循環し、別の特定の器官(標的器官)で効果を発揮する生理活性物質。
 
●主なホルモン
 
・蛋白質ホルモン(単純ペプチド、糖蛋白質)
副甲状腺ホルモン(PTH)、
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、
プロラクチン(PRL)、メラトニン、オキシトシン
インスリン、グルカゴン、グレリン
成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン
 
・アミン・アミノ酸誘導体ホルモン
アドレナリン、ノルアドレナリン
 
・ステロイドホルモン(詳細はステロイドホルモンの項を参照)
男性ホルモン(アンドロゲン、テストステロン)、
女性ホルモン(エストロゲン(卵胞ホルモン)、プロゲステロン(黄体ホルモン))、
糖質コルチコイド(コルチゾール)

神経伝達物質の概要

●神経伝達物質とは?
 
・シナプスで情報伝達を介在する物質。
・シナプス前細胞に神経伝達物質の合成系があり、シナプス後細胞に神経伝達物質の受容体がある。神経伝達物質は放出後に不活性化する。
・シナプス後細胞に影響する亜鉛イオンや一酸化窒素は広義の神経伝達物質。
・ホルモンも細胞間伝達物質で開口放出し受容体に結合する。
・神経伝達物質は局所的に作用し、ホルモンは循環器系等を通じ大局的に作用する。
 
●主な神経伝達物質
 
○アミノ酸
・グルタミン酸(Glu)、γ-アミノ酪酸(GABA)
 
○アセチルコリン(ACh)
 
○モノアミン類
・ドーパミン(DA)、
・アドレナリン(NAd)、ノルアドレナリン(Ad)、
・セロトニン、メラトニン、ヒスタミン
 
○ポリペプチド類(神経ペプチド類)
・オレキシン(ヒポクレチン)、
・オキシトシン、
・オピオイド(エンドルフィン、エンケファリンなど)、
・セクレチン類(セクレチン、グルカゴンなど)
 
○その他
・アナンダミド(内因性カンナビノイド、エンドカンナビノイド)
 

●興奮、抑制、調節
 
・電気信号が軸索終末に到達すると、グルタミン酸が放出される。
シナプス後ニューロンが発火するかどうかには、グルタミン酸による興奮と対抗するGABAの抑制力だけではなく、そのときに存在するほかの化学物質も関わっている。それらの化学物質は神経調節物質と呼ばれる。
 
・グルタミン酸とGABAは、シナプス前終末から放出されてからミリ秒単位のわずかな時間でシナプス後ニューロンに電位変化を起こす。そしてその作用はミリ秒単位の時間のうちに終わる。
 一方、調節物質は作用がもっとゆっくりもっと長く続く。
 
●神経調節物質
 
○ペプチド類
 
・脳内のいたるところに見られ、ゆっくりと働く調節物質の大きな一グループの総称。
 
・ペプチドは多くのアミノ酸からできていて、グルタミン酸やGABAのような単純なアミノ酸より分子が大きい。
 
・グルタミン酸やGABAと同じ軸索内にあることが多く、これらと一緒に放出され、効果を強めたり弱めたりする。
 
・オピオイドペプチドのエンドルフィンとエンケファリンは、痛みやストレスが引き金となって放出され、専用の受容体と結合して痛みの感じ方や気分を変える。
 
○モノアミン類
 
・セロトニン、ドーパミン、エピネフリン、ノルエピネフリン。
 
・他のほとんどの伝達物質、調節物質と異なり、モノアミン類をつくりだす細胞があるのは、脳内のごくわずかな領域だけであり、そのほとんどは脳幹内の領域。
 これらの細胞の軸索は脳のあちこちの広範な領域に伸びているので、局所的で少数のニューロンからでも多くの場所のニューロンに影響を与えることができる。
 モノアミンの影響は非特異的で、多くの脳領域で同時に起こる全体的な状態の変化(突然の危機に遭遇した場合、脳全体に起こる高度の覚醒、眠りに落ちていくときに必要とされる覚醒状態の低下など)を引き起こす。
 
・モノアミンはグルタミン酸やGABAの作用を促進したり、抑制したりする。
 
・アセチルコリンもモノアミンだが、結合する受容体によって、作用速度の速い伝達物質として働いたり、作用速度の遅い調節物質として働いたりする。

○ホルモン類
 
・身体器官(副腎、脳下垂体、性腺など)から血液中に放出され、脳に運ばれる。そしてニューロン専用の受容体と結びつき、伝達物質のグルタミン酸やGABAの効果に影響を与える。
 
・コルチゾールは、記憶や情動のプロセスに関わる様々な回路の情報伝達に影響を与えることが知られているが、その手段の一つとして、GABAがグルタミン酸を抑制する力を調節するようだ。
 
・テストステロンやエストロゲンなどの性ホルモンも、神経伝達その他の脳機能に大きな影響力を持つ。
 
・ホルモン類は血流によって脳に到達するので同時に多くの領域に影響を与えうる。もっとも、結合する受容体は限られた領域の特定の限られた回路にしかないので、ホルモンによる調節はかなり特異的である。
 
※参考資料『ジョゼフ・ルドゥー(2004)シナプスが人格をつくる みすず書房』

成長因子(増殖因子、細胞増殖因子)の概要

●成長因子(増殖因子、細胞増殖因子)とは?
 
・動物体内において、特定の細胞の増殖や分化を促進する内因性のタンパク質の総称。
・様々な細胞学的・生理学的過程の調節に働いており、標的細胞の表面の受容体タンパク質に特異的に結合することにより、細胞間のシグナル伝達物質として働く。
・神経伝達物質が信号を伝えるのに対して、BDNFのような神経栄養因子は、ニューロンの回路を構築し、維持している。
 
●主な成長因子
 
・インスリン様成長因子(Insulin-like growth factor:IGF)
・神経成長因子(Nerve growth factor:NGF)
・脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor:BDNF)
・血管内皮細胞増殖因子(Vesicular endothelial growth factor:VEGF)
・繊維芽細胞成長因子(Fibroblast growth factors:FGF)

インスリン様成長因子(IGF)

※がんとの関連については以下の記事参照。
がんと生殖要因、ホルモン、環境の関連の”インスリン”
※成長ホルモンとの関連は以下の記事参照。
成長ホルモンの”成長ホルモンの作用、効果”、”成長ホルモンの分泌”

・活動中の筋肉がさらに多くの燃料を欲するときに放たれるホルモン。
 グルコース(ブドウ糖)は筋肉と脳にとって主要なエネルギー源で、インスリンと協力して細胞まで運んでいる。
・脳内では、IGF-1が燃料の管理ではなく、学習に関連する働きをする。
・運動している間、脳由来神経栄養因子(BDNF)は脳のIGF-1の摂取量を増やし、そのIGF-1はニューロンを活性化して、セロトニンやグルタミン酸をさかんに作らせている。また、IGF-1は、BDNF受容体の生成を促し、ニューロン結びつきを強くして記憶を強化している。
 
※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』

脳由来神経栄養因子(BDNF)

※学習、ニューロン新生、運動との関連については以下の記事参照。
脳のエネルギー原料、運動の効果の”ニューロン新生、学習と運動による効果”
※腸内細菌との関連については以下の記事参照。
腸内細菌の作用の概要の”腸内細菌と脳内化学物質”
※うつ病との関連は以下の記事参照。
うつ病の”炎症とうつ病”、”うつ病とストレス、神経損傷仮説”、”運動の効果”
※不飽和脂肪酸との関連は以下の記事参照。
不飽和脂肪酸の摂取と健康への影響の”n-3系脂肪酸と生活習慣病”
 
●BDNFの概要
 
○BDNFとは?
・BDNF遺伝子から生成される蛋白質。
・成長因子の中の神経栄養因子の一つ。
・標的細胞表面上にある特異的受容体TrkBに結合し、ニューロンの生存・成長・シナプスの機能亢進などの作用がある。
 
○BDNFの機能
・今あるニューロンが維持されるようにサポートし、ニューロンの成長を促し、新しいニューロンやシナプスに分化することを促す。
・脳の中では、海馬、大脳皮質、大脳基底核で活性化されている。これらの部位は、学習、記憶、高度な思考に必須の領域。
 

●脳由来神経栄養因子(BDNF)の概要
 
・ニューロンの回路を構築し、維持。ニューロンを育てる肥料。
・海馬という記憶と学習に関わる領域に多く存在する。
・海馬を含む、気分をコントロールする部位で、BDNFはコルチゾールの攻撃からニューロンを守っている。
・BDNFは、ニューロンの機能を向上させ、その成長(新しい枝が生える)を促し、強化し、細胞の死という自然のプロセスから守っている。
・BDNFは、慢性ストレスと適応力の間の綱引きのロープ。
 
●運動とBDNF
 
・運動をするとBDNFが増える。特に海馬で急増していたので、学習にも好影響。
・運動している間、BDNFは脳のIGF-1の摂取量を増やし、そのIGF-1はニューロンを活性化して、セロトニンやグルタミン酸をさかんに作らせている。また、IGF-1は、BDNF受容体の生成を促し、ニューロンの結びつきを強くして記憶を強化している。
 
※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』

血管内皮細胞増殖因子(VEGF)

※がんとの関連は以下の記事参照。
がんに関係する遺伝子の”血管をつくりだす遺伝子”
※運動、心血管系との関連については以下の記事参照。
運動の健康効果の”運動の心血管系に対する効果”

運動の健康効果


・運動、ニューロン新生との関連については以下の記事参照。
脳のエネルギー原料、運動の効果の”ニューロン新生、学習と運動による効果”

繊維芽細胞成長因子(FGF)

※運動、心血管系との関連については以下の記事参照。
運動の健康効果の”運動の心血管系に対する効果”
・運動、ニューロン新生との関連については以下の記事参照。
脳のエネルギー原料、運動の効果の”ニューロン新生、学習と運動による効果”

副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)

●副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)の概要
 
・視床下部から分泌されるペプチドホルモンの一つ。略称はCRF(-factor)とされることもある。
・副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促進させる。

●パニック発作とCRH
 
・パニック発作の間、CRHが急増する。
・CRHは自ら不安を誘発するとともに、神経系をコルチゾールであふれさせる。
・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)はこのCRHの作用を防いでいる。
 
※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』

グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)

神経可塑性、脳回路の再配線、神経発生の”グリア細胞とGDNF(グリア細胞由来神経栄養因子)”参照。

心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)

※不安と運動との関連については以下の記事参照。
不安、心配、恐怖、悲観の”運動による不安解消の効果”

●心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の概要
 
・生理活性を持つアミノ酸28個からなるペプチドの1種。
・主に心房で生合成して貯蔵され、必要に応じて血液中に分泌され、ホルモンとして作用する。
・血中に分泌されると、末梢血管を拡張させることによって血管抵抗を下げ、これによって心臓の負荷を軽減する。
・腎臓で水分の排泄を促進させる方向の作用(利尿作用)を持ち、これによって体液量を減らして心臓の負荷を下げる。
 
●ストレスとANP
 
・運動によって、鼓動を打つ心筋から心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が放出
→血流に乗って脳内に運ばれ、そこでストレス反応を緩和し、雑音を減らす。
・心臓の筋肉で生成される心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)というホルモンが、HPA軸にブレーキをかけ、脳の騒音を鎮めて体のストレス反応を直接抑える。
 
●パニック発作とCRH、ANP
 
・パニック発作の間、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が急増する。
・CRHは自ら不安を誘発するとともに、神経系をコルチゾールであふれさせる。
・心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)はこのCRHの作用を防いでいる。

※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』

アドレナリン、エンドルフィン

※アドレナリン、エンドルフィンと闘争・迷走反応の関連は以下の記事参照。
ストレスの基礎知識、闘争・迷走反応、緊急反応、HPA軸の”闘争・迷走反応、緊急反応、HPA軸”
※アドレナリンとストレスの関連は以下の記事参照。
グルココルチコイド、ストレスホルモンの作用の”ストレスに関わるホルモン”
※エンドルフィンと向精神薬との関連については以下の記事参照。
精神疾患と薬物療法、非薬物療法の”薬物の種類と作用”
※エンドルフィンとランナーズハイとの関連については以下の記事参照。
快感、報酬、欲求、依存症の”ランナーズハイ”

●エンドルフィンの概要
 
・アヘン様物質。
・モルヒネのような分子で痛みを抑える。
・ランニング中に血液中に産生されたエンドルフィンは脳には入らないが、直接脳でも作られ、運動で得られる満足感に寄与していることが分かった。ただし、ランナーズハイにどの程度貢献しているかははっきりしていない。
・運動をするとエンドルフィンが増える。
 
※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』

DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)

●DHEAの概要
 
・ヒト体内で最も豊富に存在するステロイドホルモンであり、テストステロン、エストロゲン、コルチコステロンなどもこれに含まれている。
・老化にともなうDHEAの分泌低下は、成長ホルモンの分泌と並行するため、75歳頃には、20歳頃のわずか10~20%程度になるまで産生は低下してしまう。
 
※参考資料『ロナルド・クラッツ,ロバート・ゴールドマン(2010)革命アンチエイジング 西村書店』

セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン

●セロトニンと精神の状態、薬物、うつ病との関連
 
精神疾患と薬物療法、非薬物療法の”神経伝達物質と精神状態”、”うつ病の原因の仮説、薬物療法の作用”
うつ病の”うつ病の生体アミン仮説”、”うつ病の薬”、”運動の効果”
腸内細菌と精神的ストレス、精神疾患(うつ病、自閉症、ADHDなど)の”うつ病との関連”
 
●セロトニンと不安、運動との関連
 
不安、心配、恐怖、悲観の”運動による不安解消の効果”
 
●セロトニンと睡眠との関連
 
脳の各部位と睡眠の関係の”神経伝達物質と睡眠”、”モノアミン作動性ニューロン”
 
●セロトニン、ドーパミンと性欲、恋愛感情との関連
 
恋愛感情、性欲、愛着の”性欲、恋愛感情、愛着に関わる脳内化学物質”、”恋愛中の人の脳、恋愛感情”
 
●セロトニンとトリプトファンとの関連
 
各アミノ酸の健康影響の”トリプトファン”
 
●セロトニンとBCAAとの関連
 
疲労の実態と疲労回復成分の”疲労回復成分”
 
●ノルアドレナリンと闘争・迷走反応の関連
 
ストレスの基礎知識、闘争・迷走反応、緊急反応、HPA軸の”闘争・迷走反応、緊急反応、HPA軸”
 
●ノルアドレナリンと精神の状態、薬物、うつ病、ADHDとの関連
 
精神疾患と薬物療法、非薬物療法の”うつ病の原因の仮説、薬物療法の作用”
うつ病の”うつ病の生体アミン仮説”、”うつ病の薬”
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の”脳の注意システムとADHD”、”運動の効果”
 
●ノルアドレナリンと不安、運動との関連
 
不安、心配、恐怖、悲観の”運動による不安解消の効果”
 
●ノルアドレナリンと記憶との関連
 
記憶の”情動、ストレスと記憶”
 
●ドーパミンと精神の状態、薬物、うつ病、ADHD、パーキンソン病との関連
 
精神疾患と薬物療法、非薬物療法の”神経伝達物質と精神状態”、”薬物の種類と作用”、”統合失調症の症状の分類、原因の仮説、抗精神病薬”、”うつ病の原因の仮説、薬物療法の作用”
うつ病の”うつ病の生体アミン仮説”、”うつ病の薬”
注意欠陥・多動性障害(ADHD)の”ADHDの特徴、原因”、”脳の注意システムとADHD”、”運動の効果”
パーキンソン病
 
●ドーパミンと快感、幸福感、痛みとの関連
 
幸福感の”ドーパミン、オキシトシンと幸福感”
快感、報酬、欲求、依存症
タバコと心疾患の”タバコと依存症”
痛みの感覚の”痛みの緩和”、”痛みと快感回路”、”痛みとプラシーボ効果”
 

●セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン
 
・脳の信号操作とすべての活動を調整している。
・これらを作り出すニューロンは、脳内のニューロンの1%に過ぎないが影響は甚大。
ニューロンに命じてもっとグルタミン酸を作らせたり、ニューロンがより効率的に情報伝達できるようにしたり、受容体の感度を変えたりする。また、余計な信号がシナプスに伝わらないようにして脳内の"雑音"を小さくしたり、逆にほかの信号を増幅したりする。
・グルタミン酸やGABAのように信号を送ることもできるが、その第一の役割は、情報の流れを調節して、神経化学物質全体のバランスを調整することだ。
・精神の状態を改善するために用いる薬のほとんどは、上記3つの神経伝達物質のひとつか、あるいは複数に働きかける。
 
●セロトニン
 
・生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などに関与。
・脳の機能を正常に保つはたらき(脳の警察官)
・気分、衝動性、怒り、攻撃性に影響する。気分を落ち着かせ、安心感を与える。
・運動をするとエンドルフィン、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンが増える。
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(プロザック):うつ病、不安障害、強迫神経症
 
●ドーパミン
 
・学習、報酬(満足)、注意力、運動に関係。脳の部位によって正反対の役割を果たすこともある。
・運動はドーパミンも放出。気持ちを前向きにし、幸福感を高め、注意システムを活性化させる。
・覚醒剤はドーパミン作動性に作用するため、中毒症状は統合失調症に類似する。
・リタリンは、ドーパミンを増やして気持ちを落ち着け、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を緩和する。
 
●ノルアドレナリン
 
・ノルアドレナリンは、注意、知覚、意欲、覚醒に影響する信号を増強。
・運動をするとノルアドレナリンが増える。
 
※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』

アナンダミド(内因性カンナビノイド、エンドカンナビノイド)

※エンドカンナビノイドとランナーズハイとの関連については以下の記事参照。
快感、報酬、欲求、依存症の”ランナーズハイ”

●エンドカンナビノイド
 
・快感などに関係する脳内麻薬物質の一つとも考えられ、中枢神経系および末梢で多様な機能を持っている。
・マリファナ様物質。
・マリファナも運動もチョコレートもこの神経伝達物質の受容体を活性化させる。
・エンドルフィンと違って、血液脳関門をすんなり通り抜けられる。
・ランナーズハイの原因という説もある。
 
※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』

アセチルコリン(ACh)

※ニコチン、タバコの依存症との関連については以下の記事参照。
タバコと心疾患の”タバコと依存症”
※睡眠との関連については以下の記事参照。
脳の各部位と睡眠の関係の”神経伝達物質と睡眠”、”コリン作動性ニューロン”
※認知症との関連は以下の記事参照。
アルツハイマー病、認知症の概要の”アルツハイマー病の病変、原因”、”認知症の薬”

・骨格筋や心筋、内臓筋の筋繊維のアセチルコリンの受容体に働き、収縮を促進する。自律神経の内、副交感神経を刺激し、脈拍を遅くし、唾液の産生を促す活性がある。
・脳内のアセチルコリンの相対的減少はアルツハイマー病と関連があるとされ、コリンエステラーゼ阻害剤、ドネペジル(商品名アリセプト)が治療薬として用いられている。
 一方、脳内のアセチルコリンの相対的増加はパーキンソン病と関連があるとされている。

グルタミン酸(Glu)、γ-アミノ酪酸(GABA)

※GABAについては以下の記事も参照。
各アミノ酸の健康影響の”GABA(ガンマアミノ酪酸)”
※GABAと不安、運動との関連については以下の記事参照。
不安、心配、恐怖、悲観の”運動による不安解消の効果”
※GABAと睡眠との関連については以下の記事参照。
脳の各部位と睡眠の関係の”神経伝達物質と睡眠”、”視床下部と睡眠”
睡眠に関する豆知識の”アルコール”
※GABAと腸内細菌との関連は以下の記事参照。
腸内細菌の作用の概要の”腸内細菌と脳内化学物質”

●グルタミン酸(Glu)の概要
 
・興奮性神経伝達物質の一つであり、記憶・学習などの脳高次機能に重要な役割を果たしている。
・グルタミン酸が、それまで結合したことのないニューロンのあいだに信号を送ると、結合が促される。信号の往来が頻繁になればなるほど、ニューロン同士の結合が強くなる。
→グルタミン酸は学習するうえで重要な要素と言える。
・内因性興奮毒としての性質を持ち、細胞死、パーキンソン病、抑うつなどの神経症に関わっている。
 
●脳の信号送信を担う神経伝達物質
 
・脳内の信号送信の約80%をグルタミン酸とGABAが担っていて、それらは互いにバランスを取り合っている。
・グルタミン酸はニューロンの活動を活発にして信号の連鎖的反応を始動させる。一方、GABAはその活動を抑える働きをする。
 
※参考資料『ジョン J.レイティ(2009)脳を鍛えるには運動しかない 日本放送出版協会』

ネットニュースによる関連情報

●グルタミン酸は脳のエネルギー源としても利用?
 
グルタミン酸はグルタミン酸脱水素酵素によって脱アミノ化されα-ケトグルタル酸になりTCA回路に入ることが報告されている。

 

●血中のエンケファリンのレベルと乳がんの関係
 
・エンケファリンのレベルが低い中年女性は乳がんになるリスクが高い傾向があるということが判明した。

 

●朝食とドパミン、報酬系、過食との関連
 
・ドパミンは、食べることにより放出が始まり、それにより、食品による報酬感が刺激される。報酬応答は、食物摂取を調節する手助けとなる為、摂食に大切な要素である。
・朝食、特にタンパク質が豊富な食事を食べると、若い成人の報酬の感情と関連する脳内化学物質のレベルを増加するため、一日の後半の食物に対する欲望や過食を減少させることができることを見出した。
高タンパク質の朝食は、高脂肪食品への欲望も減退させていた。一方朝食を摂らないと、この欲求は一日中上がりっ放しとなる。
・ドパミンレベルは過体重・肥満の個人では鈍くなっている。そのため、報酬感情を引き出すために、食事という刺激をより必要とする。これと似たような反応が、朝食欠食者に見られた。

 

●エンドルフィンと社会的ネットワークとの関連
 
・ある研究結果によると、エンドルフィンは、ヒトや動物の社会的結合を促進することを示唆している。
○社会結合の脳オピオイド説
・社会的相互作用は、脳内でエンドルフィンのオピオイド受容体への結合をおこし、ポジティブな感情の引き金になるといわれている。
これがヒトが友達に会うと良い気分になる原因かもしれない。
○うつ病との関連
・うつ病のヒトではエンドルフィンのシステムが妨害されていることが示唆されており、それがうつ病の人々が他人とのつながりに喜びを感じられない原因かもしれない。
○運動との関連
・フィットネスレベルの高い人々は社会的ネットワークが小さめであることがわかった。
・運動もまたエンドルフィンの分泌を高めるので、社会的ネットワークに依存する必要がないからかもしれない。
○ストレスとの関連
・強いストレスに曝されている人々は社会的ネットワークが小さめであることがわかった。
・社会的ネットワークが大きい方がストレスへの対処が良好にできるということか、あるいはストレスが強いと社交にさく時間が取れないのでネットワークは小さくなるのではないかと推測されている。

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